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麻しん Measles

2013-04-12 | Vaccine 各論

麻疹、はしかの語源
「はしか」の語源は芒(はしか・のぎ)にあるとされ、芒は稲や麦などのイネ科植物の穂の先に針のように尖った堅い毛のことで、穂先で皮膚をこすった時のちくちくと痛がゆい、こそばゆい感じをはしかいと表現されることが語源となったと考えられる。
「麻疹」は中国由来の語で、発疹の形や色が麻の実のようみ見えることに由来するとされる。 
「Measles」 はmaselの複数形で、語源はドイツ語のMasernと同く、しみ、突起増殖物等の発疹を意味する。
モダンメディア 56(7), 2010: 159-171, 語源由来辞典 

 

麻疹に関するWHOの統計
2014年には約11万5000人の麻疹による死亡があるが、2000年から死亡者数は79%減少した。
2014年には約85%の乳児が1歳までに定期接種による1回の麻疹含有ワクチンを受けた。2000年時点での73%から改善。
2000年から2014年にかけて、予防接種により推計約1710万人の麻疹による死亡を防ぐことができた。

2016年9月28日、WHOアメリカ地域事務局は世界の地域事務局のうち初めて麻疹の地域排除を宣言した。
2020年までに6つある地域事務局のうち5つで麻疹を排除することがWHOの目標になっているが、2016年時点での中間目標は達成されていない。 

 

麻疹、風疹、水痘、ムンプスの報告数推移(第11回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会資料
 

2008年~2012年の時限措置を含めたMRワクチン予防接種実施率

 

2012年~2016年のMRワクチン予防接種実施率

乳児の母体移行抗体
自然感染による抗体獲得のある母体から生まれた児の方が、予防接種による抗体獲得のある母体から生まれた児よりも、移行抗体の保有期間が長い(2.61-3.78か月 vs 0.97か月, p<0.001)。
また自然感染による抗体獲得のある母体から生まれた児では95%以上が、予防接種による抗体獲得のある母体から生まれた児では99%以上が、 生後半年時点で抗体を失っている。
(BMJ, 2010

診断と検査
高齢者のIgM陽性症例に関して
感染性があるのは皮疹が出現してから4日間とされる[MMWR Recomm Rep 1998 May 22;47(RR-8):1-57.]
学校保健法に基づく第二種の伝染病に属し、登校基準としては、「発疹に伴う発熱が解熱した後3日を経過するまで出席停止とする」とされる

リウマチ因子が特異的にMeasles IgM(ELISA)と反応して偽陽性となることがある
罹患率が低い(検査前確率が低い)状況では偽陽性の割合が増える
[J Infect Dis. 2003 May 15;187 Suppl 1:S283-90.]

 

WHOへの麻しん患者の報告数マップ

 

ヨーロッパでの麻しん流行状況(2012年)
http://ecdc.europa.eu/en/healthtopics/measles/epidemiological_data/measles_cases/Pages/measles_past12months.aspx 

2010-2012年に麻疹含有ワクチンの2回の接種率が上昇し、麻しんの報告数は77%減少、麻疹による死亡は推計78%(1380万人相当)減少した(WER 2014, 89: 45-52)。 

 


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