日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 兼定 Kanesada Tanto

2016-05-16 | 短刀
短刀 兼定


短刀 兼定

 室町時代後期の美濃刀工の代名的な存在が兼定と孫六である。兼定はその二代目がノサダと呼ばれており、最上大業物作者に指定されていることからも著名で、刀を学んで知らぬ者はない。ノサダとは、定の字のウ冠のしたが之(ノ)となることからの呼称。この短刀は、その初期作。こうして作例をみると、兼定は相州伝の鍛冶であると言っても良いだろう。これまで見て来た綱家、綱廣と大きく変わらぬ地鉄と刃文だ。板目鍛えの地鉄は良く詰んで動きがあり、これに地沸が付いて刃文は尖り刃交じりの互の目乱で、飛焼があり、棟焼がある。その通り、美濃伝と一口に言うも、大和から移住して来た千手院派、手掻派などの工により、時代によって影響を相州伝に受け、移住した美濃においてはその複合的な地刃を突き詰めた結果、直刃出来、互の目出来、湾れ出来、尖刃出来など様々な地刃のものがそれぞれ定着している。その中では特に志津伝(相州伝)が色濃く残されているように感じられる。ただ、一段と尖刃が強くなっている代の降る兼元などのような作もある。皆焼は相州伝や美濃刀工だけのものではない。戦国時代の備前刀工も焼いている。さて、この短刀は、兼定銘を切っていた頃、ノサダ銘になる以前の作。造り込みは鎌倉時代の短刀を想わせる八寸弱の身幅尋常なる格好の良いでき。地鉄は板目が緊密に詰んで流れ肌が交じり、関映りが顕著。尖刃交じりの互の目の焼が強く、棟焼に飛焼が加わりった皆焼の典型。相州伝だが強い沸だけでなく匂が主調となっている。



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