うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

ヤングなでしこ、2大会連続のアジア制覇!!

2011年10月18日 | サッカー(女子)
◆女子サッカー・第6回AFC U-19女子選手権(2011年10月6~16日 @ベトナム・ホーチミン)

・今大会の日本の成績
(今大会は参加6ヶ国による1回戦総当りのラウンドロビン方式)

10月 6日
日本 1(0-1)1 中国 (@タンロン・スポーツセンター)
得点者:日本)90分+3 浜田遥
     中国)29分Yao Shuang Yan

10月 8日
日本 3(0-0)1 韓国 (@トンニャット・スタジアム)
得点者:日本)59分 京川舞、61分 横山久美、79分 柴田華絵
     韓国)85分 Kim Ji Hye

10月10日
日本 1(1-0)0 豪州 (@トンニャット・スタジアム)
得点者:日本)42分 京川舞

10月13日
日本 2(1-0)1 北朝鮮 (@タンロン・スポーツセンター)
得点者:日本)31分 田中陽子、73分 京川舞
    北朝鮮)74分 Yun Hyon Hi

10月16日 日本 6(2-0)0 ベトナム (@トンニャット・スタジアム)
得点者:日本)34分&42分 京川舞、49分&82分&85分 横山久美、54分 齋藤あかね(PK)


・最終順位    ※3位までに入賞したチームがU-20W杯の出場権を獲得
1位:日本(4勝1分・勝ち点13)
2位:北朝鮮(4勝1敗・勝ち点12)
3位:中国(2勝1敗2分・勝ち点8)
4位:韓国(2勝2敗1分・勝ち点7)
5位:豪州(1勝4敗・勝ち点3)
6位:ベトナム(5敗・勝ち点0)

日本は前回の2009年中国大会に続いて2大会連続3度目の優勝。
同時に、来年8月18日~9月9日にウズベキスタンで開催されるU-20W杯の出場権も獲得。

※U-20W杯はウズベキスタンが大会を返上し、2012年8月19日~9月8日に日本で開催されることになりました(4位の韓国が代替出場の予定)。


日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会のU-19日本代表23名

〔写真はアジアサッカー連盟より〕


                          *  *  *  *  * 


姉に続いて妹もアジアを制して世界へ

2年に1度、奇数年に開催されている19歳以下の女子のナショナルチームのアジア王者を決めるこの大会。今大会は、10月6日~16日までベトナムのホーチミンで開催されました。2年前に行われた前回2009年大会のU-19日本女子代表は、準決勝で北朝鮮決勝で韓国をそれぞれ倒し、優勝を飾ってます。なお、この大会でプレーした岩渕真奈と熊谷紗希と高瀬愛実の3人が現在のフル代表に入り、監督も佐々木則夫が兼務してました。

今大会の参加国は、開催国のベトナム、日本、中国、韓国、北朝鮮、豪州の6ヶ国。3位以内に入ったチームに、来年8月18日~9月9日にウズベキスタンで開催される U-20W杯の出場権を与えられます。8ヶ国が参加した前回大会とはレギュレーションが異なり、今大会は参加6ヶ国による1回戦総当りの「ラウンドロビン方式」で行われました。熱帯気候の南国ベトナムにおいて、11日間で5試合も戦い、最初の3試合は中1日の過酷な日程でした。早い話が、世界大会の出場枠以外は、先月中国の済南で開催されたロンドン五輪アジア最終予選と全く同じレギュレーショです。なお、11月3~13日まで中国の南京で開催されるAFC U-16女子選手権も、日程とレギュレーションは今大会と全く同じです。開催経費や選手の拘束日数など女子サッカー特有の事情があるとはいえ、アジアサッカー連盟(AFC)の女子選手の健康管理に対する認識の低さをあらためて感じますね。

吉田弘監督(U-16日本代表も兼務)率いるU-19日本代表は、昨年9月にトリニダード・トバゴで開催されたU-17W杯の準優勝メンバー12名を主体に、高校生・大学生・なでしこリーグ所属の選手で編成。1992年1月1日以降に生まれた今大会のU-19日本女子代表の選手は、他国よりも身長こそ低いが、技術と戦術理解に非常に長けており、国際経験も豊富です。アジアのこの年代の女子は、フル代表と同様に、日本・中国・韓国・北朝鮮・豪州の5強を中心にレベルが高いです。2連覇が懸かった日本は今大会の優勝候補に挙げられてました。しかし、日本サッカー協会の戦評を読むと、どの試合も苦労を強いられました。初戦の中国戦は、前半は地力に勝る日本がボールを支配するも、試合前の降雨やピッチコンディションの影響でパスが上手く繋がらず、有効な攻撃に至りません。逆に一瞬の隙を衝かれて中国にまさかの先制を許します。その後、日本が圧倒的に支配するも、中々得点を奪えず、敗色濃厚の展開でした。だが、ロスタイムの93分、相手ペナルティエリア付近からのFKをGKがこぼしたボールを詰めていた浜田遥が押し込み、同点に追いつきます。日本は辛うじて1-1のドローに持ち込み、拾い物の勝ち点1をもぎ取ります。

続く2戦目は韓国でした。韓国は、昨年はU-20W杯では3位入賞し、更にはU-17W杯でも日本を決勝でPK戦の末に破って優勝するなど、ユース世代を中心に非常に強化されており、将来の脅威と見なされている存在です。前半は一進一退の膠着状態で両チームとも無得点でしたが、後半に日本の攻撃陣が爆発。京川舞、横山、柴田華絵が決め、終盤にCKから失点するも、日本が3-1で勝利。韓国には、一昨年11月にタイで開催されたAFC U-16女子選手権の準決勝と、昨年のU-17W杯決勝でいずれも敗れているだけに、3度目の正直となりました。3戦目の豪州戦は両チームとも慎重な試合運びでしたが、前半42分に京川がペナルティエリア内にドリブルで持ち込み、角度のないところから鋭いシュートを決めて先制。後半は豪州に押し込まれる時間があったものの、逃げ切った日本が1-0で勝利。ただ、本来なら日本は連戦による疲労を考慮して「ターンオーバー制」を敷いて今大会を臨むはずででしたが、初戦の中国戦をドローに終わって勝ち点計算が狂ったので、ロンドン五輪アジア予選のなでしこジャパンと同様に、主力選手を続けて出さざるを得なかったのが少し誤算でした。

第3節終了時点で、勝ち点7の日本は3連勝の北朝鮮に次いで2位でした。日本は最終戦が最弱のベトナムだったので、北朝鮮戦は引き分けでもほぼ3位以内が確定し、U-20W杯の出場権獲得が実質的に決定でした。しかし、優勝を狙う為には、首位北朝鮮に勝利することが絶対条件でした。事実上の決勝戦となったこの一戦は、日本は豪州戦から選手を3人変更して臨みます。序盤は日本が積極的に試合を進めるものの、徐々に北朝鮮に主導権を握られ、チャンスを幾度か作られて苦しい展開に。しかし、前半30分、猶本光からのパスを受けた田中陽子がそのままドリブルで中に切れ込み、左足で放ったシュートがゴール右下に吸い込まれて、待望の先制点を奪います。後半はクロスバーを直撃のシュートなど北朝鮮の猛反撃を浴びるも、後半28分に京川が貴重な追加点。その直後に失点を食らうも、日本は北朝鮮の攻勢を凌いで2-1で勝利して首位となり、無事にU-20W杯の出場権獲得に成功。選手を再び入れ替えた最終のベトナム戦は、昨年のFIFA年間最優秀ゴール賞候補に選ばれた横山のハットトリックの活躍などで大量6点を奪って圧勝。結局、日本は4勝1分と無敗で2大会連続3度目の優勝を飾りました。なお、日本はフェアープレー賞を獲得。更には、京川が最優秀選手賞と得点王を獲得しました。

今大会の代表メンバーは将来が期待される逸材が多いとはいえ、世界女王に戴冠した今のなでしこジャパンの面子はV9時代の巨人軍みたいに豪華過ぎるので、W杯優勝メンバーを押しのけて五輪代表18名に選出されるのはかなり大変だと思われます。ちなみに、北京五輪が行われた2008年は、U-20W杯が年末に行われたので、五輪との掛け持ちは可能でした。宇津木瑠美は五輪とU-20W杯の両大会に選出され、熊谷もバックアップメンバーながら五輪に帯同しました(なお、熊谷はU-20W杯には2008年大会と2010年大会に2回出場)。北京五輪の時と同様に、今大会の有望選手をロンドン五輪代表のバックアップメンバー4名の中に入れてフル代表に馴染ませ、更には五輪の雰囲気も味合わせておきたかったのですが、残念ながら来年のU-20W杯はロンドン五輪決勝戦の10日後に行われるので、両大会の掛け持ちは無理です。成長著しい時期なので、今後の活躍次第では五輪代表に選ばれる可能性は決して無いとは言い切れないが、試合に出られる可能性が低い五輪よりも、同世代の世界のライバルが集うU-20W杯に専念させて優勝を狙う方が、強化の上では現実的です。

「ポストロンドン五輪」となる今大会の代表メンバーは、4年後の2011年W杯カナダ大会と2016年リオデジャネイロ五輪では主力を担う世代です。いつの日か「星付きユニフォーム」を身に纏うからこそ、今後の彼女達の活躍を心から期待したいです。


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