ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

翳りゆく楽園

2010-08-14 19:59:17 | 書籍
「翳りゆく楽園」アラン・バーデック著 伊藤和子訳 養老孟司解説 ランダムハウス講談社
 すでに三中氏や向井氏に取り上げられていますが、こちらでも。400ページ越の本ですが、嵐のような忙しいこの一週間でなんとか読み終えました。一言でいえば「良書。ただし人を選び、その人間の知性が試される」といったところです。非常に良質なドキュメンタリーを見ているかのようでした。この本は大きく2部にわかれています。1部が陸における外来生物問題、主にハワイでのミナミオオガシラというヘビについての保全の話です。これだけでも十二分に面白いですが、2部の海洋の外来生物はさらに示唆に富んでいます。あまり書くとネタばれになりますが、とても重い保全生態学、進化生物学のテーマを扱いそれを上手くまとめている手腕には感心します。というわけで2部から先は買ってお楽しみください。
非常に示唆に富む内容で出てくる科学者達の扱うテーマも面白いので生態学をある程度勉強しているという人はさらに上を目指すために読んでも損はないと思います。
ただし生態学の素養がない人には薦められません。某福岡とか、某池田とか。
僕が一番危惧するのは外来生物、在来生物に明確な線が引けないからといって、すべてを相対化して外来生物も在来生物もいっしょくたに扱うこと。きちんと読めばこの本で出てくる科学者は明確な線が引けないからといっていっしょくたに扱うような思考停止はしていないんですけど。むしろそれを踏まえて何を自分は為すのかという先へ向いていますね。まぁその意味では巻末で解説と言う名の誤読を垂れ流している養老は予想通りですね。マジでこの本にこの解説はいらね。

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