旅限無(りょげむ)

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コロコロ安倍さん始動 其の参

2006-10-02 02:27:17 | 政治


安倍内閣で初入閣した松岡利勝農相(61)(自民党、衆院熊本3区)が昨年12月に政治資金パーティーを開いた際、福岡県警に出資法違反容疑で捜索を受けた団体からパーティー券100万円分を購入してもらいながら、資金管理団体の収支報告書(昨年分)に記載せず、組閣日の今月26日になって訂正していたことがわかった。総務省政治資金課は「記載すべき事項が1つでも漏れていれば法に抵触する可能性がある」と話している。パーティー券を購入していたのはコンサルティング会社「エフ・エー・シー」(福岡市)の前社長が代表を務める「WBEF」(ワールド・ビジネス・エキスパート・フォーラム)。エフ社は6月、金融業の許可を受けずに全国の会員5000人余から100億円以上を集めたとして、県警の捜索を受けた。県警は、WBEFはエフ社と一体となって活動しており、会員勧誘の窓口の1つとみている。読売新聞 - 9月29日

■かつては鈴木宗男さんと怒鳴り声の大きさを競い合った松岡さんは、今回も入閣運動にこの武器を存分に使ったとか……。農林族のドンにして武闘派の代表格とされている松岡さんは、長年に亘って日本の農林業を補助金漬けにして夢と希望を奪ってきた象徴的な人物と言える政治家ですし、何度も疑惑が取りざたされた有名人でもありますから、詐欺会社から100万円ぐらいのはした金を貰ったぐらいでマスコミが騒ぎ立てても、一睨みして御仕舞いでしょうなあ。はたして安倍首相の言う事を聞いてくれるのでしょうか?

■「財政再建」の問題となると、「成長なくして財政再建なし」というフレーズが提出されます。「改革なくして成長なし」と言い続けた小泉さんを継承する義理が有りますし、竹中元大臣からもみっちりと個人授業を土壇場まで受けていたとのことですから、「改革が大成功」だったから今度は「成長」から話が始まって、何がどう繋がるのかさっぱり分かりませんが、「財政再建」に直結するという筋書きです。税金は「自然増収」で、地方交付税も社会保障費も削って役人も減らすから?財政再建は確実なのだそうです。そう言い切ってしまえば演説原稿は簡単に書き進められます。「2011年度に国と地方の基礎的な財政収支プライマリー・バランスを確実に黒字化」して、「平成20年度から政策金融機関を一つに統合」「平成27年度までに政府の資産規模のGDP比での半減」「平成19年10月kらの郵政民営化を確実に実施」という具合に、旧大蔵省が分割された事をしっかりと思い出させるように、財務省と金融庁から別々に「短冊」が回って来たことを、年号の扱いの違いによって正直に披露する安倍さんでした。官僚は大笑いしていたのではないでしょうか?

■大きな政府か小さな政府かの議論が煮詰まってしまったので、「筋肉質の政府」というキャッチフレーズを発明した安倍さんでしたが、その意味するところは「国や地方の無駄や非効率」という贅肉を削ぎ落とすことのようなのですが、役人を5年で1万9000人純減させる方針と共鳴している話ですから、これでは「役人の多くは日本の贅肉だ!」と言っているようなものです。贅肉だらけの肉体は美しいとは言えませんから、「美しい国」にするには役人をどんどん減らさねばならないという理屈になります。でも、こんな演説をしたら役人から恨みを買うでしょうなあ。本気で贅肉減らしをするのなら、黙って周到な準備と不動の信念で行うべきです。

■「特別会計の大幅な見直しを実行」と大上段に身構えて見せたと思えば、「道路特定財源については、現行の税率を維持しつつ、一般財源化を前提に見直しを行い、納税者の理解を得ながら、年内に具体案を取りまとめます」と続きます。財政の抜本的見直しやら改革ならば、特別会計と言う化け物を退治する事が先決です。その中でも最も大きく強敵なのが道路特定財源だという事も分かっています。この「年内」というのは、おそらく来年の事を言っているのでしょうが、7月の参議院選挙を挟んで道路特定財源にぶら下がって生きている地方の土木業者が黙っているはずは有りませんぞ。


冬柴国土交通相は30日、民放のテレビ番組に出演し、採算性に疑問があるとして着工の判断が先送りされた近畿道名古屋神戸線(第2名神)の一部区間について「決して(建設)しないと言っている訳ではない。これから造るが、もう少し将来になる」と述べ、着工に前向きな姿勢を示した。冬柴国交相は兵庫8区選出。出演後、記者団に「地元の要望もあり、周辺の高速道路が供用された後で判断したい。将来は着工する可能性が高い」と述べた。第2名神は、2月の国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)で大半の建設が決まったが、大津市―京都府城陽市、京都府八幡市―大阪府高槻市の2区間計35キロ・メートルは、周辺の主要道の開通後まで着工の判断を先送りした。読売新聞 - 9月30日

■連立相手の公明党から、こんな約束手形が振り出されても黙っているのですから、安倍政権は小泉改革が中途半端で終わりそうな道路行政改革をじりじりと後戻りさせるつもりのようですなあ。


塩崎恭久官房長官は29日の記者会見で、集団的自衛権の行使の容認に向け、個別的なケースを研究するため、首相直属の勉強会を設置する方向であることを明らかにした。外務省や防衛庁、内閣法制局などの官僚を参加させることを想定しているものとみられる。 
時事通信 - 9月30日

勿論、この「勉強会」に公明党は参加しないでしょう。それでもレポートやレジュメの類は与党同士で共有しなければならないはずですから、マスコミに漏らして邪魔をする人も出て来るでしょう。防弾チョッキを着てイラクのサマーワ駐屯地に乗り込んだ「そうはい神崎」さんが身を引いた公明党は、安倍さんにとっての最大の抵抗勢力になるでしょうなあ。

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