もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)

年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。

ミリオンダラー・ベイビー  ボクシングとは距離を置いたストーリーに一抹のさびしさ

2005-05-29 23:18:56 | 挌闘技系
タイトル:ザ・ミリオンダラーベイビー/アメリカ,ムービーアイ
ジャンル:スポ根+哀切なヒューマンドラマ/2004年/133分
映画館:<京都>MOVIX京都10(422席)
鑑賞日時:2005年5月28日(土),16:00~ 350人
私の満足度:60% 
オススメ度:70%
※同名原作本(原題Rope Burns):F.X.トゥール著 ハヤカワ文庫NV 780円

孤独に格闘技と、私の好きなテーマだったのですが・・・。

役者はみんなよかったです。クリント・イーストウッドの
老トレーナー、ボクシングジムのモーガン・フリーマンもよかったし、
主人公のむかつくお母さん役もいい味だしてました。そして
ヒラリー・スワンクのボクサーぶりは見事、肉体改造も納得。
対戦相手も、プロボクサーだそうで前座から、ミリオンダラーのかかる
タイトル戦まで徐々にステップアップしていく様は、まさに
サクセスストーリー。迫力のタイトルマッチでした。

それでも格闘技好きの私が感情移入できなかったのは、私がボクシング
というよりプロレスファンだからか?対戦相手を描いてないからか?
どんどん勝ってしかも早いラウンドでのKOだからか?などと考えながら
つきあたったのが、公式HPのプロダクションノート。
『ポール・ハギスの脚本を読んだとき、クリント・イーストウッドが
最も惹かれたのは「それがボクシングの物語ではないこと」だった。
イーストウッドはいう。「それは自分の娘との疎遠な関係に苦しみ、
必死でボクサーとして名をあげようとする若い女性の中に、自分の娘の
姿を見出すひとりの人間のラブストーリーだったんだ」』

つまり、物語の根幹の部分と、ボクシングの部分が乖離している。
ボクシングの部分が、うまく利用されている。これが格闘技ファンの
私として納得がいかなかった理由のように思いました。
逆に考えると、私にはこれだけ乖離しているようにみえるのに、
アカデミー賞をとって、多くの人に賞賛されているのは、監督の手腕であり
多くの観客にとってボクシングは重要でなかったということなのかも
しれません。また会場でもあちこちで女性客のすすりなく声が聞こえて
きましたことを書き添えておきます。

原作者は、50歳近くでボクサーを志し、その後トレーナー、リングで
応急処置をするカットマンに転じたFXトゥール。2000年に70歳にして
短編集「Rope Burns」(辞書でひくとロープでのやけどという意味)で
作家デビュー。ボクシング人生の真髄を捉えた作品としてNYタイムスの
ブックオブザイヤーにも選ばれているそうです。

原作と映画は別物でもOK。でも、ボクシングが肝心なところで
おいてきぼりにされたようなさびしさを感じたため自分は
おもしろくなかったのでしょう。はたして原作者(2002年没)が生きて
いたら、どう思われることでしょう?

ミリオンダラー・ベイビー@映画生活


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (nahorita)
2005-05-30 02:13:05
TBありがとうございました。

そっかぁ、格闘技ファンさんにしてみたらまた違った見方があるんですね。私はボクシングを観るのは好きですが、まったく詳しくないという人なので、単純に映画が提示するものだけ観てました。もっきぃさんのblog読んで、原作も読みたくなりましたねぇ。また遊びにきま~す!
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原作 (taraponya)
2005-05-30 08:24:13
TBありがとうございました(キングダム~ですが)。

『ミリオンダラー・ベイビー』の原作は短編集ではありますが、全部を読んだほうが、個々の作品をより深く味わえるような気がしました。

確かに映画では、「ボクシングならでは」ちゅうところが少なかったのが残念だったかもしれません。
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絶賛する意見が多いですが、 (KGR)
2005-05-30 08:44:33
ボクシングにそれほど重きを置いておいていないことは確かなようです。

私も見ていて、あんまりあっさり勝ち続けすぎるので、拍子抜けでした。

1回だけですよね。鼻骨を折ってTKO負けしそうになる。

でも次のラウンド、20秒でこれまたあっさりKO勝ち。



人間愛とか絆とかいってますけど、みんな、何であんなに簡単に泣けるのかな。

イーストウッドの背負ってるものが理解できてんのかな。

私にはできませんでした。



ゲール語、教会、レモンパイ、グリーンのローブ、モ・クシュラ。

フランキーの人となりを説明するこれらの小ネタの意味が理解できれば、マギーとフランクが強く結びついていった理由も理解できたはずだと思うと、自分の浅学を悔やみました。
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ボクシング (えい)
2005-05-30 10:38:26
こんにちは。



なるほど、ボクシングに力点を置いた評は初めてなので

とても新鮮な感覚で読まさせてもらいました。

私も、なんであんなんい勝ち進むのだろうと思ったら、

結局、イーストウッドが言いたいことは、後半部分で、

それまでは伏線だったと言うことだったと

後で分かった次第でした。

でも確かに、前半はいま振り返ると、

あまりにもうまくいきすぎてますね。
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ノスタルジア (iina)
2005-05-31 13:01:45
ノスタルジックな映像と雰囲気にあった音楽が似合っていましたね。

最後は言葉を失いましたが。
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Unknown (もっきぃ)
2005-06-05 00:07:15
皆様コメントありがとうございます。



nahorita様

「Brooklynで過ごす日々」とは羨ましい。

映画をつくられるんですね。そちらのブログときどきおじゃまさせていただきます。



taraponya様

原作よまれたんですね。私は読んでないのですが短編集の場合、よくわからないことがおおいんです。行間をよめたいんです。いつもこの短編から、こんな映画ができるのかという驚きを感じます。



KGR様

私の場合は、ボクシングがどう扱われているのかなあという目で見るところに気をとられて、そこで少し引いてしまったかな。

それに、おっしゃるような小ネタも理解

できていませんので。まあ、そういうものを

ぶっとばしても好きな映画なら、さらに調べてますます好きになるのでしょうが。



えい様

「新鮮」といってもらえるとちょっとうれしいです。連戦連勝で、ハッピーエンドなら

また違ったでしょうが、映画として重かっただけにギャップが気になったのです。



iina様

最後は、重いですね。でも泣けませんでした。

ブログの浅草の記事を読ませていただきました。そして浅草の映画館を思い出しました。

馬券売場の近くで、受付の人も競馬新聞をデスクにおいてまるつけてました。



ではまた。
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スポ根にしたくなかったのでしょうね (roki)
2005-06-07 12:27:28
マギーが短いラウンドでKOしてしまうのは、生き急いでいるのを表しているんだと思って、「物語の根幹の部分」とボクシングとがうまく繋がっているんだなあと思って観ていました。



原作者のトゥールは云ってるんですよね、「ボクシングが人生の縮図ではなく、人生こそがボクシングの縮図だ」と。ハギスも承知のはずですが。それを思いながら観ると、別の物語が見えてくるような気がしました。
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ヒラリー (chishi)
2005-07-09 00:58:34
女優さんなのに

あの体つきはなんだ!と思った作品です。

逆の役者さんってスゴイなぁと思い知った作品でもあります。

ボクシングシーン、試合は確かにあっという間でしたね。もちょっと味わいたかった気もします。
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