月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

「マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶」

2008年10月13日 | ◆マ行

マルチェロ・マストロヤンニを追悼するドキュメンタリー映画「マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶」を観ました。
こうしたドキュメンタリー映画を観ると、一人の名優の生涯というものがいかに多くの人たちに愛されてこそのものだったかが、わかりますね。

★「マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶」
http://www.crest-inter.co.jp/marcello/cast.html

それにしても、カトリーヌ・ドヌーヴが未婚の母となったマルチェロとの間の娘のキアラ・マストロヤンニの、何て両親に似てきたことでしょう。親子の絆というものを通してのマルチェロ像が見えてくるようで何ともいえない思いになりました。

彼は生涯に150本もの作品に出演しているということも、このドキュメンタリー映画で初めて知りましたが、そういう意味で、彼はずっと現役の俳優であり続けた名優だったのだと改めて感じ入った次第です。

その名優マルチェロ・マストロヤンニといえば、一般的に、
やはり、この映画かなと。

★『ひまわり』 (1970年制作 監督ヴィットリオ・デ・シーカ )

この映画の製作を担当にしたカルロ・ポンティ は、後年ソフィア・ローレンと再婚していますが、この映画では、マルチェロよりも、ソフィア・ローレンが圧巻でした。

生きていると知り、イタリアから夫を探しにロシアまでやってきて、ついにイタリア人が住んでいる家を教えられてその家を訪ねたときのソフィア・ローレンの、一連の表情・・・・
ここの場面で、凄い女優だと思ったものです。

映画『ひまわり』といえば、その映画音楽も圧巻ですね。彼女のラストの姿とひまわり畑が、ヘンリー・マンシーニ の音楽で劇的な感動を観客にもたらしているという意味でも、当時の映画における音楽の大きさ、凄さというものに感じ入ってしまいます。今回久しぶりに観て、これでもかというくらいにオーケストラが映画を盛りたてているのを観て、映画音楽の位置づけというものを改めて考えさせられました。

マルチェロの映画で個人的に記憶に残っている一本は、『黒い瞳』(1987年制作 ニキータ・ミハルコフ監督)という映画ですが、こちらは『ひまわり』ほどには映画音楽として鮮明に記憶されていないように思われるのは、ひとえに映画の結末ゆえでしょうか。フランシス・レイ は、そういう意味ではソンな映画を担当したかもしれませんね。
この映画『黒い瞳』も、『ひまわり』のような悲劇にしたならば、反戦映画という側面を切った恋愛映画の悲劇作品として記憶される作品になったのではないでしょうか。
よく知られたロシア民謡の「黒い瞳」が映画のタイトルになっているように、こちらの映画にもロシアの女性が登場し、まるで『ひまわり』のイタリア妻とロシア女性を逆転させたような展開で、どきりとさせられますけれど・・・・・、ラヴストーリーが人々の記憶に残るかどうかは特にラストに象徴されるので、悲劇じゃない映画は人の記憶に残りにくい。人は悲劇に接するとハッピィエンドを望むけれど、その実、ハッピィエンドの物語は記憶に残らないという習性ですもんね。ハッピエンドにするにしても、もうちょっとマルチェロの情熱と純情と哀感が印象に残るようなラストにしてもよかったかなと。

★ロシア民謡「黒い瞳」はこちらでお聞きになれます。
 

そして、こちら。
★映画『8 1/2』 (1963年制作 F・フェリーニ監督)

 

フェデリコ・フェリーニ監督ファンにとっては、映画『甘い生活』(1962年制作)よりも忘れられないマルチェロ主演作品なのではないでしょうか。


 


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2 コメント

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Unknown (dori)
2008-10-13 20:04:35
子供の頃、アラン・ドロンとマストロヤンニの区別がつかなかったんですよ。今見ると全く違うのに・・・

マストロヤンニの演じるイタリア男のいやらしさと可愛らしさは、格別でしたね。

『昨日、今日、明日』のベットで犬のようにほえるシーンなんて、今の俳優さんで出来る人いるかな~?って思います。
子供の記憶 (Ms gekkouinn)
2008-10-18 12:40:06
doriさんのコメントに思わず苦笑させられてしまいました。
アラン・ドロンとマルチェロの区別が付かなかったというのは、その時代にご覧になられた映画の影響かもしれませんね。doriさんのように鋭い嗅覚をもった子供時代の感性って、役者の容貌よりも役柄が放つ本質的な何かを嗅ぎ取ってしまいますから。挙げられた二人の役者は対照的だと思いますが、マルチェロの演じる才能のおかげで、ヨーロッパ男としての共通項がフォーカスされたのかもしれませんね。


わたくしも子供時代、外国の老人役の男性は皆アンソニー・クインに見えました。今観るとアンソニー・クインは藤田まことに見えるから不思議です。(笑)