夕方5時ちょっと前である。オイラは、其の時間は揚げ油を濾したりフライヤーの掃除やサラダの仕込みやステーキ肉の手入れをしてちょっと大変な時間。其処へ昼の常連客が「まだー！四人だけど」ときたモンである。開店時間まで掃除や仕込みやで「待てますかっ？」と応えるや「折角、来たのにっ！」と捨て台詞。嫌な気分であるが、昼の常連客だし同業者でもある。判ってくれよン。で、来なかった訳。ヘソを曲げたに違いないが、営業時間外の来客にはほとほと参る。飲食店だから大概のお客さんは空腹で待てない訳。だけどオイラは、掃除後の匂いも消したいから空気の全入れ換えもしたいし、オーブンやフライヤーにも火が入っていないしどのみち開店時間に合わせて色々様々な段取りを分単位でこなすので長々と説明も出来ない苦しさが有る訳である。判ってくれよン。
しかし、皆さん帰られた後、暫くして中の20代前半の女性が再び訪ねる。忘れ物かっ！と思えば、単独で弟子入りしたいとの事。初めて聴くアコースティックギターの気圧に圧倒され、オイラ流の弾き方を修得したいらしい。マァ、昨夜の処は今のグループの手前も有り熱意の話を聞かせて頂いたがオイラの稽古に耐えられるか？という事で一念発起、踏ん切りが付いたらおいでとした。オイラの手法をマスターするには五六年では不可能だし、たゆまぬ稽古も必要。オイラも断る必要もないが、決意の程を知りたいから何度か訪ねて頂きたいモンである。思えば、これ迄20人ちかくの方々が訪ねて稽古付けを頼まれたが一人として再度訪ねた方は居ない。
昨晩、予約で来店してくれた8人組のお客さん。以前、へんな洋食屋の瓦版のアコースティックバンド募集で来てくれた。始めに挨拶代わりに先方さんが腕前を披露してくれ、披露するだけあってそれぞれがかなり上手い。ジャンルも程近くこれは結成かっ！とほくそ笑んだが、当然に先方はオイラの腕前も見聞したい訳でオイラとしても披露しなくてはならない。しかし、本気で弾く訳にはいかないのだ。ようく稽古を積んではいるのだが、教科書通りというか、合奏経験育ちのせいか単独弾きでは曲にならない。此処で、オイラがオイラ流を出したら怖じ気付くだろうという懸念が過る。傍らの嫁さんも目でそう言う。しかし、レベルを落とした簡単な演奏というのも難しいから適当に出鱈目弾きをする。結果、総勢口を開けて募れなかった次第である。
しかし、つくづく価格というモノの威力は凄い。中国製だろうが中国産だろうが価格が三分の一以下ならば隠れても買うなっ！先日の草津安旅行の食事なんか全て中国産である。お土産に買ってきた温泉饅頭は違うが、列を為して売られていた三色饅頭や安価な饅頭等は全て中国産・中国製である。日本の関東の群馬県の山奥の草津名物の温泉饅頭が中国製だかんねっ！驚いたよ。草津名物の蒟蒻も蕎麦も中国産である。バイキングの食材一々も中国製冷凍食品、レトルト食品に間違いないっ！だって泊まって二食付いて、横浜～草津往復バス代込みで5600円である。勿論、名湯草津の湯は地産だがお土産に買ってきた24本傘だってハンカチだって怪しい。大好きな干し杏子はパックの裏書きをようく見てトルコ共和国産であるので買ってきた。
連休明けの木曜日の仕込みには参る。あれも此れもの全種目全種類のオリンピック並みに在る。朝から晩までだなっ！其の分、冷蔵庫は空だった訳だが晩になり段々と仕込みの食材て埋まってきた。今日、最後の仕込みの「アラビアカレー」のソースが終わり冷めれば小分けにして冷蔵庫行きである。幸いというか、不幸というか、雨降りで暇なのでナンでもカンでもの仕込みは出来てしまう。閉店後には、スーパーへ繰り出し明日朝の仕込みに足らない小物を買い出しに行かなくてもならない。今日は、食材屋も沢山入り金銭も沢山出た。昨今、騒がれている宮崎県の口蹄疫でちょっと心配していた国産牛のヒレ肉も入荷しひと安心である。国内有るまで、又価格の上昇に至るまではオイラは国産牛の仕入れで頑張るつもりだ。忘れもしない、10年前のBSE事件や鶏インフルエンザ等々と試練は踏んできたが、今年は冷夏の予想でお米はどうなるんだっ！お米は、創業当時に冷夏の影響で外米から始まった。今年は、其の再来で秋口からのお米は大丈夫なんだろなっ！
早朝からの草津温泉街歩き～バスに揺られて四時間の横浜入りでやはり疲れたのだろう、住まいの最寄り駅に降りれば疲れはどっと出る。しかも本降りの雨である。草津土産の24本傘の活躍だっ！帰宅して風呂入りし一服し、カメラ機材の手入れを済ませ、嫁さんのご飯を食べれば一気に眠気である。早々に床入りし爆睡であったろう、朝まで10時間寝た。何度も思い、考えさせられ、其の都度確認する事だが旅行というのは日頃の疲れを洗い流しに行ったつもりが実は疲れに行った訳である。帰宅し、家のいつもの風呂、嫁さんのご飯、自分の蒲団でほっとして疲れが噴出するという事はわざわざ時間や金銭を費やし店を休んで散財し疲れに行く訳だねっ！心はリフレッシュしたが、旅先で嫌な事が有ったりすると心もリフレッシュはしないから踏んだり蹴ったりであるなっ！幸い相棒が気心知れた友人だったので、思えば二日間喋りっ放しであった。
草津の翌朝はやはり雨降りだった。西の河原は、湯煙で真っ白に染まり新緑な背景と共に美しい。ホテルは、高台の9階の部屋なので温泉街が丸見えでやはり湯煙があちこちから出て風情があるなっ！で、朝一の露天風呂で体も浄めバイキング会場へ。相棒は呆れる程の食欲で山盛りの惣菜にどんぶり飯と納豆にて晩御飯並みに平らげたが、オイラは元来朝は食べないのでトースト一枚にコーヒーと3ヶ月食べていない卵焼きで満腹。昨晩の夕食バイキングのカレーライス二杯と山盛りの惣菜が効いている。後、昨日に買ったばかりの1050円の24本傘を拡げて朝の温泉街叙情的古典派印画機械持込散歩術に出掛ける。雨降りの知らない街をシャッターを切りながら歩くのも乙なモンですなっ！しまいに雨も上がりシャッターの巻き上げも速い。あっという間に36枚撮りと24枚撮りを撮り終える。バスは、正午の出発だから二時間半の独り歩きにて思う存分の撮影街歩きに満喫した。
夕食のバイキングはやはり値段だけの事でありお粗末。でも、幸いカレーに恵まれ二杯食べてお腹はいっぱいとなり名湯の誉れ高い草津の湯へ雪崩れ込む。無色透明だが強い硫黄の薫りに相応しい強酸性の湯で一気にふやけてしまう。大浴場も露天風呂も檜風呂も浴槽はぬるぬるである。体もぬるぬるに為ってしまう程の湯である。マァ、それでも二度三度四度と入浴しすっかり掌は皴だらけで体もすべすべである。後、ホテル館内のあちこちを散策徘徊してロビーで一服入れていると、片隅で何やらひそひそ話が聴こえて怪しい。さては温泉不倫かっ！嫌々、不倫旅行ならばもうちょい豪華な宿に泊まる筈だからそうとも言えない。この昼は客の出入りでざわざわしていた広いロビーの夜の明かりを絞った薄暗闇が非日常感を増幅させている訳である。実は、こうして書いているのは部屋の相棒の鼾の見事さにオイラが寝付けないのである。
仕方なく近くの有るもんだなっ！セブンイレブンで缶コーヒーを買い湯畑を眺めての一服。居るいるっ！きっと不倫に違いない中年の手を繋いだカップルだっ！すかさずシャッターを切る。旅館までの帰途に、明日の雨を予想してこれまた観光地にはあちこち有るもんだなっ！1000円均一ショップで24本傘を買う。これ欲しかったんだ、今の手持ちは16本傘の織物と予備に同じく16本傘のポリエステルで、予備の予備に今回この名湯草津温泉街にて24本傘を新調した次第である。ついでと言っちゃ何ですが、嫁さんには和風柄のハンカチ三枚1050円を買う。
草津着、朝七時半に出発し二度の休憩を含めて昼前に着である。幸い天気も良く早速に温泉街を叙情的古典派印画機械持込散歩術にて散策しかき揚げ蕎麦をすすり、路地裏の温泉饅頭屋をひやかしたり漬物屋を漁ったりして一回りする。有名な湯畑も見学し辺りを見回すと有ったっ！勿論、入る気は無いが木戸銭4000円つまり入場料4000円要するに拝観料4000円だっ！江戸は浅草仕込みの妖美な「花電車」と大々的に書いてある。今は、３時頃で小学生の下校時間にて目の前を生徒達が通る其処は温泉地には欠かせないストリップ小屋である。勿論、行かない。で、３時の一服でコーヒーをと探すがマトモな喫茶店は見当たらない。定食、カツ丼、蕎麦、ラーメン、あんみつ、コーヒー店が二軒。入る気はしない。例え入って「コーヒー二つ」と言った処で、きっと素焼きのコーヒーカップに並々入れた沸かしコーヒーにプッチンのミルク、カップの底をゴリゴリとスプーンで掻き回すのが関の山である。