時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

オバマ広島訪問の真の狙い

2016-05-12 22:05:37 | 軍拡
オバマ大統領の広島訪問が新聞、テレビでもてはやされている。
前回のオバマ来日の際も、まるで王様が来たかのような歓待を受けていたが、
その裏側で日米の軍事協力体制が更に強化されたことにも目を向けなければなるまい。

メディアでは平和のための第一歩だという評価がされている。

[毎日新聞] 米大統領広島へ 訪問の英断を評価する (2016年05月11日)

[朝日新聞] オバマ氏広島へ 安全な未来への一歩に (2016年05月11日)


[読売新聞] オバマ氏広島へ 犠牲者を日米で追悼する機に (2016年05月12日)

[東京新聞] オバマ氏広島へ 核なき世界へ道筋を (2016年05月12日)



実際には、今回のオバマ訪問は日米間の更なる軍事協力を確実にするために行われるものだ。
この点を、産経新聞の青木記者は素直に認め、以下のような記事を載せている。

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日米関係の深化を求めるメッセージと素直に受け止めよ 
最後の訪日、用意周到に「歴史問題」解消狙うオバマ氏



今回、踏み切った背景には主に、2つの思いと狙いがある。

1つは2009年、プラハ演説で打ち出した「核兵器なき世界」への執着だ。
北東アジアが深刻な北朝鮮の核開発問題を抱える状況下で、
「最初に核兵器の犠牲になった広島」(アーネスト大統領報道官)を訪れ、
オバマ氏の信念を再表明することは、道半ばの核軍縮と核不拡散を後押しするうえで意義が大きい。


もう1つは、「大統領として日本を訪問する最後の機会に、
日米関係がさらに良くなる努力」として、広島訪問を位置づけている。 

戦後70年以上が経過してもなお、米国の広島、長崎への原爆投下は、
日米間のいわば「歴史問題」として、トゲのように突き刺さったままだ。

オバマ氏は、米国内に根強くある原爆投下への正当論などに留意し、
用意周到に「謝罪の旅」と受け取られることを避けつつ、
原爆死没者を慰霊し世界の恒久平和を祈念することで、日米のトゲを少しでも引き抜こうとしている。

これはアジアにおいて、日米同盟が、平和と安定の基軸であると
認識していることの証左だといえよう。日本は訪問を、日米関係の深化を求める
オバマ氏のメッセージとして、素直に受け止めるべきだ。(ワシントン 青木伸行)


http://www.sankei.com/world/news/160510/wor1605100049-n1.html

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アメリカの核実験の継続

アメリカの放射能被害による犠牲者は、戦死者の数倍


そもそも、世界で最も多く核兵器の実験を行っているのはアメリカだ。
その回数は1000を超え、これまでに世界中で行われた核実験の半数を占めている。

この実験によって、第5福竜丸の船員をはじめとして多くの人間が犠牲となっているが、
これに対してもアメリカはこれまで責任を持とうとしてこなかった。今後もしないだろう。


それだけでなく、アメリカはブッシュ政権以降、積極的に核開発を進めてきたし、
それは単なる新兵器の開発ではなく、北朝鮮などの敵国を先制攻撃の対象とするものであった。


このスタンスは今も変わっていない。
次の記事は半年前の2015年11月に書かれたスプートニク紙の記事である。


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米国、核実験を実施

米国は核爆弾B61-12の実験の3度目の、最終ラウンドを実施。
これは核弾頭の寿命延長計画プログラム(Life Extension Program, LEP)にのっとって行われたもの。

米国家核安全管理局の広報部は17日、記者団に対し、実験はネバダ州トノパフ射撃場で行われ、
その枠内で米空軍機F-15Eがネリス基地から発進し、射撃場の領内に爆弾を投下したことを明らかにした。

~中略~


B61-12は米国の戦略核軍備の主要な熱核兵器。

この爆弾は超音速機をはじめとする航空機での輸送用に作られており、平均重量はおよそ320キロ。
2013年、米国防総省は議会に対しこの爆弾の刷新に110億ドルを要請していた。
だが当時議会はこうした巨額の支出に断固として反対。
議会がこれを承認すれば、プログラムの完全遂行は2021年にとなる見込み。

ロシアの戦略景気センターのイヴァン・コノヴァロフ所長は、
米国の新たな核爆弾の実験から、米国は核兵器の開発を続行する構えであることが裏付けられたとして、
米国はこの爆弾の刷新を12回行っている。これはこの兵器を退けるつもりはない証拠」と語っている。

退役陸軍大佐で軍事専門家のヴィクトル・リトフキン氏も、
米軍の核実験は必要性から行われているとして、次のように語っている。


「核爆弾は博物館に展示するために作られているのではない。必要とならばこれは使用されるのだ。
 米国防総省は2020年までに米国ではこうした兵器の大量生産が始まるという声明を既に表しており、
 B62-12は今イタリア、ベルギー、オランダ、トルコ、ドイツにあるより古い爆弾を交換される。

 この核兵器を用いることがでくるのはNATO諸国の航空機もそうで、米国にとどまらない。

 これはすべて核不拡散条約に大きく違反した行為だ。

http://jp.sputniknews.com/us/20151118/1187018.html
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今回のオバマ訪問は、このような核戦略の上にあるものだ。

アメリカはイランや北朝鮮のような敵国には経済制裁をしてまで核兵器を廃棄しようとするが、
自国や同盟国、イギリスやフランスの核保有に対しては全くといっていいほどノーリアクションだ。

なお、イランに対しては持っている「かもしれない」というだけで経済制裁が下された

今年4月のG7外相会議の席でも、ケリー国務長官は
核兵器は禁止されなければならないが、
 それは抑止力を低下させることで世界がより危険になるようなやり方ではなく、
 より安全になると認めうる形で進められなければならない
」と言明している。


単刀直入に言えば、アメリカは敵国の核兵器は廃絶したいが、自国の核開発をやめるつもりはない。


それゆえに、今回のオバマ大統領の行動はアメリカ国内からも欺瞞だと非難されている。


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アメリカ・シカゴのラジオパーソナリティで作家のスティーブン・レンドマン氏が、
「オバマ大統領が核兵器の反対者を自称していることは、
 恥ずべき嘘以外の何ものでもない」

としました。

世界最大の核兵器庫を保有している
アメリカの国家安全保障政策は、
核兵器によるいわゆる先制攻撃の許可を出しています。


レンドマン氏は10日火曜、プレスTVのインタビューで、
「これはブッシュ政権時代の政策だった。
 オバマ大統領の国家安全保障政策は、ブッシュ氏がとったまさにその政策に基づいている
と語りました。

さらに、
「オバマ大統領が広島を訪問し、アメリカの平和と安定の責務を示すという構想は、
 合衆国の政策とは真逆のものだ」としました。

アメリカ政府は、9日月曜、「オバマ大統領は、
G7・先進7カ国の首脳会議に出席するために日本を訪れる中で、
5月27日、広島を訪問し、原爆ドームを視察する」としました。

アメリカ・ホワイトハウスのアーネスト報道官が、
アメリカ大統領の広島訪問は原爆投下の謝罪を意味しない」としました。

アーネスト報道官は、10日火曜、
「オバマ大統領は、1945年の核攻撃は正当な理由で行われたと考えている」と述べました。

さらに、「オバマ統領は、トルーマン大統領が正当な理由で原爆の使用を決定した。
それは恐ろしい戦争を終わらせるためだったと考えている
」と述べました。

http://parstoday.com/ja/news/world-i8110
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前述したように、アメリカの核先制攻撃の対象にされているのが他ならぬ北朝鮮だ。

北朝鮮は、このことを強く非難している。北朝鮮の核開発には猿のように発狂する一方で、
そもそもの原因を作ったアメリカの核兵器には一切、非難の声を挙げず、
それどころかアメリカの原爆投下を事実上、免罪しようとする日本の態度は異常である。


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官房長官「歴史的機会に」 オバマ氏の広島訪問

菅義偉官房長官は11日午前の記者会見で、オバマ米大統領の広島訪問が決まったことについて
「核兵器のない世界をめざす国際的機運を盛り上げる上で、
 極めて重要な歴史的機会になる。政府として心から歓迎する」と述べた。

「被爆者の方々の強い思いは、惨禍を二度と繰り返さないことにあると考えている」とも語り、
オバマ氏に原爆投下への謝罪を求める考えはないとした。

長崎を訪問しないことに関しては
「広島訪問は被爆の犠牲者を追悼し、被爆の惨禍を繰り返さないとのメッセージを発信するためだ。
 長崎で被爆に遭った皆さんにも通じると考えている」と語った。


http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS11H0K_R10C16A5MM0000/
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要するに、謝罪しなくても良いからという日本政府の言葉を受けて、訪問が決まったに過ぎない。

これは原爆投下に対してアメリカが法的責任を負わないこと、すなわち、
原爆投下は日本の自業自得であり、これに対してアメリカが責任を感じる必要はないという
アメリカ側の解釈を「仰る通りでございます」と了解したことを意味する

これのどのへんがグッドニュースなのか、さっぱりわからない。


歴史研究の結果、広島原爆投下は単純に莫大な予算をかけて開発した原子爆弾の成果を確認する、
つまり単なる実験のために行われたこと、加えてソ連をけん制するために投下したことが指摘されている。


14万もの人間がモルモットのような感覚で殺されたわけだが、
これに対して「謝罪する必要はない」「責任はない」と考える米政府のどこが偉いのだろう?



加えて、このような「平和主義」と並行して、
アメリカ軍が今、世界で何をしているのかについても考えなくてはなるまい。




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アメリカが、シリアで活動するテロリストに化学兵器を供与

メリカの政治専門家ジェイムズ・ジュトラス氏が、
アメリカとその同盟国は、シリアで活動するテロリストたちに化学兵器を供与しているとしました。

ジュトラス氏はプレスTVのインタビューで、
化学兵器禁止機関がテロ組織ISISの化学兵器製造に真剣に対処しない理由は、
一部の大国が自分の利益を危険に晒さないためにこの機関に影響力を及ぼしていることにある」と語りました。


ジュトラス氏はまた、
「化学兵器はISISだけでなく、シリアの他のテログループの手にも渡されている」と強調し、
「西側諸国は、化学兵器不拡散に向けた対策において、好ましい行動をとっていない」と述べました。


2013年、アメリカのオバマ大統領
シリア政府に対し化学兵器兵器の使用という偽りの疑惑を提示することで、同国を軍事攻撃しようとしました。



http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i7819
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イラン革命防衛隊 ペルシャ湾における米海軍のプレゼンスは「絶対悪」

イラン革命防衛隊は、国の入り口付近に米国艦船がしばしば出没することに関連して、
不安感を表明し、米艦船の存在について「絶対悪」であると呼んだ。


これはイラン革命防衛隊の海軍兵団を指揮するアリ・ファダヴィ提督が、
テレビIRINNの夜の番組に出演したさい述べたものだ。

ファダヴィ提督は、次のような見方を示した-

米国は、自分の同盟国と共に、ペルシャ湾水域に存在している。
 それ故、この水域の軍事状況は、平穏で自然なものとは程遠い


 現在水域には、60隻を超える軍艦が存在しているが、
 その大部分は、米国、フランスそして英国のものだ。



http://jp.sputniknews.com/world/20160511/2114817.html
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南シナ海への米艦の侵入に、中国が抗議

中国が、南シナ海へのアメリカ艦船の侵入に強く抗議しました。

中国・新華社通信によりますと、中国外務省の陸慷(りく・こう)報道官は10日火曜、
「アメリカの艦船が中国政府の許可なしに、
 南シナ海の南沙諸島の近海を航行したことは違法行為である」と語っています。

同報道官によりますと、アメリカのこの行動は
中国の領土保全や安全を脅かし、地域の平和と安全を損ねるものだということです。

陸慷報道官はまた、
「中国は、自国の領土保全と安全の維持の枠組みでの努力を継続する」と強調しました。

アメリカ国防総省のアーバン報道官は10日、
「南シナ海で、アメリカのイージス駆逐艦ウィリアム・P・ローレンスによる
 航行の自由作戦が実施され、この駆逐艦は中国が主権を主張する人工島から12海里内にまで接近した」
と語りました。

中国は、これまでに繰り返し、南シナ海での「航行の自由」作戦への反対を表明しています。


http://parstoday.com/ja/news/world-i8095

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~北朝鮮の核開発&オバマの広島訪問について~

日本のメディア右翼&左翼

「金正恩は核挑発をやめろぉおおお!!!!
 オバマは平和の使者ぁああああああ!!!!」





~アメリカの核実験&テログループへの化学兵器供与&シリア侵攻未遂について~


 完全に黙認無視





このように核以外に目を向ければ、今回のオバマの訪問は非常に政治的・軍事的なもので、
先の慰安婦問題における日韓の形ばかりの妥結と同じく、今後の戦争を円滑に進めるためのものでしかない。


慰安婦合意の裏で「均衡外交」の代わりに韓米日同盟強化
[社説]オバマ大統領の広島訪問が成果を収めるために
[記者手帳]「平和の広島」に向けたオバマ大統領と安倍首相の歩み

韓国には、慰安婦合意のような妥結の真意は軍事同盟の強化だと看破する声があり、
彼らの中には今回の広島訪問も同じ文脈で行われるものだと認識する者も多い。

それに対して、日本ではオバマの広島訪問に対して平和のための第一歩だとして、
それなりの数の平和主義者が浮かれ騒いでいる。この違いは一体何なのだろうか。


中途半端な平和主義者ほどファシストに都合の良い敵はいない。


こうした団体や運動家の中には、反核=正義、反反核=絶対悪という
単純な世界観を抱いている人間が少なくなく、彼らは支配者層の目論見通りに
核兵器を維持し続ける敵国(ロシアや北朝鮮、中国)を非難・攻撃する先兵になっている。


(他方で同盟国であるイギリスやフランスの核保有、テロ支援に対する非難はまれだ)


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日本は正しくない 世界を脅かすのは原爆にあらず、世界制覇を狙うマニヤックだ


国連総会は核兵器廃絶を呼びかける日本発案の決議を採択した。
だが世界が実際に核兵器を廃棄した場合、より安全になるのだろうか?


~中略~

米国はロシアとの境界線にますます新型の兵器を配備している

それ以外にも米国は、ロシアの大陸弾道ミサイル発射装置、
軍事施設、産業の中心地に対する、巡航ミサイルによる電光非核集中攻撃コンセプトを採択した

それからさらに米国はロシアと国境を接する諸国で、
民主主義を推し進めるという旗印のもとにその秩序かく乱を行ない、
ロシアが米国の標準に即し、米国の助言や直接的な指令を遂行しようとしないとして、
これに対する制裁を発動している。


米国は、ロシア領内をも含めて、
そこにイスラム帝国復興を標榜するダーイシュ(IS,イスラム国)などのテロ組織を
自国の連合国のうち数カ国が、例えばトルコやカタールなどが支持することには少なくとも目をつぶっている。


そうしておきながら米国は、ロシアが勝手にテロリストと戦おうとしているといってはこれを非難し、
ロシアが共に力をあわせて戦おうという呼びかけても、これを退けている。


オバマ大統領は、米国こそが地球で唯一のリーダーであり続けねばならないと主張し続けており、
米国の首位に疑念を持つもの全ては人類の敵と見なしている。

そうでありながら、おわかりだろうが、米国も原爆を手放す気はないのだ。

日本よ、世界に対し、核兵器廃絶を訴えるかわりに連合国、米国に向かって
世界の排他的リーダーシップを要求することをやめるよう呼びかけたほうが、より現実的ではないだろうか?


http://jp.sputniknews.com/opinion/20151208/1288606.html 
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客観的に見れば、アメリカに先導される国際社会は
表面的には非核をうたってはいるが、実際には敵国への更なる軍事干渉を計画しているわけで、
大国の代表者の広島訪問は、軍事協力を強化するためのものでしかない。


現状、日米を主とする大国の反核運動は、
自国のイメージをアップし、敵国のイメージをダウンさせるプロパガンダとして機能しており、
同時に自国の軍拡、挑発行為、軍需産業の維持、テロ組織への支援をごまかすための隠れ蓑となっている。




このパフォーマンスは、それなりの効果を発揮していると言えよう。

ほとんどの日本人は、先制攻撃を行わない・非核化にむけて努力すると語る
北朝鮮や中国は国際平和に挑戦する悪しき帝国であり、彼らの言葉を信じてはならないと考えているし、
他方で、これらの国々に武力挑発を日常的に行い、先制攻撃のための核開発に勤しんでいる
アメリカの政治パフォーマンスに対しては「平和にむけての前進」と大絶賛している。


こうして「平和国家日本」という現実とはかけ離れたイメージが作られていく中、
アメリカや日本に逆らう国は絶対悪なのだという独善的な考えが当たり前のものになり、
彼らが自国を攻めてくるという妄想が日本の軍国化を強力にアシストしている。


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