商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

須崎のキャラクター

2016-12-02 11:12:00 | 日記

 「ゆるキャラグランプリ2016」で頂点に立った高知県須崎市のご当地キャラクター「しんじょう君」を含む商品の商標登録を、民間業者が出願していたことが分かった。結果的に認められなかったが、今後「しんじょう君」が登録されれば、現在無料で認めているキャラクター使用が制限されるリスクがあり、市は商標登録を緊急に出願した。無名時代には費用対効果を考慮し登録に慎重だったが、人気が出て方針転換した。

しんじょう君は、須崎市で国内最後に目撃されたニホンカワウソをモチーフにして2002年に生まれたが、長く無名だった。しかし13年にデザインを変え、ここ4年は連続してグランプリの上位に入っている。

市は、申請してきた県内外の約100社に無料で使用を許諾している。うち1業者が今年1月、同業者による類似品防止のためとして、しんじょう君を含む菓子名の登録を出願した。市は6月に外部からの問い合わせで出願を把握し、10月に商標登録を出願した。現在、審査中だ。業者の出願は特許庁に認められなかった。

一般社団法人「日本ご当地キャラクター協会」の荒川深冊(しんさく)代表理事は「自治体のキャラクターでも商標登録はした方がいい」と忠告する。今回はキャラクターを含む菓子名として出願されており、仮に登録されてもしんじょう君自体は使い続けられたとみられるが、「他の業者が使用をためらう状況もあり得た」と指摘する。商標登録は手続きが比較的簡単で、一つの商品分類だけなら経費も印紙代の10万円程度で済むこともあり、第三者に登録されるリスクも防げる。

人気の「くまモン」については、誕生した2010年に熊本県が商標登録を出願し、翌年登録された。また埼玉県は、00年に生まれた県のキャラクター「コバトン」の商標登録を今年9月になって出願している。第三者の悪用を懸念したという。

須崎市の場合、迅速に手続きを進めるため特許事務所に依頼し、念を入れておもちゃや飲料など複数の商品分類で出願したため、費用は約140万円かかる見込みという。市によると、海外の展覧会などにも登場しているしんじょう君は、米国のテレビ番組などで許可無く放送された例もあるが、海外での手続きには手が回りそうにないという。