<少年部・中学部審査会・後編>
演武会の終了後に、残りの連続組手の審査が始まります。
会場の利用終了時間が迫っていますが、何とか時間は間に合いそうです。
演武会を見た後ということもあり、また、残りは連続組手のみということもあり、これから組手審査に臨む準備をしている一人ひとりの顔には、緊張感がみなぎっています。
一つ一つの細かい内容はここでは省略しますが、思った以上に戦えたと思えるか、思うように動けなかったと思えるか、人それぞれ。
少なくとも強くなる人、支部で茶帯や黒帯を締める人は、かなり厳しい経験を積まなければこうした帯を締めることは許されません。
実は大道塾には、昇級方法に関して、審査会による受験以外にもう一つの昇級の方法があります。
大道塾総本部の規定では、「試合審査」という審査方法があり、大会に出場する際に審査をかけることができ、試合の内容によって昇級や昇段が許されるというものです。言ってみれば、審査を受けなくても昇級できる仕組みですが、やはり試合に勝つことが前提で、その中でもいい試合をしなければ昇級や昇段はできません。しかし、試合に勝てる実力のある選手にとっては、審査会に参加しなくても昇級が出来るため、ある意味で審査受験が免除されるという制度になります。
支部では少年部・中学部に関しては、試合審査は基本的に認めていませんので、昇級や昇段するにはすべての審査会に参加て、多くの厳しい経験を積まなければなりません。
実際に指導者である私自身も、これまで一度も試合審査は受けておらず、すべて審査会を受験し厳しい連続組手を経て、今の帯を締めています。
「私自身が苦労をしたから、みんなにも苦労をしてもらう・・」
という想いではなく、
「苦労を避けずに、たとえ険しくとも、目の前のその道の真ん中を、胸を張って堂々と通る」
事が大切だと考えているからです。私自身がそうして生きてきて、そうすることが自分の為になることを身をもって感じているためでもあります。
さて、今回受験した人、そして対戦者として相手をした人。みなさん、一人ひとりはどのように感じているでしょうか?
私の想いは、稽古を通じて一人ひとりに還元していきます。
最後に、五人連続で戦った14歳の一級受験者。
まさにフラフラになりながらの審査となり、連続組み手終了後には立っていることもできない状態。。。昇段審査並みに厳しかったのは、その多くを一般部塾生が相手をしたことに加えて、もう一つの理由があります。
実は、その日の午前中に、隣の競技場で行われていた柔道の大会を2位で終えて、表彰式を終えて休む間もなく、急ぎ足で道着を着替えながら大道塾の審査会に飛び込んできて、審査を受験しています。午前中から、正に休む間もなく動き続けています。
しかし、もともとは人一倍、体が弱かった彼にとって、これだけ逞しくなれたのは本人の努力もさることながら、部活での熱心な活動や保護者の励まし、一緒に稽古してくれている大道塾の稽古仲間など、周りの多くの支えのたまものかと思います。
五人組手の終了後、一般稽古生のスタッフの方々が皆で必死に励まし介抱している姿を見て、皆さんに可愛がられ、また大切な仲間と認められている様子が伺えます。
ちなみに後日談ですが、
彼は何と、審査会の翌日にもまた別の柔道の大会(お世話になっている柔道場の大会だとか?)に参加していたそうです。
回復が早いのは若者の特権ですが、これはさすがに、、、きつかったでしょうね。。。それでもよく頑張っています。
今の頑張りは今後、必ず本人に還元されるはずです。
今回の審査会は多くの見どころがあり、多くの涙があり、笑いあり、感動ありの、見どころが盛りだくさんの審査会となりました。
また機会があれば、演武会なども定期的に行ってみたいとも思いますが、まずは日々の稽古に地道に取り組むことが一番の柱です。
武道団体の稽古や審査会は、素質のある事ない子、出来る子と出来ない子、などを判別することのみを目的としていません。
あくまでも、一人ひとりの子供たちが、今後の自分の人生において力強く生きていくための力を付けてもらうことが大切なのです。
大会で賞を取ったり、茶帯や黒帯を取ることが目的なのではなく、日々の稽古の積み重ねの成果が一つの形として表れているにすぎません。
競技に偏重している人は、自分の選手生活が終わった後、努力することをやめてしまい、その経験を他に生かせないばかりか、優越感や注目されること、当時の興奮や刺激、また、自分が強かった時に記憶のみに縋り付き、その後の人生を誤ったものにしてしまうのは、注目を集めるスポーツ競技や芸能界、または一般社会の中にも多く表れています。
ひどくなれば、薬物に染まったり、未成年や社会的弱者への傷害やいじめなど、様々な犯罪行為に及ぶ危険性もはらんでいます。
努力することは大切ですが、その努力する過程での姿勢や方向性が間違っていれば、同じ努力が全く違った方向へ人を導き、臨んでいた方向とはまったく異なる方向へ人生を向かわせることになります。
今回の審査会でも、礼法などの作法など、厳しく注意や指摘をしたところもあり、聞いている保護者の方々などには少々口うるさく感じられる方もおられるかもしれませんが、今後の一人ひとりの大切な人生を力強く、周りから応援され祝福される成長ができる見守ってまいります。
今回の審査会にご参加された方々、受験者、応援の保護者の方々、演武実施者に協力者の方々、また審査スタッフにご協力いただけた方々、ありがとうございました。
同好会の長島指導員のサイトで、審査会行事のさりげない写真を数多く紹介してくれています。
同好会ホームページ
また、支部のホームページの掲示板にも、管理者(審査会や大会スタッフとしておなじみの小池さん。今回の黒帯演武の実施者。)によるコメントを残して頂いています。
因みにこちらは、支部の掲示板になりますので、皆さんのコメント歓迎します。
横須賀湘南支部 掲示板
ご興味のある方はごちらをご参照ください。