うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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日本が強豪の北朝鮮を倒してU-20女子W杯の出場権を獲得

2009年08月10日 | サッカー(女子)
サッカー女子のU-19(19歳以下)アジア選手権は9日、中国の武漢で準決勝を行い、日本は北朝鮮に1-0で勝ち、今大会の3位以上に与えられる来年のU-20ワールドカップ(W杯)出場権を獲得した。

〔共同通信 2009年8月9日の記事より〕

日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会のU-19日本代表22名


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大きなインパクトを残す「リトル・マナ」

このニュースを知った時、私は思わずガッツポーズをしました。なぜなら、世界大会の出場権を獲得できた喜びよりも、強豪の北朝鮮に勝ったからです。北朝鮮の女子サッカーの事は以前書きましたのでどうぞこちらをご参考にしてください。北朝鮮は、U-20W杯では3年前のロシア大会では中国を5-0で粉砕して優勝し、昨年のチリ大会でも米国に次いで準優勝してます。そして、今大会の主力は、昨年NZで開催されたU-17W杯で米国を倒して優勝した世代です。一昨年に行われたU-19&U-16アジア選手権(兼・W杯アジア予選)でも、北朝鮮は日本に決勝でそれぞれ完勝してます。北朝鮮の女子サッカーは若手年代ではアジアを超越した世界的な強豪国であり、日本にとっては巨大な天敵の存在です。

一方、日本の若手年代も決して弱くはありません。アジアでもトップクラスですし、むしろ世界的には強豪の部類に入ります。昨年のU-20W杯では、準々決勝で準優勝した北朝鮮に1-2と健闘むなしく敗れましたが、1次リーグでは強豪ドイツに2-1で勝利するなど3戦全勝で1位通過してます。また、昨年のU-17W杯では、技術とスピードと運動量を武器に、破壊的な攻撃力を駆使して1次リーグを17得点5失点で3戦全勝で1位通過。この大会で準優勝した世界的な強豪である米国にも1次リーグで3-2で勝利してます。これは、女子がFIFA主催大会で史上初めて米国に勝利した記念すべき一戦です。準々決勝でイングランドにPK負けしたものの、その積極果敢な攻撃的な姿勢が世界から高く評価されました。ベスト8に終わったのにもかかわらず、岩渕真奈が大会MVPを獲得したのは、まさにその証拠です。岩渕は男女を通してFIFA主催大会でMVPを獲得した初の日本人選手です。しかも、岩渕はこの当時はまだ15歳でした。

今大会でも大活躍している岩渕は身長が153cmの小柄な選手です。また、今大会の最年少選手でもあります(つまり飛び級です!)。しかし、彼女のプレーは、まるでマラドーナやメッシを彷彿させます。早くて鋭いドリブルと卓越したパスセンスは天賦の素質です。昨年はU-17W杯での活躍が認められてAFC最優秀女子ユース選手賞も受賞しました。今大会の1次リーグの豪州戦と中国戦では、スピード溢れる得意のドリブルを駆使してそれぞれ先制ゴールをあげてます。(結果はいずれも追いつかれて1-1でドロー)そして、U-20W杯の出場権が懸かった大一番だった北朝鮮戦でも、日本はやはり苦しい戦いを強いられましたが、岩渕の決勝ゴールで天敵を下して日本に歓喜をもたらしました。やはり、天才とはここぞの大一番で勝負強さを遺憾なく発揮し、人とは違う何かを持っているのを感じます。昨年のU-17W杯での活躍で、Japan's Mana from heaven(天から舞い降りた日本の真奈)とFIFAから絶賛されたのも大いに頷けます。(こちらのページです

ちなみに、“Mana”とは、旧約聖書に記載されている「神から授かった奇跡の食物」の意味です。岩渕“真奈”の名前と掛けて、FIFAの見出しに使われました。つまり、岩渕は世界のサッカー界から「天からの授かり物」と評価されている訳です。おそらく、日本の絶対的な大黒柱の存在である澤穂希は、再来年のW杯とロンドン五輪が年齢的に最後になると思われます。岩渕にとって、ベレーザの先輩でもある澤と「なでしこジャパン」で一緒にやれる最初で最後のチャンスですから、順調に成長して頑張ってほしいです。


目指せアジアの女王

今大会は結果が問われる大会だったので、U-20W杯の出場権を獲得は絶対の任務でした。ただ、現在の日本の実力を考えれば、これは最低限ノルマに過ぎないです。今以上にレベルアップを図るには、やはり北朝鮮の壁を絶対に越えなければなりません。その上で、アジアの女王の座に君臨する事です。だからこそ、勝負所で天敵を下して世界大会の出場権を獲得したのは、非常に価値があります。今後、フル代表で北朝鮮と戦った時に、今回の勝利によって苦手意識を感じることは無くなりますし、逆に相手に対して精神的なアドバンテージを得る事が出来るからです。

だけど、まだ大会は終わっていません。12日に行われる決勝戦の相手は韓国です。男子だと、韓国はアジアのトップクラスですが、女子のフル代表だと北朝鮮、日本、中国、豪州の次に位置するレベルです。男子に比べて、女子は歴史は浅く、競技人口が少ないのが影響してます。ただし、韓国は若年層の大会には力を入れてます。昨年のU-17W杯では、アジア予選では日本が韓国に勝利しましたが、本大会の1次リーグでブラジルとイングランドにそれぞれ勝って、女子のFIFA主催大会では初めて準々決勝に進出しました。また、今年のベオグラードで開催されたユニバーシアードでは決勝戦で日本は韓国に1-4で大敗してます。そして、今大会では準決勝で中国を下してます。このように、韓国は近年若年層を主体に躍進してますので、決して油断ならないです。もし、負けたら新興勢力に不必要な自信を与えます。だからこそ、自信の芽を摘み取って徹底的に叩き潰す必要があります。

おそらく、身体能力のある韓国は技術やパスワークが優れた日本に対して、ロングボールを放り込んで対抗するでしょう。序盤は韓国がハイペースで押し込んでくると思います。日本はDFラインを決して下げっぱなしにすることなく、落ち着いて対処してほしいです。序盤を凌げば、総合力で勝ると思われる日本が優位に立つことが予想されます。決勝の韓国戦は将来が懸かった重要な一戦ですので、なんとしても勝利を収めて優勝を飾ってほしいです。そして、岩渕をはじめ選ばれた日本の若い代表選手たちが、伸びゆく者の喜びを感じ取れる素晴らしい試合であってほしいと願います。



☆輝ける天才少女・岩渕真奈(昨年のU-17W杯より)

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