日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

年の瀬の会津を行く - 籠太

2015-12-19 21:39:10 | 居酒屋
「麦とろ」と「鳥玄」でたらふく飲み食いし、時間はともかく体力的には限界といってもよい状態です。しかし、やはりこの店に立ち寄らなければ会津の夜は終わりません。宿で一風呂浴びてから「籠太」にやってきました。
店の評判は年々高まり、先日はとうとう航空会社の機内誌にまで掲載され、今や左党ならずとも知る全国区の有名店です。週末は予約満席が常態化しているようで、今日も電話一本入れるなり、どの時間も満席とのつれない返答が。まさかと思いつつ、九時頃でよいのだがと申し出ると、それなら結構だとの返答があり、次いで名乗るやいなや連絡先すら聞かれないまま電話を切られました。これが一見客なら、本当に入れるのか半信半疑になったり、場合によっては口コミサイトに不平を書き込んだりするところでしょう。しかしこちらは十年来の付き合いです。高を括って乗り込むと、当然のごとくに席が用意されていました。常連客同然にあしらわれるとは、自分も一人前になったものだと思います。
酔いは回って腹具合も限界、何品も選べる状態ではありません。必然的に選択肢は定跡に絞られ、焼鳥、豆腐、塩辛の「三種の神器」を肴に酒を四杯、〆て二合と半分を干したところで看板に。万全な状態ならば、あとは冬の定番であるおでんと何か一品いただきたいところではありましたが、それは次回までのお楽しみとなります。年末の風物詩、細長い半年分のカレンダーを頂戴して辞去しました。

籠太
会津若松市栄町8-49
0242-32-5380
1700PM-2300PM
日曜定休

飛露喜・寫楽・会津中将・弥右衛門
お通し(南蛮漬け)
つくね・ねぎま
塩とうふ
いかの塩辛
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年の瀬の会津を行く - 鳥玄

2015-12-19 17:34:22 | 居酒屋
名選手必ずしも名監督ならずというように、酒どころが必ずしも名酒場の宝庫というわけではありません。しかし、会津に関する限りは酒どころにして名酒場の宝庫であり、教祖の推す「鳥益」を始めとして、いまだ訪ねたことのない店がいくつも残っています。それでもなお、夜の部の一軒目はここ以外に考えられませんでした。鐘撞堂の「鳥玄」を再訪します。

過去の記録を繙くと、前回ここを訪ねたのは三年前の早春で、それが二年ぶりの再訪だったようです。毎回立ち寄る「麦とろ」「籠太」の両店に比べ、この店を訪ねる頻度が大きく落ちるのは、内容面で劣るからではなく、看板が早いという理由によります。九時、場合によっては八時頃でも行灯の明かりを落としてしまうため、その頃に着く自分にはなかなか縁がないのです。とはいえ、鐘撞堂の裏に佇む情緒漂う店構えと、美しい設えの店内は唯一無二であり、店主の所作もこれまた美しく、それらをアテに呑めてしまうほどの店です。五時から入れるという条件が整ったとき、他の店に行くという選択は考えられませんでした。
看板の早さに加え、肴の充実ぶりもこの店を一軒目に選びたい理由の一つです。ここでの注文は2500円のAコースと決まっています。品書きを眺めて組み立てを考えるのも独酌の楽しみと考えている自分にとって、おまかせは主義に反する選択です。とはいえ、同じ店に何度か通えば注文が固定化されてくるのもまた事実ではあります。そのような、何度か通えば固定化されてくるであろう組み立てが、この店のAコースには集約されているのです。
2000円そこそこのセットといえば、酒一本に刺身と小鉢が一、二品といったところが相場でしょう。ところが当店のコースは充実しています。季節により多少の入れ替えはあるものの、この日はまず突き出しに蒸し鶏を辛子で和えたもの、茄子の辛子漬け、蕪漬けと酒粕が出てきました。それも「麦とろ」で出たいか大根に引けを取らない、突き出しというには十分すぎるほどの分量です。焼き物は肉巻き、カシラのタレ焼きが二本ずつと厚揚げ田楽、さらには割り竹に詰めて炙った当店名物のつくね、〆て四種で六本。これに鳥と葱と三つ葉の蒸し物、蒸し餃子、抹茶アイスが加わります。これだけの品々を二軒目以降でいただくのは当然無理で、行くなら一軒目しか考えられません。そのようなつもりで今回も一軒目にしたところが、昼の部で「麦とろ」に長居した結果腹ごなしが十分にできておらず、息切れしつつもどうにか完食という結果でした。

ちなみに先客は奥の囲炉裏に一組のみ。その結果、迷うことなくコの字カウンターの中央に着席しました。正面に炭火と蒸し器があり、店主の仕事ぶりを目の前で眺められる上に、炭火と湯気とストーブで暖もとれる特等席です。さる日曜に訪ねた奈良の「蔵」にしても、翌日訪ねた京都の「よしみ」にしてもそうでしたが、このところ立て続けに、コの字カウンターの中央の特等席に当たっています。それ以外のカウンターでも、教祖の指定席に通された「赤垣屋」を始めとして、ことごとく特等席に通されている状況です。全くの運とはいえありがたい話です。
そのカウンターに、今日は跡取りか弟子と思しき人物が加わっています。この美しい造りの店は次世代へ受け継がれて行くのでしょうか。そうであってくれれば幸いに思います。

★鳥玄
会津若松市栄町4-46
0242-24-9663
1700PM-2200PM(売切御免)
日祝日定休
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年の瀬の会津を行く - 関漆器店

2015-12-19 17:16:58 | 東北
続いては関漆器店に立ち寄ります。酒屋と違って毎回訪ねているわけではなく、昨秋以来一年以上の間が開きました。それだけに、店主と女将がいずれも不在だったのが残念です。また来年お会いしましょう…

関漆器店
会津若松市中央1-4-12
0242-25-0151
900AM-1800PM
不定休
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年の瀬の会津を行く - 植木屋商店

2015-12-19 16:30:03 | 酒屋
鶴ヶ城を一周したところで日が暮れました。これなら宿には戻らず呑み屋が開くのをそのまま待った方がよいでしょう。待ち時間を利用して植木屋商店に立ち寄ります。本日通ってきた南会津に敬意を表し、田島の地酒「國権」の新酒を選びました。

植木屋商店
会津若松市馬場町1番35号
0242-22-0215
930AM-2130PM
日曜定休
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年の瀬の会津を行く - 鶴ヶ城

2015-12-19 15:22:30 | 東北
酔い覚ましを兼ねて鶴ヶ城を訪ねます。よくよく考えると花見の時期以外は近寄ることさえほとんどなく、冬に訪ねるのは初めてのような気がします。花見の時期でさえ、天守の周辺以外はさほどの見物客もいない城址だけに、薄ら寒い曇りの日にわざわざ訪ねる物好きがいるはずもなく、人通りは皆無に近い状況です。銀杏も紅葉も残っていた京都と違い、木々は当然ながら裸になっていて、それが寒々しさに拍車をかけています。
会津では金沢などと同様に雪吊りするということを、今回訪ねて知りました。豪雪地帯の米沢と違い、会津の雪はたかが知れているのかもしれません。ただし「麦とろ」の店主によれば、これほど雪が少ない年も珍しいようです。やはり今年はどこへ行っても暖冬なのでしょう。この調子なら来年の桜も早咲きになるのでしょうか。今年はあまりの早咲きにより訪ねる機会を逸しただけに、来年こそ再訪できることを願っています。
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年の瀬の会津を行く - 麦とろ

2015-12-19 12:52:59 | 居酒屋
呑み屋街を鐘撞堂に向かって歩くと、風にはためく「麦とろ」の暖簾が見えてきました。昼夜を問わず、土日も祝日も開いていて、いつ休んでいるかが不思議ではありますが、こちらにとっては有難い話です。花見で立ち寄る機会を逃したため、今年は三月に「籠太」の後で寄っただけでした。腰を据えて呑むのは実に久々です。
暖簾をくぐるとまず店主が迎えてくれ、前回休んでいた婆さんも健在でした。カウンターにいた先客のおばちゃんが入れ替わりに出ると、残ったのはいわゆる「ママ友」同士できたと思しき親子連れが二組。いずれも昼から酒を食らうような人々ではなく、この時間は呑み屋というより食事処という雰囲気です。とはいえ、昼だからといって品数が限られることはなく、気兼ねなしに呑めるのは助かります。ママ友同士がおしゃべりに興じる中、店主が子供二人と戯れる光景も微笑ましいものがありました。
この店を訪ねるとき、先客がいない限り決まって勧められるのが、L字の角を切り取ったカウンターの奥の方です。個人的には、厨房を対角線上に見渡せる角の部分を好むだけに、何故決まって奥の方を勧めるのかを常々不思議に思っていたところです。しかしこれには当然ながら理由がありました。先客のおばちゃんが去った後、勧めに従い奥の席に移ると、背後から暖気が立ち上ってきたのです。見れば囲炉裏の脇でストーブが燃え、上に乗せたやかんが湯気を立てていました。寒風が肌身に沁みる日にはありがたい心遣いです。酒と肴が尽きる頃、見計らったかのようにわらびの塩漬けが差し出されるといった間合いも心憎く、延々二時間の昼酒と相成りました。

麦とろ
会津若松市栄町4-9
0242-24-9886
1100AM-1400PM/1700PM-100AM

名倉山・会津中将・会津娘・花泉
お通し(いか大根)
身欠き鰊山椒漬
馬刺し
白菜漬け
わらび
味噌汁

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年の瀬の会津を行く - 渡辺宗太商店

2015-12-19 12:11:24 | 酒屋
呑み屋街に直行するかというとさにあらず。まずは駅前の渡辺宗太商店で酒を買います。試飲ができるにもかかわらず、日頃車で訪ねることから猫に小判となっていたところ、今回は遠慮なく試飲ができる状況です。ならばしこたま呑んだ後よりも、感覚が鋭敏な状態で行くに限ると考えました。
12月も中旬を迎え、品揃えは新酒一色になってきました。毎度おなじみ「天明」と、同じ曙酒造の「一生青春」を飲み比べた結果後者を選択。おりがらみの火入れ酒という、少し変わった商品です。

渡辺宗太商店
会津若松市白虎町1番地
0242-22-1076
900AM-1900PM
火曜定休
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年の瀬の会津を行く - 寒風

2015-12-19 11:44:54 | 東北
宿に荷物を預けて身軽になりました。「麦とろ」が開いていればまずそこで呑み、そうでなければ他の心当たりを回ります。さらに酒を買うなどすれば三時は回るでしょう。その後宿に戻って一風呂浴びれば、五時の開店と同時に夜の部が始まるという理想的な流れです。会津に長年通っていても、この時間から呑む機会は滅多にありません。長らく無沙汰している「鳥玄」の再訪を考えていますが、心惹かれる酒場の多い会津だけに、たまには新規開拓もよいでしょう。九時を過ぎたら満を持して「籠太」に入り、そこで締めくくれれば理想的です。
ちなみに現在の気温は4度、雪はなく、時折日も差してはくるものの、ここまで気温が下がると寒風が肌身に沁みます。実は、長らく薄着で通したためか、喉の痛みが出てきました。下手に冷やして風邪など引くと厄介です。薄着をし過ぎて震えるよりも、厚着し過ぎて汗をかくのを何より嫌う暑がりではありますが、今日は長袖二枚と雨合羽の準耐寒装備で活動します。
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年の瀬の会津を行く - 若松到着

2015-12-19 11:29:53 | 東北
幸いにして、乗客が全員着席できる乗車率を維持したまま会津若松に着きました。先ほど軽薄とは申しましたが、都会にはびこる通勤電車ほどの安普請ではありません。シートモケットは国鉄型を彷彿させる青一色、肘掛は木製で、大きな一枚窓から眺める磐梯山と飯豊山も秀逸でした。それを含め、五時間の汽車旅を満喫できたのは幸いです。
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年の瀬の会津を行く - 週末パス

2015-12-19 10:13:01 | 東北
列車を乗り継ぎ会津若松へ向かいます。乗り継ぎと同時に浅草からの乗車券もここで終了、あとは週末パスの利用です。
片道3240円の運賃は、東京から郡山までの特急料金と比べても大差ありません。郡山を経由すれば、会津若松までは二時間半といったところでしょうか。新幹線に乗るのとさほど変わらぬ運賃を別途支払い、倍近い時間をかけて行くのですから、まったく物好きな人間ではあります。しかし、無味乾燥な新幹線と、何の面白味もない719系の普通列車では、わざわざ乗るに値しません。新幹線で直行直帰する以外の選択肢が次々に奪われて行く現代にあって、それ以外の経路を選べるのはありがたいことです。

ちなみに、若松まで乗車するのは単行のワンマンカーです。無味乾燥な新潟トランシス製の規格型で、車体に描かれた「ゆるキャラ」が軽薄さを助長しており、旅情の点では浅草から乗車してきた電車に及びません。ボックス席を押さえられたのはよいものの、始発駅の時点でボックスが全て埋まった状況では、若松が近付けば立ち客が溢れ返るのでしょうか。最後に興ざめさせられるのは御免蒙りたいものですが。

★会津田島1007/2310D/1117会津若松
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年の瀬の会津を行く - 帰らざる日々

2015-12-19 10:02:04 | 東北
会津田島に着きました。古い車両の味わいとめくるめく車窓で一切退屈しない三時間半の旅は、昨冬何度も乗車した金沢行の「北越」にも通ずるものがあります。二度と帰らぬ、古きよき時代の思い出ですorz
感傷はさておき、クロスシート車での旅は期待以上に楽しく、再度乗車するにもやぶさかではなくなってきました。もちろん、会津への旅における車の優位性が揺らぐことはなく、この経路が主流になるとは思いません。しかし、今回のように仙台の「光のページェント」と組み合わせる前提であれば、年の瀬の恒例行事とすることもできるわけです。来年早速再挑戦することになるかもしれません。
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年の瀬の会津を行く - 会津鉄道

2015-12-19 09:25:15 | 東北
県境を越え、路線は会津鉄道に変わりました。しかし列車はこの先会津田島まで直通します。会社間、支社間の境界でいちいち乗り換えを強いられるのが常態化した今日、三社にまたがる列車は貴重な存在です。
ちなみに、湯西川を過ぎた頃から車窓は雪景色に変わってきました。ただし銀世界というまでには及ばず、雪化粧と形容するのが合っています。県境でこれなら、会津盆地にまだ雪はなさそうです。
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年の瀬の会津を行く - 野岩鉄道

2015-12-19 08:48:06 | 関東
新藤原でさらに二両を切り離し、残る二両で野岩鉄道に直通します。雲は次第に厚くなり、いつしか小雪が舞い降りてきました。検札に来た車掌の栃木弁が旅情を誘います。
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年の瀬の会津を行く - 男体山

2015-12-19 08:15:10 | 関東
下今市に着きました。ここで日光行の後部二両を解放し、新藤原でさらに二両を切り離して、残る二両が会津まで走り通すという三階建てです。
晴れわたっていた空に雲が出始め、平地が次第に狭まると、雪雲に半分ほど覆われた男体山が見えてきました。しかも、駅の手前で左にカーブが切られると、左前方にあった山が正面に移り、列車はそのまま構内に進入して行きました。日光線と分かれれば今度は右にカーブが切られ、男体山再びは正面から左、さらには後方へと去って行くのでしょう。高崎駅の前後で眺める赤城山と対照形をなす、起承転結のある名車窓です。
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年の瀬の会津を行く - 快速列車

2015-12-19 07:17:58 | 関東
おはようございます。四時過ぎに頃よく目が覚めたためそのまま起床し、六時台の快速列車に乗り込みました。閑散期の早朝ということもあり、ボックス席の狙った位置を難なく確保。列車は埼玉、茨城、群馬、栃木の県境が入り組む場所を走行中です。
車窓の左手には一点の曇りもなく晴れわたった富士山の頂が、右手には筑波山の稜線が見えています。透明な青空も霜が下りた田畑も冬の関東平野そのものです。しかし、安普請の規格型車両ではこの車窓の楽しみも半減していたでしょう。ビロードのモケットを奢ったボックス席で、直流電動機の唸りに耳を傾け、鋼製車両の重厚な乗り心地を体感しつつ、大きな一枚窓を通して眺めることにこそ価値があります。
この先さらに北上すれば、今度は日光の山々が見えてくるのでしょうか。さらに進めば雪景色に変わるかもしれません。終点まで退屈する間はなさそうです。

★浅草620/33レ→133レ→133M/945会津田島
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