理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)らが、きわめて簡単な方法で新型「万能細胞」(STAP細胞と命名)の作製に成功しそうだ。マウスの細胞を弱酸性の液体に25分浸すだけで自発的に初期化が起こり、体の組織に分化する前の万能細胞に戻るという。あまりの単純さに、論文を投稿した英ネイチャー誌は最初、「何百年にもわたる細胞生物学の歴史を愚弄している」とのコメント付きで論文を突き返したそうだ。それほど生命科学の常識を覆す画期的な成果と言えるようだ。細菌や植物が厳しい環境にさらされると自発的に初期化することは知られていたが、哺乳類ではありえないと考えられていたそうだ。iPS細胞のように細胞に人工的な操作を加えないため、がん化の恐れも少ないと考えられるそうだ。●ただ、成功したのは生後1週間という若いマウスの細胞だけで、大人のマウスでは成功しておらず、その理由も解明できていないそうだ。また、人間の細胞でも同様の方法で万能細胞が作れるかまだ分かっていないなど課題は多いが、今回の論文発表で、医療応用に向けて、世界中で競争が始まることになるようだ。 ⇒ 1/30朝日新聞