ミズカタヒデヤの「外部脳」

Hideya Mizukata's "OUTBRAIN"

鶏処一心/甲子園口/焼鳥/7点

2010年03月28日 | はじめに
駅から南100mくらい、住宅街との境界辺りの隠れ家的立地のお店です。最近のワタクシ、クオリティの高いモノをじっくり頂ければ、ボリュームがそれほど必要ないような胃袋の按配になってきました。こちらのお店、臭みの全くないまろやかなハツ、プチプチと軟骨が弾けるつくねなど、焼き鳥を一串一串じっくり頂く感じでもうすっかり満足。

さあもう帰ろうかな、というところで、眼についたのが締めのイエローカレー。そもそもはランチ用のメニューが余っていたという感じなのですが、気になってやっぱり頂いてしまいました。これがレモンの酸味が利いたさっぱり爽やかな口当たりに、辛味がほどよくマッチして、いくらでも食べられる!いやあ、やっぱりボリュームもうれしいなあ、と改めて感じた次第でした。アルコールなしだと値段も一人2500円くらいとお手頃。また行こうと思います。

西宮市甲子園口2丁目7-1/0798-69-1710

大起水産回転寿司/西宮北口/寿司/6点

2010年03月27日 | はじめに
西宮ガーデンズはいつもレストランがめっちゃ込んでいます。人気があるというよりも、数が足りないせいだと思います。中でも一番込んでいるのが、こちらの回転寿司屋さん。最近流行りの魚卸売屋さんが経営する寿司屋なのですが、ワタクシとしてはかなり珍しく、1時間待ちして入りました。もちろん隣の本屋で時間を潰していたのですが。

30席程度の小さめのお店です。中央にオープンキッチンがあって、そこで板前っぽい人が調理しています。100円~500円の皿が回ってきます。味は回転寿司としてはかなり上。ネタはしっかりしています。値段相応ではなく、少しずつその上を行っている感じ。なるほど、人気があるのも頷けます。但し、シャリがカチカチなのは頂けません。機械握りなのでしょうか。ネタとのアンバランスばかり目立ってしまいますので、どうかと思います。

西宮市高松町14-2/0798-62-6121

幻夜/東野圭吾/7点

2007年04月22日 | はじめに
阪神大震災の現場で、かつ殺人の現場という、洒落にならない場所で出会った謎めいた美女に、段々と人生を狂わされていく男の物語です。互いに愛し合っていたはずの女性が、実は自分を利用していただけであることを知ったとき、男は命を賭けた復讐を誓う。。。って、映画の予告編みたいですが、東野圭吾が面白いのは今更言うまでもありません。

それよりも、この作品は名作「白夜行」の続編らしいんですね。ワタクシ、大好きなんですけど。なんだかよく似た女だな、と思っていたんですけど。最後の解説を読むまで気付かなかったんですね。ちょっとショックだったんですが、悔しかったんで、久々に白夜行をもう一度読んだんです。そうしたら、正直、白夜行の続きとして読むべきではない、と思い至ったんです。


(以下ネタバレ)だってそれじゃあ、女は全然改心しなかったわけで、桐原君がかわいそうなわけで。。。ま、とにかくどっちも読んでないヒトは白夜行から読むべきです。あれは9点です。なんなんだ。

ミュンヘン/S.スピルバーグ/6点

2007年04月15日 | はじめに
72年のミュンヘンオリンピックでイスラエル選手がパレスチナのテロリストに殺されたそうなんですが、その後、イスラエル政府がスパイを使って暗殺者へ報復テロをずーっと、何年もかけて、しつこくしつこく、やってたらしいんですね。その事実を、只管淡々と、映像化した作品だそうです。

いやー、キツイ。これはキツイです。観るのが辛いっす。淡々と報復する方もする方ですが、それに更に報復をかけるパレスチナ。彼らに情報を売るスパイの暗躍。いつ終わるとも知れない殺し合いの日々。誰も信じられない。片時も隙を見せられない。戦争と違って、回りは日常ですから、スパイ達の置かれた立場の異常さが凄く強調されているんです。

いや、凄い作品です。一度は観るべき作品だと思いますが、二度と観ようとは思いません。気が滅入ります。

妊娠カレンダー/小川洋子/6点

2007年02月22日 | はじめに
妊娠した姉に甘いものばかり与えて体を悪くさせようとする妹など、可愛い登場人物達が、さり気なく悪意を忍ばせた行動を取る表題作を始めとする3編。悪意の元が、匂いとか、味とかが微妙に気に障るという、道徳の先生が聞いたら怒られそうな話ばっかりなんです。

ほんと、とんでもない話なんですが、何故だが強烈に引きつけられるのは、きっと、人間の嫌悪感が、こういう五感やら直感やらに結局のところほとんど起因しているという真実を、きちんと正面切って描いているという正直さ、にあるのだと思います。

悪阻とそれに伴う周囲の困惑など、如何ともし難いマイナスの感覚が、次第に周囲の良い人に悪意を忍ばせていく感覚は見事。あんなに仲の良かった夫婦が介護に疲れて夫を殺人、とか、の理由はきっとこういうことだと思う。

文春文庫/420円

ベロニカは死ぬことにした/パウロ・コエーリョ/3点

2006年11月11日 | はじめに
自殺未遂の後遺症で数日の命しかない若い女性が、安全のために入った精神病院での「本音で生きてる患者」との魂の交流を通じて、生きることの素晴らしさに気づく、という話です。

作者の言いたいことはわかります。全面的に賛成。けど、だからといって小説として面白いかどうかはまた別の話。ディテールでは読ませるところもあるのですが、全体の筋書きが。。。凡庸。っていうか、先が読めてしまってつまらない。尤も、読めてしまうくらいのベタベタな筋書きだがらこそ、ベストセラーになるのでしょうけど。「素晴らしき哉、人生」という映画に良く似てます。

ちょっとだけ面白かったのは、エロ小説みたいな凄いお色気シーンがクライマックスで入っていること。エロが魂を開放するなんて、まるで江川達也みたい。日本だと割と普通の主張ですが、西洋だとやっぱり受けるのでしょうか。作品の全てが、このお色気シーンを堂々と見せるため言い訳に見えてきてしまいます。


角川文庫/550円

ジャーヘッド/サム・メンデス/3点

2006年10月19日 | はじめに
湾岸戦争のドキュメントタッチの戦争映画です。従来の戦争映画って、敵をバッタバッタ薙ぎ倒す勧善懲悪モノだったり、敵味方問わずバッタバッタ死ぬ悲惨を訴えるヒューマニズムモノだったりしますが、こいつはどっちでもありません。何しろこの作品の主人公、憧れの海軍斥候狙撃兵としてイラクに駐屯しておきながら、結局一度も敵と銃弾を交えなかったのですから。

米軍が空爆を繰り返して一方的に勝利したあの湾岸戦争。実際の兵隊さんって、こんな感じだったのでしょうね。砂漠のド真中で、「砂漠の盾」として厳しい訓練をこなし、来るべきドンパチに備える兵隊さん。待てども行けども一向に現れない悪い異教徒達に、イライラの募る兵隊さん。

毎日、どこに移動しても、ほとんど変化のないサウジアラビアの砂漠の光景は、巨大な密室にも似た閉塞感。退屈でノイローゼになる兵隊さん、家族に見捨てられる兵隊さん、撃てなくてイライラする兵隊さん。湾岸戦争という特殊な戦争は、米国の兵隊さん達に凡そ戦場らしからぬ悩みを抱えさせたようですね。

もちろん、皆がそうではなかったのでしょうが、多くの兵隊さんがゲームボーイに興じていたらしい湾岸戦争は、やはり、それまでの戦場とは明らかに異なる体験を、一人一人の兵隊さんに与えたのでしょう。巨大な徒労感、無力感みたいなものでしょうか。

一つ一つの描写は実にリアルだし、段段と壊れていく登場人物達の変化の描き方も、達者だと思います。何より、興味深いルポルタージュになっていると思います。しかし、それ以上の何か、想いや主張、感動が描かれないのがどうも好きになれません。映画としては、ちょっと足りないのではないか、と。

尚、劇中に使われた流行音楽が、ワタクシが学生時代に聞き慣れた洋楽ばかり。当時「プラトーン」(劇中70年→上映86年)なんかを観て感じていた時代ギャップが、丁度もう一回り(劇中92年→上映06年)してしまったと思うと、月日の経つのは早いものです。

名古屋港イタリア村/複合施設/4点

2006年10月10日 | はじめに
名古屋港に去年できた、イタリアをテーマとしたショッピング・センターです。去年の入場者数が400万人。名古屋で万博の次に人気のある施設と聞いて、行ってきました。


港臭い地下鉄名古屋港駅を出ると、彼方にサンマルコ広場の鐘楼の巨大なレプリカが!これが驚くほどリアルでして、ラスベガスのテーマホテル(観たことないのですが)みたい。


敷地内に入ると、そこはベニスの街並み。狭い運河と街路に沿って、2階建ての建物が並びます。意外にちゃんと施工されており、チープな印象ではありません。運河では、本当にゴンドラが動いていたのに吃驚。水夫さんまで現地で調達したそうです。馬鹿馬鹿しいほど真面目にリアルを追求する姿勢には感銘を受けました。フィレンツェのダビデ像やローマの真実の口やらイタリア的イコンが無造作に並べられた様は、微妙に笑わせてくれたりもしますが、いえいえ、これもまたリアリティ追求の現れ。

ただ、敷地の制限か、元あった建物の制限か、やたら回遊しにくい商業施設になっていることも事実。元来街は中世都市は回遊し易いので、リアルの追求と商業回遊は矛盾しないはずですが。後、決定的な苦言があります。この施設、レストランに入らないと海や港が見えないんです。この場所で、イクラなんでもそれはないんじゃないすか?

こちらでは、単に欧州の街並みを再現しただけでなく、入居するお店の中味なで、イタリアの再現を目指したそうです。名前は村ですが。現地のカジュアルアパレルを中心に誘致したというお店は、今まで聞いたことない名前ばかりだし、物珍しくて面白いです。


特に、奥の食品スーパーは、値段が高いのはともかく、現地でしか売ってないようなスパイスやパスタなどが満載、長時間いても全然飽きませんでした。ただ、だからといってモノを買うかと言われると、ちょっと違うんですね。正直、普通の日本人が買いたくなるようなモノはあまりありません。

基本的に、太ったラテンおばさん向けなのでしょう。原色のムームーとか大きなガラス球とか。そういえば、誰も買い物袋持ってなかった。後、商品券を入口で買わされたのには閉口しました。確か、休日は入場制限のために買わされると聞いていたのですが、今日は平日で客は閑散としてるのに。

リアリティへの努力は買いますが、ぶっちゃけた話、それが施設の愉しさに結びついていません。もっとエンタメに徹することもできたでしょうに。いやいや、きっと、人を集めることが目的ではないのでしょう。名古屋でイタリアをリアルに再現ことに、明確な公的意義があるはずです。そうでもなきゃこんな不採算施設、やってられない、しょ。調べてみるとこの施設、PFIらしい。つまりは民間に任せた公共事業。やっぱり。

それにしても、名古屋港に鐘楼を造る大義って、何だろう?
http://www.toshimirai.jp/machidukuri/t2_nagoya_italia.html
http://www.italiamura.com/index.html

プリンツ/京都百万遍/カフェ/6点

2006年06月21日 | はじめに
ホテルやギャラリー、本屋、CD屋と一緒になったカフェです。心地よい場所でゆったり過ごしながら、気の向くまま思索にふけり、語らい、アートやエンタメ、ニュースに触れる。カフェでできたらいいな、と思うことを自由に展開した結果の多様な機能が、中庭を囲うように緩やかに結びつく感じが、とてもうまくできています。ちょい高い目の価格設定も問題なし。

ただ、この手の施設は必ずターゲットが女性なんですよね。男性をターゲットに、もう少し趣味やスポーツにもジャンルを広げても良いのでは、と思います。例えば、スポーツ新聞とか、漫画とか置いてあってもいいじゃないか。あ、それって普通の喫茶店か。

京都市左京区田中高原町5/075-712-3990
http://www.prinz.jp/index.html

県庁の星/桂望実/3点

2006年06月06日 | はじめに
事勿れ主義を是とする役人が、偶然スーパーに出向して、意に反して熱血。一所懸命やることの楽しさに気づき、店の雰囲気も好転するという、どこかにあったようなサクセスストーリー。それなりに楽しめるのですが、主人公の役人さんといい、スーパーの店員さんといい、人物描写があまりにステレオタイプだし、筋書きも当初の予測をいささかも外れることがない。外れなさ過ぎて、逆に意外でしたが。ダイジェスト版を読んでも同程度の感想をコメントできるでしょうね。こういうのがベストセラーになるのは、小説のマーケットが広がってきた、あるいは広げた証拠なのかも知れませんが。そこだけは評価したい。漫画的、といったら漫画に失礼ですが、これが漫画化したり映画化したりするんだもんなあ。ひとつのソフトを使いまわす器用な時代です。

県庁の星/桂望実/3点