わが家の食育…「お家で作ろう! 食べよう!」

家族の健康づくりは、わが家で作る食事から…。信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」「週刊いいだ」特集掲載をまとめます。

「暮らしの中に薬草やハーブを」

2012-08-19 | 農と食をつなぐ…健康で暮らすために 

           農と食をつなぐ…健康で暮らすために Part1  

                 信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                  <2012.8/16号掲載>

厳しい暑さが続いています。熱中症の予防に水分の補給が求められていますが、何を飲むかが大切です。
糖分のある飲料の摂りすぎはペットボトル症候群を招き、冷たい飲料は血行を悪くします。そんなとき、「薬草」や「ハーブ」を生活習慣に取り入れて、体の中から体質改善を促し、暑さに負けない体づくりをしませんか。                                                                                                                  

健康とは
私たちの健康生活を阻むものは、病気やケガ、ストレスです。
増え続ける生活習慣病に対し、健康づくり視点から、東洋医学の「未病」の改善が見直されています。
それぞれの病気や症状に薬などの治療で対処する西洋医学に対し、東洋医学では体全体を捉え、「気・血・水」の流れを円滑に巡らせることを基本にしています。

【未病】
東洋医学でいう未病は、疲れやすいなどの不定愁訴(ふていしゅうそ)の状態。
未病に気づき、日常の食べ物や暮らし方の生活習慣に気をつけ、心と体のバランスを保つが大切です。
普段からの“養生”で、病気やケガ、ストレスの要因を防ぐ考え方です。

【生きがい】
食事・睡眠・運動に気をつけ、目標を持って生きることで「気」の流れがスムーズになります。心の健康が保たれることは、体の健康づくりにもつながります。

薬草とハーブ
薬草やハーブで、暑さやストレスなどの環境に適応する調節機能「ホメオスタシス」を活性することが、健康づくりにつながります。
植物のもつ力で身体を癒し、心身両面からの自然治癒力をつけましょう。

薬草 
薬草には、強い効果で症状を改善するものと、少しずつ摂り続けることでジワジワと効果を現すものがあります。
それぞれの成分を知り、薬用酒や煎じて生薬の効果を抽出した飲料、入浴剤として役立てます。

ハーブ  
食べる、嗅ぐ、育てるなど生活全般に活用し、心身の自己治癒力と自己調整機能をアップする「ハーバルライフ」が勧められています。


 

食べて、飲んで―――体の中から健康に
血行とストレスの関係
人間は、体重の約半分以上が水分で、体重の約8%になる血液の多くが水分で構成されています。
ストレスや生活習慣の乱れは、自律神経系や内分泌系(ホルモン)、免疫系の機能を乱し、血行を悪くします。
細胞の老化防止や免疫力の強化などによる健康づくりのためには、薬草やハーブなどの力を借りて体の隅々まで血の巡りを良くして、血液と共に水分を回らせることが大切です。

体の自然治癒力を引き出す
夏の水分補給は、命綱。水分補給時は、健康茶や酢、ハチミツなどの食品や、生薬(練り合わせた丸薬、粉末、煎じる、薬用酒)などを加えて体内機能を活性化しましょう。
脱水症状になりかけたら、体温を下げ、経口補水液(水1リットル、砂糖大さじ41/2、塩小さじ1/2)や重湯で体液のバランスを改善することが応急処置です。 


 

    
料理に使う
カレーのスパイス「ウコン」は、血行を整え、新陳代謝を活発に。
夏の冷えには「ショウガ」、生ものの抗菌・解毒には「ワサビ」、杏仁豆腐に添える「クコの実」は、疲労回復・老化防止に役立つ生薬。

お茶で
吹き出物に効くという毒消しの生薬「十薬(じゅうやく)」はドクダミ、身体を丈夫にする「杜仲(とちゅう)」、サポニンを含む「びわの葉」、鉄分・亜鉛などのミネラルは「チコリー」のお茶を。

薬酒や湿布
県内にもあるキハダの木は、内皮を「黄柏(おうはく)」といい、生薬の効果を引き出す酒で抽出する薬酒向き。健胃整腸だけでなく、粉末に食酢を加えて打撲傷の湿布剤にもされます。


 

健康茶 「そば茶」
健康茶は、穀物や植物の機能性を湯水に抽出するもの。
クマザサ、ハトムギ、玄米、プーアール茶などを好みでブレンドすれば、味と機能性が相乗効果で期待できます。

  
浅間山麓、御代田町にある日穀製粉株式会社(本社長野市)軽井沢工場では、そば茶を作っています。
「そば」と言えば、ルチン。一般のそばより約100倍のルチンを含む韃靼(だったん)そばのお茶は、「苦茶」ですが、独自の製造技術によって飲みやすいそば茶になっています。
浅間山麓産のそば茶と、南信の紅茶「うまいんだに」をブレンドした「紅茶入りそば茶」は、信州の特産茶。地元メーカーオリジナル茶として、そばと紅茶の和洋融合した新しい味わいを楽しめます。

抽出時間や温度が味わいのポイント。
スーパーマーケットツルヤ(軽井沢店・御代田店)、やまいし(株)(御代田町)で販売。


健康に貢献する産業づくり
地元で栽培している薬草とハーブ

ハーブ 「ジャーマンカモミール」
ローズヒップ、ペパーミント、セージ、タイムなどのハーブは、ハーブティー、アロマ、ハーブオイルのように、料理や飲料、美容、植物療法(聞香療法)、ガーデニング、草木染めなどの適した利用方法で親しめます。

「ハーブの女王」と呼ばれ、古代から薬草として利用されてきたカモミール。
ジャーマンカモミールの日本名は「カミツレ」です。
ハーブティーにすると、アズレンやペクチン様の粘液質、フラボノイドを多く含むため、胃の保護や炎症を抑えると言われています。
ローマンカモミールは、アズレンが少ないですが、鎮静効果の高いハーブです。

佐久市で栽培に挑戦…。
佐久市では、新品目導入試験圃場「FATRIA佐久」で昨年秋から試験栽培を実施しました。
佐久市の新たな特産品への期待の中、体験農家を含めた初年度の栽培は終了。耕地の冬期利用や中山間地の転作作物として、適地や栽培技術が検討されています。 

佐久市で栽培されたカミツレは、カミツレ研究所(北安曇郡池田町)で熟成させてカミツレエキスにし、入浴剤、化粧品などのスキンケア製品「華密恋(かみつれん)」になります。
カミツレ研究所http://www.kamitsure.co.jp
 


 

薬草 「センブリ」
センブリは、ドクダミやゲンノショウコとあわせて三大民間薬と呼ばれています。
生薬名は「当薬(とうやく)」。千回振りだしても苦いことから「千振」と書き、腹痛や健胃の特効薬とされています。

東御市北御牧は、薬用ニンジンとセンブリの特産地です。
1844年から長野県での栽培がはじまった薬用ニンジンと、当地で30年以上生産を続けているセンブリ。どちらも土づくりが大切な特用作物です。
中村真一さん(57)は後継者の正さん(31・写真)とともに、連作が大変難しいセンブリの栽培を続け、さらに無農薬栽培に挑戦し、品質向上(薬用成分の多い栽培)に取り組んでいます。 
栽培グループと販売先とが築いた長い取引の信用を、次世代の産地へと継続することが、「現在に生産者の使命」と言います。

中村さんおすすめのセンブリの手軽な飲み方は、夜、3~4cmに切ったセンブリの茎を小さな器に入れ、お湯を注いで朝まで抽出させたものを、起き抜けに一気に飲む方法。
お酒を飲む前の悪酔い予防にも。

 

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かんたんクッキングEX         地産地消と特産品を訪ねて    

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