約5年前に亡くなった父(歯科医師)の遺品で書斎の本棚の上にあった標本。
もう40年位前?にどこかで買って来た人骨の頭蓋骨(本物の人骨)の標本である。
これから先は閲覧注意ですぞ。(説明も超長いしw)
昭和50年前後?ある日父が買って来てから書斎に置いてあった事は知っていた。
当時は世界のどこかで人骨を標本にして販売する業者があったそうだ。
例えば貧しい家庭で家族が無くなるとそんな業者にご遺体を売却したというのである。
宗教的に亡くなった抜け殻には意味を持たない事もあるのでそう珍しい事ではなかったとの事。
いつか何か勉強になる事もあるだろうと処分せずに保管。
とってもキレイな標本に仕上げてあり歯周病の進んだ方だったらしく
歯槽骨は吸収大、歯も生前脱落や死後脱落部分は見られるが全体的には
茎状突起も折れずにあり(隠れて見えないが)骨折部も全く無い。
警察歯科医やってて気にはしていたが仮に我が家が火事で焼け落ちたとしよう。
焼け跡から出て来たこの人は誰?となるはずである。
息子も医師となりこれ要るか?と聞いてみたが「要らんw」と即答。
色々考えたが何十年も標本として誰も出入りしない部屋に置き去りでは標本となったご本人も
不憫で無念かもしれないと思うようになった。
んじゃ、どう処分するの?ゴミで捨てる?^^;
埋葬する?どこに?庭に埋める(わけ無いし)無縁仏として火葬して自治体に頼む?
そしたら火葬許可証は?(火葬してないと埋葬できない)とか自分で骨を小さく砕いて風呂敷にいれて
持って来いとか言われるし・・・。(市環境防犯課)
どう処分するにしても物が物だけに簡単には行かない。県警本部や県の厚生課にも相談。
どこに相談しても前例が無いので答えられないとの事ww(絶対日本のどこかにまだまだあるはず)
結局地元警察の鑑識を家に呼んで検証してもらい事件性は無くやはり標本として作製された物と見て良いと
判断される。 入れ物も化粧箱が専用に作られた物に違いない。
刑事も「こんなキレイな白骨は見た事がありません」と感心してたし。
そりゃあ標本で売り物だったんですからw
そうなれば物として手放す事は可能である。
そして大学時代の同級生が母校で法歯学の教授をしているのでその講座に引き取ってもらう事になった。
学生達のために役に立ってもらえば幸いである。
今から考えればもっと細かい写真を何枚も撮っておけば良かったのだが何枚かだけここに載せる。
書斎の本棚の上。
紙にくるまれ綿を噛ませてある。
正面観 オトガイ孔 眼窩下孔 はっきり見える。
右側面観
縫合の状態や歯の咬耗などから年齢、前頭骨の傾斜や眼窩上部の隆起(眼窩上隆起)
後頭部の隆起具合から男女鑑別の推定も出来る。
さあ、皆さんはこのお方の年齢や性別が推定できるでしょうか?