先日、映画『MILES AHEAD/ マイルス・デイヴィス 空白の5年間』を、観に行きました。
脚本家による全くのフィクションなので、
例えば、
「マイルス絶対カーチェイスなんてしないよな」、
「本物のマイルスはもっといい男だった。こんなライオネル・リッチーみたいな顔じゃない!(ドン・チードルには悪いけど)」、
「フ○ッキンしか聴こえてこない…」
などなど、ツッコミどころも幾つかありましたが、マイルスという人物の本質はしっかりとらえているんだろうな、と思いました。
昔のジャズミュージシャンに関する逸話を読んだり、現在活動しているミュージシャンに接したりしていつも思うのですが、皆それぞれに、自分達の尺度で「美しい」、「正しい」と信じる行動規範があり、それにほぼ忠実に従って生きているように見えます。
(そしてそれは大抵周囲の理解を越えている(笑)…例えミュージシャン同士でも共感し得ないような)
そういったところが、人として何とも面白く、彼らや彼らの創る音楽までも、どこか魅力的に見せている、といった部分があります(あくまで「部分」です!)。
極端な例でいうと、
「ドラッグはやるけど、日曜の礼拝は欠かせない(信心深い)」
「酒は飲むけど、ドラッグは絶対やらない」みたいな(笑)。
矛盾に満ちてます!
マイルス・デイヴィスが、リッチだけど荒みきった生活をしていた中で、それでも何よりストイックに固執していたものは?
またユアン・マクレガー演ずるローリング・ストーン誌のコラムニスト(はっきり言って売名目的の小物)が、彼なりに絶対に譲れなかったものは?
そこが見えてくると、この映画は架空の人間ドラマとして、俄然面白さが増してきますし、全くダメダメな2人にも観ているうちにだんだん愛着が湧いて来てしまいました。
そう考えると、これは70年代ニューヨークを舞台にした、2人のカウボーイのロードムービーのようにも思えてきます。
そして、この映画のタイトルのように、マイルスがとっても無様な姿だけど前へ前へと、輝かしい過去を振り返ることなく新しいものを生み出そうとする、時に他者との諍いも辞さないスピリッツ、これこそがジャズなんだろうな、と教えられた気がしました。
最後の時空を超えたライブシーン、圧巻です。
そして、エンドロールのCo-Executive Producerに、ちゃっかりフランシス・デイビスの名前が!
てことは、やっぱりあの時ダンサーやめといて良かったんじゃないフランシス(笑)?