『日向民俗』の足跡
宮崎県で唯一の民俗専門の研究会として、昭和二十九年に発足した「日向民俗学会」は四〇年以上の歴史を持ち、後の宮崎県民俗学会へと引き継がれている。
日向民俗学会の活動の足跡をたどるに当たって、現在のところ、会誌の編集方針によって大きく五期に区分することができる。
第一期(創刊号~三〇号まで)
日向民俗学会の初代会長は田中熊雄であった。田中は宮崎大学教授(後名誉教授)であり、学会の事務局は日本史研究室に置かれていた。大学生を中心にした調査報告書が主体の内容である。
日向民俗学会は、昭和二十九年三月五日に発足している。発足当時の活動状況は学会規約から伺うことができる。
日向民俗学会規約
一、総 則
(一)、本会は日向民俗学会と称する。
(二)、本会は民俗学の研究と資料採集調査及び会員相互の連絡を計ることを目的とする。
(三)、本会は、(二)の目的を達成するために左の事項を行う。
1、日向の民俗についての研究調査。
2、日向民俗学会並に各種民俗学会研究団体との連絡提携。
3、本科の機関誌としての「日向民俗」の発行。
4、研究図書の購入。
5、社会科学習の資料提供。
二、会 員
(四)、本会の趣旨に賛同する同好者を以って組織する。
三、役 員
(五)、本会は次の如く会員の中から役員を選出して会の運営を円滑ならしめる。
(会長一名、副会長一名、会計一名)
(六)、役員の任期は一ヶ年とする。
四、運 営
(七)、本会は例会として毎月開く。但し学内では、毎週開くこととする。
(八)、総会は年一回(日時は役員会にて定める)宮崎大学学芸学部で開く。
(九)、総会においては各自の意見発表、意見交換、会務報告その他重要事項の決議をなす。
(十)、総会の決議は出席者の過半数の賛成を必要とする。
(十一)、会員相互の連絡の為、本部を宮崎大学学芸学部日本史研究室に置く。
(十二)、希望及び提案に際しては詳細に連絡し、会の向上発展に協力する。
(十三)、講師の招待は役員会によって決定する。
五、会 計
(十四)、会員は会費として二十円也を毎月会計に納入すること。 (昭和二十九年三月五日)
当初、宮崎市街地の船塚町にあった宮崎大学学芸学部(後の教育学部)の田中熊雄教授のいる日本史研究室を事務局としており、学生を中心とした毎週の例会や会員まで広げた毎月の例会も可能となったのであろう。
第二期(三一号~四一号)
事務局を田中熊雄会長宅に移し、編集委員会も主幹田中熊雄をはじめ、編集委員に吉野忠行・長津繁文・甲斐畩常・長谷川孝美・黒木倉吉・瀬戸山計佐儀・青山幹雄・屋敷繁・西川功(三九号~)らが当たった。雑誌の内容に関しては、それまでの質問形式の調査報告ののみではなく、第三二号から調査研究や論考も掲載するようになった。
三一号の編集後記には次のように記されている。
「日向民俗学会事務局は創設当初から宮崎大学日本史研究室におかれていたのが、
この四月から会長宅におくことに変更した。この三十一号は新事務局での編集発行ということになった。」
第三期(四二号~四七号)
この期より編集員に多少変更があった。編集委員は、田中熊雄・長津繁文・長谷川孝美・瀬戸山計佐儀・青山幹雄・屋敷繁・西川功・原田知学・泉房子・山口保明・石田陽・井上重光らが当たった。
第四期(四八号~四九号)
平成五年、これまで続いてきた日向民俗学会を発展的解消をして、新たに宮崎県民俗学会(会長瀬戸山計佐儀)として発足した。
四八号の巻頭に野口逸三郎が「発刊に寄せて」として、
「昭和二十九年日向民俗学会の発会以来引続いてその会長を勤め、宮崎の民俗学の草分けを以て自認して来た田中熊雄さんが、この三月、よんどころない家庭事情のため、五十有余年間住みなれた宮崎をはなれて千葉県に移られた。最後まで宮崎をはなれたくなかったのをご承知の関係者の皆さん方だっただけに、この跡民俗学会をどうするかについては、慎重な論議が交わされたことと存じます。結果的には、会の名前を宮崎県民俗学会と改め、新しく会長に瀬戸山計佐儀、副会長に原田知学、同山口保明、名誉会長田中熊雄、幹事十九名の顔ぶれを以て再出発、まことにおめでとうございます。もともと宮崎という風土は民間の文化団体の育ちにくい所柄で、手を貸すよりも足を引っぱろうとする傾向が強いといわれますが、それが民俗学にも関係したのか、研究活動は活発とは云えず、学問としての体系化も後れていると云われて来ました。」
と、研究状況について言及している。
第五期(五〇号~)
その後、会長は山口保明へと代わり、民俗学の学会として再編を計ることとなった。事務局を定め、会計・監査や編集委員会を明確化した。会誌も『みやざき民俗』と改称し、通巻五〇号記念として「宮崎と民俗学」と題した特集には千葉徳爾・荒木博之・小島美子・野本寛一ら多くの研究者から今後の宮崎県における民俗研究に対する提言が為されている。
『日向民俗』目録
宮崎県で唯一の民俗専門の研究会として、昭和二十九年に発足した「日向民俗学会」は四〇年以上の歴史を持ち、後の宮崎県民俗学会へと引き継がれている。
日向民俗学会の活動の足跡をたどるに当たって、現在のところ、会誌の編集方針によって大きく五期に区分することができる。
第一期(創刊号~三〇号まで)
日向民俗学会の初代会長は田中熊雄であった。田中は宮崎大学教授(後名誉教授)であり、学会の事務局は日本史研究室に置かれていた。大学生を中心にした調査報告書が主体の内容である。
日向民俗学会は、昭和二十九年三月五日に発足している。発足当時の活動状況は学会規約から伺うことができる。
日向民俗学会規約
一、総 則
(一)、本会は日向民俗学会と称する。
(二)、本会は民俗学の研究と資料採集調査及び会員相互の連絡を計ることを目的とする。
(三)、本会は、(二)の目的を達成するために左の事項を行う。
1、日向の民俗についての研究調査。
2、日向民俗学会並に各種民俗学会研究団体との連絡提携。
3、本科の機関誌としての「日向民俗」の発行。
4、研究図書の購入。
5、社会科学習の資料提供。
二、会 員
(四)、本会の趣旨に賛同する同好者を以って組織する。
三、役 員
(五)、本会は次の如く会員の中から役員を選出して会の運営を円滑ならしめる。
(会長一名、副会長一名、会計一名)
(六)、役員の任期は一ヶ年とする。
四、運 営
(七)、本会は例会として毎月開く。但し学内では、毎週開くこととする。
(八)、総会は年一回(日時は役員会にて定める)宮崎大学学芸学部で開く。
(九)、総会においては各自の意見発表、意見交換、会務報告その他重要事項の決議をなす。
(十)、総会の決議は出席者の過半数の賛成を必要とする。
(十一)、会員相互の連絡の為、本部を宮崎大学学芸学部日本史研究室に置く。
(十二)、希望及び提案に際しては詳細に連絡し、会の向上発展に協力する。
(十三)、講師の招待は役員会によって決定する。
五、会 計
(十四)、会員は会費として二十円也を毎月会計に納入すること。 (昭和二十九年三月五日)
当初、宮崎市街地の船塚町にあった宮崎大学学芸学部(後の教育学部)の田中熊雄教授のいる日本史研究室を事務局としており、学生を中心とした毎週の例会や会員まで広げた毎月の例会も可能となったのであろう。
第二期(三一号~四一号)
事務局を田中熊雄会長宅に移し、編集委員会も主幹田中熊雄をはじめ、編集委員に吉野忠行・長津繁文・甲斐畩常・長谷川孝美・黒木倉吉・瀬戸山計佐儀・青山幹雄・屋敷繁・西川功(三九号~)らが当たった。雑誌の内容に関しては、それまでの質問形式の調査報告ののみではなく、第三二号から調査研究や論考も掲載するようになった。
三一号の編集後記には次のように記されている。
「日向民俗学会事務局は創設当初から宮崎大学日本史研究室におかれていたのが、
この四月から会長宅におくことに変更した。この三十一号は新事務局での編集発行ということになった。」
第三期(四二号~四七号)
この期より編集員に多少変更があった。編集委員は、田中熊雄・長津繁文・長谷川孝美・瀬戸山計佐儀・青山幹雄・屋敷繁・西川功・原田知学・泉房子・山口保明・石田陽・井上重光らが当たった。
第四期(四八号~四九号)
平成五年、これまで続いてきた日向民俗学会を発展的解消をして、新たに宮崎県民俗学会(会長瀬戸山計佐儀)として発足した。
四八号の巻頭に野口逸三郎が「発刊に寄せて」として、
「昭和二十九年日向民俗学会の発会以来引続いてその会長を勤め、宮崎の民俗学の草分けを以て自認して来た田中熊雄さんが、この三月、よんどころない家庭事情のため、五十有余年間住みなれた宮崎をはなれて千葉県に移られた。最後まで宮崎をはなれたくなかったのをご承知の関係者の皆さん方だっただけに、この跡民俗学会をどうするかについては、慎重な論議が交わされたことと存じます。結果的には、会の名前を宮崎県民俗学会と改め、新しく会長に瀬戸山計佐儀、副会長に原田知学、同山口保明、名誉会長田中熊雄、幹事十九名の顔ぶれを以て再出発、まことにおめでとうございます。もともと宮崎という風土は民間の文化団体の育ちにくい所柄で、手を貸すよりも足を引っぱろうとする傾向が強いといわれますが、それが民俗学にも関係したのか、研究活動は活発とは云えず、学問としての体系化も後れていると云われて来ました。」
と、研究状況について言及している。
第五期(五〇号~)
その後、会長は山口保明へと代わり、民俗学の学会として再編を計ることとなった。事務局を定め、会計・監査や編集委員会を明確化した。会誌も『みやざき民俗』と改称し、通巻五〇号記念として「宮崎と民俗学」と題した特集には千葉徳爾・荒木博之・小島美子・野本寛一ら多くの研究者から今後の宮崎県における民俗研究に対する提言が為されている。
『日向民俗』目録