さぁ、淡々と平常に業務。
昨日は、根岸のO邸でのガラス工事に行ってきました。
2007年に、築150年近く経つ民家の大改築工事をさせて
いただいたお宅です。
(あの時も中越沖地震が発生し、原発から黒煙が上がっていたっけ)
ガラス工事というのは、当時の木製建具に、奥様がご趣味でやっている
ステンドグラス用の色ガラス(支給品)をはめるというもの。
建具は高さが80cmほどの引違いの框戸(かまちど)です。
框戸とは、建具の四辺が無垢材で、その中に鏡板という板材をはめこんだものです。
(もちろん、鏡板のかわりにガラスが入っているものもあります)
この框戸は、当初は違う箇所で収納の戸として利用されていました。
改築したさいに造った吹き抜け空間と、隣接するロフトとの間に、
もったいないので通風にと設けた開口部に納めたものです。
(既存の古い建具はほとんど、他の場所で再利用しています)
今回は、ロフトの東側窓から射す朝の光を通すために、
板からガラスに変えたいというご要望でした。
で、サッシュでいつもお世話になっている、ガラス屋のSさんに
工事をしていただきました。
Sさんは、とても気持ちのやさしい方で、色ガラスを割らないように
丁寧に慎重に作業していました。(予備分がないのでなおさらですが)
この色ガラス、表面がフロートガラスのように平滑ではないので、
少々不安顔のSさん・・・・・
しかし、昔ながらにガラス切りでスーッと線(キズ)をつけ、裏からやさしく
ピシピシと叩いて、パキッと不要な部分を切り取るあざやかな手つき。(さすが)
ガラスの固定方法は、引違いなので新たに押縁などで押えると厚くなり
戸に当たってしまうので、シール固定とし、すっきりと納めました。
キレイな出来栄えに、Oさんご夫妻も喜んでくださいました。
仕事が終わったあと、お茶をごちそうになりながら、ぐるっと部屋の中を
見回しました。
(居間と食堂が一体となった20畳以上の広い空間です)
45cm角の柱、厚さが30cmに幅が60cmもある梁による骨組み、
細い柱だって20cm角はある・・・・
本当に安心感があります。
Oさんのお宅は、関東大震災でもびくともしなかったそうで、
今回の地震でもそれほど揺れなかったとのこと。
漆喰塗りの壁もひび割れひとつありませんでした。
それに、棚の上の貴重品などもまったく落ちなかったようです。
(それ・・・割れなくて、よかったですね・・・・)
地震後に電話させていただいた時も、建物は全然なんともないと
聞いていましたが、自分の目で確認できてホッと一安心です。
気持ちよく快適に住んでいられるのがよくわかり、仕事をさせて
いただいた者にとっては、これほどうれしいしいことはありません。
今、建築業界は、このたびの大震災により、建築材料などが調達しにくい
状態になっています。
ですので、来週から行うN邸のリフォーム工事は、職人の手配から材料のことで、
2週間ほど延期させていただいていました。
N邸を下見したある職人が言っていましたが、
私のお客様は皆さんとても穏やかでやさしい方たちだそうです。
思い浮かべれば、昨日のOさんはじめ、皆さんそのとおりです。
よく見ているなぁと感心させれるとともに、ありがたい思いでいっぱいに
なりました。
人の役に立つことが、本当の生きがいだと思うので、
「ありがとう」って言っていただけら、そりゃもう感激です・・・・
*写真は2007年工事完成時のもの。今回の建具は左壁上のものです。