
◆女子サッカー・第6回FIFA女子ワールドカップドイツ大会(2011年6月27日)
・1次リーグB組 (第1節)
日本 2(1-1)1 ニュージーランド (@ボーフム/レヴィアパワーシュタディオン)
得点者:日本)6分 永里優季、68分 宮間あや
NZ)12分 アンバー・ハーン
メキシコ 1(1-1)1 イングランド (@ヴォルフスブルク/フォルクスワーゲン・アレーナ)
得点者:メキシコ)33分 モニカ・オカンポ
イングランド)21分 ファラ・ウィリアムズ
国際サッカー連盟の今大会の関連ページ
日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会の日本女子代表21名(日本サッカー協会HPより)
出場16チームの最終登録メンバー(各国21名)
NHKの今大会の関連ページ
〔写真はロイターより〕
* * * * *
史上初めて第1シード国としてW杯に臨むことになった、「なでしこジャパン」こと日本女子代表。1次リーグの初戦でオセアニア代表のニュージーランドと対戦。NZとは、過去3年間で2回国際Aマッチで対戦してます。北京五輪では、今大会と同様に1次リーグの初戦で対戦してます。この時は日本が押し気味に進めるも、守備の連係ミスと低レベルな主審による不可解なジャッジによるPKで2失点を喫して苦境に陥りますが、試合終盤になんとか同点に追い着いて2-2の引き分けに終わりました。両国が最も直近に対戦したのが、一昨年の11月14日に埼玉で行われた親善試合です。この時は、日本が優位に試合を進めて2-1で勝利しました(→詳細はこちら)。両国のFIFAランキングは、日本が4位で、NZが24位と離れてます。ただ、近年の対戦を振り返っても分かるとおりに、ランキングほど実力差は離れてません。しかも、初戦なので、必要以上に緊張するはずです。お互いにある程度知っている相手だけに、下馬評とは裏腹に接戦になることが予想されました。
試合開始時刻が現地時間の15時ということもあり、会場のボーフムのレヴィアパワーシュタディオンは気温が30℃をゆうに上回り、突き刺すような強い日差しでした。なんだか、既視感を覚える光景です。そうです、あの「カイザースラウテルンの悪夢」と呼ばれた5年前の男子のドイツW杯1次リーグの豪州戦を彷彿とさせられました。奇しくも、あの試合と同じく、今回もオセアニア代表のチームと初戦で戦うことになりました。人とボールが連動したパスサッカーを志向する日本としては、前半のうちにある程度差を付けないと、後半は体力が消耗して足が止まるので、厳しい展開になるのは必至でした。日本は、開始序盤からボールを支配。前半6分、右サイドのMF大野忍が高い位置でボールを奪い、裏に飛び出したFW永里優季に絶妙のラストパス。これを、永里が相手GKとDFと競り合いながら、うまく左足で合わせてゴールに流し込んで、幸先よく日本が先制。ドイツのポツダムに所属する永里は私と同じ地元なので、とても誇らしい気分でした。このまま日本が流れを掴むのかと思われました。
ところが、先制から僅か6分後、NZに左サイドを破られて、高いクロスを上げられます。あろうことか、GKとDFの選手同士の連係不足で、ファーサイドにいたNZの選手に誰もマークが付いておらず、フリーの状態でNZのアンバー・ハーンにヘディングを押し込まれて、あっさりと同点に追い着かれます。その後は、何度も日本がNZゴール前に襲い掛かって決定的なチャンスを作り出すも、肝心の得点が生まれません。一方、NZは同点シーンと同様に、ロングボールを前線に蹴り込んで中盤を省略し、肉弾戦に持ち込んで日本の長所を消しにかかります。暑さの影響もあって、次第に日本の動きが落ちて、攻撃も萎みます。前半は、このまま1-1で折り返します。後半に入っても動きが悪かった日本は、後半10分に大野に代えて期待の若手FWの岩渕真奈を投入し、攻撃の活性化を図ります。岩渕はやや遠慮気味でしたが、軽快なドリブルで疲労が見え始めたNZ守備陣を切り裂き、何度もチャンスを作り出します。そして、後半22分、岩渕がドリブルでペナルティエリアのすぐ外で倒されて、相手の反則を誘発します。このFKを、名手の宮間あやが右上隅に鮮やかに決めて、やっと勝ち越しに成功。その後は、相手の反撃を冷静に凌いだ日本が2大会ぶりに初戦を白星で飾りました。
正直、試合内容はかなり悪かったです。やはり、前評判の高かった日本はかなり研究されていたと思うし、更には初戦特有のプレッシャーも圧し掛かったのでしょう。とはいえ、上位進出を狙うチームの初戦の内容は、得てしてこんなものです。欲を言えば、もう少し点差を広げたかったのですが、確実に勝ち点3を得る事の方が遥かに大切です。なにせ、ここ最近の日本女子は、各年代を通じて世界大会の初戦を白星で飾ることが少なく、1次リーグで苦戦を強いられる要因となってます。五輪と違って、W杯は1次リーグで3位だと救済されません。意外にも、日本はW杯と五輪では1次リーグで2位以内が1度もありません。苦戦の末に掴んだ今回の白星は、先の戦いを見据える上でも大きな意味があります。というのも、1次リーグB組を2位通過だと、準々決勝では確実に優勝候補のドイツと完全アウェーの状況で対戦するからです。幸運にも、イングランドvsメキシコが1-1のドローに終わったので、日本は次戦のメキシコに勝利すれば準々決勝進出が確定します。メキシコは、過去2回のW杯では大陸間プレーオフを戦った因縁の相手ですが、確実に首位通過する為にも、課題を修正して臨まなくてはなりません。
☆日本vsNZのダイジェスト ※後半のダイジェスト映像もあり
☆イングランドvsメキシコのダイジェスト
・1次リーグB組 (第1節)
日本 2(1-1)1 ニュージーランド (@ボーフム/レヴィアパワーシュタディオン)
得点者:日本)6分 永里優季、68分 宮間あや
NZ)12分 アンバー・ハーン
メキシコ 1(1-1)1 イングランド (@ヴォルフスブルク/フォルクスワーゲン・アレーナ)
得点者:メキシコ)33分 モニカ・オカンポ
イングランド)21分 ファラ・ウィリアムズ
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日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会の日本女子代表21名(日本サッカー協会HPより)
出場16チームの最終登録メンバー(各国21名)
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〔写真はロイターより〕
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史上初めて第1シード国としてW杯に臨むことになった、「なでしこジャパン」こと日本女子代表。1次リーグの初戦でオセアニア代表のニュージーランドと対戦。NZとは、過去3年間で2回国際Aマッチで対戦してます。北京五輪では、今大会と同様に1次リーグの初戦で対戦してます。この時は日本が押し気味に進めるも、守備の連係ミスと低レベルな主審による不可解なジャッジによるPKで2失点を喫して苦境に陥りますが、試合終盤になんとか同点に追い着いて2-2の引き分けに終わりました。両国が最も直近に対戦したのが、一昨年の11月14日に埼玉で行われた親善試合です。この時は、日本が優位に試合を進めて2-1で勝利しました(→詳細はこちら)。両国のFIFAランキングは、日本が4位で、NZが24位と離れてます。ただ、近年の対戦を振り返っても分かるとおりに、ランキングほど実力差は離れてません。しかも、初戦なので、必要以上に緊張するはずです。お互いにある程度知っている相手だけに、下馬評とは裏腹に接戦になることが予想されました。
試合開始時刻が現地時間の15時ということもあり、会場のボーフムのレヴィアパワーシュタディオンは気温が30℃をゆうに上回り、突き刺すような強い日差しでした。なんだか、既視感を覚える光景です。そうです、あの「カイザースラウテルンの悪夢」と呼ばれた5年前の男子のドイツW杯1次リーグの豪州戦を彷彿とさせられました。奇しくも、あの試合と同じく、今回もオセアニア代表のチームと初戦で戦うことになりました。人とボールが連動したパスサッカーを志向する日本としては、前半のうちにある程度差を付けないと、後半は体力が消耗して足が止まるので、厳しい展開になるのは必至でした。日本は、開始序盤からボールを支配。前半6分、右サイドのMF大野忍が高い位置でボールを奪い、裏に飛び出したFW永里優季に絶妙のラストパス。これを、永里が相手GKとDFと競り合いながら、うまく左足で合わせてゴールに流し込んで、幸先よく日本が先制。ドイツのポツダムに所属する永里は私と同じ地元なので、とても誇らしい気分でした。このまま日本が流れを掴むのかと思われました。
ところが、先制から僅か6分後、NZに左サイドを破られて、高いクロスを上げられます。あろうことか、GKとDFの選手同士の連係不足で、ファーサイドにいたNZの選手に誰もマークが付いておらず、フリーの状態でNZのアンバー・ハーンにヘディングを押し込まれて、あっさりと同点に追い着かれます。その後は、何度も日本がNZゴール前に襲い掛かって決定的なチャンスを作り出すも、肝心の得点が生まれません。一方、NZは同点シーンと同様に、ロングボールを前線に蹴り込んで中盤を省略し、肉弾戦に持ち込んで日本の長所を消しにかかります。暑さの影響もあって、次第に日本の動きが落ちて、攻撃も萎みます。前半は、このまま1-1で折り返します。後半に入っても動きが悪かった日本は、後半10分に大野に代えて期待の若手FWの岩渕真奈を投入し、攻撃の活性化を図ります。岩渕はやや遠慮気味でしたが、軽快なドリブルで疲労が見え始めたNZ守備陣を切り裂き、何度もチャンスを作り出します。そして、後半22分、岩渕がドリブルでペナルティエリアのすぐ外で倒されて、相手の反則を誘発します。このFKを、名手の宮間あやが右上隅に鮮やかに決めて、やっと勝ち越しに成功。その後は、相手の反撃を冷静に凌いだ日本が2大会ぶりに初戦を白星で飾りました。
正直、試合内容はかなり悪かったです。やはり、前評判の高かった日本はかなり研究されていたと思うし、更には初戦特有のプレッシャーも圧し掛かったのでしょう。とはいえ、上位進出を狙うチームの初戦の内容は、得てしてこんなものです。欲を言えば、もう少し点差を広げたかったのですが、確実に勝ち点3を得る事の方が遥かに大切です。なにせ、ここ最近の日本女子は、各年代を通じて世界大会の初戦を白星で飾ることが少なく、1次リーグで苦戦を強いられる要因となってます。五輪と違って、W杯は1次リーグで3位だと救済されません。意外にも、日本はW杯と五輪では1次リーグで2位以内が1度もありません。苦戦の末に掴んだ今回の白星は、先の戦いを見据える上でも大きな意味があります。というのも、1次リーグB組を2位通過だと、準々決勝では確実に優勝候補のドイツと完全アウェーの状況で対戦するからです。幸運にも、イングランドvsメキシコが1-1のドローに終わったので、日本は次戦のメキシコに勝利すれば準々決勝進出が確定します。メキシコは、過去2回のW杯では大陸間プレーオフを戦った因縁の相手ですが、確実に首位通過する為にも、課題を修正して臨まなくてはなりません。
☆日本vsNZのダイジェスト ※後半のダイジェスト映像もあり
☆イングランドvsメキシコのダイジェスト

北京五輪でも初戦で まさかの引き分けでしたから初戦で当たるには相性がよくないなと思ってましたら本当に追い付かれて一時はどうなる事かと思いましたよ。
もっとも北京では徐々に修正していって4位に繋げたわけですから、第1シードの日本は男子W杯の強豪のようにグループステージを戦いながら調整していくという‘贅沢’ができるのでメキシコ戦以降どこまで修正できるかですね。
やはり、どんな大会でも初戦は大切ですよね。
たとえ格下相手であっても、ムキになってバランスを崩してまで攻め込むと、カウンターの餌食になります。
男子W杯で優勝したスペインだって、初戦は堅守速攻のスイスにまさかの黒星を喫しました例がありますから。
米独伯のような、優勝を狙う世界の強豪国は決勝に照準を合わせているの、1次リーグは“慣らし運転”のようにのらりくらりと戦います。
日本は北京五輪ではあと一歩でメダルを逃したとはいえ、全6試合を戦えたのはとても貴重な財産になったはずです。
この時の経験と第1シードの特権を生かして、攻守の課題を修正して、調子を上げてほしいですね。