日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2014(29)

2014-07-14 23:03:57 | 野球
愛媛の開幕が一日延び、広島、鳥取と香川で全試合が中止となる一方、土曜の開会式を終えた県では戦いが本格化し、39大会386試合の開催でした。本日も各地の戦いぶりを駆け足で振り返ります。

・遠距離
この日の白眉は青森大会の大間対金木です。下北半島の最北端から津軽平野の付け根まで、直線距離なら80kmほどの距離とはいえ、陸路で移動するには陸奥湾を一周しなければならず、距離にすれば170kmにも及びます。しかもその試合が、両校からそれぞれ150kmも離れた八戸で戦われるというのが秀逸です。岩手大会の久慈工対花泉、福島大会の喜多方対原町も、広い県土をまたいだ東北らしい一戦でした。
この手の対戦の宝庫なら長野だと、blog開設当初から一貫して申してきましたが、そうでもないということに最近気付いてきました。長野の場合、県内に満遍なく町が散らばる結果、異なる地区同士のチームを組み合わせても、最南端に最北端といった極端な組み合わせは出現しにくく、むしろ近からず遠からずほどよい距離を隔てたチーム同士の対戦が多くなるからです。とはいえ、東信、北信、中信、南信各地区の出場校が偏りなく組み合わされているのは見事で、序盤であればあるほど組み合わせの妙が際立ってきます。

・離島
開幕以来、試合のある日は最低一校登場していた鹿児島大会の離島勢でしたが、この日は今季初めて出番がなく、東東京の大島と新潟の佐渡のみの登場でした。大島の敗退により、東京からは離島勢が姿を消しています。
と思ったところ、よくよく見ると徳之島の樟南二が登場しており、これで7開催日連続の登場となりました。しかもこの後には屋久島と選抜出場校の大島が控えています。一週間以上にわたって毎日離島勢が登場するのですから、鹿児島大会は偉大です。

・接戦
この日は長崎大会が6試合3中試合で1点差、残る3試合も3点差で、総得点わずかに40という接戦ぶりでした。同じ日のプロ野球で合計64点入ったことを考えても、長崎大会の接戦ぶりは見事です。佐賀大会も相変わらずの安定ぶりで、わずか3試合とはいえ全試合が2点差以内で、3対1がこの日の最大得点かつ最大得点差試合でした。

・大差
20点差以上がついたのは4試合あり、最大得点差は福島大会の27対0, 最大得点は新潟大会の29対3でした。繰り返すように、20点差以上がつく試合では十中八九かそれ以上が零封負けで、得点するとしても1点か2点がせいぜいです。一週間前に32対4というスコアが出現したときには、数万分の一の奇跡だと申しました。これには及ばないとしても、3点取り返した健闘ぶりには敬意を表したいと思います。
ちなみに27点差で大勝したのはあの聖光学院でした。これも繰り返す通り、20点以上の大差がつくのは、勝った側の強さより負けた側の弱さが原因となっている場合が多く、シード校が無名校を完膚なきまでに叩きのめすという場面は、ありそうでなかなかありません。そのような観点からも、この日の試合結果は貴重でした。

・伝統校
千葉の佐倉、神奈川の小田原、愛知の明和に山口の豊浦と、藩校を発祥とする伝統校の揃い踏みが実現。栃木の宇都宮、埼玉の浦和、長野の松本深志、三重の津に兵庫の姫路西といった各県の最古参も続々登場しています。既出のところとしては、甲府一と長岡が二戦目で敗退したものの、修猷館と大分上野丘は駒を進めました。

・無名校
話題に事欠かなかった昨日から一転、本日は江夏の母校大阪学院大が目につく程度でした。

・よい地名
独断と偏見で思いつくまま挙げるなら、まず響きの美しさでは福島の勿来工と長野の飯田風越です。真打ちの京都では、高等女学校を発祥とする鴨沂と朱雀の揃い踏みが実現しました。
その土地らしい旅情を誘う地名という点では、青森の岩木、岩手の平舘、山形の谷地、長野の松本美須々ヶ丘、高遠に穂高商、新潟の分水、さらには熊本の八代清流といったところでしょうか。八代清流は統廃合による新設校で、夏は今季が初登場となります。茨城の大子清流が久慈川にちなんだ校名なら、こちらはもちろん球磨川にちなんだものでしょう。新設校といえども捨てたものではありません。難読地名としては、県別ネタでも紹介した千葉の匝瑳が登場しました。
地名ではないものの、物珍しい校名という点では静岡の「オイスカ」がこの日の白眉です。選手権への参戦は2年前からで、聞き慣れないのはそのせいだったのでしょう。聞くところによれば神道系の新興宗教が背後にあるようで、たとえていうならPL学園あるいは天理のようなものなのかもしれません。もっとも戦績は両校のようにはいかず、この日も敗れて公式戦は創部以来公式戦は8連敗となりました。

・古豪
史上初の決勝引き分け再試合を戦った三沢が青森大会の初戦を突破。関東では上尾、横浜商といった昭和後期の強豪が登場し、茨城の古豪竜ヶ崎一と、昭和最後の選抜で4強入りした市浦和は3戦目に駒を進めました。
この日最も特筆すべきは、第一回から予選皆勤の記録を持つ古豪が揃い踏みを果たしたことでした。愛知四中時代の第二回大会に出場した時習館、甲子園での初開催となった第10回大会に出場した同志社、泣く子も黙る戦前の強豪和歌山中に、この日二戦目に臨んだ神戸二中改め兵庫を加えた四校です。同様の記録を持つ15校の中でも群を抜く実績を持つのは桐蔭ですが、今季は初戦早々智辯和歌山に当たるという不運もあり、兵庫とともに姿を消しました。残る二校は貫禄勝ちを収めて次戦に進んでいます。余談ながら、和歌山大会では分校の星日高中津が初戦を飾る一方、昨年智辯和歌山を破る大金星を挙げた紀北工が散りました。
また京都大会では、戦前から昭和50年代まで長らく平安の好敵手となってきた京都商改め京都学園、兵庫大会では別所、青田ら錚々たる名選手を輩出した滝川がそれぞれ初戦を突破。その一方で神戸商と甲陽学院は二戦目で散り、山口大会でも春14回、夏8回の甲子園出場経験を持つ下関商が初戦で不覚をとりました。

・職業校・変わり種
職業高校の白眉は静岡の焼津水産。あとは県別ネタでも紹介した青森の柏木農、山形の置賜農といったところでしょうか。高専は群馬高専、茨城高専、長岡高専、石川高専、宇部高専、佐世保高専の6校が登場して3勝3敗とまずまずの戦績でした。
県別ネタで紹介したあけぼの学園は、筋書き通りに初戦で散りました。しかし一つだけ違うのは、一桁失点で乗り切ったことです。記録が残る過去8年間、ことごとく二桁失点で敗れてきた同校が、初めて7回まで戦ったことになります。1点でも取り返せば8回以降に進めたかと思うと残念ではありますが、ともかく健闘ぶりに敬意を表したいと思います。

・後日談
青森大会で前日に初戦を突破したばかりの四校が、シード校の餌食となって消えました。15日の2回戦から悠然と登場するチームもある中、初戦を突破した翌日に強豪校と戦わせる意義は何なのでしょうか。シード校からすれば、前日の試合で疲弊したチームが相手ならば一層有利とはいえ、噛ませ犬にされる側はたまりません。何とも不可解な青森大会の組み合わせです。

それにしても試合数が半端ではなく、試合結果を貼り付けるだけでも一苦労です。明日は平日だけに多少は試合数が減ると予想されるものの、あくまで「多少」に過ぎないでしょう。しばらく寝不足が続きそうです…

★青森大会2回戦
 浪岡3-6三沢
 八戸西2-12聖愛
 青森中央10-4岩木
 弘前2-9x青森山田
 大間14-6金木
 八戸学院光星5-0黒石商
 八戸工1-8柏木農
 八戸工大一4-2五所川原農林
★岩手大会1回戦
 久慈工16-8花泉
 平舘6-5高田
★山形大会2回戦
 谷地1-3日大山形
 置賜農5-1荒砥
★福島大会2回戦
 聖光学院27-0岩瀬農
 喜多方8-2原町
 勿来工7-1相馬東
★茨城大会2回戦
 茨城高専3-5土浦三
 科技学園日立3-4x竜ヶ崎一
★栃木大会1回戦
 文星芸大付10-3宇都宮
★群馬大会2回戦
 板倉0-24利根実
 群馬高専4-2新田暁
★埼玉大会2回戦
 所沢北3-6上尾
 杉戸1-2市浦和
 浦和0-10x滑川総合
★千葉大会1回戦
 実籾0-8佐倉
 佐原白楊1-2匝瑳
★東東京大会2回戦
 王子総合7-3大島
★神奈川大会1回戦
 横浜商11-0大磯
 小田原4-2磯子
★山梨大会3回戦
 甲府一1-2x日川
★長野大会1回戦
 松本美須々ヶ丘2-1長野西(延長12回)
 塩尻志学館2-11飯田
 高遠2-12x田川
 上田千曲7-8x松川
 松本深志3-7地球環境
 松本県ヶ丘13-8岩村田
 赤穂5-6中条・屋代南・明科
 松代2-8飯田風越
 伊那弥生ヶ丘6-2長野俊英
 下高井農林5-10小諸
 篠ノ井7-3穂高商
★新潟大会2回戦
 高田北城29-3堀之内
 長岡高専0-7新潟工
 分水1-6三条東
 佐渡3-1村上桜ヶ丘
 糸魚川6-3長岡
★静岡大会1回戦
 静清15-4オイスカ
 駿河総合2-1焼津水産
★愛知大会1回戦
 日進0-10x時習館
 明和7-1犬山
★三重大会1回戦
 津11-1日生第一
 あけぼの学園0-7稲生
★富山大会1回戦
 不二越工20-0中央農
★石川大会1回戦
 金沢二水5-6x石川高専
★京都大会1回戦
 鴨沂1-12x京都翔英
 加悦谷0-4京都学園
 朱雀0-7x日吉ヶ丘
 同志社8-4京都文教
★大阪大会1回戦
 大阪学院大5-3西野田工科
★兵庫大会2回戦
 滝川4-3葺合
 甲陽学院4-5x八鹿
 柳学園3-2兵庫
 三田松聖13-0神戸商
 姫路飾西1-2姫路西
★和歌山大会2回戦
 日高中津3-0県和歌山
 紀北工3-4x伊都
 智弁和歌山4-1桐蔭
★山口大会1回戦
 萩商工4-2宇部高専
 豊浦2-4下関中央工
 下関商2-5西京
★福岡大会3回戦
 久留米4-8修猷館
★佐賀大会2回戦
 佐賀商2-0唐津南
 唐津西0-1x早稲田佐賀(延長11回)
 東明館3-1高志館
★長崎大会1回戦
 長崎工3-4大崎
 波佐見6-3長崎南山
 長崎明誠0-3島原工
 佐世保高専4-1国見
 長崎東5-4長崎日大(延長10回)
 島原中央4-3佐世保西
★熊本大会2回戦
 八代清流2-12x熊本二
★大分大会2回戦
 日本文理大付2-4大分上野丘
★鹿児島大会2回戦
 国分中央3-0樟南二
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