安倍首相は8日のIOCの最終プレゼンの際に、「状況はコントロールされていると私が保証します。汚染水の影響は原発の港湾内の 0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされています」「健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ない」と強調したが、10日、NHKニュースが「福島第一原発 地下水の汚染拡大か」は発信。
世の中、セールストーク・オーバートークには寛容な側面があるが、今度の安倍首相の発言は後日になり、「知らなかったとか、最善の努力はしたとか」では国内外で許されない発言ですね。
NHKニュース「福島第一原発 地下水の汚染拡大か」(9月10日 4時21分)で、
”「東京電力福島第一原子力発電所でタンクの汚染水が漏れた問題で、地下水への影響を調べるためタンクの周辺に新たに掘った2本目の井戸の水からも、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す放射性物質が高い値で検出されました。
東京電力は地下の汚染が拡大しているとみて調べています。
福島第一原発では先月、4号機の山側にあるタンクから、高濃度の汚染水300トン余りが漏れ、一部が側溝を通じて、原発の専用港の外の海に流出したおそれがあります。
東京電力が問題のタンクのおよそ20メートル北側に新たに掘った井戸で8日採取した水を調べたところ、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す放射性物質が1リットル当たり3200ベクレルという高い値で検出されました。
今月4日にはタンクの南側の井戸の水からも放射性物質が検出されていて、今回はその値よりさらに高く、東京電力は漏れ出した汚染水が地下水に到達し、汚染が拡大しているとみています。
100メートル余り海側には、建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げて海に放流するための井戸があり、影響が懸念されていて、東京電力はさらに観測用の井戸を増やして詳しく調べることにしています。
一方、高濃度の汚染水がたまっている1号機のタービン建屋のすぐ海側の井戸で今月5日に採取した水から放射性物質のトリチウムが1リットル当たり8万ベクレルという高い値で検出されました。
この井戸は原発事故の前から設置されていて、今回、監視を強化するためにほぼ1年ぶりに分析したところ、濃度は上昇していました。
東京電力は「継続的に見ていかないと原因や傾向はわからない」としています。」”
と報道。何か、オリンピック開催決定を見計らった印象をもたせる報道ですね。
安倍首相は、”「汚染水の影響は原発の港湾内の 0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされています」”と強弁したが、NHKニュースでは、”「福島第一原発では先月、4号機の山側にあるタンクから、高濃度の汚染水300トン余りが漏れ、一部が側溝を通じて、原発の専用港の外の海に流出したおそれがあります。
東京電力が問題のタンクのおよそ20メートル北側に新たに掘った井戸で8日採取した水を調べたところ、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す放射性物質が1リットル当たり3200ベクレルという高い値で検出されました。」と、更に港湾外に流出のおそれがあると報道しており、知らなかったで通用するでしょうか?
汚染水問題については、「日刊ゲンダイ」が、記事『馬淵澄夫氏が指摘 安倍政権の汚染水「抜本対策」に致命的欠陥』で、事故当初、汚染水対策の任の就いていた馬淵澄夫議員の見解を報道しています。転載すると、
”「なぜ吉田所長も認めた工法を取らないのか
菅内閣の首相補佐官だった/(C)日刊ゲンダイ 世界が懸念している福島第1原発の汚染水問題。安倍首相は「国が前面に出て抜本的な措置を講じる。五輪招致に問題がないことを説明する」と言っているが、まったく説得力がない。なぜなら、安倍政権がやろうとしている抜本対策の目玉、「凍土方式」は、原発事故直後に却下された不適切工法なのである。
民主党政権は当時、汚染水対策を馬淵澄夫首相補佐官に委ねた。馬淵は横浜国大工学部卒、建設会社技術職研究員の経歴を持つ。土木に詳しく、当時から地下水が汚染されることを問題視、吉田所長と対策を練ったという。馬淵に改めて、当時の経緯や凍土方式の問題を聞いてみた。
「凍土方式は完成まで2年間もかかるだけでなく、工法自体にも問題があります。首相補佐官時代の2011年5月、私は遮蔽プロジェクトチームの責任者として、4種類の工法を検討しました。その結果、『凍土方式』ではなく、チェルノブイリで実績がある『鉛直バリア方式』を選定しました。凍結管を入れて土を凍らせる『凍土方式』はそもそも永久構造物ではなく、地下水流出を抑えて工事をしやすくするために一時的に設置するものです。これによって、地下鉄工事でトンネルを掘削しやすくなるなどの効果はあります。しかし、大きな汚染区域を取り囲んで地下水を遮蔽できるかというと、そんな実績はなかった。しかも、真水を凍らせるわけではないのです。地中の水分量の分布はバラバラだし、不純物の混ざり具合など、ありとあらゆる自然界の条件の中で、大規模の凍土壁を造って、地下水を完璧に遮断できるのか。非常に怪しいと思います」
だから、「鉛直バリア(ベントナイトスラリーウオール)方式」が採用されたのだ。
「これは地下30メートルの難浸透層まで掘り下げて地下遮水壁を造り、原子炉建屋の四方を囲んで完全に遮断しようという案です。壁の材質は、クラック(ヒビ)などが入るコンクリートではなく、ベントナイトと呼ばれる鉱物が入った粘土を使うことになった。これで原子炉建屋の放射性物質を封じ込め、地下水流入も防げる。私は2011年6月11日、国会議員として初めて原発のサイトに入って、吉田所長とともにこの地下遮水壁の境界を確定する仕事をやりました。吉田所長は当初、『他の工事と干渉する』という理由で地下遮水壁建設に反対した。当時は、粉塵を封じ込める飛散防止剤散布や建屋を覆う工事などが並行して進んでいたからです。それでも吉田所長を説得して、地下遮水壁を進めようということになった。ところが、6月に記者発表をする段階で、東電からストップがかかった。『(地下遮水壁工事で)新たに1000億円の費用が発生すると、株主総会に影響を与えるから待ってくれ』というのです」
結局、地下遮水壁のプランは、馬淵がその後、首相補佐官を外されたこともあって、立ち消えになっていく。大甘の東電は海側にだけ遮水壁を造ることにして、お茶を濁し、これが目下の惨状を招いたのだ。
当時から遮水壁建設に取り組んでいれば、今頃、汚染水であわてることはなかった。五輪招致でつっつかれることもなかったわけだ。
「これからベントナイトスラリー方式をやっても完成まで時間がかかる。緊急対策として鋼鉄製の矢板を打ち込んで、山側の地下水の流入を止めるべきです。今後はそれを提案しています」
無責任東電と泥縄安倍政権に任せていても、どうにもならない。」”
と報道しています。
当方は、本ブログ「福島原発事故:放射性物質漏洩防止(遮蔽)はどうなっているのか?」(2013-07-14)において、本ブログ「原発事故:「海水注入」中断問題で対策本部の実態が露見」(2011-05-28)で、
”「事故時の対策本部の機能不全の実態の問題を書きましたが、放射性物質の漏洩対策については、馬淵澄夫代議員が従事することで問題は解決するだろうと思っていたのは事実です。」”
”「馬淵澄夫議員が総理補佐官に就任し放射性物質の漏洩の遮蔽チームの担当になり、 2011年04月22日の記者会見の動画で、建屋から放射性物質漏洩対策だけでなく循環系長期冷却水から地下水への漏水対策に世界の知見を集め大規模・不透水層の遮蔽を施工すると話をしており、その後、内閣改造、政権交代があったが、本格的な遮蔽工事が進行していると思っていましたが、青山繁晴氏の話では、今現在も手つかずの仮設状態だったのは驚愕です。」”
”「当方に言わせれば、(自民党打開策は、) 2年前、漏洩の遮蔽チームの馬淵澄夫議員の発言と同じであり、何を今更という思いと同時に、政府・東電の統合対策チームは何をしているのか疑問を持ちますね。
それとも、馬淵澄夫議員が懸念していたように政府・東電の統合対策チームは、法的権限のない統合本部の存在で、政府側には指示や命令といった権限がなく、名前だけの存在になっているのでしょうかね。」”
と書きました。
当方は、馬淵澄夫議員の意見には納得性があると思っていましたが、その後の経過を振り替えれば、馬淵澄夫議員の問題提起が放置されたまま現在に至っていることが、今日の汚染水問題の起因と思え、言えることは、当時の管政府、野田政府にも責任の一端がありますね。
マアー、安倍首相のオーバートークは今後の結果が問われる問題であるが、今までの結果責任は民主党が問われるのが当然ですね。
原発事故について全員不起訴と報道があったが、要は「想定外の出来事」で各々それなり精一杯努力としたことで罪に問えないということですね。
小沢一郎氏の事件の時には、メディアは法的には無罪になったが、政治的責任、道義的責任は免れないと報道したが、福島原発事故は人災とも言われてたのに、政治的責任、道義的責任はどうなのかメディアに問いたいですね。
不起訴には社会的責任、道義的責任はないのでしょうか?
東電が放射性物質の海洋への漏出については、「可能性はある」「否定できない」と間接的に認めているが断定的に認めない限りは、メディアは「恐れがある」としか報道できず、法的にも問えず、政府はブロックしていると強弁でき、漁民は放射能検査を強いられ、不可思議な社会模様ですね。
東電が放射性物質の海洋への漏出を認めると、オリンピック招致は叶わず、韓国らの海産物輸入禁止に反論もできず、国益を損なうということでしょうね。不可解な日本社会です。
唯一言える事は、汚染処理済水は海洋放出は出来ないということです。