6月20日、NHK BS世界のドキュメンタリーで「おばあちゃんのタトゥー~アルメニア哀史~」を放送していた。番組サイトには次のように紹介されている。
-ベイルートで暮らすスザンヌの祖母はアルメニア人。いつも家族から距離を置き、不機嫌そうで、孫と遊ぶこともなかった。そんな祖母を家族が見る目は冷ややかだった。ドキュメンタリー制作者となったスザンヌは、自分の殻に閉じこもっているような祖母の態度に疑問を持ち、その顔や手に彫られた入れ墨を手がかりに祖母のルーツをたどる。
その過程で浮かび上がってきたのは、祖母とトルコによるアルメニア人虐殺との関わりだ。多くのアルメニア人女性が虐殺から逃れる過程で、レイプを受け、人身売買のような結婚を余儀なくされていた。祖母もそういった中でレイプされ、入れ墨を入れられたことが明らかになってくる。
スザンヌにとって歴史上の出来事だと思っていたことが、自らの祖母の身に降りかかっていた・・・。祖母は自ら受けた辱めを語らず、じっと耐えていたのだ。残された家族はスザンヌの探求で、初めて祖母の苦しさを知り、自分たちのルーツをあらためて見つめることとなる。
原題は「Grandma's Tattoo」、制作:HP PeA Film(スウェーデン2011年)とある。新聞の番組欄ではアルメニア哀史の箇所は省略されており、何気なく見た特集がまさか第一次世界大戦中に起きたアルメニア人虐殺を扱ったものとは思いもよらなかった。番組紹介文だけで重く暗いテーマなのが知れる。以前の記事に何度か書いたとおり私はトルコ贔屓である。そんな私が番組を見た感想を存分に綴ってみたい。
まず何故この特集を報道したのか?という疑問が湧いた。欧米のようなキリスト教圏ならまだしも、第一次世界大戦の虐殺事件を今更蒸し返して何の意味があるのか?その目的は何なのだ?と言いたくなる。まるで欧米の尻馬に乗ったトルコやイスラム圏へのネガティブ・キャンペーンにも見えてくる。
ドキュメンタリー制作者スザンヌはスウェーデン在住のアルメニア人。この番組で初めてアルメニアの少女に入れ墨が入れられたことを知ったし、顔や指に入れ墨のある女性を映していた。スザンヌは月星というトルコの国旗を彫ったものと言っていたが、私にはそうは見えなかった。指の入れ墨などはにじんで形も不確かだったし、月星よりも十字架に見えた。そもそも国旗のシンボルを異教徒の女に彫るのだろうか?入れ墨は不明なかたちもあり、中には麦をかたどったものを顎に入れられた女もいた。
アルメニア人の当時の風習は知らないが、入れ墨を入れる習慣はなかったと思う。トルコ人も同じだろうが、番組ではクルド人にはそれが行われていたと伺わせる展開になっていた。日本のアイヌも女性が顔に入れ墨をしていたのはそう遠い時代ではない。もちろん明治以降は禁止されてしまったが、日本の同化政策を糾弾するアイヌ人は再び入れ墨をしたら如何であろう。
虐殺から逃れても性奴隷同然に扱われ、結婚を無理強いされたアルメニア人少女は数千人いたとスザンヌは主張していたが、その数値も根拠があるのか極めて疑問である。アルメニア人虐殺の正確な犠牲者数は未だに不明だし、wikiにも「欧米や日本の研究者の幾人かは、60万人から80万人という犠牲者数の推定が妥当ではないかという見解を述べている」ことが載っている。この種の事件は少なく見積もりたがる加害者と、捏造してでも多く主張する被害者では隔たりは大きい。
この事件が未だに尾を引いているのはアルメニアのロビー活動ばかりではなく、それを利用、連帯しようとする欧米側の活動家の存在もあるし、少数でも日本にもその同調者がいるのだ。万一トルコがアルメニアの主張を全面的に認めたとしても、双方で和解が進むとはとても思えない。
その二に続く
◆関連記事:「アルメニア人虐殺事件」
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アルメニアは旧ソ連のDQN国家ですよ。何でも”世界で一番にキリスト教化した”とか”アララト山はノアの箱舟が流れ着いた”などを自慢する貧困国です。何も無いド田舎の癖にプライドだけ高いのです。
西洋文明の基礎を築いたのに、ユーロ圏を追放されそうなギリシアに本当に良く似ていますね、特に悪いところが(爆笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=PkPEZ2JAHuk
トルコ自体、EUにDQN国家扱いされてますが、周りのアルメニア、ギリシア、シリア、イラン・・・こんなにDQN国家に包囲されているトルコは実に不憫ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=dvck3AHT3ns&feature=related
その二にもリンクを貼りましたが、アルメニア人の国民性を紹介したサイトがあります。そこから一部抜粋すると…
「アルメニア人は、外国人の有名人やお金持ちなら誰でも「アルメニア人」にしてしまう。「あー、彼もアルメニア人。彼女もアルメニア人!」と、こんな感じに。最初は僕も真に受けていたのだが、「ジョージ・ブッシュ合衆国大統領も、ビル・ゲイツも実はアルメニア人なんだよ」と真顔で言われて、単に虚言癖がある人達だと分った…」
http://armenia.en-grey.com/Entry/36/
日本でアルメニア人は商才がある民族として知られますが、それは藤田田の影響があったことがwikiに載っています。それほど商才があるならば、本国の貧困さは説明が付かない。ギリシアよりも中東の影響が強いはずです。
私もDQN国家に包囲されているトルコには同情しております。日本と通じるものがあるし、トルコを批判する日本人はサヨクか耶蘇が相場でしょう。
最初は「え?」とびっくりしました。カーラ・ブルーニみたいなイタリア系フランス人とポルトガル系フランス人がフランスにいるのは以前日本語の地理の教科書で見たことがありますが、アルメニアはイタリアとポルトガルと違ってフランスからすごく遠く離れているのに、これほどのアルメニア人が移住しているとは驚きました。
イタリア語とポルトガル語の話者にとってフランス語の習得は非常に有利なのに対し、アルメニア語はフランス語と全く違う語族なので、アルメニア人って語学に長じているのかな?と思いました。
在仏アルメニア人が多い理由は、近代にフランス留学するアルメニア人が多かったこともあると思います。そこで彼らは民族主義を学び、トルコ独立運動を展開する。アラブの知識人も同じことをしていました。フランスでもトルコに迫害されたアルメニア人を受け入れています。
ただ、私がリンクを貼った日本語版wikiでは、「フランスに40万から50万人といわれるアルメニア人が住み…アメリカにも80万人近いアルメニア系の住民がいる…」とありました。
商才で定評のあるアルメニア人なので、語学には不自由しないでしょう。ローマ、ペルシア、ビザンチン、サラセン、トルコ…古くから周囲の大国に支配され続けた内陸国だし、このような民族はバイリンガルは当たり前です。
オーストリア人学校、ポルトガル人学校やイタリア人学校もあるのかな?と同時に思いました。ドイツ人学校も。
トルコはアルメニアとギリシアと今でも確執があるみたいですね。フランスにもトルコ系とギリシア系のコミュニティーが存在するようです。
トリノやローマにもフランスのリセがあるのかな?と思います。例えば日本のリセもイタリアのリセもフランス国籍がなくても入学できるのかな?と疑問を持っています。
NHKの番組で、フランスにあるアルメニア人学校の映像が映されていたとは知りませんでした。フランスには0万から50万人といわれるアルメニア人が住んでいるならば、アルメニア人学校があっても不思議はないでしょう。どうもNHKはアルメニアやクルドなど、トルコと確執のある少数民族を取り上げているのは、トルコ贔屓の私には不可解です。日本のネットスラングに犬HKという蔑称まであります。他国の提灯持ちという意味で。
トルコ移民といえばドイツのイメージがありますが、フランスにもトルコ系コミュニティーが存在していたのですか。戦後にフランスも移民を受け入れましたからね。
アルメニアとギリシア、トルコはこの先も確執が続くはずです。アルメニアは虐殺事件、ギリシアも4世紀に亘り支配された恨みを教科書で特筆、反トルコを書き連ねる“愛国”教育を施しています。もちろんトルコもアルメニア人による数々のテロ事件、希土戦争での残虐行為を決して忘れません。
トリノやローマにもフランスのリセがあるのかは不明ですが、日本にもフランス人学校があったような…試に「フランス人学校」で検索したら、↓のサイトがヒットしました。
http://okwave.jp/qa/q151390.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1241560467