うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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ブラジルW杯アジア最終予選の組み合わせが決まる

2012年03月10日 | サッカー(全般)
◆サッカー・2014 FIFAワールドカップブラジル大会アジア最終予選の組み合わせ(本大会のアジアの出場枠は4.5)

A組:韓国(30)、イラン(51)、ウズベキスタン(67)、カタール(88)、レバノン(124)
B組:豪州(20)、日本(33)、イラク(76)、ヨルダン(83)、オマーン(92)
(カッコ内は2012年3月7日発表のFIFAランキング。 各組とも左側から第1~第5ポットの順)


B組の日程 (左側のチームがホーム、☆は親善試合用のIMD)
  第1節(2012年 6月 3日・日) : ヨルダン vs イラク、日本 vs オマーン
  第2節(2012年 6月 8日・金) : オマーン vs 豪州、日本 vs ヨルダン
  第3節(2012年 6月12日・火) : 豪州 vs 日本、イラク vs オマーン
  第4節(2012年 9月11日・火) : ヨルダン vs 豪州、日本 vs イラク
  第5節(2012年10月16日・火) : イラク vs 豪州、オマーン vs ヨルダン
☆第6節(2012年11月14日・水) : イラク vs ヨルダン、オマーン vs 日本
  第7節(2013年 3月26日・火) : 豪州 vs オマーン、ヨルダン vs 日本
☆第8節(2013年 6月 4日・火) : オマーン vs イラク、日本 vs 豪州
  第9節(2013年 6月11日・火) : 豪州 vs ヨルダン、イラク vs 日本
  第10節(2013年 6月18日・火) : 豪州 vs イラク、ヨルダン vs オマーン

※10チームを5チーム×2組に分けてH&A方式で対戦し、各組上位2位までが本大会の出場権を獲得。
  各組3位チーム同士がアジアプレーオフへ。
  なお、日本は、2013年6月15~30日にブラジルで開催されるコンフェデレーションズ杯に参加する関係で、最終予選の日程は第5ポッドの扱いとなります(第5節と第10節が休み)。


・アジアプレーオフ
 第1戦:2013年9月6日(金)、第2戦:2013年9月10日(火)
 ※最終予選の各組3位同士がH&A方式で対戦し、勝者が大陸間プレーオフへ。

・大陸間プレーオフ
 第1戦:2013年11月13日(水)、第2戦:2013年11月20日(水)
 ※南米5位とH&A方式で対戦し、勝者が本大会の出場権を獲得。


ブラジルW杯アジア予選の詳細
国際サッカー連盟が定めた2010~2014年までの国際試合日(IMD)


                           *  *  *  *  *


アジア杯とW杯アジア最終予選は全くの別物

3月9日、アジアサッカー連盟(AFC)の本部があるマレーシアのクアラルンプールで、ブラジルW杯アジア最終予選の抽選会が行われました。当初、最終予選でポットを分ける際に使用される基準は南アフリカW杯の成績のはずでした。ところが、昨年6月にAFCは、南アW杯の成績からFIFAランキングへの変更を通達。その結果、3月7日発表の最新のFIFAランキングが今回の抽選で適用され、アジアで3番目の日本(33位)は、イラン(51位)とともに第2ポットとなりました。つまり、第1ポットの豪州(20位)と韓国(30位)のどちらかと必ず戦わなくてはいけないことを意味します。日本は、南アW杯でアジア勢最高の成績を残し、更には昨年1月のアジア杯では大会最多となる4度目の優勝を果たしながら、この序列に甘んじているのは、東日本大震災の影響で昨年に予定していた国際試合が減少したのが最大の原因です。追い討ちを掛けるように、2月29日に豊田スタジアムで行われた3次予選の最終節のウズベキスタン戦に敗れたのも痛恨でした。日本はこの試合に敗れた為、FIFAランキングが韓国と入れ替わり、第2ポットに転落となりました。

抽選会は、先ほど現役を引退したばかりの日本代表元主将の宮本恒靖と、元イラン代表のメフディ・マハダヴィキアがドロワー(抽選人)を務めました。そして、抽選の結果、日本は、豪州(20位)、イラク(76位)、ヨルダン(83位)、オマーン(92位)と同じB組に入りました。今回の抽選結果の率直な感想を申し上げると、「厳しい戦いになるけど、決して悪い組み合わせではない」ですね。というのも、最終予選は各組2位以内に入れば本大会の出場権を獲得できるので、第1ポットの国を全力で倒すよりも、第3ポット以下の国から確実に勝ち点を奪うことの方が、出場権を得られる確率が遥かに高いからです。それだけに、日本は、先日完敗を喫して苦手意識が芽生えつつあったウズベキスタン(67位)と、2022年大会の開催国で無尽蔵のオイルマネーを背景に強大な政治力を有するカタール(88位)と同組を回避できたのは、非常に良かったです。また、韓国ではなく、豪州と同組になったのも、決して悪いことではないです。なぜなら、W杯本大会では欧州勢とは最低でも1ヶ国と戦うので、選手の殆どが欧州のクラブに在籍する白人国家の豪州は格好の“仮想敵国”となり、本番を見据えた有効な強化に繋がるからです。それに、韓国はラフプレーが酷いので選手は壊されるし、色々と疲れる面倒な連中ですから(笑)。

過去の実績と実力を考慮すれば、このB組は日豪両国が勝ち抜く可能性が高いですが、絶対に油断は禁物です。たしかに、日本は現在のアジア王者ですが、この大会では5-0で圧勝したサウジアラビア戦を除いて、全て1点差以内での決着でした。また、この大会の決勝トーナメント全8試合中7試合が1点差以内での決着だったので、H&A方式で行われるW杯予選は侮れないです。ましてや、日本は3次予選では2敗を喫してます。要するに、現在のアジアは、セカンドクラスの国が非常にレベルアップしており、トップクラスの国に肉薄してます。格下と見なされているヨルダンとオマーンも同様です。3次予選では、ヨルダンはイラクに、オマーンは豪州に、それぞれ1勝1敗と星を分け合ってます。日本はヨルダンとは過去に2度アジア杯で対戦するも、いずれも先制点を許して大苦戦の末に引き分けに終わってます(なお、2004年中国大会はPK戦で日本が勝利するも、公式記録上は引き分け扱い)。しかも、ヨルダンの監督であるイラク人のアドナン・ハマドは、母国を2004年アテネ五輪で4位に導き、同年のアジア年間最優秀監督を受賞した実績のある中東を代表する名将です。一方、オマーンは、3次予選で中東の盟主サウジを出し抜いてきただけに、侮れないです。それに、オマーンには、プレミアリーグのウィガンの正GKアリ・アル・ハブシがおります。両国とも、堅守速攻で篭城戦を仕掛けるのは必至なので、先に失点を許すのは絶対に避けなくてはなりません。

また、今回の組み合わせの特徴は、対戦相手の監督全員が日本とゆかりのある人物ばかりなことです。先述のとおり、ヨルダンの監督のハマドは昨年のアジア杯で対戦してます。オマーンの監督のポール・ル・グエンは、南アW杯でカメルーン代表を率いており、日本が1-0で勝利してます。豪州の監督は、浦和を2度率いて2007年にACLを制した経験のあるホルガー・オジェックです(ちなみに、オジェックは、2001年のコンフェデレーションズ杯でカナダ代表を率いて日本と対戦し、日本が3-0で勝利)。そして、最も日本と縁がある人物なのが、イラクを率いるあの“神様”ジーコです。長年に渡って日本サッカーに貢献したジーコに関しては、今更詳しく説明する必要はありませんが、Jリーグ創設期に鹿島でプレーし、監督として日本代表を4年間率いた実績があるだけに、誰よりも日本のことを熟知してます。ちなみに、日本が、元日本代表監督が率いる国と国際Aマッチを戦うのは、今回が史上初めてです。まあ、ジーコは選手としては偉大ですが、監督としての指導力はアレですけどね(苦笑)。特に、寄せ集めに過ぎない代表チームだと力を発揮できにくい傾向があります。ただ、ジーコは、対日本戦だけでなく、ドイツW杯で苦渋を舐めた豪州も強く意識するような気がしますけど。それ以前に、日本と戦う前に、成績不振で解雇されてなければ良いのですが(笑)。

最終予選を勝ち抜く為のキーポイントは、ズバリ日程です。本来なら、日本は第2ポットのはずですが、アジア王者として参加する2013年6月15~30日にブラジルで開催されるコンフェデレーションズ杯の日程が最終予選と重複する為、日本の日程は第5ポットの扱いとなります(第5節と第10節が休み)。この変更の結果、日本はオマーンとヨルダンとの最初の2戦をホームで連戦することになりました。もし、日本が第2ポットのままだったら、6月3日に行われる初戦はイラクと敵地で対戦することになり、猛暑の中での戦いを余儀なくされました。だが、第5ポットとして扱われる日本は、中東でのアウェー戦は、オマーン戦が11月14日、ヨルダン戦が来年3月26日と、猛暑の時期を回避。しかも、6月8日に戦うヨルダンは、初戦でイラクとホームで戦った後に、中4日で日本に移動するので、時差と移動の面では日本がかなり有利な条件となります。更に、3戦目の豪州はアウェー戦なので、日本は長距離移動を伴いますが、豪州は中3日でヨルダンから移動するので、時差に関しては日本の方が有利です。ちなみに、日本が豪州と戦う6月12日は、奇しくも6年前のドイツW杯の初戦で1-3で大逆転負けを喰らった「カイザースラウテルンの悪夢」と同じ日です。

ただし、日本は、5戦目のオマーン戦(アウェー)と7戦目の豪州戦(ホーム)は、いずれも親善試合用の国際試合日(IMD)で実施されます。海外組の選手招集は、試合開始の48時間前からしか出来ないので、体調管理や国内組の選手との連係は非常に重要です。ちなみに、ACLの決勝が11月9日or10日のどちらかに行われるので、この週末はJリーグの試合が組まれてません(なお、Jリーグ第31節は11月7日に行われる)。また、イラクとのアウェー戦は来年6月11日なので、厳しい気象条件下での戦いとなります。しかも、日本は最終の第10節は休みなので、一足早く全日程を終える日本がまだ突破を決めてない場合、最終節で第3国同士による“談合試合”をされる危険性があります。イラクは治安上の理由で、3次予選はホームゲームを1試合しか出来ず、残りの2試合を中立地のカタールの首都ドーハで戦った経緯があります。もし、最終予選でも同様の措置を取った場合、日本は最終予選の最後の試合をイラクとドーハで戦うことになるので、「ドーハの悲劇」と似たような状況となります。今の代表選手の殆どが小学生以下だった頃なので、リアルタイムではあまり覚えてないかもしれませんが、周囲の年長者やメディアが嫌でも意識すると思うので、イラクとの最終戦を待たずに本大会出場を決めるのが理想です。日本の日程は一長一短なので、有利な条件で戦う最初の3連戦でスタートダッシュに成功することが、本当に重要です。

なお、A組は、過去の実績と実力を考慮すると韓国とイランが有力ですが、近年レベルアップしているウズベキスタンとカタールも絡んでくると思われるので、混戦に縺れ込む予感があります。この組は、レバノンが最も力が劣ると思われますが、3次予選ではホームで韓国に2-1で勝利してます。しかも、この敗北がきっかけで、韓国は趙広来監督を更迭して、全北現代の監督だった崔康熙に急遽交代を余儀なくされたので、油断すると寝首を掻かれます(ただし、崔康熙の任期は2013年6月までの僅か1年半だけ)。おそらく、4ヶ国で星を分け合う展開になると思われるので、レバノンに勝ち点を落としたチームが、脱落する可能性が高いでしょう。もし、最終予選で3位に終わって、アジア第5代表を決めるプレーオフに回った場合、いくらH&A方式だとはいえ、5日間で2試合を戦う短期決戦なので、何が起こるか分らないから危険です。しかも、そこを勝ち上がっても、南米5位と大陸間プレーオフを戦うので、本大会出場はかなり厳しくなります。日本は東日本大震災の影響で、昨年7月の南米選手権(コパアメリカ)の辞退を余儀なくされて、強豪国との貴重な真剣勝負の機会を逃した経緯があります。だからといって、プレーオフに回るのは絶対に御免被りたいので、必ず最終予選で2位以内に入って予選突破しなくてはなりません。



▼日本のW杯アジア最終予選B組出場国との通算対戦成績
(2012年3月9日現在、PK戦は引き分けとして扱い)
対豪州:19戦6勝7敗6分(過去5年の対戦成績:4戦1勝1敗2分) ※引き分けのうち日本のPK戦勝ちが1試合
対オマーン:8戦5勝3分(過去5年の対戦成績:2戦1勝1分)
対イラク:7戦2勝3敗2分(過去5年の対戦成績:なし)
対ヨルダン:2戦2分(過去5年の対戦成績:1戦1分) ※引き分けのうち日本のPK戦勝ちが1試合


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