自然派庭師の日々精進

~ 作庭衆 庭譚 ( にわたん ) ~ 広島県福山市 ~       ※熱いヤツ集まれ!!!

そういう人にわたしはなりたい・・・(前編)

2007年02月28日 01時55分16秒 | 日記
とりあえず、石加工状況。。。


水鉢の穴彫り中。。。




苦戦中。。。
まだまだかかりそう・・・





最近、毎日出会う人がいる。
その中の一人に、76歳の職人さん(Yさん)がいる。

14歳で志願兵として海軍に入隊し、貧しい時代を生き抜いた職人さんだ。

Yさんはいつも語尾にこんな言葉がつく。

「~さしてもらっている。」
「ありがたいことじゃ。」
「幸せな世の中じゃ。」

出てくる言葉は感謝の言葉ばかり。


Yさんとの出会いは二年ほど前だったと思う。

突然飛び込んだ私に親身になって相談に乗ってくれた。。。


会う度にたくさんの経験を話してくれる。仕事の事、技術の事、生き様など・・・



「わしは14歳で志願して兵隊に入った。20歳で徴兵がかかるが、できるだけ早く入って上の位に上がりたかった。

わしの歳で兵隊いった者はあまりおらん。あの頃は、元気なもんはみんな戦争に狩り出され、残ったもんは老人と20歳以下の子供だけ。。。

お国の為と言って死んでいった者がたくさんおる。


生きて帰るな・・・


そう教育された・・・あんなのうそじゃ・・・でたらめな教育じゃった・・・

「大和」を見送った後、わしの番が来る前に戦争は終わった。もう船も残ってなかったんじゃ。まだ船がのこっとったらわしも配属されとったろう・・・

わしの前に逝った若者らのお陰でこんな贅沢させてもらっとる。ありがたい。。。」


入隊間もなく防府の燃料倉庫がやられたらしい。その頃から、敗戦ムードになっていたそうだ。



「戦闘機がカラスのように大群でやってきて、ショウユ弾を落としていった。
下から大砲で反撃するも戦闘機まで届かんのんじゃ。歯が立たんかった・・・」


・・・


「戦闘機10機に追われ狙撃されたこともある。低空飛行でな・・・
草むらに寝そべって死んだふりをした時、自分を狙撃している兵士と眼があった。あの時の兵士の顔は忘れられん・・・」


・・・


「終戦後も、食えるのは麦飯か芋ばかり。麦飯も、丸麦じゃけー雑炊にせにゃくえんのじゃ。金なんてあっても意味なかった。金があっても物売ってくれんのじゃ。物々交換よ。たまに米にありつけたと思っても雑炊しか食ってないけー、米食ってもよう消化せんのんじゃ。腹壊して。。。」


・・・


「そう思やー今は幸せよ。金で物なら何でも買えるんじゃケー。」


・・・



「日本いう国は幸せな国よ。韓国や中国、インドへも仕事で行ったけど、日本みたいにどこに行っても最低限の暮らしが保障されとる国はないよ。仕事さしてもらえて、給料ちゃんともらえて。ほんまありがたい・・・」



そんな話をたくさん聞いた。。。

ゆっくりゆっくりため息をつきながら話してくれる。

その言葉には重みがある。


「わしは、生きていくのがやっとじゃった。一生懸命仕事してきたが、一つだけ後悔したことがある。。。30半ばまで親方に仕え、20年間小遣いだけで仕事してきた。。。お金がないなったら親方に小遣いもらうんよ。。。お金貯める余裕なんてなかった。。。こっちに戻ってきてここに来て初めて給料いうもんをもろうた。。。うれしかった~・・・もっと早くにこっちへ戻ってくりゃーこんなに貧乏せんで済んだのに・・・もっと計画的に動いて仕事をすればよかった・・・何年後にこうしよう、ああしようというビジョンを持たんといけん。。。」



Yさんは遠くを見つめながらそう言ってくれた。。。



Yさんと話をしていると、いつも心が洗われる。



われら世代の人々は自分の環境に感謝しなくてはならない。




遊ぶ自由も、仕事を選ぶ自由さえなかった人々が大勢いた事を忘れてはいけない。


ニートと呼ばれる人種が増えていると聞くが、挑戦できる環境にあることに気づいて欲しい。。。

何でもできる世の中である事に気づいて欲しい。。。

自分にしか出来ない何かがあることに気づいて欲しい。。。




毎日「死」と向かい合わせの生活をし、生きていくのがやっとだった人々がいることを忘れてはいけない。


仕事ができ、お金がもらえ、それで食べる物が買える世の中に感謝しなくてはいけない。




この幸せな環境に置かれた俺らがそのことを心から理解し、次世代に伝えなくてはならない。。。




親としても、


子供達に贅沢三昧に物を与え、苦労させず、冒険させず育てていくことが、子供にとってどれだけ不幸なことなのか気づかなくてはいけない。。。

何があっても生きていける精神を養ってやる、そして自分もそうなることが本当の優しさなんだと思う。。。




人それぞれそ伝える為の道具は様々だが、




俺にとって、それは・・・


「庭」であり、「わかば会」だと思っている。。。




後編に続く・・・




「美孔庵 石との闘い」・・・途中経過

2007年02月20日 01時18分57秒 | 作庭(庭、その他)
途中経過です。。。

簡単に、こんな感じ・・・



「水鉢」 タネ。。。



荒割り。。。



ノミで整形中。。。





これから更に思いのカタチに・・・







「前石」 荒割り後(一番奥の石)。。。



整形。。。




ここから更に思いのカタチに・・・







「湯桶石」 整形。。。



更に整形。。。





ここから更に思いのカタチに・・・






「塵穴」ですが、カタチが見えてきたので完成までお楽しみということで^^







てな感じで、まだまだ石との闘いは続きます。。。


第20回 わかば会

2007年02月15日 01時26分38秒 | わかば会について
先日、「第20回 わかば会(異業種交流会)」を開催。。。


今回は、前回テーマをつくり、それについてそれぞれが考えてくる、というスタイルで行った。

意見がでるわでるわ。。。


「まちを盛り上げる為に、わかば会のメリットを生かして出来る事」
これがテーマでしたが、ほぼ骨格はできました。


これから内容を煮詰めていくと言う段階です。。。



なんか、ここ最近わかば会も堅くなってきていると思っている人もおるかもしれんけど、それはない。


基本的に「面白おかしく???面白楽しく」は絶対条件で、それに則って進んでいます。


今回も、途中激論になり、知らない人がみると間違いなく喧嘩と思ったじゃろうな^^;

もちろん、喧嘩じゃないけどね。。。


こうやって、みんながそれぞれいろんなこと考えて、意見したり、頷いたりして最後はバラバラに好き放題叫びまくってスッキリとして帰っていく。。。

これ、「わかば会」。




ほんま、「人」っていろんな考え方のルートを持ってておもしろいよね。

一つのことに対して、「やってみんとわからん」って奴もおれば、「そうしたらこうなるかもしれんし、そうなったらこうなて・・・」ってやつもおれば、「そうじゃなくてこうがいい」って奴もおる。

でも、結局最後はみんな同じとこ見とるわけで、なぜかうまくまとまる。


みんなで話をすることで、一つの道に何本もの道が加わる。
ルートが増えるわけだ。。。


それによって、自分の頭も柔軟になっていく。


人の話を聞くってほんまに大事よな。。。





ということで、わかば会の中の一つの活動としてこれから取り組んでいくことのテーマ・・・


「俺を育てろ!!!」




楽しみ~~~~~^^

「美孔庵 塵穴」 途中経過。。。

2007年02月10日 01時11分36秒 | 作庭(庭、その他)
美孔庵の石造品を製作中。。。


四点の中の一つ、「塵穴」製作 途中経過。。。


いつも同様、カッターは使わず。。。

道具は「マメ矢、鑿、コヤスケ」を使用。



この石を使用。。。




「マメ矢」を入れて割る前。。。




うまく割れる。。。




四面をマメ矢で落とした後、「コヤスケ、石鑿」で整形していく。。。




大まかに四角ができました。。。




これから理想のカタチに近づけていく。。。




丸くなってくる。。。




大まかな円柱になる。。。




ここからさらに理想のカタチに整形していく。。。





乞うご期待!!!

「ホワイトハウスの庭  ~和洋の融合~」

2007年02月05日 06時00分39秒 | 日記
2/2に無事完成しました。。。

工期は五日間。。。


終わった頃には真っ暗で、写真がうまく撮れませんでした。。。



アプローチ付近。。。





玄関前付近。。。




詳しい説明はちゃんとした写真が撮れてからということで・・・

とりあえず、搬入資材 芝生のみ、あとはすべてあったものを使い、残材料ゼロ。。。

なかなか手応えあり。。。



後日アップします。。。




昨日、一昨日は、11月に行く予定だった 三原のO邸の手入れ。

四人で二日。。。



ここは、連絡先を載せていなかったこのブログを見て、リンク先の藤井製瓦さんに電話して、連絡を下さったお客様。。。


いつもお客様には説明するのですが、

「鋏の入れ方、手入れ方法はこちらにすべて任せてください。さわる樹もあればさわらなくて良い樹もあります。すべてをこちらに任せてもらいます。」

そういうことで、依頼をお受けした。。。



庭が大好きなお客様ですが、ここで今回感動の出来事が・・・

ここには六本の松がありますが、その内の一本が松枯れにかかっていた。
12月から症状が現れ、その時も見に行ったが、かなり症状が進み瀕死の状態。。。

この時期に松枯れの症状がでてくるのは今まで経験がない。


こんな寒い時期にマツクイの症状がでるんだろうか・・・
最近あったかかったから、可能性がなくもないかもしれない・・・

枝枯れ病、赤枯れ病、いろいろ考えてみたが、枯れ方、ヤニの抜け方からやはり松枯れと判断。。。

他の松に被害が及ぶのを防ぐ為、伐採を提案。。。

とても庭を大事にしていらっしゃるお客様で、一本の松枯れの木を伐採するかしないかでかなり悩まれた。。。。



私はそのお客さんの姿を見て感動した。。。


だいたい一般的には、「仕方ないから伐ってください。」というケースが多いが、瀕死の樹、しかも、もう戻る事はないだろうとこちらが判断した樹をどうにか生かせないかと何日も悩むお客様は少ない。。。


私は、自分の判断を説明し、最後の決断をお客様に委ねた。


が、なかなか結論がでない。


私は、「ゆっくり考えてください。何なら、樹に登ってみてはどうですか?」と提案した。


脚立をかけ、お客さんが登っていく・・・


「・・・」


「伐ってください・・・」



何度も何度も「もう駄目ですよね・・・」と自分に言い聞かせているようでした。。。



私は「わかりました。お酒を用意してください。」と答えた。。。




松に、

「お疲れ様。どうにもできなくて悪かったね。。。ゆっくり休んでくれよ。。。」

と心の中で言いながらお神酒をまいた。


そして伐採・・・



その後、お客様が「もっと早く気づいてやれば・・・悪い事をした・・・」と。。。




私はこう言った。

「これだけ大事に思われている樹もそんなにはないですよ。充分伝わっていると思いますよ。その気持ちだけで松も救われますよ^^」






手入れも終え、綺麗になった庭を見たお客様が、最後に・・・

「こんな鋏の入れ方をする庭師さんははじめて見ました。気に入りました。綺麗で丁寧な仕事をありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」



最高のお言葉を頂き、ホッとしてここを後にした。。。




今日から「美孔庵 茶庭」の水鉢、塵穴づくりです。。。

2/25工期。


石たたくど~~~~~~~!!!