失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「ひとりぼっちはやめた」 矢野顕子 1999年

2006-12-11 | やのミュージック
12.8「矢野顕子×上原ひろみ SPACE SHOWER TV Jammin'~The Piano Session~」@昭和女子大学人見記念講堂を見た。

いやーもう凄かった!何がって上原ひろみ。スピード・テクニック・パッション、すべてにおいて非の打ち所がない!1979年生まれか…天才っているもんだな。30分、4曲のソロパートは何というか…衝撃的であった。そりゃあ世界で成功するさ。

会場全体が上原ひろみの迫力に飲まれた雰囲気の中、入れ替わりで矢野さん登場。「は~凄かったねぇ」とため息で始まる。30年前、天才少女と呼ばれていた矢野さん、ポップス界では敵なしのテクニシャンだと思っていたが、さすがに今日は分が悪い。まあ、そんなことは気にせず始まってしまえばいつもの矢野ワールドが展開されるのだが。新曲「きよしちゃん」は清志郎のことを歌ってるのかな。くるりの「ばらの花」は今年2月にも聴いたけど、さらに深みが増していたような。定番「ごはんができたよ」でソロステージは終了。

そして注目のデュオ。アレンジはすべて上原ひろみが手がけたとのこと。『LOVE IS HERE』(1993)からシングルにもなった「Children in the Summer」と、宮沢曲「LIVING WITH YOU」が選ばれていたのは上原のリクエストらしい。「Children in the Summer」のスピード感と迫力、次の「あんたがたアフロ」のスリリングな展開は素晴らしかった。「アフロ・ブルー」の作曲者を思い出せず、上原「モンゴロイドとかアンモナイトとか、なんか6文字の名前でしたよね…」矢野「あ、モンゴ・サンタマリア?」上「そうそう!」のやり取りに笑った。Bill Evans「Very Early」と谷川俊太郎・高橋悠治「はこ」は上原のピアノをバックに矢野がスタンディングで歌うという珍しいスタイルで。高橋悠治そっくりに弾く演奏はよかったけど、別に上原でなくてもいいのでは?と思ったり。それは最初の2曲や、アンコールの「そこのアイロンに告ぐ」があまりにもカッコよかったから。個人的には、最も矢野をよく聴いていた時代、『オーエスオーエス』(1984)、『峠のわが家』『BROOCH』(1986)からそれぞれ一曲ずつ聴けたのはうれしかった。

イベントの特設ページでふたりのセッションが少しだけ聴ける。あとこの日のライブはSPACE SHOWER TVで放送されるようだ。

セットリスト

上原ひろみ
Desert on the Moon
My One and Only Love
ひとりぼっちはやめた
Tom and Jerry Show

矢野顕子
中央線
きよしちゃん
ばらの花
ごはんができたよ

矢野顕子×上原ひろみ
Children in the Summer
あんたがたどこさ~Afro Blue
Living with You
Very Early
はこ
Deja Vu
ラーメンたべたい

そこのアイロンに告ぐ
Green Tea Farm

それでは8cm。

①ひとりぼっちはやめた 映画『となりの山田くん』主題歌
作詞・作曲:矢野顕子、produced & Arranged by Jeff Bova & Akiko Yano

bass: Micheal Visceglia
drums: Shawn Pelton
guitar: Jeff Gollub
piano & synths: Akiko Yano
synths & programming: Jeff Bova

上原ソロの第1部で、唯一息抜き的な曲だった。他の曲でのテンションが尋常でなかったので。あ、これ知ってる矢野曲だな、と思ったが曲名は思い出せなかった。上原は矢野のことを「ボス」と呼んだり、「昔から好きだった」とリスペクトしている様子だった。で、選んだのがこの曲?と思わないでもないが、まいいか。矢野本人もあとで「インストルメンタルで聴くといい曲ねえ」とご満悦だったよう。ほのぼのとした曲です。

②カラオケ

定価816円、レンタル落ち50円。
ジャケは言うまでもなくいしいひさいち。映画タイトルには「ホーホケキョ」と入るのが正しいのか?
ライブを代表する曲、という点では「Children in the Summer」の8cmがあればよかったのだけど、残念ながら持ってなかったので。この曲改めて聴いたが、いいね。糸井詞も素直な感じでいいし、ホーンもかっこいい。「そいつは僕だ/そいつは君だ」頭から離れない。

そうそう、矢野さんもレコードデビュー30周年。おめでとうございます。




最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ピアノ・ガールズ (言葉屋)
2006-12-11 20:02:03
「矢野さんカッコイイ!」と思ったのは、実は数年前です。TVでおそらくさとがえるコンサートの映像と思うのですが、ドラム、ベース、ピアノたった3人だけで、他のどのロックバンドよりカッコイイ!演奏に「ピアノってこんなにカッコよかったんだ」と感激しまくりでした。

「となりの山田くん」映画館で見ました。矢野さんの雰囲気が見事にマッチしたような感じでした。同じ所で「あたしンち」もそうでしょうか。
こういう「日常」を歌う人って、そう言えばそんなにいないですね。

あ、もしかするとムーンライダーズと同じ年数なのかしら。30年…、我が人生…、スゴイです!

追記、ライダーズの30年本、買っちゃいました。あのプレステのロゴと共に出る「ブン」って音が、岡田さんの作とは!!
奥の深さに、ただただ唖然。
Unknown (nakamura8cm)
2006-12-11 23:24:50
矢野さんのピアノって自由度が高い、と思っていたのですが、さらに上をいく自由なピアニストがいた!って感じでした。矢野さんにしたら、他人のアレンジでピアノを弾くことはめったにないだろうから、それを楽しんでいたという面もあったと思います。

>こういう「日常」を歌う人
確かに。いわゆる「ロック的なモノ」とは正反対の日常性ですね。

そう、ライダーズと同じ76年デビューです。ソロでは30年以上のひとは他にもいるけど、矢野さんほどのクオリティを維持しているのはやはりわずかですよね。

コメントを投稿