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福島県がSPEEDI予測データを公表せず・・・東京新聞と「週刊ポスト」とは相反する

2012-03-21 22:24:44 | 社会

町村泰貴氏が、ブログ「SPEEDIの予測データをメールで受け取った福島県」で、21日の東京新聞の1面記事『福島県が拡散予測消去 当夜から受信5日分を取り上げ、官邸も福島県も公開すべきだったと批判していますね。
東京新聞の報道が正しいのかどうかは疑問ですね。

東京新聞の記事『福島県が拡散予測消去 当夜から受信5日分』(2012年3月21日 07時08分)を全文転載すると、

”「東京電力福島第一原発の事故で、福島県が昨年三月十一日の事故当夜から放射性物質拡散の予測データをメールで入手しながら、十五日朝までの分をなくしていたことが県への取材で分かった。この間に1、3、4号機で相次いで爆発が起きたが、県は原発周辺の自治体にデータを示していない。県の担当者は「(データの)容量が大きすぎて、消してしまった」と話している。

担当者「データ大きすぎ」

 文部科学省の委託で放射性物質の拡散を予測するシステム(SPEEDI=スピーディ)を運用する原子力安全技術センター(東京)によると、センターは震災当日の昨年三月十一日午後四時四十分、文科省の指示を受け福島第一原発から放射性ヨウ素が毎時一ベクレル放出されたとの仮定で試算を開始。一時間ごとに文科省や経済産業省原子力安全・保安院にデータを送った。

 国の現地対策拠点となったオフサイトセンター(OFC、福島県大熊町)と福島県にも送る予定だったが、震災で回線が壊れたため送れなかった。
だが、メールの回線ならば送れることが分かり、十一日深夜、OFCに隣接する県原子力センターからの送信依頼を受け、予測データの画像を県側にメールで送信。十二日深夜には県庁の災害対策本部にも同様に送り始め、一時間ごとに結果を更新し続けた。
ところが、県の担当者によると、十五日朝までメールの着信に気づかず、それまでに届いていたメールは消してしまったという。
県は「予測は役に立たない」として、その後も送られたデータを公表せず、市町村にも知らせなかった。
これらとは別に、県は十三日午前十時半ごろ、保安院からもファクスで拡散予測を受け取っていた。こちらも十二~十三日早朝までのデータだったため、「既に過去のもので、正確ではない」として公表しなかった。
県の担当者は「送られてきたデータは二十キロ圏の範囲で、既に圏内の住民は避難した後だった。本来は国が公表すべきデータだが、結果として、住民が被ばくしたのは事実で、早めにお知らせすればよかった」と釈明した。

考えられぬ不手際 「公表どこが」責任明確に

【解説】
福島県のデータ喪失は、震災後の非常時とはいえ、考えられぬ不手際だ。
 福島第一原発の事故による放射性物質の放出は、2号機の原子炉を覆う格納容器の圧力が急激に下がった昨年3月15日がピークだったとされる。
 15日夜、風向きが北西方向へと多量の放射性物質が落ちた。これが、現在に至る飯館村などの高濃度汚染につながっている。
 福島県がなくしたSPEEDI予測データは15日朝までに送られたもので、データを基に避難方向を決めていても住民被ばく量に大きな影響はないとみられる。だが、それは、結果論だ。もしも早くから風向きが内陸部に向いていたら住民は予測データについて知らされないまま、放射性物質の飛散する報告に逃げた可能性があった。
 SPEEDIの予測データ公表をめぐっては、記者団から15日に公表を求められた文部科学省が翌日、原子力安全委員会に一方的にげたを預けるなど、国側も責任回避の姿勢が目立つ。結局、原子力安全委員会が23日に公表するまで、どこからも公表されなかった。
 背景には、どの機関が公表するかについて明確な取り決めがなかったことがある。
 被ばくの危険を最小限にするために、誰がSPEEDIの情報を公表するのか。今後も予測データを活用するならば、責任に決めるべきだ。(志村彰太
)」”

と報道。

時事通信は、記事『原発事故直後の拡散予測を消去=メール受信に気づかず』(2012/03/21-11:48)で、

”「福島県 東京電力福島第1原発事故で住民避難に活用できなかったことが問題視されている「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)について、福島県が事故後の昨年3月15日朝までにメールで送られた放射性物質の拡散予測をなくしていたことが21日までに分かった。県はメールの受信に気づかず、データを消去していたとみられる。
 県によると、SPEEDIの運用を担当する原子力安全技術センターが同月12日午後11時55分ごろからメールを1時間ごとに送信。しかし、県は15日朝まで着信を把握せず、メールボックスの容量がいっぱいになったとして、他のメールとともに消去していた可能性が高いという。
 県の担当者は、拡散予測は県庁内の専用端末に届くことになっており、震災のために庁舎が使えなくなって、データは入手できないと考えていたと説明。同センターからメールを送付したとの連絡もなかったとしている。(2012/03/21-11:48
)」”

と報道、TV朝日のニュースでも本件について簡単に報道していました。

東京新聞の報道は、”「現地対策拠点となったオフサイトセンター(OFC、福島県大熊町)と福島県にも送る予定だったが、震災で回線が壊れたため送れなかった。
 だが、メールの回線ならば送れることが分かり、十一日深夜、OFCに隣接する県原子力センターからの送信依頼を受け、予測データの画像を県側にメールで送信。十二日深夜には県庁の災害対策本部にも同様に送り始め、一時間ごとに結果を更新し続けた
。」”
と、(福島)県原子力センターからの送信依頼で、原子力安全技術センター(東京)からSPEEDI予測データをメールで送信したと報道。
さらに、【解説】で、”「SPEEDIの予測データ公表をめぐっては、記者団から15日に公表を求められた文部科学省が翌日、原子力安全委員会に一方的にげたを預けるなど、国側も責任回避の姿勢が目立つ。結局、原子力安全委員会が23日に公表するまで、どこからも公表されなかった。」”と報道しています。

まずは、政府対策本部の住民の避難案の策定について、朝日新聞の連載記事『プロメテウスの罠』(シリーズ:研究者の辞表)を、本ブログ「朝日新聞:〈プロメテウスの罠〉でSPEEDIを避難案に不活用・・・被曝させた責任はウヤムヤ?」で、紹介しました。

”「11回目は、現地対策本部に応援にきていた文部科学省茨城原子力安全管理事務所の渡辺眞樹男氏へ、15日夜、本部から「浪江町山間部の3ヶ所」のピンポイントの放射線量測定指示で、3ヶ所とも数値は高く、赤宇木は毎時330マイクロシーベルトで驚愕し、渡辺眞樹男氏は本部に報告したが、文科省は、その数値は、16日発表されたが、地区名は発表されず、地元は被曝の危険性は認識しなかったと。
そして、記事は、対策本部は、放射線量の高い場所をピンポイントで指定した根拠は、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)で、文科省は汚染の概容を掴んでいたと。

12回目は、科学技術・学術政策局次長の渡部格氏からSPEEDIの機能・目的とマニュアルによれば出力結果を一部の省庁と原子力安全委員会、福島県、そして現地対策本部へ配信するとの説明と渡部格氏の
”「実際、避難範囲を決めるのは場合、SPEEDIを使ったのかどうかは文科省はでは分かりません。避難範囲を決めたのは文科省ではなく原子力災害対策本部ですから。今回は本来の使い方はされず、いきなり同心円状の避難の指示がなされた。」”
と紹介し、マニュアルでは、文科省の出力情報で避難指示を出すのは原子力災害対策本部、つまり、官邸と。
しかし、菅首相も、海江田大臣、枝野官房長官もSPEEDIの存在を知らなかったと。

13回目は、SPEEDI作動の実態です。
3月11日午後7時3分、原子力災害対策本部が設置され、経済産業省の原子力安全・保安院は、対策本部の事務局を担う一方、経済産業省別館3階に緊急時対応センター(ERC)を立ちあげ、文科省の原子力安全技術センターによるSPEEDI予測図は保安院に送られるが、保安院も独自に精度の高いSPEEDI予測を16日まで45回173枚の独自予測したが、結果的には、ERCから保安院端末に送信されたのは、1,2回目だけで43回167枚はERC内に止まっていたと。
しかも出力図は、内閣官房の職員に渡したの2回目の予測図の計3枚だけで、何枚渡し、渡し後どうなったか不明と。

14回目は、現地対策本部が機能不全になり、避難区域を考えるのに、保安院と官邸とで勘違いを生じたと。
避難案を保安院の緊急時対応センター(ERC)しかないという思いで放射性物質拡散予測ら作業し、一方、官邸の対策本部は自分らで避難区域案つくるしかないと、ERCと官邸で、別々に避難案作りが進行したと。

15回目は、ERCが避難案作成中に、ERCに連絡せずに原子力対策本部が避難指示が発し、ERCは避難区域案作成を中止し、官邸中枢の避難区域の検証とし追認したと。
その後、政府は、放射された放射能量が不明でSPEEDI予測は役に立たなかったとし、ERCがSPEEDIを活用した避難案つくりは開示しなかったと。

16回目は、10月31日、菅前首相は、3月11日夜、官邸中枢に、「俺の目の前に保安院のトップ(寺坂信昭)がいたんだよ」と憤慨したとし、保安院はOBの寺坂信昭氏への取材を規制していると。
内閣府の安全委員会事務局のSPEEDI端末に文科省から1時間単位の予測図が受信していたが、事務局は官邸にも送信されているとし、官邸中枢にいた班目春樹委員長にも予想図は届かなかったと
。」”

と記事概容を紹介しました。

経済産業省の原子力安全・保安院は、対策本部の事務局を担う一方、緊急時対応センター(ERC)を立ちあげ、避難案を保安院のERCで作成作業を着手し、官邸の対策本部は自分らで避難区域案つくるしかないと、ERCと官邸で、別々に避難案作りが進行したが、原子力対策本部が避難指示が発し、ERCがSPEEDIを活用した避難案つくりは開示しなかったと記載していました。

一方の福島県側がSPEEDI予測図を受け取っていたことについては、本ブログ「佐藤・福島県知事の罪:SPEEDI情報隠し?」で、、昨年4月25日発売の「週刊ポスト」(5.6/13)の記事『菅官邸が隠した「被爆データ6500枚」』のサブタイトル『福島県に「公表するな」圧力』の、

”『「SPEEDI」は、所管は文部科学省で、傘下の財団法人「原子力安全技術センター」が運用し、そこから専用回線で政府の原子力安全委員会、関係省庁、都道府県の端末にリアルタイムで情報が送られる。
それをもとに関係自治体が住民に「放射能情報」を出すシステムである
』”

”『原子力災害危機管理関係省庁会議が作成した「原子力災害対策マニュアル」にこう定められている。
<文部科学省は、原災法(原子力災害法)第10条に基づく通報を受けた場合、原子力安全技術センターに対し、直ちにSPEEDIネットワークシステムを緊急時モードとして、原子力事業者又は安全規制担当省庁から放出源情報が得られ次第、放射能影響予測を実施するように指示する>」

今回の震災に当てはめると、東電から政府に福島第一原発の1~3号機の電源喪失を報告する「10条通報」は、震災当日3月11日の15時42分になされた。
政府はマニュアル通りに原子力安全センターに指示し、SPEEDIは緊急モードで動き始めた。同センターはこう説明する。
「SPEEDIの拡散試算図の配信を11日の17時頃からスタートさせました。それ以降、1時間ごとに拡散状況を計算し、原子力安全委員会などの端末に送っています。
(発生から4月20日までの)試算図は合計6500枚ほどです。」』”

記事は、原子力安全委員会は、23日に、SPEEDIの予測図を1枚、4月11日に2枚目を公表しただけで、週刊ポストの取材に、原子力安全委員会は、原発からの放射性物質の放出量が摑めず、むやみに公表すると混乱をきたすと判断したと。

さらに、記事によれば、枝野幹事長はSPEEDIのデータを知っていたはずだとし、
”『SPEEDIを担当する文科省科学技術・学術政策局内部から重大証言を得た。
官邸幹部から、SPEEDI情報は公表するなと命じられていた。さらに、2号機でベントが行われた翌日(16日)には、官邸の指示のでSPEEDIの担当が文科省から内閣府の原子力安全委に移された
名指しされた官邸幹部は「そうした事実はない」と大慌てで否定したが、政府が”口止め”した疑いは強い。
なぜなら関連自治体も同様に証言するからだ。

システム通り、福島県庁にもSPEEDIの試算図は当初から送られていたが、県は周辺市町村や県民に警報を出していない。その理由を福島県災害対策本部原子力班はこう説明した。
原子力安全委が公表するかどうか判断するので、県が勝手に公表してはならないと釘を刺されました
』”

と、報道しているのを紹介していました。

東京新聞の記事では、福島県側は、SPEEDIデータ受信が当初、気がつかず、消去したと、また、文部科学省がSPEEDI予想図の発表を、原子力安全委員会に一方的にげたを預けるなどの責任回避と報道していますが、昨年4月25日発売の「週刊ポスト」の記事では、
文科省科学技術・学術政策局内部からは、
”「官邸幹部から、SPEEDI情報は公表するなと命じられていた。さらに、2号機でベントが行われた翌日(16日)には、官邸の指示のでSPEEDIの担当が文科省から内閣府の原子力安全委に移された」”
と証言があったとし、
福島県災害対策本部原子力班は、
”「原子力安全委が公表するかどうか判断するので、県が勝手に公表してはならないと釘を刺されました」”
と、公表を差し止められたと報道していました。

調査報告書が発表され、メディアが諸々を報道していますが、福島県がSPEEDIデータ受信の件でも、「週刊ポスト」は、昨年4月に、福島県はSPEEDIデータ受信済で公表規制の云々を報道しており、この度の東京新聞の報道は、SPEEDIデータ受信してたが消去し、過去データであり公表に値しないという福島県側の判断内容であり、公表規制の記述はなく、「週刊ポスト」とは相反しています。
マアー、関係者は、議事録が無い事を「錦の御旗」にし、時間の経過とともに、御身大事の奇麗事になってき、皆、「精一杯、取り組みした」と、責任が分散し、誰も、責任を取らなくなりますね。
福島県にとれば、ここで政府を悪者にするのは得策ではないと考えるのは当然であり、東京新聞の報道内容には違和感を覚えるが、それより福島県の弁明は打算的と思いますね。




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