タコ糸

「あなた、これ。自分で開けなよ」と家内が持ってきたのは、私の出生時のへその緒とナニカが入った小さな桐の箱だった。リフォームで荷物整理をしていたら出てきたらしい。綿にはへその緒を縛ったタコ糸、半紙には生まれて初めて切った髪が少し入っていた。さすがにゴミとしては捨てられないから、大晦日用のお焚き上げボックスに入れた。自分が生まれたことの、小さな証である。今夜、お風呂に入る時、しみじみと自分のおへそを見ようと思う。

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