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消費税の増税論と北風と太陽

2011-12-30 19:10:09 | ニュース
民主党は29日深夜、税制、社会保障・税の一体改革両調査会の合同総会で、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%と二段階で引き上げる増税案を盛り込んだ一体改革大綱素案の税制改革案を了承した。
野田佳彦首相は「一番逃げてはならないテーマだ」として、消費増税の税率や時期を明記した党の意見集約を求めていたのだが、マニフェストにも書いてない増税よりも、公務員給与削減や議員定数削減等を実行する方が「逃げてはならないテーマ」な筈である。

そもそも野田首相は、消費税率を引き上げる目的が何なのかを自身が本当に理解しているのか?。
今回の税率引き上げは税収を増やす事が目的なのか?、それとも単に消費税率を引き上げる事が目的なのか?。である。
消費税率を引き上げるのは、財務省内での出世の目安と言われており、財務官僚の出世の為に野田首相や、増税に賛成する政治家は利用されているのではないのかね?。
消費税を増税すれば、税収が減るのは確実と言う声も有るのだが、そこら辺を理解した上で税率アップをしようと言うのか?。

竹下登元首相の下、日本で消費税が導入された1989年は、12月に日経平均株価が3万8915円の値を付けると言うバブル経済の絶頂だった。
景気が良い時に増税を行うと言うのは、ジョン・メイナード・ケインズ等、様々な経済学でも言われている通りなので、時期としては理解出来る。
しかし、である。消費税導入で経済に急ブレーキが掛かった事も事実(勿論、それだけが理由では無い)であり、1993年にはオイルショックだった1974年以来のマイナス成長を記録した。

それらの検証を碌にせず、橋本龍太郎元首相は1997年に消費税率を3%から5%に上げたのである。
しかも景気は低迷期であり、本来ならば増税よりも減税等の景気刺激策が必要と言う、増税の時期としては最悪な状況で税率アップしたのである。
経済学を無視した安易な増税で、それまで4年連続で成長を続けていたGDPが翌年からマイナスに転じ、その後の日本経済は更に悲惨な結果をもたらした。

消費税を導入してからの税収は、消費税のみを見れば安定していると言えるのだが、総税収では経済低迷の影響もあり、マイナス成長に転じた1993年を機に税収は減り始めた。
そんな税収減に危機感を覚え、「付け焼き刃」的な発想で消費税率を引き上げ、1997~98年は税収が一時的に回復したが、1999年には11兆円近くも減収している。

そして現在の総税収は、財源を増やす目的で行った筈の消費税導入前より低いのである。
これらのデータを見ると、「失われた20年」と消費税はリンクしている様に感じる訳で、税収のみならず、経済に与えた多大な影響を鑑みれば、消費税導入とは一体何であったのかと言わざるを得ない。
当ブログは増税に付いて、政治家は簡単に増税と言うなとか財源不足になった原因を検証しろ等に色々と書いているのだが、消費税や他の税金を安易に上げるのでは無く、税金に付いて徹底的に検証をする事が必要不可欠だと考える。

政治家は勿論の事、マスコミも消費税や他の税金に付いて、色々なデータを示し様々な角度から検証する事が、増税議論に於いて必要だと思うのだが、大手を中心としてマスコミは腰が思い。
何故ならば、マスコミの増税音頭と輸出戻し税にも書いたが、マスコミの大スポンサーである輸出企業にとって、消費税には得する仕組み「輸出戻し税(還付金)」が有るからなのだ。
輸出企業は「仕入れで消費税を払った」と申請する事で、多額の「輸出戻し税」を国庫から受け取っており、その額は年間約2兆円で消費税収の約18%に当たる。

日本の主な輸出企業の場合、輸出戻し税には旨味があってウハウハだから、経団連が消費増税に賛同するのは当然と言えば当然だわな。
しかも、である。大企業に部品等を納入する下請け業者は、大企業から消費税分を値引き要請され、特に税率引き上げの際には、大企業は下請けにその分を被らせるケースが多く、下請け業者は利益や賃金を削って対応していると言う。
そんなカラクリが有るから、大企業が消費税率アップを望むのは当然であり、輸出戻し税は税率引き上げで更に増える訳だ。

消費税率を引き上げて今以上、景気が悪化すれば、マスコミにとっても広告宣伝費が減る等、自らの首を絞める事になると思うのだが、経団連には逆らえない。って事で、マスコミはスポンサーの意向を忖度して、消費税率の引き上げを擁護するのである。
所詮、マスコミはマスゴミと揶揄される様に、カネと言う餌をくれる御主人様の意向で動く犬だから、我々もそこら辺を理解した上でマスコミの報道に接しないと駄目だわな。
勿論、マスコミ全てが犬では無く、まともな人も居るから、それらを見極めるリテラシーが大事なのだ。

話を消費税に戻すが、国民新党の亀井静香代表は消費税率の引き上げに付いて、「井戸が壊れていて、水が少ししか入っていないのに、汲み上げるのは間違いだ。井戸を直して水が溜まる様にしてから、増税を考えるべきだ。」と述べている。
亀井代表は、今の日本経済と国民生活を井戸に見立てて語っているのだが、まさに仰る通りである。

私は以前、日本経済を人間の体に例えて書いた事が有るのだが、人間の体で言えばカネは血液に当たる。とね。
血液がスムーズに循環していれば、血行も良くて健康な状態だから献血しても問題は無いだろう。
しかし、である。血の巡りが悪く貧血気味で、健康面に不安が有る時に献血をすればどうなるのか?。
献血が増税の事を指しているのは言わずもがな。

今までは体調が悪くフラフラしながらも何とか持ち堪えて来たが、次に献血をすれば取り返しが付かない事態に陥る事は確実なのだ。
消費税の増税に政治生命を懸けると言うアンポンタンの政治家が居るのだが、貴方のチープな政治生命と日本経済の破壊とは比べ物にならない訳で、そんな阿呆な台詞を偉そうに口にする政治家が増税論を語るのは、何をか言わんやである。
今の日本経済にとって大事なのは、増税で更に経済に打撃を与える事では無い。

イソップ寓話に「北風と太陽」と言うのが有るのだが、余りにも有名な話なので御存知の方も多いと思う。
北風の様に増税をして、国民の財布の紐を締めさせるのでは無く、今こそ減税と言う太陽の様な景気刺激策を行い、国民の財布の紐を緩ませ、内需を拡大させる事によって増収を目論む方が健全であり、有効な政策と言えるのではないか?。
政治家はイソップ寓話の「北風と太陽」から学び、増税では無く、減税等の刺激的な経済政策を行い、国民の気持ちを消費に向かわせる事が大事なのである。では。

【ネッタイムス・東坊京門・作】

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
貼ります (Unknown)
2011-12-31 01:53:13
日本の自殺者数:警察庁の資料より抜粋

昭和53年 20,788人
昭和54年 21,503人
昭和55年 21,048人
昭和56年 20,434人
昭和57年 21,228人
昭和58年 25,202人
昭和59年 24,596人
昭和60年 23,599人
昭和61年 25,524人
昭和62年 24,460人
昭和63年 23,742人
平成元年 22,436人
平成2年 21,346人
平成3年 21,084人
平成4年 22,104人
平成5年 21,851人
平成6年 21,679人
平成7年 22,445人
平成8年 23,104人
平成9年 24,391人

(初の三万人突破年)
平成10年 32,863人
平成11年 33,048人
平成12年 31,957人
平成13年 31,042人
平成14年 32,143人
平成15年 34,427人
平成16年 32,325人
平成17年 32,552人
平成18年 32,155人
平成19年 33,093人
平成20年 32,249人
平成21年 32,753人
平成22年 31,690人
平成23年 23,758人(9月迄、年間3万人ペース)

自殺者数3万人と橋本政権での消費税の引き上げ時期が微妙・・・。
返信する
もう一丁、貼ります (Unknown)
2011-12-31 02:06:08
12月4日の日曜日、全国71紙の新聞に載った例の政府広報である。
『すべての国民の皆さまへ---社会保障と税の一体改革について』と題し、ラジオパーソナリティの小島慶子氏を相手に、いかに消費税増税が必要かを熱く語ったのだ。

内閣府政府広報室に尋ねたところ、ネットでも同じ内容を掲載しており、その制作費も含めると締めて3億円。
新聞社などにバラまかれたこのカネの原資はもちろん、われわれの血税だ。

ちなみに鳩山内閣時代の事業仕分けで半減したものの、それでも政府広報予算は約50億円に上る。
だいたい、消費税という税金を上げるために、税金を使って国民を説得しようというところからして、間違っていないか。

広告収入減に苦しむ新聞社やテレビ局にとっても、政府広報はありがたい存在。
もちろん、政府にすれば、消費税増税の広告を載せる一方で、増税反対の大キャンペーンは張りにくいだろうという狙いもあります」(テレビ局政治担当記者)

この政府広報と大手広告代理店の関係については、'07年に共産党の吉井英勝衆院議員が国会で取り上げたことがあり、それによれば全体の約6割が電通、博報堂の大手2社で独占されていたという。
政府と広告代理店、それに新聞・テレビが、それぞれ税金でいい目を見ようなんて。

週刊現代より抜粋
返信する
国家公務員のリストラと給料と退職金の削減が先です (ゴーカイ)
2011-12-31 11:47:50
「日本の消費税率は低い」は大ウソ

財務省の論法にダマされるな!!

●税率を単純比較するのはナンセンス
菅首相が突然ブチ上げ、参院選の争点に急浮上してきた消費税率の引き上げ論議。
財務省がよく使うのが、「世界でも日本の消費税率は低い」という“解説”だ。
しかし、これにダマされたらダメだ。とんでもないカラクリがあるのである。

消費税を導入している国は現在、145カ国。
財務省のホームページを見ると、日本と主要国の消費税を比較する資料があり、
日本の5%に対して、フランス19.6%、ドイツ19%、
イギリス17.5%、スウェーデン25%――などとなっている。
数値を見れば、日本の税率が低く見えるが、そんな単純な話ではないのである。
「主要国の多くは、食料品など生活必需品の税率を軽くしています。
イギリスでは食料品、国内旅客輸送、医薬品などの税率はゼロ。
フランスも新聞、医薬品の税率は2.1%です。
アイルランド、オーストラリアも食料品の税率がゼロ。
日本のようにすべての国民を対象に、
日用品も贅沢品も関係なく一律に分捕る制度ではないのです」
(経済ジャーナリスト)

一概に比較できない数値を“喧伝”して「増税やむなし」の
雰囲気をつくろうとする財務官僚には注意した方がいい。
税収(国税)に占める消費税の割合を比べると、
日本の36.3%に対して、イギリスは38.4%。
日本の2倍の消費税(10%)のオーストラリアは26.8%だから、
日本国民の消費税負担が極端に軽いワケではない。
「『日銀貴族』が国を滅ぼす」の著者で、
旧日本長期信用銀行出身の経済評論家・上念司氏はこう言う。
「米国・カリフォルニア州では家の売買に消費税はかからない。
課税対象が限定されている国と、
すべてに課税される日本を比べて消費税率を論じるのはおかしいのです。
これは『日本の法人税率は高い』という言い方にも当てはまる。
ナフサ原料の非課税(約4兆円規模)などの税制優遇があるのに、
法人税だけを見て、日本の企業の税負担は大きいというのは乱暴です」

仮に消費税増税の方向に向かうとどうなるのか。
「増税で財政再建した国はどこもありません。
EU統合の際、財政赤字を減らすために各国が取った方法には
『歳出削減』と『増税』の2通りあったが、
増税を選んだのは(事実上破綻した)ギリシャとイタリアの2カ国でした。
デフレ下の日本で増税すれば、さらにモノが売れなくなり、税収も落ち込む。
官僚たちの言い分を信じてはいけません」(上念司氏)
菅首相にはもっともっと説明を求めなければダメである。

記事から。

国家公務員のリストラと給料と退職金の削減が先ですし、
公務員宿舎を2度と作らない事が先にやらなければいけないのに、
順番を間違えています。

北海道札幌市に90億円「税金」をかけて無駄な公務員宿舎が完成しました。
返信する
もう一丁、貼ります (Unknown)
2011-12-31 18:18:21
世界各国の消費税

国名     消費税率   食料品消費税率

イギリス   17.5       0
フランス   19.6       5.5
イタリア   20        10
ドイツ    17        6
オランダ   19        6
アイルランド 21        0
ポルトガル  19        5
スペイン   16        7
スイス    7.6        2.4
ノルウェー  24        12
スウェーデン 25        12
デンマーク  25        25
オーストラリア10        0
メキシコ   15        0

関連のネタをたまたま見つけたので貼ってみました
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すんません (貼りますです)
2011-12-31 18:21:36
なんか読みにくくなったみたい、すんませんです
返信する
どうも (東坊京門)
2011-12-31 19:36:54
景気低迷期で、しかもデフレスパイラルなのに増税なんてのは論外であり、先ずは増税よりも景気刺激策を行うべきだ。
増税、増税と声高に叫ぶだけで、歳出削減を進めないのも論外、これでは破れバケツに水注ぐ事となり、財政問題は一向に改善されないよね。
公務員給与削減や天下り廃止等の公務員制度改革と、議員定数削減等の議員制度改革を行わずして、安易な増税を行うとは言語道断、片腹痛しである。
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