１０年

　私が今の仕事、特別養護老人ホームの介護職員になったのは2004年の4月1日でした。その前日までは不動産会社の営業職でした。不動産業は１～３月がトップ・シーズンで、3月31日は取引の決済が重なり休める状況ではなく、翌日から全く違う仕事に就きました。思えばあの頃が今までで一番慌ただしい時期だったと思います。
　 右も左も分からない介護の現場に飛び込んで、高齢者に多い様々な病気や障害のことに無知だった私を採用してくれた施設に感謝しています。知人の紹介を得て施設の理事長にお会いし、その場でお世話になることが決まりました。
　そのときに理事長から、
　『ホームヘルパーの学校に通って資格を得るよりも、施設で３年働けば介護福祉士の受験資格が取れる。そのためにウチで働けばいいじゃないか』
　と、言われました。
　介護の現場で働くにはいくつかの資格がありますが、最も実践的なのは介護福祉士だと思います。 理事長はそれを踏まえて私に言ってくださったのだと思います。
　＜３年＞といっても起算日が4月1日で、試験日は１月なので、実際には受験資格は4年目でした。1度目は不合格、2回目の5年目にやっと介護福祉士になれました。資格取得までに躓きがあったけれど、この資格は今の仕事をするうえでとても重要で、この資格を持っているだけで自信にもなり、初心にも帰れるものだと思っています。 
　そして今年、やっと＜介護支援専門員＞になれる途が開けました。介護支援専門員は＜ケアマネージャー＞と呼んだ方が馴染みがあると思います。ケアマネージャーになるためには、その実務を学ぶ研修を受けなければならず、研修を受ける資格があるかどうかの試験に合格する必要がありますが、その試験が10月にあり、無事に合格することができました。来年以降に研修を受けることになると思います。
　介護福祉士は、現場で要介護者への接し方の専門性を求められる資格。ケアマネージャーはその呼称どおり、要介護者が必要とすることをマネージメントする専門性を求められる資格、と私は理解しています。仕事の内容は異なりますが、どちらも介護の仕事をするうえでは重要な資格です。 ともあれ10年目にしてようやく目標としていた資格を二つとも得ることができました。
　今月10日にケアマネージャーへの試験の合格を受け、改めてこの約10年を振り返って、そしてこの先、どのような途に進もうか、初心に帰って考えてみようと思っています。 
 

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　不動産の仕事をしていた頃、残業が多く、休日も少なく、すっかり音楽から離れていました。介護の仕事をするようになって、少し休日が増えて、ベースを少しずつ弾き直し始めて、施設で入所者の皆さんをお相手に演奏し始め、今年はアコースティック・ギターも弾き始めてみました。自分の趣味である音楽を、仕事のうえでも活かせることに喜びを感じます。
　 面白いもので、その興味が広がると、音楽つながりでいろいろな人の演奏に接することができ、おつきあいをいただけるようにもなりました。その人たちに、自分の音楽の始まりがパンク・ロックだったことを話すと、ちょっと驚かれます。でも、演奏者が聴き手に聴いてもらいたくて演奏することに、そのジャンルはあまり問題では無いと思います。聴いてもらいたい気持ちに違いはありません。

　↓今日は仕事の10年を振り返って考えてみましたが、初心に戻ろうと思うと“The Clash”のことを思い出します。 

　彼らの2枚目のアルバムの1曲目に収録された“Safe European Home”です。
　この頃までが純然たるパンク・バンドだった気がします。ライブの演奏は粗いけれど、彼らのエネルギーが最も荒ぶっていた頃ではないかとも思います。 自分にとっては、初心に帰れるカンフル剤のような曲です。