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福島第一原発事故とエネルギー問題

2011-06-07 16:56:42 | ニュース
東京電力の福島第一原発事故によって、世界的に脱原発の動きが顕著になり、スイスでは5月下旬、2034年迄の脱原発を決定した他、イタリアでは今月中旬に原発再開の是非を問う国民投票を実施する等、原子力政策の見直しが進んでいるのだが、脱原発の筆頭格と言えばドイツだろう。
ドイツは6日、日本の原発事故を受けてエネルギー政策を転換し、2022年迄に国内原発17基を全て停止する改正原子力法案等を閣議決定、主要国(G8)で脱原発政策を決定したのはドイツが初めてだ。

ドイツが原発の安全性に敏感なのは、福島第一原発事故が原因では無く、25年前に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故で、放射性物質がドイツにも飛来した事が背景にあり、それ以来、健康被害や環境を重視する国民意識が形成され、殊更、原発問題には敏感に反応する様だ。
今回の脱原発政策の決定は民意を反映した証なのだが、産業界からは電気料金の大幅な上昇や電力供給を懸念する声もある。

また、ドイツが大胆なエネルギー政策の転換を出来る背景には、隣国のフランスやチェコ等からドイツより安価な電力を輸入調達が出来ると言う事が大きいのだが、主要エネルギーを輸入に頼ると言う供給不安定な状況は、経済大国ドイツにとって好ましく無く、原発を全て停止するのは簡単では無い。

一方、経済発展に伴い電力需要が急増する中国は今夏、過去最大の電力不足となる見通し。
中国の電力不足は慢性化しており、多くの企業は工場の操業停止や停電を日常的に強いられ、大幅な減産等を余儀無くされており、中国に進出している日系企業は頭を悩ませているのが現状だ。

中国の発電所は石炭火力が主力であり、世界的な資源価格の高騰を背景にして、火力発電の燃料である石炭も価格が高騰し、採算が悪化した電力会社が発電量を抑制した事や、電力を融通する体制設備の遅れも重なった事が原因である。
企業にとって電力は生命線であり、工場の操業停止や停電等で生産ラインの安定性が損なわれると、当然として生産拠点を移す事を検討する訳だ。

さて、原発事故の当事国である日本のエネルギー政策は、どうであろうか?。
原発は安全だと連呼し、日本の技術力の高さと、原発システムと管理能力をアピールしていた電力会社の信用性が、福島第一原発事故によって、その「安全神話」が音を立てて崩れた訳だ。
勿論、以前から原発の安全性を指摘されていたが、それらの指摘に対して、コストカット路線を推し進めて、安全対策を怠っていた東電の杜撰な原発運営に問題が有るのは言うまでも無い。

東電に関しては知れば知る程、日本のエネルギーインフラを担う企業とは思えないと言うか、思いたくない悪しき体質が露呈しているは御存知の通り。
心配なのは、東電だけが腐りきった体質なのか?、東電以外の電力会社も東電同様の体質なのか?、である。
もし、東電以外の電力会社が、現在、東電同様の体質ならば、批判と怨嗟の声が渦巻き、国賊企業と罵られ、蛇蝎の如く嫌われている東電を反面教師にして、速やかに体質改善して頂きたいもんだ。

何故ならば、日本のエネルギー事情を考えれば、直ぐに全ての原発を停止する事は、現実的には不可能であり、もし停止すれば経済や産業、そして生活環境に大きな打撃を与えるのは間違い無いからだ。
原発の代替エネルギーでは、火力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電等が有るが、原発停止の分を安定的に賄えるかと言えば、大きな疑問符が付くのが現状だろう。

他にも地熱発電等のエネルギーが注目され、その将来性に期待されているが、あくまでも将来性であり、直ぐに原発の代替にはならない。
この為、当面は原発を稼働させ、徐々に脱原発の方向に舵を切って行くのが現実的であり、反原発派が主張している原発の即時停止は夢物語であり、社民党の福島瑞穂みたいな夢見る夢子ちゃんは、相変わらず脳内お花畑で現実から掛け離れている訳だ。

しかし、反原発派の夢見る夢子ちゃん達が声高に叫ぶのも判らなくは無い。と、言うのも、日本の多くの人は、福島第一原発事故が起こる以前、チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故は、他国で起こった悲惨な事故と言う認識だったのが事実だろう。
小泉純一郎元首相では無いが、「人生には三つの坂がある。上り坂と下り坂、そして、まさかの坂だ。」と言う言葉にある「まさか」の原発事故が日本で起こったからだ。

その「まさか」の原発事故による影響は、これは酷い、放射線量を計算ミス福島原発の半径20キロは人も家畜も住めないにも書いた様に、計り知れない。
今後、放射能汚染によって確実に出て来る生命体の変化が見られれば、更に反原発の声が高まるのだろうが、ヒステリックに喚き立てるだけでは無く、エネルギー政策に付いて、原発推進派と反原発派、そしてニュートラルな立場の人々を交えて、各々の意見に固執する事なく、議論をする事が重要なのである。では。

【ネッタイムス・東坊京門・作】