鈴木智香子の『この曲が聴きたい!!』 = A Song A Day =

その日の気分や季節柄に合わせて、ジャンルを問わず、とっておきの音楽をご紹介します。

映画『MILES AHEAD/ マイルス・デイヴィス 空白の5年間』 感想

2017年01月21日 | 日記

先日、映画『MILES AHEAD/ マイルス・デイヴィス 空白の5年間』を、観に行きました。

脚本家による全くのフィクションなので、

例えば、


「マイルス絶対カーチェイスなんてしないよな」、

「本物のマイルスはもっといい男だった。こんなライオネル・リッチーみたいな顔じゃない!(ドン・チードルには悪いけど)」、

「フ○ッキンしか聴こえてこない…」

などなど、ツッコミどころも幾つかありましたが、マイルスという人物の本質はしっかりとらえているんだろうな、と思いました。

昔のジャズミュージシャンに関する逸話を読んだり、現在活動しているミュージシャンに接したりしていつも思うのですが、皆それぞれに、自分達の尺度で「美しい」、「正しい」と信じる行動規範があり、それにほぼ忠実に従って生きているように見えます。

(そしてそれは大抵周囲の理解を越えている(笑)…例えミュージシャン同士でも共感し得ないような)

そういったところが、人として何とも面白く、彼らや彼らの創る音楽までも、どこか魅力的に見せている、といった部分があります(あくまで「部分」です!)。

 

極端な例でいうと、

「ドラッグはやるけど、日曜の礼拝は欠かせない(信心深い)」

「酒は飲むけど、ドラッグは絶対やらない」みたいな(笑)。

矛盾に満ちてます!

 

マイルス・デイヴィスが、リッチだけど荒みきった生活をしていた中で、それでも何よりストイックに固執していたものは?

またユアン・マクレガー演ずるローリング・ストーン誌のコラムニスト(はっきり言って売名目的の小物)が、彼なりに絶対に譲れなかったものは?

 

そこが見えてくると、この映画は架空の人間ドラマとして、俄然面白さが増してきますし、全くダメダメな2人にも観ているうちにだんだん愛着が湧いて来てしまいました。

そう考えると、これは70年代ニューヨークを舞台にした、2人のカウボーイのロードムービーのようにも思えてきます。 

そして、この映画のタイトルのように、マイルスがとっても無様な姿だけど前へ前へと、輝かしい過去を振り返ることなく新しいものを生み出そうとする、時に他者との諍いも辞さないスピリッツ、これこそがジャズなんだろうな、と教えられた気がしました。

最後の時空を超えたライブシーン、圧巻です。

そして、エンドロールのCo-Executive Producerに、ちゃっかりフランシス・デイビスの名前が!

てことは、やっぱりあの時ダンサーやめといて良かったんじゃないフランシス(笑)?


ペットショップボーイズ - Love Comes Quickly

2017年01月21日 | 日記

今朝、急に頭の中でこの曲が鳴りました。

シンセの電子音が古ぼけてて妙に懐かしい。

この感覚、だいぶ前だけど、『うる星やつら』を再放送で観たとき、効果音が主に電子音で、これがまた初期のシンセっぽくて古いなって思ったのと似てる(笑)

ペットショップボーイズ、このヘナチョコ男子な感じがブリティッシュだったわ〜。 熱心なファンじゃなかったけど、いつもセンスいいな、って思ってた。

Wikiによると、このボーカルのニール・テナント、プロデューサーとしてもスゴ腕らしく、ダスティ・スプリングフィールド、ライザ・ミネリ、マドンナ、レディ・ガガ、デヴィッド・ボウイ等のアルバムやPVをプロデュースしているとのこと。

『ウエスト・エンド・ガールズ』から大出世だったのね!お見逸れしました!


ブルーノ・マーズ  24K Magic

2017年01月16日 | 日記

最近、気分をアゲるためにヘビロテしてる曲。

ブルーノ・マーズ…名前だけは知っていたけど、結局アレですね。歴代のヒットしたポップスのオイシイところを上手にすくい上げて、思いっきり俗っぽくした感じ。聴いていてもどこかとっても懐かしいんですよね。

でも、それがまた小気味良いっていうか…これを『ヒット曲のパクリ』だとか『俗っぽすぎる』とか、『新しいところがひとつもない』とか言って責めるリスナー、きっと少数だよね。だってこういうの、結局みんな好きだし、待ち望んでいたはずだから。 

それに、このPV観てて思うに、これ東京隣接各県の○ンキー各位がファッソンとかダンスとかすぐ真似できそう、っていうかもう既に波長がビンビンに合いそうな予感がする(笑)。ブルーノ、マジ、リスペクトっすみたいな。

しかし、調べてみるとブルーノってハワイ生まれのプエルトリカン父とフィリピーナ母との混血かぁ。きっとバラエティに富んだ音楽的土壌を持っているんですねぇ。

しかし、いつか自分の音楽的アイデンティティに悩むときがあるかも知れないですね。
(YouTubeのコメント欄には、ブルーノのことをYellowAsianKidsと呼ぶ人も…) 

アメリカのエンターテイメント界って、見えないけどしっかりした音楽的なテリトリーがあるのをヒシヒシ感じます。

例えば、黒人だったらR&Bやヒップホップ(例:ビヨンセ、Jay-Z、リアーナ)とか、ヒスパニックはラテン系音楽(例:リッキ・マーティン、シャキーラ)、白人はポップスとカントリーミュージック(例:ジャスティン・ビーバー、テイラー・スゥイフト)、とか。それぞれの人種にそれぞれのスターがバランスよくいる。

その領域を越えて本当にユニバーサルなアーティストになろうとすると、必ずマイケル・ジャクソンやウィットニー・ヒューストンのように黒人・白人の両方から非難され、潰されてしまうのを見てきてしまったから。

今、それらのエッセンスを上手に取り入れちゃってるように聴こえるブルーノの音楽はどこの何者でもなく、各ジャンルに従事しているミュージシャン達にとっては『自分達の領分を犯されている』ように聴こえてるかもしれないな、とちょっとだけ心配になりました。

そういった壁を、その素晴らしい才能をもって、この音楽みたいに軽くいなしてくれることを期待してます!おばちゃんは!


シンドバッドの冒険 予告篇

2017年01月09日 | 日記

あけましておめでとうございます。今年初めての更新です。

今日は、唐突に『アニメ』です(いつも唐突やがな)。

昨年はアニメ映画の当たり年だったようで、頻繁にあの作品やこの作品がエンタメニュースでもクローズアップされていましたね。

でも、私は、観ない(笑)。 

皆が浮かれている時に観ない努力も必要(笑)。

そして皆のほとぼりが冷めたころに、こっそり冷静に観てみる、っていうのをいつもやってます(、って本当にイヤな視聴者だわ)。

でも皆さんは旬のうちに楽しく観て素直に感動してね、お願い(笑)

 

でも、ニュース映像で何度も繰り返し出てくる新作アニメの予告編っていうか、プロモーションの為に一部見せてくれる映像を観ている段階で気づいてしまうのです。

あ、この新進アニメーターの人達、みんなジブリ観て育ったんだね、って。

だから、作品に何らかのジブリの影響が透けて見えてしまうのです。

もし、ジブリの作品があなたの血や骨や肉になってなかったら、決してこんなタッチにならないよね、こんなタイプのキャラクター出てこないよね、こんなストーリー展開にならないよねって。

だから、例え最近のアニメーションがどんなに興行収入が良くても、良質のアニメを作っても、誰も宮崎駿を越えられてないような気がするのです。

そして、例え宮崎駿に対抗しようとしても、既に宮崎駿を対角軸においている、つまりめっちゃ意識してるワケで、残念ながら、そこで勝負は見えているということになってしまいます。

結局、クリエイターさん達が本当に独自の作品を生み出そうとするのであれば、宮崎駿の存在なんか最初から知らなかったかのように遠い所から作品を作らなきゃいけない、ってことになるんですよね。

目の前に立ちはだかる巨匠と戦わなければならないなんて…これは本気で取り組んだら残りのクリエーター全生涯をかけることになるのかも知れませんね。

 

そう考えると、私はジブリ以前のアニメが凄く愛おしく感じるのです。

例えば、夏休み、子供の頃に見てた東映アニメ。1960年代の始め、きっとアニメーターさん達がフォーマットもテンプレートも乏しいところから、手探りで作ってたんだろうな、と想像すると、とても愛おしく、50年以上たった今でもその輝きを失なっていない、決して子供騙しではなかったクオリティに感動します。

『シンドバッドの冒険』 『安寿と厨子王』 『西遊記』…!今でも予告編を見るだけで、最高にワクワクします。

そして、もし私がアニメのクリエイターだったら、きっとこの時代の方々に思いを馳せます。

そうだ!宮崎駿がずっと見て来たもの…つまり、宮崎駿がどうやって今の宮崎駿になったのかを丹念に見ていくのがいいと思うよ!(って誰に行ってるんだか、でもジャズ勉強する時はそうしてるよ!)