靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

毎晩ドアを閉め、次女と二人の時間

2013-09-08 09:25:04 | 子育てノート
 今週も一度、先生方やコーディネータを含め次女について話し合って下さった。弱いところがピンポイントできてきているので、ひとまずその弱いところを家で重点的に補強学習してみることで、変化が見られるかどうかを見守っていこうということに。こうしてどうしたらその子がよりよくなっていくかと親身になって下さるスタッフに囲まれ、本当にありがたいことです。

 普段、宿題で分からなかったりできなかったところをおさらいしておしまい、となりがちなのですが(といって四年生、宿題も三十分もあれば済ませられる量)、それプラス、毎日最低三十分程、ドアを締め切った静かな部屋で、集中的に補強学習する時間を持ってみることに。私自身仕事で家庭教師をしているくらいのつもりで、毎晩三十分は何としてでも取るように。兄弟姉妹にも三十分はノックもしないようにと伝え。

 遮られることなく静かな部屋で一対一でじっくり座って、というのは家ではほとんどない時間なのだと改めて気がつきます。勉強ももちろんはかどるのですが、上に下に挟まれ真ん中の子で普段どうしても目をかけられることの少なくなってしまう次女の嬉しそうな様子が、心に響いています。

 ああ嫌だ!と、ストレスになりそうな文章でも、そう感じたらまず呼吸を整えて、一回で頭に入らなかったら二回三回とじっくり読んで。また今のところ有効だと感じるのが、文章を読む端からメモを取り、キーワードを書き連ね、必要なら図式化してみるということ。そんな工夫を試すことで、まずは、文章に対する嫌悪感というものが随分と減ってきたように感じています。

 この夏頃から興味のあるトピックや物語などを自分から読む姿が見られるようにはなってきてはいたのですが。それまでは、学校の課題以外は自分から文章を読むということをほとんどしませんでした(学校ではかなりの量読まされ、課題も何とかこなしていたようですが)。兄姉は、小さな頃から家でも本の虫。

 またすぐにできてしまうことと、できないことの差が大きくて、できないことに取り組む意欲が削がれてしまっているようなアンバランスさも感じます。できないことにしばらくじっくりと取り組む時間が必要なのだと。今の様子を見ていると、「どうしてもできない、どうしてもできるようにはならないだろう」というより、「エキストラの努力が必要」つまり「エキストラの努力をすればできる」という方が合っているように感じます。それは長男のスペリングなどにも当てはまるのですが。テストなどは集中してエキストラの努力をするのでできる。

 といって、「なんで努力しないの!」と怠けているように思われてしまうのも、ディスレクシアの人々が抱える苦しみと言われ。次女と長男はさておき、その症状の重さによって、周りの想像以上の努力が必要な場合もあるのでしょう。

 まずは二人になる前に、私の気持ちを整えて。普段鍋が焦げないようにとか兄弟姉妹喧嘩の仲裁をしながらとか明日出す書類を揃えながらなど、何かの片手間に宿題などを見ていると、二度三度繰り返しても分からないようだと爆発してしまいそうになることがあるのですが、分からないのならば、百回でも穏やかに繰り返そう、とにかくどうしたら分かるようになるかにフォーカスしようと予め心を整えて。そして何よりも、学んでいるということを共に楽しむ姿勢で。


 こんな時を次女と過ごしながら、昔読んだスティーブン・コビー氏の話を思い出しました。九人の子供さんを育てられたコビー夫妻。男の子の一人が、なかなか思うような成績を取ることができません。そこでよくよく観察してみると、一つ一つの問題の設問の意味が、よく呑み込めていないことが分かったのです。そしてお母さんと息子君の二人の時間が始まります。毎晩二人で座り、文章を読むということの練習を繰り返します。コビー氏は、振り返ってみても、これほどこの子にとって幸せな時があっただろうかと言います。そしてそれは、母親にとっても同じだったと。

将来今を振り返り、そんな言葉が言えるようであればいいなと、願っています。今はもう嵐の中でがむしゃらです。(笑) 



 次女がディスレクシアということなのかよく分からないのですが、改めてディスレクシアについて思うとき、知能的には何ら周りと変わらないにも関わらず、人と人とのコミュニケーションの要である「言語」をうまく操れないということは、本人にとって、それはものすごいストレスでしょう。学校の勉強などでも、「言語」能力はどんな分野であろうと要、上下評価に大きく作用します。

 ディスレクシアと診断された人々が表してきた数々の作品群、映画や演技や様々な分野での功績の一つ一つ、それらは、そんなとてつもない内面的葛藤の爆発した形でもあるのかもしれない、そう思っています。


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