俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

『最終決戦if』

2009年05月29日 12時49分11秒 | アナザーストーリー
 『アサルト』において、アパロイドマザーがフォックス達を幻惑するために使った、ピグマ、ペッピー、ジェームズ、ペパー将軍、ナウスの声色と記憶。
 このメンバーは、奇しくも初代スターフォックスにペパー将軍を加えたものではないか。
 じゃあ最終決戦として、こんなのもアリだったかも……。


『俺たちが引き付ける お前たちはマザーを倒せ!』
 眼前に浮遊する大量のアパロイドを引き連れ、三機のウルフェンが飛ぶ。挑発するようにのらりくらりと攻撃をかわしながら旋回し、アパロイドをフォックス達の後方へと誘導してゆく。
『……あいつら、カッコつけやがって』ファルコが呻くように毒づく。
(また、道を開けられてしまったな)
 フォックスは思う。
 マザーをただ倒すだけでは意味がない。マザーの体内に『自滅プログラム』を打ち込み、アパロイド全てのアポトーシスを誘発しなければ、ライラット系に未来はない。ウルフ達ももそれは理解していただろう。だからこそ自分たちのために道を開き、命運を託した。
 スターウルフばかりではない。自滅プログラムを製作したベルツィーノの開発チーム。ゲートを死守し、アパロイド本星へ突入したコーネリアの兵士たち。侵食の犠牲となったペパー将軍、多くの人々。ペッピーと、ナウス。
 数え切れないほどの希望を、意志を、自分たちの双肩に背負っているのだ。
 そう思うと震えた。だからこそ負けるわけにはいかない。絶対に。
『いよいよマザーだ……行くぞ!』

 暗くジグジグとした悪寒を覚えさせる通路から一転して、白くひらけた空間がかえって不気味だった。その中央に、まるで聖像のように神々しく、また昆虫の産卵管のように禍々しくそそり立つのが……。
『これが……マザー?』
 4人が抱いていた疑問を、代表してクリスタルが口にした、そのとき。
『これは、ゲートアウト反応!? みんな! 何か来るよ!』

 ハニカム状のワープゲートが、真正面に展開した。そこから現れたのは、見慣れた白い船体。4人にとって我が家とでも言うべき船。
『グレートフォックスだと!?』
 見間違うはずもない。ペッピー、ナウスとともに突貫し、この空間へとつづく発進口をこじ開けたグレートフォックスが、今また4人の前に現れたのだ。
 しかしその姿は、紫電色の光沢を帯びた生物の外殻で一面覆われている。もはやそれは遊撃隊スターフォックスの母艦ではない。アパロイドの群れの一個体となり果てていた。
『アパロイドの野郎! どこまで食らいつくせば気が済みやがる!』
『待って、それより! あの中にはまだ、ペッピーも!?』
 恐るべき可能性に考えが及び4人は戦慄した。ペパー将軍に引き続き、ペッピーまでもが敵となり行く手を阻むというのか?
『ペッピー! いるのか? いるなら応答してくれ!』
 動悸を抑えながらフォックスは呼びかけた。駆け抜ける一秒一秒がまるで千年のように感じられる。

『……居るとも。フォックス。ワシはここにいるよ』
『ペッピー!!』歓喜の声が響く。
『ペッピー、無事なのか? 今助ける!』
『助ける、だと? いや、いや。助ける必要など無いのだよ。助ける必要は無い』
『ペッピー? どうしたんだ。状況を教えてくれ!』
『解ったんだよ、フォックス。アパロイドは敵じゃないんだ。ワシはアパロイドの一部になってそれが解った。これは来るべき世界の幕開けなのだよ』
『ペッピー。……馬鹿な』
 馬鹿なことを言うな。そう言いたかったが、唇が震えるばかりで声が出ない。代わりに己の息遣いだけがやたらと大きく聞こえた。
『馬鹿はおまえたちだぞ、フォックス。アパロイドに逆らおうなんてな。アパロイドこそは万物を統べる存在だ。宇宙に生きるものすべての母だ。お前たちも、抵抗はやめるんだ。ムダだからな。お前たちの抵抗など、赤子が駄々をこねているに過ぎないのだよ』
『ケッ!』ファルコが喚いた。
『言うに事欠いて、あきらめろだと? 下手なモノマネはよすんだな!』
『そうだよ! アパロイドは侵食した相手の記憶も利用できるんだ。騙されないよ!』
 長くて短い、凍りつくような沈黙が流れた。
『……そうか。ならば我々が教えてやるしかあるまい。なに、すぐにお前たちも理解できるさ』
『我々、だと?』
『見て。グレートフォックスの発進口が』
 紫電色に光る侵食グレートフォックスのハッチがゆっくりと開き、内部から三機の機体が姿を現す。
『アーウィン……』
 やはり紫電色のアパロイド装甲に包まれた機体。だがそのフォルムは、どう見てもアーウィンだった。
『どこまでもモノマネか。悪趣味だぜ』ファルコが馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
 が。
『モノマネだと? とんでもない。ワシらこそが正真正銘の、スターフォックスさ』
『ブヒヒッ! そういうこっちゃ。なんせ元祖やからのう。なぁ、ジェームズ』
『そういうことだ』

 忘れようもないその声が脳裏にこだまして、フォックスの現実感がぐらりと傾いだ。
『まさか。父さん』
『久しぶりだな。まさかお前と戦うことになるとは思わなかった。お前に私が殺せるか? 試してみたらどうだ。私も、自分にお前が殺せるかどうか、興味がある』
『騙されるな! お前の親父は……!』
『分かってる。父さんは、オレの親父はそんなことは言わない!』

『悲しいよ、フォックス。息子に信じてもらえないなんてな。だがすぐに、お前たちもこちらの世界を見ることができるんだ。それまでの間、私を楽しませてくれよ』

 操縦桿を握る両手が熱い。現実が何か。真実がどれかわからなくなる。
 ためらうな、という言葉が蘇る。俺たちが何のために道を譲ってやったのか。その意味を噛み締めて行動してもらわねば、困る。
 そうだ。限りない命、限りない希望を背負ってここまで来たのだ。迷っているヒマは無い。

『みんな!』意を決して、フォックスは叫ぶ。
『自滅プログラムを打ち込むぞ! スターフォックス、戦闘開始!』

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2 コメント

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こんにちは! (ガルム)
2009-05-29 14:47:21
どうもです、れんげさん。

なかなかコメント書き込む機会が無かったのですが、この記事読ませて頂いてかなり興奮してしまいましたので、久々に書き込みさせて頂きます!

もし、本当にこのようなストーリーなら、どんなにかゲーム内容が広がった事か…!

この記事の内容を新たに盛り込んで、リメイクしてほしいくらいです!


アサルトには、まだ色々と妄想で話を広げられる箇所が有りそうですね、アステロイドでピグマ?にやられて脱出するハメになったウルフ達とか、残念ながら出演しなかったビルの話など。…私、本当に妄想尽きません(笑)



…ではでは、この辺で失礼致します。

長々した書き込みをしてしまい、どうもすみませんでした;;(謝罪)
ありがとうございます (雪月れんげ)
2009-05-29 22:44:46
 お褒めにあずかり光栄です。
 アサルトのサバイバルモードで、すべてのエンブレムを集めてクリアすると隠しミッションが開き、真の最終決戦へと突入する……!!
 そんな想像をしていた頃もありました(笑)
 ゲームを作るのは大変だと思います。ストーリーの面白さを出す一方で、ゲームとしての総合的な面白さも出さなければいけないので。
 考えたストーリーを全てゲームに落とし込めるとも限らないでしょうし……。
 まぁ、ゲーム本編で語られなかったことを想像するのが楽しいのですけどね。

 またいつでもコメントしてくださいませ。

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