昨秋遅くに新プランター栽培で初めて植え付けて見たラッキョウですが、今見ると事のほか良く育っており、立ち上がって居る軸の部分が一際太く、鱗茎が肥大しているのが良く分かります。
今更プランター栽培でラッキョウを育てるなど珍しくも無い話では有りますが、実はこれには一寸した訳があったのです。
―プランターいっぱいに茂っているラッキョウー
実は、一昨年に種から育てて収穫したフレンチエシャロット 「Cuisses de Poulet du Poitou」、その全ての鱗茎の夏越しに失敗し、保管中にすっかり腐って消えてしまって面目丸つぶれとなったのでした。
其の上に、今年は挽回するぞと昨年秋に、実生から育て上げて外房菜園に移植したフレンチバナナエシャロットの「Zebrune」の苗、今度は大風が吹いて一晩で植え付けた苗が根こそぎ吹き飛ばされて、影も形も無くなってしまったのです。
―ラッキョウは軸が太い程鱗茎も肥大している!-
其のエシャロットの早採り収穫を心待ちしていた家人には何とも言い訳が出来ず、そのエシャロットの替わりにせめて早採りしたラッキョウ 「エシャレット」でも育てられればと、残って居た屑ラッキョウの鱗茎を昨秋遅くになってプランターに植えて見たのです。
―収穫したフレンチエシャロット「Cuisses de Poulet du Poitou」―
其の早採りしたラッキョウの葉軸付き鱗茎は 「エシャレット」と呼ばれ、これからの季節に市場に出回るのですが、其の酢味噌和え等は格別の味であり、又、マヨネーズ和え味噌を其のまま付けての丸かじりも好みによっては野趣ある風味が豊かで酒飲みには事の他喜ばれる事請け合いなのであります。
其のラッキョウの早採り出荷品を 「エシャレット」と呼ぶようになった経緯ですが、土寄せして軟白栽培し、若いうちに収穫して食べて貰おうとの思い付き、何方の発案だったか定かでは有りませんが、最初は「根ラッキョウ」の名称で市場に出そうとしたそうです。
ところが、それでは売れないだろうと大手青果卸、東京中央青果常務の「川井彦二」さんが、ヨーロッパの「エシャロット」に似ていたことから「エシャロット」と名付けたと言うのです。
―市場での茨城県産エシャレットの姿―WebImagesより
ところが日本に入って来る様になった輸入品の「エシャロット」との区別が出来ない事になり、それではと 「エシャロット」から今度は 「エシャレット」と改名されたのですが、それでも紛らわしいと言うので本家の輸入エシャロットの方は 「ベルギーエシャロット」と呼ぶようにしたと言うのです。
その早採りラッキョウの「エシャレット」、農水省の平成22年の生産統計によると、面白い事に産出量の大部分を圧倒的に茨城と静岡の2県が占めており、しかも日本の全生産量も殆どが、関東地方に限られている大変不思議な農産物なのです。
多分、ラッキョウなら良く知っているが、其の早採り出荷品が 「エシャレット」と言う事など知らない主産地の生産者や市場関係者、その需要を生みだす筈の肝腎な消費者の方は、食べた事が無いから口に合わないとする喰わず嫌いのあまのじゃくであり? そんな方々がところ変われば品かわるで、ラッキョウの主産地の集荷地域には多く居られると言う? 偶然の一致の不思議な現象なのかも知れません。
―ラッキョウの新プランター栽培 手軽で収量も充分確保できます!-
其の早採りラッキョウのエシャレット、ラッキョウに比べるとクセが少なくて特有の香りがあり、生で食べても大変美味であり、従来のラッキョウの利用法の食べ方と比べると、其のレシピの巾が一段と広く成って居るのです。
それに何よりも、ラッキョウ同様に栄養面での優れた特徴は、まれにみる豊富に含まれる食物繊維であり、特にそれが生食で摂取できるのは最大の利点であるかも知れません。
其の「エシャレット」で食べる早採りラッキョウが、関東地方の一部に生産量で偏っているのと対称的に、ラッキョウとして出荷される生産量の75%は、鹿児島、鳥取、宮崎の三県が占めて居り、絶対量的には共にエシャロットの10倍を超えているのです。
-分葱とエシャロットの球根 区別できない!
ところが、面白い事が分かったのですが、日本には古くから中国から亘って来たと言うラッキョウと対称的に、何時渡って来たか定かでは無いのですが、いわゆる「エシャロット」が古くから日本で栽培されて居り、それが、先のブログで取り上げて来た「分葱」であります。
其の「分葱」、日本では葉鞘部を食べる分けつネギとしての利用法が定着したのですが、根部の膨らんだ葉鞘部と共に利用する葉玉葱や葉ニンニクの利用法と同様に、関西地方では「分葱」も亦同じようにも利用しているのであり、ラッキョウの葉鞘部付きの鱗茎を早採りラッキョウとしての利用法、西日本で好んで食べられるようにならなかった理由、其の必要が無い栽培地域の気候の違いに有ったのです。
其れを裏付けるのが、関東以北では「分葱」栽培が、葉鞘部を食べる分けつネギとして定着できなかった理由でもあり、冬季の凍結深度で冬季の「分葱」栽培は葉鞘部が枯れてしまい不向きで有るのです。
それがラッキョウで有れば、冬季に土寄せして深植えし、春早くその軟白部分共々鱗茎を早採りして利用する「エシャレット」の食べ方、それが生まれるのに適した気象条件であったと言う事です。
―若取りしたシャロットの球根―
扨て、其の「エシャレット」と「エシャロット」の違い、日本の中で区別するならば、軟白ラッキョウと昔から其の種鱗茎を食用として利用して来なかった「分葱」の球根の違いと言う事になります。
―倒伏の始まったポットポニックス栽培の分葱―
其のフレンチエシャロットの代役にと育てた「エシャレット」、同様の食べ方が「分葱」でも出来る筈であり、今ポットで育てている「分葱」、玉葱と同じ様に、一部で葉鞘部の倒伏が始まっているのですが、そのポット栽培中の「分葱」を掘り起こして、中の鱗茎を試食して見るも一計かも知れません。
―試し堀りして見たエシャレットー
其の前に試食の為に掘って見た新プランター栽培の「エシャレット」から一寸見てください。一寸齧って見たのですが、予測通りの旨味があり、美味しさは合格です。