日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

早春の駿河を行く - 和風ビジネス旅館福住

2017-02-12 09:15:08 | 東海
朝食をいただいてから出発します。ここで熱心な読者の方は、何かが違うことに気付かれたかもしれません。
10時の開店を待って朝食がてら市場を訪ねるのが、清水に泊まった翌日の常でした。しかし今回は宿で朝食をいただきました。というのも、市場の食堂で手軽に済ませようとすると、前日呑み屋でいただいた魚介に比べて半端さが否めず、だからといって朝食に大枚をはたくつもりもなく、果たして市場が最善の選択なのだろうかという気がしていたのです。雰囲気を楽しむ向きには、むしろ昔ながらの旅館の朝食が合っているような気がしました。そこで今回初めて朝食をお願いしたわけなのですが、この狙いは見事に的中してくれました。
焼魚を中心に味付け海苔、生卵、冷奴、それにご飯、お新香、味噌汁という組み合わせは、絵に描いたような旅館のそれで、先週福井で出た鰤が、鯵の干物に変わるところに土地柄が感じられます。明るく清潔な食堂の雰囲気も、館主、女将以下総出で仕切る厨房の活気も好ましいものがありました。
後からきた宿泊客と女将の会話からして、何度も泊まっている常連客が多いのでしょう。昨日廊下ですれ違った家族連れからも、「いつもの部屋」なる言葉が聞かれました。たしかに、定宿にするのであれば、無味乾燥なビジネスホテルよりもこの方がよいに決まっており、宿の側としてもおそらくこの方が楽しいのではないでしょうか。ビジネスホテル全盛の今日、あえて手間のかかる昔ながらの形を守っている理由が、何となく分かったような気がします。

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