おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

Pのママ

2009-06-19 14:52:01 | Weblog
暇だった

一昨日とは大違い

はす向かいのPのママも店の前で涼んでいる

「ママんところも暇なの?」

「そうなのよ~、木曜日はダメね」

70を越えているとは思えない張りのある声だ

そう言えば、一週間くらい前にスナックPから

ママの怒鳴り声が聞こえてきた

「てめー!二度とウチに来るんじゃないぞ!」

彼女はよくお客さんと喧嘩をするのだが

この時はいつも以上に声に迫力がある


「あの日は凄く忙しかったのよ

 そんな日に限ってエリが酔っ払って使い物にならなくて…」

エリはフィリピン人で何度もPを辞めては出戻っている

ママは彼女には特に厳しい

男の客の間で酔っ払ってベロンベロンで動かないエリに

よっぽど腹が立ったらしく鉄拳制裁を加えた

それを見た男性客が「可哀想じゃないか!」とママに食ってかかる

他のテーブルの男性客がママに加勢する

満席の店内は一気に険悪なムードに

その時、エリを庇った客がママを突き飛ばした

その途端、ママは床に転げ落ちた


「ちょっとコレ見てよ!」

ドレスの肩をずらすと青い大きなアザが…

転んだ拍子に床にぶつけたようだ

完全にブチ切れた彼女は

突き飛ばした男に啖呵を切った

男も戦闘体制だ

「殴るなら殴れ!その代わり警察呼ぶからな!!」

男を連れてきたのは常連の男性だった

「○○ちゃん、今すぐこの男とエリを連れて出てって!!!

 エリもクビだ!!」

そして冒頭の怒鳴り声へと続くのだ


Pの奥から電話が鳴る

ドアが開いてエリがママに電話を引き継ぐ

クビがつながったのかしら

それにしても男勝りで負けん気が強く

警察だろうがヤクザだろうが怖いものなしだ

「ママ、お転婆もほどほどにね」

アハハハ~!と豪快に笑って店の奥に消えた


八丈島から出て来て

この土地で郷土料理店を40年も続けて来た

その店は建物の老朽化に伴い立ち退きとなったが

向かいの姉妹店Pは現在も継続して営業中だ

「私は酒を飲まないし、接客も苦手なのよ

 だからスナックは向いてないの

 そのうち又料理屋をやりたいわ」

70を越えてもまだまだ将来に夢を描いている

私も腰が痛いだのめまいがするだの言ってる場合じゃないわ



 






 














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2 コメント

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頑張ってますね (北まぐれ)
2009-06-19 19:20:40
はじめまして!北まぐれと言います。 70過ぎのお姉さんが頑張って居る姿って、職業問わず感動します。 応援したいですね。 そして貴方のブログ楽しく読ませて頂いております。 私も昔は夜の酒場へよく繰り出したものです。当時は 悪シてましたからPママみたいな人がいて説教してくれました。ウルサいババアとよく思ったもんです、ふと考えて見ると俺の事心配して言ってるんだな。そう思うと強がっていた自分が一気に崩れ涙が出て来ました(笑)遠い昔の事です。 酒場には今も人情は有りますか?
Unknown (エドナ)
2009-06-20 15:48:53
北まぐれ様、ご愛読およびコメントありがとうございます。

時代と共に酒場も世代交代で人情紙風船みたいな所もあるようですが、年配のママさんがやってる店は今もお客さんとの心のふれあいを大切にしているようです。

飲み過ぎを気遣ったり、一人暮らしの男性には帰りにちょっとしたつまみを持たせたり、家族に恵まれなかった男性客の最期を看取ったママも…

うるさく言ってくれたママほどいつまでも心に残ってるし、情も深いような気がします。

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