日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

死んだ子の

2012-09-06 23:18:13 | 旅日記
今週に予定していた北海道への旅が頓挫して、帰り道の一人酒がせめてもの楽しみという日々が続く中、終始気になっていたことが一つあります。それは天気予報です。しかも気になるのは、今日明日がどれだけ暑くなるかということでもなければ、今週末の天気予報でもなく、「北海道の天気が今どうなっているか」ということなのです。

先週末の時点では、土日を過ぎると曇りか雨が数日続き、次の土日でようやく回復するというのが北海道の週間予報でした。ところが、いざ蓋を開けると、天候の崩れが予想ほどではなく、終日快晴というほどではないにしても、毎日一定以上の時間は晴れるという天候が続きました。週末まで待たされるはずだった天候の回復も日を追うごとに早まって、今日の午後雨が降った以外は終始好天で終わるということになりそうです。
最高気温が20度台の半ばで最低気温が10度台の後半ということは、日中は日差しを受けて思い切り汗をかくほどの陽気でしょう。しかし、そんな中でも木陰で受ける風は涼やかで心地よいものです。そして日が傾けば熱気はたちどころに失せて、キャンプをするにはおあつらえ向きの条件が整います。一風呂浴びて汗を流し、キャンプ場でありあわせの酒と肴を広げて晩酌し、ほどよいところで切り上げて眠りにつけば、翌朝はわずかばかりの肌寒さとともに目覚めるはずです。寝袋から這い出て背伸びをしつつ、冷たい空気を吸い込む瞬間の心地よさというのは、何をもってしても代えることができません。そんな至福のひとときを味わい、機材を撤収して移動を再開する頃には、日が高く昇って気温も上がり、朝方羽織った長袖シャツを脱ぎ捨てたくなってきます。こうして巡る一日の繰り返しこそ北海道の旅の真骨頂であり、それを味わいたいなら今週はこの上ない機会だったようです。

こうして現地の天気を日ごとに追いつつ、もし北海道へ渡っていたなら今頃どこで何をしていたかと想像し、秋晴れの空が広がる北の大地と、空さえ見えない都会との落差に打ちひしがれるというのが、この一週間の日常でした。いくら嘆いたところで何が始まるわけでもなく、むしろ鬱になるだけだということは百も承知しているわけです。しかし、「死んだ子の歳を数える」というたとえ話があることからして、この心情は多かれ少なかれ万人に共通するものともいえます。人間の浅はかさを否応なしに実感させられたこの数日でした。
一つだけ違うのは、死んだ子が戻ることはないのに対して、北海道には再挑戦の機会が残っているということです。先のことはまだ分からないとはいえ、首尾よく来週末から出られれば、多少は寒くなるにしてもどうにかキャンプはできます。それで好天にも恵まれれば、鬱積した気分もたちまち吹き飛んでくれるでしょう。ただ、来週末も逃したり、現地での天候が冴えなかったりしたときはそれこそやりきれません。死んだ子の歳を数え直したくはないのですがね…
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