ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

オオカミ再導入に対する簡潔な反論

2011-03-17 08:28:02 | 再導入
震災で非常に大変な思いをしておられる方が多い中、こんなものしか出せないというのも自分の無力さを思い知るのですが、オオカミ再導入に対する法的な問題点についての指摘です。

 一部の自治体で導入しようというオオカミ再導入案ですが、実際に放獣可能か以前の問題として却下されるかもしれません。
なぜなら、「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下管理法)で、彼らが導入しようとするタイリクオオカミが特定動物としてリスト入りしているからです。
さて、ここでこの法律での特定動物というのがどんなものか簡単に解説してみます。もしかしたら拙い理解かもしれませんので、適宜指摘をお願いします。

・特定動物って?
人に危害を加える恐れのある動物のことです。管理法では、哺乳類、鳥類、爬虫類が対象です。
・特定動物にはどういう規制がかかるの?
一定の基準を満たした施設内で、“逃がさない”ように飼うことが求められます。
・もしその規制を破ったら?
飼育許可の取り消しや罰金、懲役などがありえます。

オオカミが特定動物に入っている以上、これを野外に出すのは法律的に問題があるでしょう。仮に管理法上で問題がないとしても、外来生物の利用の観点からすれば、野外放逐を前提としたものはアウトです(これについてはいずれ)。
ここまでをまとめると、「法律的に無理ないし非常に難しいです」となります。オオカミ協会側がこういった情報を流さないのはある意味不思議ですよね?保全をするなら関連法くらい抑えておけよと思いますし。しかも個人でなく団体なのですから。
有意義な情報を教えてくださった方々にこの場を借りて感謝します。
参考資料
特定動物(危険な動物)の飼養又は保管の許可について
特定動物リスト
パンフレット

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1 コメント

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特定動物問題 (shikashima)
2011-07-29 07:43:29
お久しぶりです。震災があったからこそ、この問題を整理することは意味があり、決して無意味でも無力でもないと思います。
特定動物を外に出さない、ということがいかに大切か、災害時だからこそその重要性が意味を持つと思うからです。
このオオカミ再導入問題が他の外来動物再導入問題と一線を画するのは、「特定動物」指定とその関連法の問題が厳然として存在するからで、
そこをHPなどで説明しない団体の「オオカミ再導入」などというのは「安全風評の流布」でしかないのだと思います。
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