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森男の活動報告綴

身辺雑記です。ご意見ご感想はmorinomorio1945(アットマーク)gmail.comまで。

森男の「それがどないしてんニュース」(2018年7月号)

2018年07月28日 | 雑記
このところ濃い(自分なりには)内容が続いたので、今回は気楽にやります。以前は日々のちょっとした話題も書いてたのですが、最近は1テーマで1エントリーという感じになっちゃってて、そういう話題が書けてないなあ、と。しかしながら、内容的に紹介するほどのことでもなくて(というと1テーマのエントリーがそれほどたいしたものか、というとそうでもないかもですが、、、)、でも書いときたいなあという気もするかな?(どないやねん)という内容を集めました。要するに、どーでもいい近況です(笑) 結論としては、読んだ後に「それがどないしてん」となると思いますが、そもそもがそういうエントリーですのであらかじめご了承下さい。

●たぬきケーキ

父の日に、親父が好きなたぬきケーキを買って家族で食べました。これ、地元のお菓子メーカーさん(ケーキ屋さんもやってます)の名物なんですね。何十年も前から変わらず定番として売られてます。頭の中はバタークリームで、体はスポンジケーキ。耳はアーモンドです。1個290円とかなり安いです。

うーん、カワイイ、、。

こちらが中身。食べるのがカワイソウなんですけど、食べるしかないわけです。「残酷で不適切な描写が含まれる画像」かもですがご了承下さい。モグモグ。

お味は素朴で、昔ながらのケーキ、という感じです。

県外の人はまあ知らないかと思いますが、私の地元ではとても有名です。多分かなりの人が食べたことがあるんじゃないかな?と思います。

子供の頃はこのケーキ屋さんのお店が近所にあって、月1回か2回くらい母親が家族分のケーキを買ってきてくれて食べてました。それがとても楽しみでした。その時、親父は必ずこれでしたね。私は当時これはもひとつだと思ってて、チーズケーキとかチョコレートケーキを頼んでたのですが、いま改めて食べてみたらとてもいいケーキだったんだなー、と。何十年も変わらず同じケーキを作り続けてくれてるのって、ほんとなんか嬉しいですね。おかげでたった290円で数十年前にタイムスリップできるわけで、、。

●熊の置物

友人が教えてくれた古道具屋さんに行ってみました。とてもいい感じでした。私は何も買わなかったのですが(ほしいものはいっぱいあったけどグッとこらえた)、嫁の森子(仮名)が熊の木彫りを買いました。2000円。

いやー、いいですね。「昭和!」って感じがします。こういうのもちょっと前は普通に見かけたような気もしますが、気が付くとなくなってましたね。ここ何年か、昭和的なものにすぐヤラレちゃうようになってしまってまして「ほんと年だなあ」と思います。そんな年じゃないとは思ってるんですけど、やっぱ年なんですかね?(知らんがな)

●猫の財布

嫁の森子(仮名)の母親の知り合いが作って送ってくれたもの。いやー、ステキすぎます。

使いたいけど、40男がコンビニとかでこれからお金を出したら通報されるかもしれないので(笑)、パソコンのそばに飾ってます。首の下にスズがついてるんですよー。蓋を開けるとチリチリ鳴ります。カ、、カワイイ、、。やっぱ通報されますね(笑)

●アニメージュ

部屋の掃除をしていたら「月刊アニメージュ1989年8月号」が出てきました。数年前に、ふとオークションで見掛けて買い直したものです。もちろん(?)当時買ってたんですが、処分してしまってて、つい懐かしくて買ったんですね。その証拠(?)として付録の「パトレイバーガイドブック」は当時買ったものです。これだけはとっておいたんです。

両方見直してたら、1989年がフラッシュバック!(笑)いやー、たまらんですね。

「魔女の宅急便」の総力特集はもちろん、イラストコラムで出渕裕氏が「インディ3はよかったんだけど、できればノイバウフォールツォイクを出して欲しかった!」とか描いてたり(AFVマニアはともかく、アニメファンのどれくらいがわかるんだ、という(笑))、小林源文氏が「東京兵団」(本にはなってないはず)を連載してたりと、フルスロットルな内容に鼻血ブーです。

付録のパトレイバーガイドブックも凄い内容で、今でも一級の資料じゃないかと。押井守氏の漫画とか、過去の押井氏の作品解説とか、ほんと読み応えがあって、何度も何度も読んだのでボロボロです。

「あー、この頃は凄い人が凄い作品を作ってる時期で、ほんと良かったなあ」と思いつつも、実はこの頃って、こういうのが好きな私たちにとっては最悪の時期だったんです。この表紙もメチャクチャ有名になったんですよね、、、。今はアニメとか漫画とかって凄い地位が上がってますけど、当時、そういうのを好きでいるというのはなかなか大変でした。

小学生の頃は、誰もがプラモやアニメや漫画は大好きで、全然OKだったんですけど、中学高校と年をとるにつれて、みんなスポーツとかおしゃれとか異性交遊(笑)に興味がシフトして行って、だんだん離れていきました。夢中で公園の砂場で遊んでたら、ふと気が付くとだれもいなくなってた、みたいな。そういう寂しい感じって、なんか私の原点のような気がしてます。寂しいことなんですけど、だからこそ大事にしなきゃアカンのかな?とも。

こちらは「魔女の宅急便」ガイドブック。上映直前の同じ頃に発売されたものだと思います。もう、ボロボロですね(笑)これは捨てずに置いてあって、実家にあったのを発見してピックアップしました。右下にオカンが家計の計算書きとかしてます(笑)


内容的には、映画の紹介とか、小説家の氷室冴子さんと宮崎氏との対談とか、アフレコレポートとか、とにかく総力特集、といった感じ。


武田鉄矢さんとの対談もありました。当然ですが2人とも若い!!宮崎氏はこのとき48歳くらい。今の私とそんなに違わないと思うと、驚愕っていうか、肩が外れてブラブラしますね(笑)

で、「やさしさに包まれたなら」って、荒井由美さんの19歳のときの曲なんだそうですね。それを知ったときも「あー、もう全然次元が違うわ。別世界だわ」って思いましたね。ほんと「個々人の精進あるのみ。結果は知らん!勝手にせい!」でありますね(笑)

で、この本の凄いところは、資料的にも凄く丁寧に作ってあるところでした。宮崎氏の過去の作品を系統立ててキチンと解説しているので、私にとっては今でも一級の資料となってます。書籍に入ってないイメージボードがカラーでたくさん入ってるのも「買い」ですね。

アニメージュに限らず、模型誌でもなんでもそうなんですけど、このころの雑誌って、なんというか凄く濃かったような印象がありますね。知りたくもない情報もギッチリつまってて、無理やりお腹につめられたような(笑)でもそれが今の血肉になってるように思います。

で、まあ、とにかく、いろいろありますけど、才能があろうとなかろうと(笑)、誰がなんと言おうと、「好きなものは好き!」しかないですよね。それに尽きると思います。少なくとも、今まで「魔女の宅急便」や「パトレイバー劇場版」を、ずっと好きでいられただけでもよかったな、としみじみ思います。89年ごろはほんとキツかったけど、実に楽しかったなあ、と。ほんと、あの頃の夏はスカーッとしてましたねえ、、、。

●自転車のパンクを直す

愛車の自転車がパンクしたので修理してみました。こういうのって、お店の人でないとできないかな?と思いがちなのですが、とりあえずやってみようとやってみたら何とかできました。

最初はパンク箇所を瞬間接着剤でゴム片を貼り付けて失敗したり(今から考えると当然だな、、)しましたが、紆余曲折の末、DYI店で買った新品チューブを交換できるところまでスキルアップ(笑) 後輪のチューブを外すのもお手の物であります。もう怖いもんはないですね。なんでもやってみるもんですねえ、、。

●蟹君闖入

自転車の修理のために、入り口を開けっ放しにしていたせいか、我が家に蟹君が闖入。家に蟹が入ってくるって、なかなかないですね、、。

目がキラキラしてて、オドオドした感じが実にカワイイです。

我が家は築40年くらいの古い家(借家)なのでありとあらゆる生物が跳梁跋扈する野生の王国なんですね。Gだけでなく蚊、蝿、蟻、コオロギ、ナメクジ、蛾、蜘蛛(もう、ちょっと、冗談抜きに勘弁して下さい!! というくらいでかい、、、)、ダンゴ虫、ヤモリ(これは窓の外オンリー。可愛い)などなど、、。でも、蟹は初めてでした。
我が家は川(ほぼ海の河口)が近いので、外ではときどき見かけますが、さすがに家に入ってきたのにはびっくり。蟹君もびっくりしたらしく、慌てて台所の水屋の隙間に入り込もうとしてました。

しかし、このまま奥に入られるとそのまま干からびた屍骸を後日見ることになるのは明らかなので、そのまま静かにして、観てみぬふりをしてお弁当箱を洗ったりしていたらジワジワ外に出てきてくれました。で、手近にあった箒でちょんちょんと誘導してやって、何とか外に出て行ってもらいました。いやー、よかった、、。蟹君、元気でね!お礼はできるだけでええからな!(?)

●ロシアの銃の本

ネットオークションで見かけて買った本です。「リボルバーとピストル」というタイトル。

表紙がおもちゃの銃なのがセンスがよいです。でも、中身はスゲーです。

古今東西の拳銃を、弾丸込みで線画でメチャクチャ詳しく解説していて、絶句しました。「いやこれ何のための本?」という感じ。

ちょっと詳しい方なら、このページを見るだけでお分かりになるんじゃないかと。私なんかは、知らない銃の方が多いです。うーん、凄い、、。

類似品が多くて、系統立てて把握することが難しいスペイン製の自動拳銃のページもこの通り。アストラ天国、ですね。

ロシア語ということもあって、誰も欲しがる人がいないのか、1500円くらいの出品値であっさり落札。私はキリル文字はなんとか読めますので、それなりの価値のある買い物だった、と思いたいです(笑)。この本で知った銃を、英語で検索したら画像で実物が引っ掛かるかも、とか考えてます。でも、ロシア語表記が英語表記とイコールではないみたいでなかなか難儀です(笑) 少なくとも、ロシアで外国の銃がどういう風に表記されているのか、ということだけは分かる、貴重といえば貴重な本です。例えばコルトはコーリト、ブローニングはブラーウニング、モーゼルはマウゼールなどなど。でも、それを知ったとてほんと「それがどないしてん」って感じですね(笑) でも、今後、銃イラストを書く際のかなりの財産になってくれそうです。

●インドの扇風機

毎夏活躍してくれている扇風機です。夏になったので、埃を綺麗に拭って参戦してもらいました。で、これ、インド製なんですね。15年位前に通販で買いました。

特殊な通販じゃなくて、普通の通販本に新品としてさりげなく載ってて、買ったものです。1万円しなかったんじゃないかな?と。多分2万だったら買ってないので(笑)、その辺だったと思います。で、届いたのを見てびっくりしたのが、ご覧の通りまんまアンティークの扇風機でした。でも、新品という、インドの奥深さを知る逸品でした。本体・プロペラともども完全金属製です。メチャクチャ重いです。音はちょっとうるさいんですけど、実によく回ってくれます。

インド製の家電自体私は買ったことがなく(そういう方が大半かと)、さすがに買うときに「大丈夫かいな」とふと思いはしましたが、15年もけなげに頑張ってくれてます。構造が単純なのがイイのかなあ、と。インド偉い!

凶器になるくらい重いので、夜中に目を覚ましてトイレに行った帰り、足を引っ掛けて痛い思をして舌打ちを何度もしたことを差っ引いたとしても、非常に頼もしい扇風機であります。この夏も頑張ってくれると期待しております。もちろん、これだけじゃなくて、日本製の現代の扇風機も持ってますよ、念の為(笑)でも、我が家にはクーラーはないです(壊れた窓付けタイプのはあり)。名誉のために言い訳しますと、クーラーが買えない訳じゃないんですよ。いや、ほんとに。クーラーがあんまり好きじゃないのと、毎年なんだかんだでしのげてるので買わないままになってるんですね。うーん、ほんと今年はキツそうなので買おうかなあ、、。でもいま頼んでもいつ付けてくれるかなあ、、とか言ってる間に夏が終わっちゃうんですよね(笑)

というわけでお終いです。今年もほんと暑いですね。私はこんな感じで(?)なんとか適当に日々をやり過ごして降ります。皆様も何卒ご自愛下さい。暑いのがいいのは、ガスガンが調子がいいところですね。私のベレッタ(我が家で唯一まともに作動するガスブロ)もガンガンブローバックしてくれてご機嫌です。

結局銃の話題かよ!」という感じですけど、まあ、そういうことで。

いやほんと、徹頭徹尾「ほんま、それがどないしてん」って感じでしたね。でも、また話題が溜まったらこんな感じでお茶を濁したいと思ってます(笑)

それでは。


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モーゼルC96 1/1 (マルシンモーゼルM712の外観カスタム)

2018年07月15日 | 銃の模型
今回は、マルシンのモデルガン「モーゼルM712」の外観を「モーゼルC96」にカスタムした作品を紹介したいと思います。プラモデルなら、単に改造と書けばいいんですけど、「モデルガンを改造した」という時点で実にアブナイ感じがしてしまいます(笑)。なので、拙ブログでは「カスタム」という言葉で統一します。

製作したのは17-8年くらい前です。M712は着脱式マガジンで、C96は固定式マガジンなので、フレームの構成が外観・機構ともども違ってます。その辺がカスタムのポイントになります。

C96は1896年から1930年代後半まで(1937年ごろまでらしいのですが、正確にはいつ生産が終了したのかよくわからないんです)の長期間にわたって生産されたので、時期によって各部にいろいろと差異があります。この作品は、第一次大戦ごろのコマーシャルモデルをイメージして製作したものです。

最初に断っておきますが、この作品は外見を変えただけのもので、ベースにしたモデルガンの安全対策(インサート処理など)には一切手を加えておりません。私は、他にもいろいろこういうカスタムをやったことがありますが、その辺の安全対策についてはきちんとやっています。その点については何卒ご理解をいただければと思います。なんか真面目な話で恐縮ですが、こういう安全対策をきちんとすることが、この趣味を楽しむ基本だと考えているもんで、、、。

ベースとなったM712はご存知の通りマルシンの傑作モデルガンです。M712の原型となったC96は、MGCが金属モデルで出していましたが、プラスチック製では製品化されたことがありません。やっぱり、金色の金属製じゃなくて、黒いC96が欲しいなあと思っていたのですが、いつまでたっても製品化されないので、作ったというわけです。

それを以前ブログでちょっと紹介したところ、それを読んだ方から「私も作っているので、製作について不明な点を教えて欲しい」というメールが。「これこれこうで」と返信文を書いているうちに「昔の作品だけど、せっかくだし一度独立したエントリーで紹介してみようかな?」と思った次第です。

さて、本題です。実銃について簡単に説明しますと、C96はいわゆる「モーゼルミリタリー拳銃」のベーシックな形式です。Cはコンストラクションの頭文字で「1896年に作られた」という意味らしいです。最初期のオートマチック拳銃の中では、性能的に最も成功したものといわれており、世界中で使用されました。本体にマガジンが内蔵されており、クリップで弾丸を装填する方式となっています。M712はC96を元にした派生型です。M712は1932年に製造され、着脱式マガジンに変更し、さらにフルオート射撃も出来るようにしたものです。これまでトイガンで発売されたモーゼルミリタリーはM712が多いので、これがモーゼルのスタンダードかというような気がしてしまいますが、モーゼルミリタリーの歴史の中では、あくまで多数の形式のうちの一つ、なんですね。

外観はとてもよく似ているので、M712とC96の共通の部品は多そうに思えるのですが、一つ一つ比較してみると、同じ部品はほとんどありません。外観で共通なのはリアサイトとグリップの固定スクリュー、ボルトストップくらいです。内部も、ハンマースプリングの周辺程度。カスタムに当たって、比較してみたときにそれが分かって頭がクラクラしました(笑)。なので、カスタムは一見簡単そうに見えますが、かなり大変です。

カスタムの大まかなポイントとしては①マガジン部の加工②アッパーレシーバーおよびフレームの凹みの再現④トリガー、セーフティの形状変更⑤バレルの段差を消す といった感じです。どれもほんと実にメンドクサイです。しかも、マニア以外には大して違いがわからず、頑張った成果が表に出てこないという、非常に恐ろしいカスタムなんですね(笑)

「マルシンのM712をC96にカスタムする大変さは、マルシンのM712をC96にカスタムしたことのある人にしかわからない」という言葉は、マルシンのM712をC96にカスタムしたことのある人にしかわからないんじゃないでしょうか(何だこの文章)

C96やM712など、モーゼルミリタリーのフレーム側面は重量削減とデザインのために一部が凹状に掘り込まれています。それがモーゼルの特長となってます(C96には掘り込まれていない「フラットサイド」というタイプもあります)。C96とM712は凹の形状が違いますので、その辺の再現がキモのひとつです。

凹の掘り込みは、モーターツールを使いました。ビットは、円柱形のものです。M712よりC96の方が凹の面積が広いので、ベースの凹をモーターツールで広げてやります。ただ、定規などを使わずに直線を出すのはかなり難しいので、先にデザインナイフと定規であらかじめ想定するラインを薄く引いておきます。また、凹面は切削加工跡がそのままになっているのも特徴なので、ビットのあとをそれらしく残すのもポイントですね。でも、機械加工のような一定した跡にはならないので、あくまで雰囲気優先となってます。

後方の四角上の凸は、凹全体を掘ってから、四角に切ったABS板を張っています。こうすると加工もしやすく、比較的綺麗にできます。

こうやってアップにすると、ガタガタなのがよくお分かりになるかと(笑)アッパーレシーバーの細い溝は、一旦溝の底のレベルまで全て削り、溝の土手をABS板を張って再現しています。なので、溝の底の機械加工の跡が比較的それっぽく出来ているのがお分かりになるのではないかと。

塗装は、モデルガン用のスプレーを使用しました。メーカー名とかは失念。多分、キャロムとかのブラックスチール系だったかと、、、。どの面もABSの下地は平面を出すように心がけ、その後スプレーを出来るだけ塗面が分厚くなるように吹いて、1500番くらいのペーパーで磨いています。モデルガンって「平面とエッジが命!」なんですよね。結果的にできてるかできてないかは別にして(笑)、それを心がけるだけで仕上がりが違ってくるように思います。ペーパーの研磨後、タミヤのエナメル塗料「レッドブラウン」にミグのピグメント「赤錆」を混ぜたものを角に溜まるように塗り、乾燥後軽くエナメルシンナーでふき取って、錆の表現としています。この頃はまだ油絵の具を使ってなかったのでエナメル塗料を使っています。油絵の具の方が乾燥後の塗膜が強いので、今はそうしています。

こちらがマガジン部のUPです。マガジン部の変更はこのカスタムの最大の難所です。M712は着脱式マガジンですので、その分フレームのマガジンハウジング部が一回り膨らんだような形になっています。C96は内蔵式マガジンなので、そういう膨らみはありません。内蔵式マガジンを新たに作るのは、専門的な加工機械がない素人にはとても無理なので、M712の着脱式マガジンを流用し、どうにか収納するしか手がないのです。例えばLサイズのTシャツを着ている人がC96、2Lを着ている人がM712とします。この作業は、M712にLサイズのTシャツを無理やり着せて、あたかもM712に最適サイズのTシャツが、Lサイズかのように見せないといけないわけです。これは難しいですよ(笑)

マガジンの底板は、ABS板で製作しています。T字型の固定金具は、底板にビスをねじ込んでからプラリペアを盛って成型しています。ビスを内蔵させないと、底板にかかるマガジンスプリングのテンションをとても維持できません。見ての通り、そんなにキッチリと再現はしていません。結局隠れてしまうので手を抜いてます(笑)

こちらがマガジン。左がカスタムしたもの。M712の下部分を金属用ノコギリでゴリゴリ切って(これがまた大変)、スプリングの受けにABS板を入れ、そのテンションを受ける金属棒を入れています。なので、10発は入りません。無理やり押し込んで9発、発火させようとしたら7発が限度です。一応発火できるようにしてますが、調子がいまいちで、調整がめんどくさくて(コラコラ)ほとんど撃ってないですね。


上がM712、下がカスタムしたものです。左右の張り出し部は、M712がかなり広いことがお分かりになるのでは。これをあたかもなかったかのようにいかに誤魔化すのかがこのカスタムのキモなわけです(笑)

完全な平面にしてしまうと、マガジンの最厚部が入る部分が薄くなりすぎて強度を維持できません。なので、微妙なR状にして、一見平面に見えるような感じにしているわけです。また、マガジン底板固定用のロッドをアルミ棒で作って、ライブにしています。下の穴はそれ用に開けたものです。実銃は、このロッドのテンションはトリガー用の板バネと兼用されているのですが、それでテンションをかかるようにするにはロッドをほんとキチンと作らないといけないので、弱めの巻きバネを入れてお茶を濁しています。また、底板後方の半円がところどころ凸凹しているのは、マガジンの出っ張りを逃がすためのものです。

カスタムしたのは実は2丁目でして、これが1丁目です。20年位前に作ったものです。比べてみたら、それなりに進歩しています(笑)で、前述のようにフレームのサイドを削りすぎたために、マガジン後部のあたりがうっすらとひび割れてしまっています。

この辺の失敗を受けて、再度挑戦した、というわけです。

こちらはLSのプラモデルガンのC96との比較。キットを木工ボンドで仮止めしたものです。LSのはほんとよく出来てるのがお分かりになるかと。マルシンM712と寸法がほぼ同じですので、かなり正確なリサーチをしたんじゃないかと思います。開発時期を考えると(40年くらい前でしょうか)凄いなあと。当時資料もそんなになかったと思いますし、どうやって寸法とか調べたんでしょうね。

余談ですが、ハドソンの金属製モデルガンのモーゼルカービンは、当時国内で唯一実銃(狩猟用)を所持されてた方がいて、それを取材・採寸したものなんだそうです。詳細は忘れましたが、戦前から使ってたかなにかで、警察も「一代限りですよ!」ということで認められてたとか。なので、あのモデルガンはそういう意味でもかなり貴重な製品なんですね。でも、ハドソンのは着脱式マガジンなんですけど、オリジナルもそうだったのかな?という疑問もありますが。モーゼルカービンは基本固定式マガジンなので、製品化にあたってアレンジしたのかなあ?とも。以上の話は銃の雑誌でちらっと読んだうろ覚えの知識なので、参考程度にしておいて下さい。でも、この辺についてはほんと詳しく知りたいところです。

余談の余談ですが、ハドソンの社長のインタビュー(ミリタリートイズVol.4)で仰天したのが、昔は採寸のために自衛隊が武器学校の実銃を貸してくれてたそうです(!)マガジン抜きで、という条件付きだったそうですけど、今では考えられないことですねえ、、。例えばトンプソンM1A1はそうやって製品化したとか。

自衛隊だけじゃなくて昔はほんとにおおらかだったようで、警察も映画の撮影用に実銃を貸してくれてたそうです。例えば黒澤監督の「野良犬」に出てくる拳銃は全て実銃らしいのですが、みんな「それ」だとか。鑑識課で九四式拳銃を発砲するカットがありますけど、あれももちろん実包を発射してるんでしょうね。うーん、大らかだ、、。岡本喜八監督は学生の頃、警察から借りた拳銃を撮影現場に届けるというバイトをしていたそうです。イヤイヤイヤ、実銃をバイトに預けたらアカンだろ。大らかにもほどがあるやろと思いますが、官公庁であれ個人個人であれ、昔の日本は人が人を信頼するのが基本だったんだろうなあ、ということがよくわかるエピソードです。昭和は遠くなりにけり、ですね、、、。

余談が過ぎました。本題に戻ります。こちらがトリガーとセーフティです。M712のトリガーはフルオートセレクターと連動するパーツがあり、構造的にも形状的にも全く違います。トリガーの支点となる軸を残しながら、ABS板を挟むように接着して成型しています。セーフティの形状も違うのですが、こちらはM712のを削るだけでなんとかそれっぽいものになってくれます。


ボルト後方下部(ハンマーを起すあたり)の形状も違うのですが、もうここはお手上げなのでM712のままにしています。M712でも、C96と同じ形状のものもあって、どういう理由で変更されたのかよくわかりません。そもそも、ボルト自体M712とC96に互換性があったのかどうかもよくわからないのですが。

過去の月刊Gun誌のM712のレポートで紹介された個体は、C96と同じ形状のものでした。「第二次大戦ドイツの自動火器」(大日本絵画)という本で紹介されているM712は、マルシンのものと同じです。このことから、互換性があるのかな?という気もします。で、マルシンのはボルトをストップ(いわゆるホールドオープン状態)させるための凹みがあえて埋められてるようです。ここを削ると、ハンマー頂点のR部にカチッとはまってボルトがキチンとストップされます。でも、ここを削っちゃうとモデルガンのキャップ火薬では勢いが足りないので、発火したときに一発づつボルトが止っちゃうかもですね。なのでマルシンは埋めたのかな?と。

上記の本ではマガジンフォロワーではなく、ボルト自体がハンマーでロックされると書かれてます(P13・14)。長年、モーゼルにはボルトストップがなかったのかな?と思ってたのですが、この本を読んで初めてそういう機能があったことを知りました。C96タイプのボルトも、マガジンフォロワーとは別にロックできる機能があったんじゃないかと思うんですけど、過去のGUN誌などのレポートではそういう記述がなかったんですよね。いやほんと、わからないことだらけです。

また、この本ではM712をR713と表記してます。この本によると、R713はドイツ軍用の呼称だそうです。一方、「別冊Gun Part4」ではモーゼル社内ではR713は「ライエンフォイアー(連射)」と呼ばれるM712の一つ前の形式(不具合が多く、すぐ生産停止)で、M712は「シュネールフォイアー(速射)」と呼ばれていたとあります。でも「第二次大戦ドイツの自動火器」では、両方ともモーゼル社内で「シュネールフォイアー」と呼ばれていたと書かれてます。わけわかめのわからんちん、です(笑)

余談ですが、「第二次大戦ー」の著者のロバート・ブルース氏はコンバットマガジンで長年渋い銃(MG08とかルイスとかFG42とかショーシャとかジョンソンとか、たまらん銃ばかり)のレポートをされていた専門家で、氏の記事は実に素晴らしいものばかりです。私は今でも記事の切抜きを大事に持ってて資料として活用しています。ちなみにこの本は、コンバットマガジンの記事の中から、ドイツ軍の銃器のみを集めて再編集したものです。

これはマルシンのM712との比較です。ドンガラなのはご容赦下さい。いつかそのうちまたC96を作ろうと思ってまして、ABSのフレームとアッパーレシーバーをとってあるんですね。これを見ると、マガジン部の膨らみが違うのがよくお分かりになるかと。

また、トリガー上部のえぐれが全然違うこともお分かりになると思います。ここも、削りすぎるとトリガーの軸受けが露出してきますので、ギリギリまで削り込んでます。ほんと「C96とM712は似て非なるもの」なんですね。

右側面の刻印は残そうと思えば残せるかもしれなかったのですが、凹みを再現する際の切った張ったで「無理!」と判断して埋めてしまいました。

またいつかこのドンガラをベースにカスタムするときはなんとか残したいところです。ただ、書体が違うので残しても正確な再現にはならないんですけどね。今は個人用の彫刻用NC(っていうんですかね)がありますので、こういう刻印も難なくできるみたいですけど、そこまでの設備投資はとてもできません(笑)

こちらがLSとの比較。前述の通り、LSのはとてもよく出来ているのですが、それでもやっぱり各部がダレた感じがするのは否めませんね。とはいえ、これをベースにキッチリ仕上げるととてもよいものになるのは間違いないです。

ただ、基本的にスチロールプラスチックのため(ハンマーやトリガーはABS)、強度はありませんのであくまで観賞用という感じにしかできないでしょうね。

あと、細かいことをいえば、バレル基部に段差があったり、フロントサイトがボロモーゼル(C96のバレルを短くし、グリップも小型にして携帯しやすくしたもの。ソビエトのボルシェビキに愛用され、ボルがなまってボロになったとか)の仕様になってたりと「?」という箇所が散見されます。本体の再現度が凄いだけに、なんでバレル周辺だけ変なんだろうと不思議に思ってしまいます。

ちなみに、グリップもM712とC96は違います。C96の方が滑り止めの溝が多いですし、グリップで挟むフレーム部分の厚みがM712はグリップ前方と後方は同じなのですが、C96は前方の方が薄くなってます。ただ、M712と同じユニバーサルセフティを備えたM1930(セミオートのみで、固定マガジンのC96。でもM712のような段差バレル)は、M712のような溝の少ないグリップが付いてます。なので、ひょっとしたらM1930のフレームの厚みはM712と同じなのかもしれません。このカスタムは、実はグリップに手を加えてません。フレームを削るところで満足してしまって、最後のグリップは仮に着けてそのまま、となってます。フレームに合うように肉を足して、溝も彫り直さなきゃな、、と思ってるうちに10何年も経ってしまいました(笑)

というわけで、全部並べてみました。左から1代目カスタム、二代目、マルシンM712、LSのC96です。

いやー、4丁並ぶと実になんかいい感じですね(笑)

で、ここまで書いてふと我に返ったのですが、C96とかM712とかR713とかM1930とかボロモーゼルとかフラットサイドとか書いてますけど、どのくらいの方が付いて来れてるのか心配です。まあでも、しゃあないですね(ヲイ)。モーゼルミリタリーって、ほんと奥が深くて面白い拳銃なんですよ。とはいえ、私も全然詳しくなくて、入り口周辺をうろうろしてるだけなんですけどね(笑)

LSのキットをもう少し紹介します。10年位前にネットオークションで手に入れたものです。透明のパックが開封済みだったので、割と安く落札できました。前述の通り、とても素晴らしいキットです。私が子供の頃にはもう店頭から消えてまして、リアルに売っているのを見た事がありません(AKMだけ見た記憶が、、)

箱絵は、バレルはボロ仕様で、グリップはオリジナルという「?」なもの。キット自体は通常のバレル長です。さらに、カートリッジは9ミリパラなのに、グリップには「9」の彫り込みがない(9ミリパラ仕様はそういう風になってます)という、なんだかんだで大らかなキットです。

でも、基本的には凄い再現度で、たまらんです。作ってみたいんですけどもったいなさ過ぎてずっとそのままです。金属パーツもかなり多用していて、クリップまで付いてます。

LSのキットのラインナップは実に渋くて、今でも欲しいキットがたくさんあります。特に、AKMが欲しいです。あれ、日本のモデルガンでは唯一、カラシニコフの内部構造をキチンと再現してるんですよね。でも、未組み立てのが出品されても多分3,4万じゃ落とせないでしょうねえ、、。未組立てでも作りかけでも完成品でも、1万くらいで売ってもいいという方、ご一報をお願いします(笑)

LSのキットは「金型がどこかにあるなら、再販してくれないかなあ」とずっと思ってまして、そういう方も多いんじゃないかと。でも、詳しい方によると、こういう金属パーツの再生産が難しいんだそうです。プラパーツは金型があればいくらでも再生産できるんですけど、金属パーツは基本外注らしく(この辺はメーカーによるでしょうけど)、プレス型があったとて、まとまった量じゃなければ受け付けてくれないし、スプリングの類も同様だろうと。タミヤのリモコンのギアボックスとかも、同じような理由でまあ再生産の可能性はないとか。確かに、そう考えると納得です。なので、どうしても欲しければ必死で過去の生産品を手に入れるしかないでしょうね。そういう意味では、モデルガンはもちろん、ラジコン含め金属パーツを多用している製品は消耗部品込みで、手に入るうちに買っておくのが一番いいのかもしれません。うーん、実に因果な趣味でありますね(笑)

こちらはアクセサリーです。クリップは全部マルシン純正です。ダミーカートは実物(もちろん火薬と雷管のない合法品)です。ダミーカートをクリップに入れるとかなりきつくて、なんとか入りますけど装填は無理な感じです。この辺は実銃用に使うことができないようにマルシンが配慮したのかな?という気がします。例えばP38のカートって、9ミリパラより全長が短くて、マガジンには実寸のカートを入れることができません。それは、そういう配慮があったから、と何かで読んだことがあります。当時って、メーカーが関係各位にそういう気を使う時代だったみたいですね。クリップはいきつけの模型店で売れないままずっと残ってて(確か1個250円でした)、小遣いが入るたびに一つづつ買ってたら6個も持つことに(笑)。あと、実物のダミーカート、というとアブナイ感じがしますけど、薬莢と弾頭はただの金属片なので法的に全く問題なく、国内で普通に売っています。念の為。

上の革ホルスターとストックホルスターのホルダーは中田商店のレプリカです。ストックはマルシンの純正です。ストックホルダーに差しているクリーニングツールは、近所のDIY店で売ってたヤスリの柄にアルミパイプを差し込んだ「なんちゃって仕様」です(笑)。ホルスターは、日本軍仕様として売られてたものです。十四年式拳銃用みたいに、フラップがカップ状になったワンランク上のタイプも売られてたんですけど、ちょっと高くて買えませんでした(笑)。日本軍はモーゼルを準制式として採用しており、正規に輸入して支給してます。将校の私用拳銃(将校は拳銃を私費で購入することになってました)や、中国大陸での鹵獲品ともども、日本軍でもモーゼルは馴染みのある拳銃だったようです。

こちらが資料本です。左の「System Mauser」は「モーゼルミリタリーのバイブル」みたいな本です。何年か前にやっと買いました。1967年の発行の古典でオールモノクロですが、資料的価値では恐らく今でもナンバーワンじゃないかと。。モーゼルの多種多様な形式を網羅・紹介していて、いやほんと実に凄い本です。「別冊Gun Part4」はモーゼルはじめ、ルガー、ガバメント、ピースメーカー、P38、PP、ラドム、トカレフ、十四年式、ベレッタM1934、ウェブリーなどなど、実に渋い拳銃をカラーで歴史的経緯を含めながら詳しく解説しています。30年前の本ですが、いまだにこのクオリティに達するものは見たことがないくらいの素晴らしい本です。モーゼルの歴史的推移も実に分かりやすく解説されています。

あと、月刊Gunやコンバットマガジンの記事をばらして仮綴じした冊子も私の貴重な財産となってます。写真のはモーゼルの記事をまとめたもの。銃の雑誌はじめコート紙を使う雑誌って、とても重くてかさばるんですよね。引越しのときにダンボールに入れると死ぬほど重くなるということは、こういう趣味を持つ方々にはよくわかっていただけるのではないかと(笑)。なので、引越しの際に思い切って必要なページだけを抜き出して、まとめました。本棚にはこんな風にテーマごとに仮綴じしたものが何十冊もあります(笑)。

これが上の写真の資料を開いたもの。今はネット全盛ではありますが、こういう紙の資料も実に大事なものだなあとしみじみ思います。

「別冊Gun」は、中学生のときに買いました。定価は2500円で、中学生にとってはかなりの出費です。かなり悩みながらレジに行った記憶がありますが、いまだに第一級の資料として役に立っています。逆に、今はこういう上質な本ってあんまりないような気もします。頑張っていい本を出してもなかなか売れないんでしょうね。時代を感じますねえ、、、。

というわけで、わき道寄り道が多かったような気もしますが、これでお終いです。いやー、今回も長くなりました。でも、あれもこれも「書いておきたい!」ということばかりなので「これは一気には書けないな」と悟り、1週間コツコツかけて書きました(笑)。それくらい、モーゼルってカッコいい拳銃なんですよね。

先にも書きましたけど、いつかそのうち、3度目のカスタムに挑戦してみたいと思ってます。でもまあ、その前にどこかのメーカーさんでモデルガンにしてくれたら一番いいんですけどね(笑)

それでは。

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グァムで実銃を撃ったときの思い出&銃について思ってること、考えてることを少し(っていうかたくさん)

2018年07月01日 | 雑記
前回のエントリーで、グァムで実銃を撃ったときのことを少し書きました。もう20年くらい前のことで、かなり記憶が薄れてはいるのですが、とても印象的な出来事でした。「一度きちんと書いておきたいな」とずっと思ってた、、、、のですが、それをすっかり忘れていました(笑) なので、今回はその思い出を書いてみます。あと、その時に私が銃について感じたことも書きたいと思います。

私は、つらつらと思い出すと、9歳くらいからガンマニアでした。でも、日本在住のガンマニアの常として「本物の銃を撃ったことがない」というのがずっとコンプレックスになっていました。変なコンプレックスなんですけど(笑)、まあそうだったわけです。

一応社会人になって、それなりの可処分所得ができたころ、ふと気が付くと自分が「その気になれば海外に行って銃が撃てる」ことに気が付いたわけです。

でも「銃を撃つだけの目的で海外に行くのもなあ、、」と思って躊躇してました。そもそも、私は海外旅行をしたことがなかったのです。そんなころ、大学時代のS先輩から電話があって、ふとそのことを話しました。すると、S先輩は、スキューバの免許が欲しくて、グァムとかサイパンに行きたいと思ってたとのこと。

そうなると話は早いわけで、2人でグァムに行くことになりました。休みの調整をして、私はとある射撃場に連絡を取って予約を入れました。

グァムには射撃場はいくつもあるのですが、基本的に観光客向けなので、使用する銃は本物ながら弾丸は火薬の量を減らしているところが多いようでした(ほとんどなのかも)。でも、その射撃場は弾丸も「本物」を使うことで有名でした。銃のラインナップもかなりマニアックで充実していて、その筋では有名でした。

2人とも社会人とはいえお金がふんだんにあるわけではなく、基本的に貧乏旅行です。格安旅行会社の格安プラン(時期も雨季だったのでさらに格安)でグァムに向かいました。ホテルもビジネスホテルみたいなところで、食事もなし。「リゾート?なにそれ?おいしいの?」って感じでした(笑)

初めての海外ではありましたが、銃を撃つというちょっとアブナイ目的、窮屈なエコノミークラスの機内、安いホテルならではのドヨーンとした雰囲気、そして雨季のムシムシした気候と曇天などなど、私のテンションはダダ下がりでした。

射撃場は店舗と分かれてて、まず店舗で銃を選んで弾を買い、山の中にある射撃場に移動する、という感じです。連絡するとホテルにバンで迎えに来てくれます。ホテルの前でバンを待っているときの「俺、なにしてるんだろなあ、、、」というブルーな感じは今でもよく覚えてます。

こちらがそのバン。アメリカ映画のホラー映画に出てきそうな奴です。私がビビリまくったのは言うまでもありません(今見返したら普通のバンだし、思い込みすぎだ)。射撃場の社長さんは日本人なのですが、運転してきたのは現地のスタッフで、日本語は片言です。なので余計にビビるのでした。「オウ、ユー、マツモロ?」「イ、イエス、、、」「カモン!」「イ、イエス、、」てな感じです。スネークマンショーのマッカートニーみたいな感じです(分からない人、ゴメン)。



でも、店舗に入ると状況は一転。店中に銃がずらりと並んでまして、圧巻でした。しかも、軍用銃がかなり多くて本や専門誌でためつすがめつしていた「アレたち」が目の前にあります。しかも、これからこれらを撃てるわけです。テンションが一気にフルスロットルになったのはいうまでもありません(笑)社長さんも気さくないい方で、ホッとしました。

お店のシステムとしては、弾丸を1箱買うとその弾丸が使える銃が1丁借りられる、という感じ。こちらがその料金表。1発1ドルから3ドルくらいですね。

店内の銃を見て撃ちたい銃を決めて、弾丸の代金を払います。左のボールペンで書いてるのが銃の名前です。右下の1035ドルというのが私の支払った代金。当時のレートだと一ドル102-120円くらいなので、まあ10万円から12万円を払ったということです。弾数も書かれてますね。510発。うーん、なんといいますか、アホですね(笑)とはいえ、ガンマニアとしては多いといえば多いし、少ないといえば少ないかな?という気がします。

弾を買ったら、バンに銃と弾を載せて射撃場に向かいます。記憶では、バンの後席は銃と弾で埋め尽くされたような、、、。「あー、ほんとにこんなんでいいのかな?俺?」と思ったこともよく覚えています。

こちらがその射撃場。「リゾート」とは真逆な感じですね(笑)雨季だったこともあり、曇天なのもちょっとアレな雰囲気をかもし出してます。


話は前後しますが、旅程は2泊3日。初日は私一人が射撃場に行き、2日目は先輩と2人で行きました。この写真は2日目のもので、散らばった薬莢は先客のものです。


当時持ってたカメラは一眼レフだけで、一応持っては行きましたがそんなに写真を撮る気がなくて、写真はほとんどありません。今から考えたら、もっと撮っておいたらよかった、、。街中の写真とかは一枚もないです。

風景の写真はこの一枚だけ。射撃場の反対側(笑) 海がちょっと見えますね。まあ要するに、山中のひなびたところにあるわけです。

こちらが射撃場の標的。倉庫とかで使う、フォークリフト用のパレットに的を張ってます。その奥で燃やしてるの穴だらけになったパレットみたいです。うーん、やっぱり「リゾート」のかけらもないですね(笑) 的までは15メートルくらいでしょうか。写ってるのは現地のスタッフ。この方も慣れると気さくないい人でした。

他の射撃場はどんな感じなのか知らないのですが、ここはかなり安全に気を使ってるような気がしました。銃の扱いについてはとても厳しかったです。弾丸を装填していいのは射撃時に銃を持ち上げて的に向けたときだけで、一度装填してしまったら、全弾撃ち切るまでは銃を下げたり、卓に置くのは厳禁と言われました。当たり前、といえば当たり前なんですけどね。

さて、いよいよ銃を撃ちます。以下、撃った銃とその感想を簡単に書いてみます。

●ラチ フィンランドの第二次大戦時の軍用拳銃です。この個体は、スウェーデンでライセンス生産されたタイプ「m/40」です。とにかく重くて、構えてたらじわじわと腕が下がっていくのには参りました(笑)でもそのおかげで反動はあまりなかったような。さっき調べたら、これ1・2キロもあるんですね。重いはずだ、、。ちなみにルガーは0.85キロです。

ドカンドカンとした撃ち応えで、頼もしい感じでしたね。

●ルガーP08 ドイツの軍用拳銃。写真を見る限りは、戦中のドイツの純正品みたいです。舞い上がってて、刻印とかまったく確認しなかったのが悔やまれます(笑)ちなみに、ルガーというのは戦後の通称で、ドイツ軍はそうは読んでません。P08とか、パラベラムピストーレと呼んでました。

この個体の癖だと思うのですが、トリガーを引いてもなかなかストライカーが落ちず、ちょっとあせりました。ルガーは、撃発に関係しているパーツがちょっと多いので調整がいまいちだったのかも。薬莢が真上に排出されるので、天井に当たって背中に入りそうになって慌てました(笑) 真上に排莢するタイプの拳銃は今はもうない理由がよく分かったような、、、。あと、全弾撃った後にトグルが跳ね上がったままになるので、射手はすぐそれが分かるようになってます。それはベレッタM92Fを撃ったときに、ホールドオープンしたのに気付かず、ちょっと驚いたこともあって、よく覚えてます。実弾を撃つと発射音とか薬莢、弾の行き先などに注意が向いてしまうので、気付きにくいんですね。この辺はもうたくさん撃って慣れるしかないんでしょうね。

●三八式歩兵銃 日本軍の小銃です。説明不要なほど有名ですね(そうか?) 南部式や九四式もあったんですけど、弾がなくて撃てなくてほんと残念だったんですけど、これと九九式が撃てたのでよかったです。写真でも分かりますが、とても仕上げが丁寧で綺麗で、さすがという感じ。菊の御紋は削られてないですね。日本軍が小銃を敵国に引き渡す際、御紋を削ってからそうしたということで、そういう個体は多々あります。でも、この個体のようにそのままのもあります。また、削らずに丸とか×とかの刻印を追加した例もあるので、この個体のもよく見たらそうだったのかもしれません。

で、この銃はとても撃ちやすくてしかもよく当たるのでびっくりしました。上の写真の土手にあるボーリングピン(小さく写ってます)に、初弾で当たりましたからね。ほんと、さすがという感じ。撃ててよかったです。

●九九式長小銃 九九式は一般的な短小銃と、この長小銃がありました。長小銃は全長がほぼ三八式と同じです。初期にごく少数が作られた、かなり珍しい個体です。こちらは御紋が削られてます。初期のものなので仕上げがとても綺麗です。でも、対空用サイトのパーツが欠損してますね。

反動はキツイはずなのですが、その辺はあんまり記憶にないです。で、三八・九九式ともども、薬莢が右前方に「シュポーン」という感じで綺麗に飛んでいくのにはびっくりしました。要するに、真横に飛ぶと隣の戦友に当たるかもしれないのでそういう風にしているっぽいんですね。ゲーコマですね。どちらの銃の弾も、貴重品で薬莢は回収して欲しいといわれてて、射撃後に卓の前にでて拾いに行ったのをよく覚えてるので、この辺の記憶は間違いないと思います。他の国のボルトアクション銃はどうなんでしょうね。ほんとならモーゼルとかいろいろ撃ちたかったんですけどね。

写真を撮ったのはこの4丁だけでした。なので、以下は簡単に書いてみます。

●モーゼルHsc ドイツの大戦中の小型拳銃。あんまり覚えてないです。一度ジャムったような、、。ほんとはモーゼルC96を撃ちたかったのですが、修理中でした。一番撃ちたかったので残念でした。なので、Hscを借りたのですけど、覚えていないという皮肉(笑)

●ワルサーPPK 同じく小型拳銃。戦時タイプの32口径のを撃ちました。モーゼルと同じ弾なのに、ちょっと撃ちにくかったような記憶があります。グリップの形状の違いかな?と。

●ナガン ソビエトの軍用リボルバー。私が撃ったリボルバーはこの一丁だけでした。この銃は射撃時にシリンダーが前進して、銃身とシリンダーの隙間を無くし、発射ガスをシールするという珍しい(多分世界で唯一)システムを採用しています。なので撃ってみました。小さい弾で、普通に撃てたような。社長が「ガスが出てないのを確認してみなよ」と弾の空箱を銃に被せて撃たせてみてくれました。実際、箱にガスの跡は付かなかったです。

●トカレフTT1933 ソビエトの軍用拳銃。中国製のが日本でもたくさん(?)使われたので有名ですね。ここのはロシア製でした。反動もそんなになくて、とてもよく当たりましたね。でも、グリップの設計が悪いのか(日本人の手が小さいのか)反動を受けづらかったのが印象に残ってます。当時の犯罪の報道などでは「トカレフは当たらない」みたいな評価がありましたが、そんなことは全然なかったです。日本に密輸されたものは、中古の程度の悪いものだったので、そういう風になったんじゃないかな?と。トカレフ自体は優れた拳銃だと思います。また「拳銃はそんなに当たるもんじゃない」というようなセリフが漫画とか映画でときどきありますけど、それもウソだな、と思いました。拳銃は当たります。でも、動く目標となると話は別です。途端に当たらなくなるだろうな、とも思いました。なので、拳銃を構えられて逃げるときは、まっすぐ走らずにジグザグに走って逃げましょう。相手がプロじゃなかったら、多分大丈夫です。でも、当たったらゴメンなさい(笑)。

●ベレッタM92F 米軍の現用制式拳銃です。映画「ダイハード」で、ブルース・ウィリスが使ってた奴です。ホールドオープンの件以外、ほとんど覚えてないですね、、。

●グロック17 この銃はほんと凄いな、と思いました。メチャクチャ撃ち安かったです。社長が「ダブルタップ(瞬間的に2回引き金を引く技)で撃ってみたら」と言ってくれたのでやってみたら、フツーにできる上に、反動もきちんと制御できてびっくり。50発が数分で無くなりました。多分、女性や10歳くらいの子供でも普通に扱えるんじゃないかなあ、と。安全装置も簡単でかつ万全なのも凄いです。拳銃って、安全装置の信頼性はほんとに大事なんですよね。そんなこんなで、アメリカの官公庁の銃がベレッタなどから一気にこの銃に入れ替わったというのもうなずけます。

あと、変な話ですけど、グロックを持って感じた印象は「モデルガンみたいだなあ」と(笑)タナカのモデルガンを持ってたので、初めて触ったような気がしませんでした。装填などの操作も全く問題なくできました。三八式やトカレフも同じでしたね。ラピュタの石碑を見て「読める、読めるぞ!」と叫んだムスカみたいな気分でした(笑)そういう意味では日本のモデルガンって凄いなあとほんと思いました。

●ガバメント 上の表に書いてるので、撃ったはずなんですけど、全然覚えてないんですよね、、。ひょっとしたら、この表を書いた後で、他の弾と差し替えたりして、撃ってないかも、、。

●M16 これは撃ったのは覚えてるんですけど全然印象にないです。反動が軽かったのはなんとなく覚えてるような、、。

●AK47S これもほとんど覚えてないです。撃ちやすかったのは覚えてます。

●レミントンスナイパーライフル 多分、M700をカスタムしたもの。たくさん弾を買ったらサービスで撃たせてくれます。で、トリガーがほんと繊細に調整してあって、ちょっと指を触れるだけで撃針が落ちるのでびっくりしました。こういうのも、実銃じゃないとわからんことですね。初弾は、それと知らず最終的な射撃姿勢を決める前に発射してしまい、鎖骨が折れたかと思いました。きちんと構えて撃っても、反動がメチャクチャ強くて、たった5発でしたけど「早く弾切れになってくれ!」と思いましたね。

●トカレフM1940 これが、前回のエントリーで書いた銃ですね。なんというか、とてもいい佇まいの銃で、作動も滑らか、反動もマイルドでいい感じでした。たった10発でしたけど、撃ててよかったです。かなり珍しいもので、多分、なかなか撃てる銃じゃないと思います。この銃の弾も、最初は在庫なしと書かれてたのですが、社長の机の引き出しに10発だけ残ってるのがたまたま見つかって「あ、10発だけあるわ。撃つ?ドラグノフとトカレフがあるよ」といわれて迷わず「トカレフで!」と力強く答えたのをなんかよく覚えてます(笑)でも、撃つたびに銃の油が顔に飛んできて参った記憶もあります(笑)

●M1ガーランド この銃もとてもいい銃でした。なんというか、手にしっくりと馴染んで、撃ってみると反動も心地よく、よく当たります(自分なりに、ですけど)。実に頼もしい感じがしました。三八式もそうでしたけど、持ってて頼もしい感じがするのかどうかって、兵士にとってとても大事なことなんだろうなと。危険だらけの戦場で、安心・信頼できる銃が手元にあるだけでも、かなり心が休まったんじゃないかなという気がします。

映画「グラン・トリノ」で、イーストウッド扮する朝鮮戦争に従軍した経験のあるコワルスキーが、この銃を大事に持っていました。こういうキャラ設定は突飛なものではなくて、普遍的な退役兵士の姿を描いたものなんじゃないかな、という気がします。この銃を撃った体験があったので、映画を観たときはなんか「ああ、そうだろうな」ととても腑に落ちました。

というわけで、撃った銃の感想はこんな感じです。個別の銃についての思い出は、前述のとおり覚えてることもあれば忘れてることもあって非常にあやふやなものです。

で、銃を撃って強く思ったことが2つありました。

一つは「本物は欲しくないなあ」ということでした。これは自分の中では意外な感想でした。銃って、想像以上にゴツイんですね。重いし、油ギッシュだし、「武器」としてのオーラも凄いです。手元に置いといてあれこれいじくる気があまりしないような、、、。実銃ってモデルガンの延長にあるのかな?と思ってたんですけど、違いました。さっきの「モデルガンをいじってたら実銃を扱える」というのと矛盾しているようですが、それはあくまで操作方法についてでして、なんというか「佇まい」が別物なんですよね。モデルガンは、あくまでモデルガンなんですよね。

銃の「武器としてのオーラ」は、かなり凄いです。日本でも、撃つことができないように処理された合法品の銃器を買うことができまして、その専門店もあります。そこで見ると、その辺がよくわかりますので、機会があればご覧になってみては。で、私はこの無可動実銃もあまり欲しくないです。高くて買えない、というのが大きい気もしますが(笑)。でも、なんというか「俺はモデルガンが好きなヌルイマニアでいいや」というところに落ち着いたような(笑)

で、もう一つが「これで人を撃つのはナシやな、、。絶対人は撃てないな、、、。」

というものでした。

銃を撃つと、手元で火薬が爆発(正しくは「燃焼」なんですけどね)して、自分の手からもの凄いエネルギーが発せられ、向こうにズドーン!と飛び出て行くような感じがします。そのエネルギーの凄さは反動などで実感として伝わってきます。イメージ的には、なんというか「かめはめ波」みたいです(もちろん出せないのでわからないですけど(笑)でも、そんな感じなんですね)。この辺は、実際に撃ってみないとわからないし、撃ったことのない人にきちんと伝えることもほんと難しいです。それは、車の運転の感触を、車を運転したことのない人に伝えるのが非常に難しいのと同じです。

そして、この凄いエネルギーが、人に向かったときにそれがどうなるのかは一発目でわかりました。いやほんと「絶対人に向けては撃てないな」と、、。

銃を撃ちたかったのは、ガンマニアとして「本物の銃は、撃ったらどんな感じなのか」というのが知りたかったのが目的としてありました。そして、もう一つの目的としては「私は、人を撃ちたいから銃が好きなのではないか」という疑念を払拭したかったから、というのがあったんですね。

子供のころから銃に興味を持って、銃の本やモデルガンを買ったりしてると、どうしても変な目で見られてしまいます。残念ながら社会的には「危ない趣味」なわけです。「人を傷つけたいから銃が好きなんだろう」的なことは割と普通に言われてたような気がします。ガンマニアの方は、同じような経験をした方は多いんじゃないでしょうか。もちろん、そんなことは絶対にないんですけど、それを証明することはできないんですね。だって、本物の銃を撃ったことがないわけですから。

そういうことを言われ続けると「ひょっとしたら、銃を持ったらそういう気持ちになるのかも、、」という疑念はどうしても出てきます。でも、そういうモヤモヤした気持ちは、一発目で払拭されたわけです。本当にホッとしました。まあ、考えたら当たり前といえば当たり前のことです。「ナイフを持ったら人を切りたくなるのか」というのはナイフを持ってみたら分かることで、同じですよね。要するに、銃が身近にないので、その辺がいまいちイメージしづらいだけなんですよね。日本は銃の所持規制が非常に厳しい国の一つなのはよく知られてます。おかげで、銃器による殺人や犯罪は非常に少ないですね。でも、一方でこういう「身近にないから勝手に一人歩きする幻想」も出てくるわけです。

映像などで見ると、銃は簡単に撃ててるように見えるのでなおさらなんだろうな、とも。でも実際は、反動や音は凄いし、拳銃は重いし、ライフルなら肩は痛いし、硝煙は臭いし(花火みたいな臭いが体にまとわり付きます)、薬莢が体に当たると熱いし(私は腕に当たってやけどしました)で、非常にうっとおしかったです。もちろん、楽しいは楽しいのですが(どないやねん)、一方で射撃にはそういう面もあった、ということです。

多分、圧倒的大多数の人は、私と同じように「これで人を撃つのはナシやな」という感想を抱くと思います。しかしながら、アメリカはじめ銃で人を殺す行為はずっと続いています。

それはなぜかというと「これはナシだな」という気持ちよりも「こいつを殺したい」という「憎悪」や「金が欲しい」という「欲望」が勝ってしまっちゃったから、なんだと思います。なんというか、人がそう思うようになってしまう、そういう状況に追い込まれてしまうこと自体が、銃よりもはるかに恐ろしいことなんじゃないかな、と。

こう書くと、NRA(全米ライフル協会)の「銃が人を殺すのではなくて、人が人を殺すのだ」という標語みたいです。でも、確かにそういうことなんだろうな、と思います。とはいえ、私はNRAのことを支持している訳ではありません。念の為。もちろん、否定もしていません。中立です。アメリカはアメリカで銃規制のことを考えて決めればいいので、私なんかが口出しする筋合いはありませんからね。でもこういう風に書いてると「実は銃規制に反対なんだろう」みたいにとられがちなのですが、ほんと、どっちでもないです。正直、判断できないです。

これはアメリカじゃなくて、中東の国の話ですが、その国にはカラシニコフが蔓延(もちろん非合法)しているそうです。で、交通事故(接触程度)がありまして、両者が口論に。一方が激高して、車のトランクからカラシニコフを出してきて、相手の車を蜂の巣にしたとか。そんな国、訪れるのも嫌です(笑)。怖くて道も歩けない(笑)

一方で、アメリカのど田舎に住んでたら、私は多分銃を買って備えて置くでしょうね。アメリカには行ったことはないですけど、映画とかで見ると「警察に通報しても自宅に駆けつけてくれるのは1時間後」みたいな地域は無数にあるでしょう。そんなところに住んでて、例えば近所に胡散臭い人達が住んでたりしたら、やっぱり「銃、持っとこか。ときどき練習もしとこう」ってなりますよね。人だけじゃなくてグリズリーとか、そういうのが出てくる地域ならなおさらです。

そんなこんなで、いろいろ考えてみたらほんと難しいです。簡単に結論なんてでないな、と。だからアメリカではずっと揉めてるんでしょう。

ドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」はアメリカのその辺の問題の複雑さがよくわかる優れた作品でした。切り口は「アメリカの銃社会」なんですけど、観ていくうちに「「銃」は表出している問題の一つであって、根っ子はアメリカ社会のもっと深いところにある」ということがよくわかります。でも、私がこれ以上どうこう書いても仕方がない(笑)のでこの辺にしておきます。でも、この映画はお薦めなので興味のある方はぜひどうぞ。

で、「銃を持つと人を撃ちたくなる」という「思い込み」についてあれこれ考えてたら「人間というのはどうしようもなくて、すぐ人殺しをしたがるものだ」という思考が根っ子にあるからなんじゃないか?というふうに思うようになりました。そういう思考って、割と普通に受け入れられているように思います。戦争の話題になると、そういう意見がすぐでてくるような、、。「人間は戦争をしたがるものだ」みたいな。

でも、そんな単純なものじゃないんじゃないか?と。帰国してから、そのつもりであれこれ本を読んでみると、腑に落ちることが多かったです。

「戦争における「人殺し」の心理学」 (ちくま学芸文庫)という凄い本があります。この本は、ほんと目から鱗本でして、超お薦めです。同行したS先輩に教えてもらいました。著者はアメリカ陸軍の元中佐で、実体験を踏まえながら歴史的な調査を絡めた上で「人はなかなか人を殺すことはできない」ということをキッチリと説明しています。

第二次大戦後、米軍は最前線にいた兵士の聞き取り調査をしました。で、兵士のほとんど(8-9割)が自分の銃を1発も撃っていなかったそうです。最前線にいたのに、です。

南北戦争の戦跡から発掘される先込め銃の中には、撃ってないのにどんどん弾を込めている銃があるそうです。つまり、撃ってないけど仲間には撃ったように見せかけるために、弾を後から後から込めたとしか考えられないとか。

ヨーロッパの将校の間では「兵士は敵を撃たない。撃ってるけどわざと的を外す奴がいるので、なかなか敵は倒れない。だから、そのつもりで采配しないといけない」というのが通念としてあったそうです。

などなど。要するに、昔の兵隊は銃を渡されても敵を打ち倒すことはしないし、できなかったんですね。

で、アメリカ軍は戦後その辺をどうにかしようとしてあれこれ対策を練ります。要するに「兵士が敵兵を抵抗なく撃てるようにすればいいじゃん」と。

具体的には「的を人型、人形型にする」「敵を間視する」という感じだったようです。的が人型になるだけで、人はそれを撃つことに抵抗感を抱くんですね。紙に印刷されたものだと分かっていても、人の形をしてるというだけで躊躇しちゃうんですよね。人形ならなおさらです。エアガンでもちょっと撃てないです。撃つ撃たないでなくても、例えば人の顔写真を破ったり、人形を壊したり捨てたりするのって抵抗がありませんか?そういうことです。

でも、訓練で何度も何度も人形を撃ってたら、慣れちゃってくる訳です。そういう的がパッと飛び出てきても、反射的に撃っちゃうようになるとか。

ベトナム戦争では、ベトナム兵やゲリラを「グーク」などの差別的な言葉で呼ばせるようにしたそうです。要するに「あいつらは人間じゃないから、撃っていい」と思い込ませたわけです。

その結果、ベトナム戦争での兵士の発砲率は9割(!)になったとか、、、。

映画「フルメタルジャケット」は、兵士の訓練から映画が始まって「観客を兵士に仕立ててから戦場に赴かせるような話の運び方が凄い」みたいな評価がありました。でも、こういう視点はなかったような。差別的な歌を歌うシーンとかがあったように思いますが「それが何を意味しているのか」というのが大事だったんだ、と。実際は、もっとえげつなかった訳ですね、、。

要するに「人間は人を殺したいと思ってるものだ」という「普遍的な事実」は元々はなくて「人は人を殺してもいいんだ」と「思い込ませるシステム」が意図的に作られた、ということなんですね。これはほんと怖いことです。

この本には書かれてないんですけど、また別の興味深い話があります。これはアームズマガジンの記事にありました。

ナチスの親衛隊の中に「特別行動隊」という部隊がありました。どういう部隊かというと、ロシアに攻め込んだ戦闘部隊の後についていって、占領したロシアの村々の人々(彼らのいう劣等民族)を虐殺するというのが任務でした。

方法としては、村人に穴を掘らせて、その前に並ばせて機関銃や銃で撃ち殺して埋めてしまう、というストレートなもの。

その部隊の隊員は、ナチスの思想に感化された選りすぐりの志願兵で構成されていたそうです。要するに「バリバリのナチ」です。ロシアの村人を撃ち殺すことが、ドイツの栄光・発展につながると信じている人々です。

でも、任務をこなすうちに、隊員の中にノイローゼが蔓延したそうです。要するに、劣等民族であろうとなかろうと、人を殺し続けてるうちに頭がおかしくなっちゃったんですね。

で、そのことに腹を立てたある将官(もちろんバリバリのナチ)が「俺が直接やる!模範を見せてやる!」と現地に赴いて任務を「実施」したそうです。

で、その将官もノイローゼになっちゃったそうです。

救いようのない話ですが、救いのある話でもあります。「理屈や思想で自身をどう騙しても、無意識や本能のレベルで殺人を忌避するのが人間」だということを証明しているような。

ちょっと話がずれてしまいましたし、なんかとっちらかってきました。すいません。でも、この辺のことをあれこれ考えるとほんとに面白い(というと語弊がありますが、、)です。でも、これ以上書き進めると、もっと収拾がつかなくなってしまうので、止めておきます。

前半、嬉々として銃の解説を書いてた人間が、こういうことを書いててもいまいち信用できないだろうなとは思います。でも、そういう矛盾を抱えてしまうのがこういう趣味なんだろうな、と。その辺をどこまで突き詰められるのかが大切なんだろうな、と。そういうことが言いたかったわけです(ほんとか)

しかし、銃とか戦車とか戦争とかに興味を持たなかったら、こういうことを考えるようにはならなかったので、そういう意味ではよかったな、と思ってます。なんとなく、ですけどとても大切なことのような気がしています。なので、これからもあれこれ本を読んだりして考え続けていきたいと思ってます。

とか言いながら、次回のエントリーはモデルガンの解説を予定してます(笑)ほんと、困ったものです。

それでは。長々とすいませんでした。最後まで読んでくださった皆様(いるのかな?)ありがとうございます。

あと、「戦場におけるー」はじめ、紹介した本や映画の内容については、全部記憶によるうろ覚えに基づいたものです。ほんとは再読するなどしてから書くべきなのですが、その辺はご了承下さい。でも、大枠ではそんな感じです。興味のある方はぜひ手に取ってみて下さい。

もうひとつ、この射撃場は現在は米本土に移転したそうです。機会があればまた行きたかったのですが残念ですね。でも、仕方ないですね。このときいろいろ撃てただけでもよかったな、と思ってます。








































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