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エコと経済成長は両立するか?

答え:条件次第。
解説:

エコの定義が不明確なので、ここでは「温暖化対策に有効なレベルでのco2排出量削減」と想定します。これは米国政府が打ち出した「2050年に全世界レベルで現在の80%削減」のレベルにほぼ等しいと考えられます。大変厳しい条件ですが、現在のように経済活動が地球的・級数的な拡大を見せている状況では、こうした地球規模での対策が必要でしょう。

この「80%のco2排出量削減」が経済成長を阻害しなければ、エコと経済成長は両立するでしょう。これは、経済活動とco2排出量との間に、どの程度の正の相関があるか、という問題に換言されます。一般に、経済活動とは商品・サービス等を生産・移動・消費することです。経済活動でco2が排出されるのは、生産・移動・消費時に使用するエネルギーのために、化石燃料を使用するからです。

現段階では、エネルギー生産のために化石燃料を8割方使っており、経済活動とco2排出量は正の相関関係にあります。エネルギー生産の手段を化石燃料からクリーンエネルギーに大きく転換し、co2排出量を大幅に減らせば、正の相関関係が解消されるでしょう。そうすれば、経済成長とco2排出量削減は両立可能、すなわち、エコと経済成長は両立できます。

実際、60~70年代の公害問題において、エネルギー生産から工業品生産に至るまで、多くの経済活動において公害が発生しており、経済活動と有害物質量は正の相関関係にありました。そのため、公害対策は経済成長を阻害するものと企業を中心に嫌悪されましたが、公害は人命を危ぶむ危機的な状況であったため、経済成長より優先して国家対策が取られました。それにより一時的な影響はあったものの、有害な排出物抑制等の技術革新・対策により、すぐに公害対策と生産量確保を両立させることが可能となり、経済活動は元に戻りました。しかも、公害の少ないクリーンな製品は世界中で人気を呼び、逆に大きな成長を手にすることになりました。

しかし、公害とco2は以下の点において異なります。
1)生産から消費まで、あらゆる経済活動において発生する。悪者が存在しない。
2)地球規模で発生が拡大しており、対処療法ではなく全地球的な対策が必要である。
3)公害のように直接的な被害者が不明瞭なため、インセンティブが働きにくい。
4)化石燃料に頼らないクリーンなエネルギー技術革新が未だ不透明である。原子力は不安要素を伴うし、風力や太陽光発電はまだまだ非効率。

従って、co2排出量削減を達成しつつ、経済成長が継続する、というシナリオは中々難しいでしょう。実際、革新的な技術が開発されずに00年比マイナス15%程度だとしても、繊維、一般機械以、卸売小売以外のあらゆる産業分野において、5%前後のマイナス成長が試算されています(経済産業省)。

技術革新がなければエコと経済成長の両立は不可能です。それには経済活動に逃げ道を与えてはいけません。不退転の覚悟が必要です。それで始めて、実効力あるco2削減にも繋がります。というわけで、エコに真剣に取り組むには、一定期間、全世界の経済について相当なマイナス成長も覚悟しなくてはいけないでしょう。それに各国がついていけるかどうか、甚だ疑問ですが。

「環境ビジネスの活性化による経済活動と自然環境の両立」というグリーンニューディールのスローガンは、環境ビジネスという局所的な部分では、なるほど両立できる可能性はあるでしょうが、経済活動全体としては、極めて難しいはずです。グリーンニューディールに、全てを解決する魔法の杖のような役割を期待するのは、甘い考え、といえるでしょう。
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