・
映画館で映画を観終わってすぐに感想を聞かれると、思わずストレートな返答をすることがよくある。
この映画も出た瞬間、「シネモンド」の支配人である上野くんから感想を求められ、思わず発した言葉が
「えらい軽い仕上がりの映画やったね。これはこれでアリだとは思うし、それなりに面白いけれど、何よりもウディ・アレンのイギリスでの近況報告みたいだったよー(笑)」
なんだかんだ言いつつ、宣言通りに毎年1本ずつ映画を撮り続けているウディ・アレン。
人間の深層心理を欲望というかたちでシリアスに描き、ヒッチコック張りの一級のミステリーでもあった前作に比べ、コメディに大きく軸足を置いた何ともお気軽な仕上がりになっているように思える今回の作品。
正直言って、仮に本人が出演せず、おまけに誰が監督したのか判らずに観たとするならば、物語としての意外性も捻りもなくテンポの良さだけが印象に残る小品程度の認識にしかならないのかもしれない(苦笑)。
それでも老いてもなお盛んとでも言うべきか、御歳72歳にして(さすがに親子という設定にせざるを得なかったとは言え)前作に続いて起用したスカーレット・ヨハンセンへのほとばしる思いが、俄か探偵の凸凹コンビとしての丁々発止の台詞のやり取りの中から見え隠れして、何ともほのぼのとさせられたのだ。
そして思えば、かつて「アニーホール」の頃、アメリカ西海岸の能天気さに嫌悪感を抱き嫌うことによってニューヨークへの想いの深さを知らしめていたのに対して、例え車の通行が反対車線であろうが、身分の階級差が厳然としてあろうが、インド料理の美味しさに気付いたり、自然の豊かさや歴史の深さに一目を置くなどしてロンドンでの暮らしを楽しんでいるのがよくわかる作品でもあったのだ。
それにしてもこの作品でもまたウディ・アレンは喋りすぎてうざいとか、胡散臭いとか言われてもいるらしいけれど、例えばたった3つの暗証番号を覚えるのにつまらない、ほんとうにつまらない例えを見つけ出そうとする可笑しさ(ちなみに、正解を見つけたとき「ユリイカ!」と叫んでいて、勉強になったとです:笑)、新聞記者を装って、新聞社名を聞かれて「えー、えー、そう、ワシントンポスト。『大統領の陰謀』の小さいほうの記者が私」と話す姿には、やはり笑わせてくれ、何とも愛すべき爺様なのだ。
そしてこうして趣向を変えながらこれからも毎年映画を撮り続けていくであろうこの愛すべき爺さんには、どこまでも付いていくぞ!
今日の1曲 “ Englishman in New York ” : Sting
前作ではオペラが流れていたのに対して今作では誰もが知っているクラシックがフューチャーされていて、そのあたりの敷居の低さも印象的ではありました。
そして内容的に、どこか『倫敦の亜米利加人』の逆ヴァージョンであるスティングのこの曲を。
87年リリ-スのアルバム「Nothing Like The Sun」に収録。
当時のPV映像はコチラ
映画館で映画を観終わってすぐに感想を聞かれると、思わずストレートな返答をすることがよくある。
この映画も出た瞬間、「シネモンド」の支配人である上野くんから感想を求められ、思わず発した言葉が
「えらい軽い仕上がりの映画やったね。これはこれでアリだとは思うし、それなりに面白いけれど、何よりもウディ・アレンのイギリスでの近況報告みたいだったよー(笑)」
なんだかんだ言いつつ、宣言通りに毎年1本ずつ映画を撮り続けているウディ・アレン。
人間の深層心理を欲望というかたちでシリアスに描き、ヒッチコック張りの一級のミステリーでもあった前作に比べ、コメディに大きく軸足を置いた何ともお気軽な仕上がりになっているように思える今回の作品。
正直言って、仮に本人が出演せず、おまけに誰が監督したのか判らずに観たとするならば、物語としての意外性も捻りもなくテンポの良さだけが印象に残る小品程度の認識にしかならないのかもしれない(苦笑)。
それでも老いてもなお盛んとでも言うべきか、御歳72歳にして(さすがに親子という設定にせざるを得なかったとは言え)前作に続いて起用したスカーレット・ヨハンセンへのほとばしる思いが、俄か探偵の凸凹コンビとしての丁々発止の台詞のやり取りの中から見え隠れして、何ともほのぼのとさせられたのだ。
そして思えば、かつて「アニーホール」の頃、アメリカ西海岸の能天気さに嫌悪感を抱き嫌うことによってニューヨークへの想いの深さを知らしめていたのに対して、例え車の通行が反対車線であろうが、身分の階級差が厳然としてあろうが、インド料理の美味しさに気付いたり、自然の豊かさや歴史の深さに一目を置くなどしてロンドンでの暮らしを楽しんでいるのがよくわかる作品でもあったのだ。
それにしてもこの作品でもまたウディ・アレンは喋りすぎてうざいとか、胡散臭いとか言われてもいるらしいけれど、例えばたった3つの暗証番号を覚えるのにつまらない、ほんとうにつまらない例えを見つけ出そうとする可笑しさ(ちなみに、正解を見つけたとき「ユリイカ!」と叫んでいて、勉強になったとです:笑)、新聞記者を装って、新聞社名を聞かれて「えー、えー、そう、ワシントンポスト。『大統領の陰謀』の小さいほうの記者が私」と話す姿には、やはり笑わせてくれ、何とも愛すべき爺様なのだ。
そしてこうして趣向を変えながらこれからも毎年映画を撮り続けていくであろうこの愛すべき爺さんには、どこまでも付いていくぞ!
今日の1曲 “ Englishman in New York ” : Sting
前作ではオペラが流れていたのに対して今作では誰もが知っているクラシックがフューチャーされていて、そのあたりの敷居の低さも印象的ではありました。
そして内容的に、どこか『倫敦の亜米利加人』の逆ヴァージョンであるスティングのこの曲を。
87年リリ-スのアルバム「Nothing Like The Sun」に収録。
当時のPV映像はコチラ
前作が面白かったので、期待しちゃったのですが
愛すべき爺様・でも、やっぱりうるさいと感じちゃったワタシ
>誰が監督したのか判らずに観たとするならば~
激しく頷いちゃいました(笑)
でも、いつもキャストが魅力的なんですよね。
なので、懲りずに次回も観ちゃいそうです(笑)
イギリスへの思いが正直にセリフになって表れていましたね~。
かなり馴染んできているように見受けられました。
ウディご本人が出ると、やはりあの喋りがウザくて~。
彼の映画との相性が悪いんじゃなくて、彼自身との相性が悪いようです。
知れませんね。
一応、死神を登場させたり、ウディ・アレンらしさもあるにはあった
のですが、いろんな意味でますます何でもありになってきたような
そんな気がします。
と言いつつ、一緒にお付き合いのほどよろしくであります(笑)。
いかにもというエリアや建物は敢えて撮っていないところが
何とも好感を持ちました。
(ロイヤル・アルバートホールのさりげない登場のさせ方とかも)
それにしてもやっぱりウザいですか。困りました(苦笑)。
70年代80年代の作品を同時代的に観ていたものにとっては、
そこまで不快感は全くなかったりしますのです。
ちなみにその頃の映画ももちろんですが、例えばキャストが
多分ミチさん好みの「世界中がアイ・ラヴ・ユー」あたりを
是非観ていただいて紺層をお聞かせいただきたいと思います。