「よし!こっちこっち!」
瓦礫の山 崩れた城壁 壊れた商店街 潰れた果物 汚れた地面
「おっとォ、矢が!あは、お前さんの風の精霊のご加護かな?」
駆け足 駆け足 早く早く 忍び足に勇み足 ひょいと飛び越せ地面の起伏
「見てみ!あの旗があがってる城の窓、あそこから眺める地平線ったらねぇぜぇ」
指さす窓に目をやると途端にそこが爆発
降り注ぐレンガから笑いながら脱出
「城見物はこれで終わり!悪いが城にゃあ面白いモンなんて1っつもねぇ」
ぐいと腕を引っ張って駆け出す そうとも城には何もない
避難民であふれ返る城下町を走ろう
「おっちゃん、これツケ!」
すれ違うように避難中の屋台からトマトを失敬
もちろん真っ赤に熟れたのを二つ
背中にどなる中年の声
”お前もおっちゃんだろうが!”
「早くしないとまたばらばらだからね」
あっこが安い密造酒を出してくれる居酒屋
通りの向こうにある宝石屋サンはいつも眺めてばかりで
そこにある橋の下のラクガキがすごく綺麗
いつもはあの広場にジュースを売ってる人がいるんだ
ここの花屋は今締まってるけど小さくてきれいな花が売ってる
夕方になるとあそこの城壁のスキマから光が差し込んで綺麗なんだけどもう壊れちった
そっちの空家にはカエルのオバケがいるんだってさ
あそこの酒場の歌唄いのお嬢さんが美人で とと なんでもない!
「おっと!頭を下げて」
城壁が崩れて落ちてくる
けどなんだか死ぬなんてちっとも思えない
落ちてくる砂粒をはらってまた駆け出そう
「せわしなくてごめんね」
「けれどもあまりじっくり紹介もしたくないんだ」
「そうすれば、また見てみたくなって、ココに帰ってこようかなとも思うだろ?」
ご近所さんだけどこの城の敷地内は今日しか案内できない
散歩なんて可愛らしいもんじゃないし
散策なんてもってのほか
でも いつかまた来てくれるよね
気づいたら擦り傷と切り傷だらけ
でもほら 大きい怪我はないだろ
「じゃあ築城部隊に合流すっか」
ルドラムの城壁の塗り方にはコツがあっ
…
あっはっは まいった 囲まれた
ここはおとなしく手を上げて
奴らの言うこと聞いとけばナァニ 死にゃあしないさ
「おい!彼女に気安く触れるなよ」
言ってみたかっただけ そんでこう言う
「触ったら俺がタダじゃおかねぇ」
勿論本気さ ハッタリなもんか
約束したからね 守るって
まさに今守れてないけど
あぁ ほらみたことか お前らの勝ちだよ
獣みたいな勝ち鬨が聞こえる さっさと離し…
……あれれ
勝っちゃったのか
「勝ったみたいだね」
勝つと知っていれば もっといいところ案内したのに
「またね、デュー、また。また」
「またいつか、遊びに来てね」
自軍の勝利は嬉しいけど ちょっぴり悲しい
瓦礫の山 崩れた城壁 壊れた商店街 潰れた果物 汚れた地面
「おっとォ、矢が!あは、お前さんの風の精霊のご加護かな?」
駆け足 駆け足 早く早く 忍び足に勇み足 ひょいと飛び越せ地面の起伏
「見てみ!あの旗があがってる城の窓、あそこから眺める地平線ったらねぇぜぇ」
指さす窓に目をやると途端にそこが爆発
降り注ぐレンガから笑いながら脱出
「城見物はこれで終わり!悪いが城にゃあ面白いモンなんて1っつもねぇ」
ぐいと腕を引っ張って駆け出す そうとも城には何もない
避難民であふれ返る城下町を走ろう
「おっちゃん、これツケ!」
すれ違うように避難中の屋台からトマトを失敬
もちろん真っ赤に熟れたのを二つ
背中にどなる中年の声
”お前もおっちゃんだろうが!”
「早くしないとまたばらばらだからね」
あっこが安い密造酒を出してくれる居酒屋
通りの向こうにある宝石屋サンはいつも眺めてばかりで
そこにある橋の下のラクガキがすごく綺麗
いつもはあの広場にジュースを売ってる人がいるんだ
ここの花屋は今締まってるけど小さくてきれいな花が売ってる
夕方になるとあそこの城壁のスキマから光が差し込んで綺麗なんだけどもう壊れちった
そっちの空家にはカエルのオバケがいるんだってさ
あそこの酒場の歌唄いのお嬢さんが美人で とと なんでもない!
「おっと!頭を下げて」
城壁が崩れて落ちてくる
けどなんだか死ぬなんてちっとも思えない
落ちてくる砂粒をはらってまた駆け出そう
「せわしなくてごめんね」
「けれどもあまりじっくり紹介もしたくないんだ」
「そうすれば、また見てみたくなって、ココに帰ってこようかなとも思うだろ?」
ご近所さんだけどこの城の敷地内は今日しか案内できない
散歩なんて可愛らしいもんじゃないし
散策なんてもってのほか
でも いつかまた来てくれるよね
気づいたら擦り傷と切り傷だらけ
でもほら 大きい怪我はないだろ
「じゃあ築城部隊に合流すっか」
ルドラムの城壁の塗り方にはコツがあっ
…
あっはっは まいった 囲まれた
ここはおとなしく手を上げて
奴らの言うこと聞いとけばナァニ 死にゃあしないさ
「おい!彼女に気安く触れるなよ」
言ってみたかっただけ そんでこう言う
「触ったら俺がタダじゃおかねぇ」
勿論本気さ ハッタリなもんか
約束したからね 守るって
まさに今守れてないけど
あぁ ほらみたことか お前らの勝ちだよ
獣みたいな勝ち鬨が聞こえる さっさと離し…
……あれれ
勝っちゃったのか
「勝ったみたいだね」
勝つと知っていれば もっといいところ案内したのに
「またね、デュー、また。また」
「またいつか、遊びに来てね」
自軍の勝利は嬉しいけど ちょっぴり悲しい