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東野圭吾「白夜行」

2006-09-14 | 東野圭吾
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局

事件は迷宮入りする。被害者の息子と容疑者の娘、二人の周囲に見え隠れする、幾

つもの恐るべき犯罪。だが、何も証拠はなかった...。


今さらながらですが「白夜行」。山田孝之と綾瀬はるかでドラマ化になり、毎週

楽しみに見ていた。面白いのに視聴率はイマイチだったのは、話が暗いからか。

それにしても、笹垣刑事役の武田鉄也が主役の2人を完全にくってましたわ。

さすが金八つぁん やるな。


ドラマでの登場人物の大幅カットはしかたないし、多少の脚色はあったにしても、

原作をうまく、ほぼ忠実に再現したドラマだったんだと、原作を読んで思った。

でも...ドラマを見る前にこれを読みたかった。もっと楽しめた気がする。

暗い眼をした少年 亮司と並外れて美しい知的な少女 雪穂。全く違う道を歩む

二人は見えない細い糸でつながっていた。すべてが計算しつくされた上で成り立っ

ている。


東野圭吾は大阪府大出身だから天王寺や難波周辺など「ミナミ」と言われていると

ころが、主に書かれているんだな。いたるところに、伏線が張りめぐらされてい

る。昭和48年のオイルショックから物語に時代の流れをうまく取り混ぜているの

だ。黒電話やキャッシュカードの話などは昔はこうだったのだなとあらためて認識

したな。うまい。うまいぞ!東野圭吾。


人は決して公平ではない。人は時代も国も性別も親も兄弟も何一つ自分

で選ぶことは出来ない。ただ唯一公平なこともある。何も持たずに一人で生まれ、

何も持たずに一人で死ぬ。そして皆平等に年をとる...。


雪穂のような悲しい少女時代を送るなんて、考えただけで恐ろしい。でもそういう

人はこの世の中にはきっといるのだろう。悲しい。悲しすぎる。だからと言って彼

らの生き方を肯定できないのだが..。


印象に残ったセリフがある。

「あたしの上に太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わ

るものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、あたしには十分だった。

あたしはその光によって、夜を昼と思って生きてくることができたの。」


偽りの昼を生きた二人の人生は凄まじいぞ!!!5点中3.9点(ドラマ見てたので点数低め)



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