本、映画、時々ねこ

好きな読書と映画、そして愛猫について記録します。

predator & prey

2009-08-21 22:50:31 | Weblog
プレデターといって、パッと頭浮かぶのは、ライオン!ではプレイは?ライオンの餌食として、パッと思い浮かぶのは、インパラとかガゼルか。
先日、アニマルプラネットをCATVで観ていて、奇妙な光景を目にした。それはメスライオンが本来なら食っちまう筈のインパラをまるでまるで自分の子供のように守っている図。食物連鎖のルールから言って、あきらかにおかしい。でも、映像ではライオンがとっても心配そうにインパラの子の跡をついて回って、舐めてやったりしている。それは、なんだか不自然だけどものがなしいのである。
なんだかほろほろ泣けてしまうのである。
解説では、やはり稀有なことではあるが、メスライオンが若くして、群れの大半を殺されてしまったために(人間によって)、他のプライドにも属することができず、さびしさのあまり、インパラの子を代償行為により、自分の仲間として、あるいは子供として接しているのであろうということであった。
ライオンは子としてのインパラを心配するあまり、食事を摂ろうとせず(狩をせず)、インパラはまだほんの子供であるために、親のお乳が必要にもかかわらず、親がいないために、これまた食事を摂ることが出来ず、2頭は日に日に弱っていくのである。ライオンのおっぱいをまさぐる行為も見られたが、いかんせん乳は出ない。
この、ものに溢れた文明人間社会に身をおく者としては、食べないで弱っていくこと自体がとても不思議な光景であるが、2頭はかろうじて生きながらえている状態。
現地でずっと彼らを監察し続けているレポーターは、自分たちの生活を守るためにライオンを殺してきたであろう地元住民に、その映像を見せて、彼らの反応をうかがった。住民は神のなせる技といい、わざわざそのライオンを見に行ったりし、また、えさを獲れないのは可哀想だと、肉を与えるよう提案もした。
そして、それこそ不自然ではあるが、獲物を取ろうとしないで、インパラにつきっきりのライオンのために肉を与えたが、ライオンはそれを口にしようとはしなかった。もう、私はその辺で滂沱の涙である。
そして、体力が尽きかけ、インパラから目を離したほんのちょっと隙に、オスライオンにインパラを攻撃されてしまう。弱っているインパラの声はか細く、同じく弱っているメスライオンはオスから奪い返すこともならず、呆然とするのみ。
雄ライオンに連れ去られた跡を、まるで子供を亡くしたライオンがするのと同じ行動で、匂いをかぐばかり。
こんなことが実際に起こるというのは、とても不自然なこと。だが、先日、ニュースにもあったが、ライオンは今、絶滅の危機に瀕しているらしい。その原因は人間が自分たちの暮らしを守るために、乱獲するせいだ。
若いメスライオンは仲間を殺され、孤独に耐え切れず、餌食とすべき草食動物を仲間であるかのように認識した。それはとてもとても悲しいできごとなのだ。
インパラを殺されてしまったライオンは、翌日ようやくイボイノシシをしとめて、食べたということだが、インパラは決して食べなかった。
孤独は人も動物も耐え難いことなのか。
知能が高いとされる人間が孤独に耐え切れず、死んでしまっても何の不思議もない。が、孤独の回避の知恵も人間ならしなくては。その与えられた知能で。