ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

君のためなら千回でも

2008-02-18 | 映画 か行
複雑な国際政治に翻弄されるアフガニスタンの若者の友情と絆の物語。

2008年(公開) アメリカ ヒューマンドラマ
2008年2月15日 ワーナーマイカル・シネマ新百合ヶ丘
監督 マーク・フォスター(チョコレート、ネバーランド)
原作 カーレド・ホッセイニ
出演 ハリド・アブダラ(ユナイテッド93)
(出演作品などは私が観たものに限る)

アミールは、アフガニスタンの裕福な家庭に生まれた。母は彼を出産したときに死亡したため、父と二人の家庭だったが彼らの家には先代から仕えるハッサンと親子がいた。アミールはハッサンと一緒に育ち、強い絆で結ばれていた。しかし、ハッサンが凧揚げ大会のけんか凧で勝った後に暴行を受ける事件が発生。助けることが出来なかった気まずさから彼を遠ざけてしまう。嘘をついてまでハッサンを遠ざけたため、ますます傷つくアミール。そして、ソ連侵攻によりアミール親子は国外に逃亡。二人は会えないまま20年の月日が流れる。アメリカで作家になったアミールに祖国の恩人から電話がかかり、帰って来いといわれた。アミールが帰ってみると・・・。アフガニスタン出身者の原作を映画化。

自分が生まれたことによって母親が死んでしまったと思い込んでいるアミールは、裕福な家庭に生まれたが、どこかひ弱さを抱えていました。勇気を持って言うべきことを言える父親は、そんなアミールに物足りなさを感じていました。ただ単にかわいいだけの子ども時代ではなく、陰のある子ども時代を子役がよく演じていました。子どもなりに葛藤があり、苦しみがあるのです。ただそれだけで済まないのが、ソ連侵攻という時代だったからです。理不尽に祖国を踏みにじられるアフガニスタン人たち。アメリカに亡命してひげを剃っているアミールは、タリバンとなって戦っている人たちにとっては卑怯者なのでしょう。
この映画ではソ連兵に決然とした態度をとる父も、単に正しい勇気ある人として描かれていません。確かに立派な人ではありますが、愛する息子に言えない秘密も持っていました。人間としての弱さを同時に持っていたのです。当時のアフガニスタンではタブーとされたことなので、隠すしかなかったのでしょう。
アミールが結婚を決心し、申し込みに行く場面も興味深かったです。深いお付き合したわけでもなく、出会って間もない女性をみそめ、結婚を決心しますが、結婚の申し込みは父がしなくてはならないのです。
アメリカでは多分イスラム教徒として祈る時間をとるような生活をしていなかったアミール。しかし、ハッサンの息子を命がけで救い出した後、どんな気持ちでコーランを唱えたのでしょうか?ハッサンの息子はアミールのもとをお祈りの時間の前に抜け出すのですが、それがどんな意味を持っていたのか知ると、さらに胸が締め付けられます。
アミールはハッサンの息子をアメリカに引き取り、タリバンが禁じた凧揚げを教えます。サンフランシスコの空に上がる凧。けんか凧に勝つ技を教えるアミールは、ハッサンとの溝を埋めることが出来るのでしょう。胸を打つ秀作です。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感動しました。 (zooey)
2008-02-24 21:02:12
こんにちは。
この映画名で検索して、たどり着きました。

よかったですね、この作品!
久しぶりにとても感動しました。
子どもの頃のアミールと父親との葛藤や、ハッサンとの友情、そして裏切りには胸を衝かれずにはいられませんでした。
父親が息子のために結婚の申し込みに行くといったアフガニスタン人の生活様式や、男女交際に関する考え方なども面白かったです。
最後のシーンでは、もうボロ泣きしてしまいました…

また遊びに伺いますね!
感動の秀作 (ももママ)
2008-02-27 11:16:42
なじみがなかったアフガニスタンが急に身近になりました。胸を締め付けられる感動の秀作ですね~。

また、好い映画を見てレビューを書きたいと思っています。ぜひ、そのときには来て下さいね。
こんにちは♪ (ミチ)
2009-02-08 22:43:46
いろんな要素を含んでいて、とても見応えがありました。
本当はアミールにはハッサン自身との溝を埋めてもらいたかったけれど、それも叶わなくなった今、せめて息子のスーラブを育てる事で溝が埋められると信じてあげたいですね。
見ごたえあり (ももママ)
2009-02-09 09:59:10
>ミチさん
レビューを書いた時と今では、かなり感想が違います。こういう後から色々出て来る映画が好きです。
弱さをかかえるハッサンだけど、スーラブを育てることで溝を埋めて欲しいです。

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