望月衣塑子記者(東京新聞)のフェイスブックより
https://www.facebook.com/isoko.mochizuki/posts/10212563162487907
元TBS記者の男性から受けた性暴力被害を告発し、手記「Black Box」(文芸春秋)を出版した、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、24日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見した。
詩織さんは、
「捜査や司法システムの改正に加えて、社会の意識を変えること、そして、被害者を救済するシステムの整備が必要だ」と、手記に込めた思いを語っている。
詩織さんは2015年4月、就職相談のため、当時TBSワシントン支局長の男性と、都内で飲食後、意識を失ってホテルに連れて行かれ、「性的暴行を受けた」として、警視庁に被害届を提出。
高輪署が、準強姦容疑で逮捕状を取ったものの、警視庁の中村格刑事部長(当時)の指示で、逮捕が見送られた。
東京地検は昨年7月、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
これを不服として、詩織さんは、検察審査会に審査を申し立てたが、今年9月に、「不起訴相当」の議決を受けた。
伊藤さんは同月、男性に1千万円の損害賠償を求める訴訟を、東京地裁に起こした。
一方、男性は、一貫して、犯罪行為を否定している。
24日の会見のメモを掲載。
動画でも配信されているので、関心のある方は是非観てほしい。
【録画】ジャーナリストの伊藤詩織さんが会見(2017年10月24日)
今回の問題は、刑事罰としての準強姦が問えるか問えないか、に留まる問題ではない。
人事権を持った人間が、人事の話を口実に、若い女性を酒の席に誘い、酔わせた揚げ句、自宅に送るでもなく、自らが泊まるホテルへと連れ込み、性行為を行った。
このことをもってしてだけでも、刑事罰に問えずとも、元記者の取った行為は、充分に非難されるべき問題だ。
アメリカでは、著名な大物プロデューサーがセクハラをしていたと、モデルや女優らが告発したことで、映画界を追放処分された。
それと連動して、性的被害に遭ったという人々が一斉に、ME・TOO(私も)と自分の体験を語り始めた。
同様の動きが、フランスでも起きていると聞く。
しかし、今もって日本では、ME・TOOと内なる叫びはあっても、声をあげられないような閉塞した状況が続いている。
実際、日本社会では、性的暴行を訴える人は、受けた人の5%程度だという。
「被害に遭っても言うだけ無駄」
「黙っておとなしくしておくのが一番」という暗黙の空気が、日本の社会全体に漂っているのは事実だろう。
「これを変えていくべきではないのか。そうでなければ、また第二の私をこの社会は産み出しかねない」
会見での言葉には、彼女の切実な思いが溢れていた。
「どういう動機が、あなたをここまで動せるのか」。
記者に聞かれ、詩織さんは、
「個人的な話でないからこそ話せた。
個人的な話だと思ったら、思い出さなくてもよい。
思い出したくない。
被害者の状況を、周りの人が理解することが大切。
これが、自分の妹や友人におきたら、どういう道を辿るのかなと思った時、同じことが起きて繰り返される事の方が苦しい。
私のケースが特別なことと思っていない。
友達や家族のケースに置き換えて考えることが、大切なことだと思う」と話した。
自分のことだけのためだったら、被害を受けた当事者である詩織さんが、事件に関してここまで練り強く調べ、書き上げ、会見することなぞ、到底できなかったと思う。
彼女の勇気に、そして、「我慢し黙っていればいいんだ」と、ただただ沈黙する日本の社会を変えたいという、その切実な思いに応えなくてはいけない。
沈黙こそが、いまこの、日本社会の闇そのものではないか。
会見での詩織さんの言葉を聞き、感じた。
会見起こしは以下(一部省略)
詩織さん:
私は、2年前にレイプされた。
NYで写真の勉強後に、戻ってきた。
ロイター通信で、大きな夢であるジャーナリストになろうと思っていた。
2015年4月、TBSのワシントン支局長と、就労ビザの話をするために会った。
食事をしたあとに目を覚ました。
そして、起きた時は、今日まで私が直面している悪夢のはじまりだった。
食事をしたあとに意識を失った。
気付いたら、元記者が乗っていた。
病院、レイプ救援センターに助けを求めたが、助けてくれなかった。
日本の社会や司法は、性犯罪の被害者のためには機能していないことがわかった。
そして、こういうことはよく起きていることがわかった。
警察はこの事件の被害届けを出すことも、(初めは)許してくれなかった。
事件化することも、性犯罪を捜査することも、難しいと言っていた。
私は沢山の疑問をもっていた。
警察は何故、私の被害届けを出してくれないのか。
捜査するようお願いした。
ホテルのカメラ、DNAの検査結果、タクシー運転手、ホテルの従業員の証言などを、調べてくれることになった。
捜査員の努力により、捜査も終わり、裁判所から逮捕令状も出された。
しかし、成田空港で、捜査員が元記者を逮捕しようとしたら、上からの命令で逮捕が見送られた。
中村格、当時の刑事部長が、捜査員に逮捕をやめるよう命令したということだった。
説明もないまま、そういった命令が許される警察組織の在り方に、疑問をもっている。
中村氏にインタビューするよう努力してきたが、質問にいまだに答えてくれていない。
世界中で報告されないことがある。
日本でも、5%しか(性的被害は)報告されないことはよくあること。
スティグマとタブーがすごい。
私はこのタブーを破りたくて、顔も名前も出して告白することを決めた。
日本では、社会もメディアも、隠した方がいいと言われた。
それは、私たちのためでもあると言われる。
実際、捜査員からも、「告訴しないように」と勧められた。
「報告すれば、ジャーナリストとしての仕事も失い、業界としての仕事もできなくなる。人生もこれで終わりだよ」と言われた。
その主な理由が、私が訴えた人が、知名度が高く、業界でも尊敬されている人だからです。
公にしてからは、バッシングも迫害も受けた。
前のように生活することもできなくなった。
でも、隠れなければいけないのは、私たち被害者ではない。
問題は、私たちを受け入れて、そして信用する準備ができていない、この社会にある。
私たちは、話をすることで、良い変化をもたらすことができる。
そして、性暴力を無視することは、もうできません。
先週10月18日に、ブラックボックスを出した。
2015年に、私が経験した性暴力被害と、そのあとの病院やホットラインの体制問題、捜査の在り方、司法のシステム、会見後の社会の様々な反応を、これまでの記録や調査、経験もとに書いたノンフィクション。
密室の出来事であり、ブラックボックスということを、検察や捜査員からうかがった。
警察や検察そのものにも、沢山のブラックボックスが存在していることに気付いた。
このブラックボックスに、いかに光を宛て、箱を開くか、少しでもそのきっかけとなればと、この本を執筆した。
本の中で、自分の経験をさらすことになったが、その結果、身近に似た経験をされ、その傷みとともに生きている、沢山の方々が居ることを知った。
これは、遠い誰かの話ではないと、知って頂きたい。
どんな時代でも、どんな所でも起こることだし、それについては、どう改善できるかを考えていく必要がある。
ただ、特定の誰かやシステムを非難するだけでは改善できない。
私たち一人一人が、どう改善できるかを考えていかなくてはならない。
本書では、たまたま私の身に起こったことを例にして、話しているにしか過ぎない。
でも、何がこれから必要かを話すため、過去の話をする必要がある。
前回5月29日の(顔出し)会見で話したように、検察審査会の申し立てを行った。
検察審査会より、不起訴相当の議決が出された。
現在の司法では、私の訴えた準強姦の事件は、起訴ができないとなった。
検察審査会は、検事が出した答を再度見直し、精査するもの。
そのため必要な資料や証言を、集めて提出した。
審査会の場には申立人が呼ばれ、事情を聞かれることもあるし、代理人が呼ばれることもある。
今回は、私も弁護士も、検察審査会に呼ばれることなく、議決が出た後も、それに対する説明はなかった。
不起訴を覆す理由がない、ということだったが、その内容の具体的説明はなかった。
申し立てを行った際に、とくに注意をつけてお願いしたことある。
私が、タクシーを出て引きずられ、降ろされる映像を、静止画ではなく、防犯カメラの動画で観て頂きたいと言った。
しかし、動画が証拠で出たかどうかもわからない。
検察審査会に質問を出したが、検察審査会法26条を根拠に、一切の回答を貰えなかった。
検察審査会は非公開であるとはいえ、説明の機会がなかったことで、さらに疑問が増した。
この時に聞いた質問のうち、審査員の男女比と平均年齢には、回答をもらった。
それは、男性が7人女性が4人、平均年齢は50.45歳だった。
男女で問題のとらえ方が異なるものについて、男女比を半々に近づけていただけなかったことは、大変残念に思う。
この本の最後に書いたが、認めている事実は以下だ。
1 当時、TBSの元記者と私が、働くために必要なビザについて話すために会った。
2 元記者に会ったのは、それが3回目。二人きりで会ったのはそれが初めて。
3 そこに恋愛感情はなかった。
4 私が泥酔した状態だと、元記者は認識していた。
5 元記者は、自身の滞在しているホテルに、私を連れて行った。
6 性行為があった。
7 私の下着のDNAの染色体が、元記者のものと過不足なく一致した。
8 意識のないまま引きずられる私が映っている映像、降ろして欲しいと繰り返し言っていた証言を集め、逮捕状を請求、裁判所がそれを許可した。
9 逮捕の当日、捜査員が成田空港で待ち伏せる中、中村格刑事部長の指示で、逮捕が突然とりやめられた。
これだけの事実があっても、いまの日本の司法は、起訴することさえできない。
中村格氏には、逮捕の当日やめた理由を何度も聞いているが、何の回答も得られていない。
先日おこした民事訴訟の場では、これまでと違い、初めて法廷でお互いに事実関係を述べ合い、第三者による公平な判断がくだされる。
このブラックボックスが、少しでも開かれることを祈っている。
そして、外国特派員協会で話せる今日、この問題を報じるメディアの問題について話したい。
判断が見送られて以来2年間、メディアに協力してきたが、この問題を正面から報じてくれるメディアはいなかった。
逮捕見送りの問題点を報じてくれたのは、週刊新潮だけだった。
今回の経験から、仮に、国や司法で間違った判断が行われた場合、メディアがどう検証するのか。
本当に正しい判断が出されたのか、という視点を持ってくれることを願う。
それだけで、沢山の人が救われる可能性がある。
最後に、私がこの本で一番述べたかったのは、捜査や司法のシステムの改正に加えて、社会の意識を変えていくこと。
そして、レイプ被害に遭った人々への、救済システムへの整備が必要だということ。
これについては、他国の取り組みを取材した内容も記載したので、是非、本書を読んで欲しい。
7月から改正刑法が施行され、強姦罪は強制性交等罪と言われるようになった。
まだ不十分な所はあるが、変化したという事実は、多くの人に希望を与えた。
今回、強姦罪に大幅な改正を加えるには、110年という長い時間がかかったが、性被害にあった方が声を上げた結果、変えることができた。
私たちが広く問題意識を持つことで、このように長い間待たなくても、きっと変化が起こせることになると思った。
今回の改正法では、暴行や脅迫要件の緩和が為されなかった。
被害者が抵抗できないほどの暴力、脅迫がなければ、罪に問われないという現状はかわっていない。
しかし、ある調査結果では、レイプ被害者の7割が、フリーズ(膠着)状態に陥るという結果が出ている。
この点については、3年後の見直しの機会に、さらなる見直しの議論が行われると言われている。
この本がその助けになればいいと思う。
******* ******* ******* *******
質疑応答
イタリア人記者:
日本の女性からの連帯など、言葉などはないのかあるのか。
詩織さん:
日本の中では、女性の弁護士からは連絡ある。
団体からはない。
イギリスからはあった。
日本の動きについて話をした。
イタリア人記者:
週刊新潮に出ていた、中村格・刑事部長の引用、
「女も、就職の世話が欲しいという思惑があったから飲みに行ったのであって、所詮男女のもめ事。彼女は、2軒目にも同行しているんだしさ」とあるが、どういう意図があると思うのか。
詩織さん:
中村氏の言葉の意味はわからないが、NHKの「あさイチ」のリポートで、二人きりで食事をしたら、性行為の同意があっても仕方がないと思うもの、という調査で11%もいる。
中村氏もそういう風に思うのか。
(告発後に)女性からのバッシングも受けた、ネガティブなコメントもうけた。
(日本社会の女性達は)この社会で生きるためには、忍耐しかないと思っているのではないか。
スウェーデンの職場での男女平等が進み、高いポジションの人も3割を占めている。
女性の地位、権力、高いものを占めている。
自分とは違う意見の人とも、もっと話をできたらと思っている。
ブラックボックスが沢山ある。
検察にもある。
警察にもある。
中村氏から答えを貰っていない。
国会で議論していってもらえればと思う。
スウェーデンには、30%女性の警察官がいる。
日本ではわずか8%のみだ。
ジェームズ・ディフェンス・ウィーク記者:
日本では、アクセスジャーナリズム 権力にすりよって出世していくジャーナリズムはある。
それは、権力や権威に強い人が上がっていく。
けれど、社会の苦しみや葛藤から、下から救い上げていくような、ジャーナリズムが少ないのではないか。
******* ******* ******* *******
その典型的な人物かつ強姦魔が、こそこそとこんなことを、極右仲間に支えられながら、ネットで発言していました。
いやもう、どこまでも姑息で、なおかつ自分は守られているという妙な自信を持っている男です。
その自信の元はこれ。
そして極右仲間の支援。
望月記者は、内閣広報室で必死に食い下がっていますが、
とにかく、山口氏(氏をつけるに値しないと思いつつ)が詩織さんに行った行為は、許されていいものではありません。
どんなに大きな勢力が後ろについていようと、です。
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https://www.facebook.com/isoko.mochizuki/posts/10212563162487907
元TBS記者の男性から受けた性暴力被害を告発し、手記「Black Box」(文芸春秋)を出版した、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、24日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見した。
詩織さんは、
「捜査や司法システムの改正に加えて、社会の意識を変えること、そして、被害者を救済するシステムの整備が必要だ」と、手記に込めた思いを語っている。
詩織さんは2015年4月、就職相談のため、当時TBSワシントン支局長の男性と、都内で飲食後、意識を失ってホテルに連れて行かれ、「性的暴行を受けた」として、警視庁に被害届を提出。
高輪署が、準強姦容疑で逮捕状を取ったものの、警視庁の中村格刑事部長(当時)の指示で、逮捕が見送られた。
東京地検は昨年7月、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
これを不服として、詩織さんは、検察審査会に審査を申し立てたが、今年9月に、「不起訴相当」の議決を受けた。
伊藤さんは同月、男性に1千万円の損害賠償を求める訴訟を、東京地裁に起こした。
一方、男性は、一貫して、犯罪行為を否定している。
24日の会見のメモを掲載。
動画でも配信されているので、関心のある方は是非観てほしい。
【録画】ジャーナリストの伊藤詩織さんが会見(2017年10月24日)
今回の問題は、刑事罰としての準強姦が問えるか問えないか、に留まる問題ではない。
人事権を持った人間が、人事の話を口実に、若い女性を酒の席に誘い、酔わせた揚げ句、自宅に送るでもなく、自らが泊まるホテルへと連れ込み、性行為を行った。
このことをもってしてだけでも、刑事罰に問えずとも、元記者の取った行為は、充分に非難されるべき問題だ。
アメリカでは、著名な大物プロデューサーがセクハラをしていたと、モデルや女優らが告発したことで、映画界を追放処分された。
それと連動して、性的被害に遭ったという人々が一斉に、ME・TOO(私も)と自分の体験を語り始めた。
同様の動きが、フランスでも起きていると聞く。
しかし、今もって日本では、ME・TOOと内なる叫びはあっても、声をあげられないような閉塞した状況が続いている。
実際、日本社会では、性的暴行を訴える人は、受けた人の5%程度だという。
「被害に遭っても言うだけ無駄」
「黙っておとなしくしておくのが一番」という暗黙の空気が、日本の社会全体に漂っているのは事実だろう。
「これを変えていくべきではないのか。そうでなければ、また第二の私をこの社会は産み出しかねない」
会見での言葉には、彼女の切実な思いが溢れていた。
「どういう動機が、あなたをここまで動せるのか」。
記者に聞かれ、詩織さんは、
「個人的な話でないからこそ話せた。
個人的な話だと思ったら、思い出さなくてもよい。
思い出したくない。
被害者の状況を、周りの人が理解することが大切。
これが、自分の妹や友人におきたら、どういう道を辿るのかなと思った時、同じことが起きて繰り返される事の方が苦しい。
私のケースが特別なことと思っていない。
友達や家族のケースに置き換えて考えることが、大切なことだと思う」と話した。
自分のことだけのためだったら、被害を受けた当事者である詩織さんが、事件に関してここまで練り強く調べ、書き上げ、会見することなぞ、到底できなかったと思う。
彼女の勇気に、そして、「我慢し黙っていればいいんだ」と、ただただ沈黙する日本の社会を変えたいという、その切実な思いに応えなくてはいけない。
沈黙こそが、いまこの、日本社会の闇そのものではないか。
会見での詩織さんの言葉を聞き、感じた。
会見起こしは以下(一部省略)
詩織さん:
私は、2年前にレイプされた。
NYで写真の勉強後に、戻ってきた。
ロイター通信で、大きな夢であるジャーナリストになろうと思っていた。
2015年4月、TBSのワシントン支局長と、就労ビザの話をするために会った。
食事をしたあとに目を覚ました。
そして、起きた時は、今日まで私が直面している悪夢のはじまりだった。
食事をしたあとに意識を失った。
気付いたら、元記者が乗っていた。
病院、レイプ救援センターに助けを求めたが、助けてくれなかった。
日本の社会や司法は、性犯罪の被害者のためには機能していないことがわかった。
そして、こういうことはよく起きていることがわかった。
警察はこの事件の被害届けを出すことも、(初めは)許してくれなかった。
事件化することも、性犯罪を捜査することも、難しいと言っていた。
私は沢山の疑問をもっていた。
警察は何故、私の被害届けを出してくれないのか。
捜査するようお願いした。
ホテルのカメラ、DNAの検査結果、タクシー運転手、ホテルの従業員の証言などを、調べてくれることになった。
捜査員の努力により、捜査も終わり、裁判所から逮捕令状も出された。
しかし、成田空港で、捜査員が元記者を逮捕しようとしたら、上からの命令で逮捕が見送られた。
中村格、当時の刑事部長が、捜査員に逮捕をやめるよう命令したということだった。
説明もないまま、そういった命令が許される警察組織の在り方に、疑問をもっている。
中村氏にインタビューするよう努力してきたが、質問にいまだに答えてくれていない。
世界中で報告されないことがある。
日本でも、5%しか(性的被害は)報告されないことはよくあること。
スティグマとタブーがすごい。
私はこのタブーを破りたくて、顔も名前も出して告白することを決めた。
日本では、社会もメディアも、隠した方がいいと言われた。
それは、私たちのためでもあると言われる。
実際、捜査員からも、「告訴しないように」と勧められた。
「報告すれば、ジャーナリストとしての仕事も失い、業界としての仕事もできなくなる。人生もこれで終わりだよ」と言われた。
その主な理由が、私が訴えた人が、知名度が高く、業界でも尊敬されている人だからです。
公にしてからは、バッシングも迫害も受けた。
前のように生活することもできなくなった。
でも、隠れなければいけないのは、私たち被害者ではない。
問題は、私たちを受け入れて、そして信用する準備ができていない、この社会にある。
私たちは、話をすることで、良い変化をもたらすことができる。
そして、性暴力を無視することは、もうできません。
先週10月18日に、ブラックボックスを出した。
2015年に、私が経験した性暴力被害と、そのあとの病院やホットラインの体制問題、捜査の在り方、司法のシステム、会見後の社会の様々な反応を、これまでの記録や調査、経験もとに書いたノンフィクション。
密室の出来事であり、ブラックボックスということを、検察や捜査員からうかがった。
警察や検察そのものにも、沢山のブラックボックスが存在していることに気付いた。
このブラックボックスに、いかに光を宛て、箱を開くか、少しでもそのきっかけとなればと、この本を執筆した。
本の中で、自分の経験をさらすことになったが、その結果、身近に似た経験をされ、その傷みとともに生きている、沢山の方々が居ることを知った。
これは、遠い誰かの話ではないと、知って頂きたい。
どんな時代でも、どんな所でも起こることだし、それについては、どう改善できるかを考えていく必要がある。
ただ、特定の誰かやシステムを非難するだけでは改善できない。
私たち一人一人が、どう改善できるかを考えていかなくてはならない。
本書では、たまたま私の身に起こったことを例にして、話しているにしか過ぎない。
でも、何がこれから必要かを話すため、過去の話をする必要がある。
前回5月29日の(顔出し)会見で話したように、検察審査会の申し立てを行った。
検察審査会より、不起訴相当の議決が出された。
現在の司法では、私の訴えた準強姦の事件は、起訴ができないとなった。
検察審査会は、検事が出した答を再度見直し、精査するもの。
そのため必要な資料や証言を、集めて提出した。
審査会の場には申立人が呼ばれ、事情を聞かれることもあるし、代理人が呼ばれることもある。
今回は、私も弁護士も、検察審査会に呼ばれることなく、議決が出た後も、それに対する説明はなかった。
不起訴を覆す理由がない、ということだったが、その内容の具体的説明はなかった。
申し立てを行った際に、とくに注意をつけてお願いしたことある。
私が、タクシーを出て引きずられ、降ろされる映像を、静止画ではなく、防犯カメラの動画で観て頂きたいと言った。
しかし、動画が証拠で出たかどうかもわからない。
検察審査会に質問を出したが、検察審査会法26条を根拠に、一切の回答を貰えなかった。
検察審査会は非公開であるとはいえ、説明の機会がなかったことで、さらに疑問が増した。
この時に聞いた質問のうち、審査員の男女比と平均年齢には、回答をもらった。
それは、男性が7人女性が4人、平均年齢は50.45歳だった。
男女で問題のとらえ方が異なるものについて、男女比を半々に近づけていただけなかったことは、大変残念に思う。
この本の最後に書いたが、認めている事実は以下だ。
1 当時、TBSの元記者と私が、働くために必要なビザについて話すために会った。
2 元記者に会ったのは、それが3回目。二人きりで会ったのはそれが初めて。
3 そこに恋愛感情はなかった。
4 私が泥酔した状態だと、元記者は認識していた。
5 元記者は、自身の滞在しているホテルに、私を連れて行った。
6 性行為があった。
7 私の下着のDNAの染色体が、元記者のものと過不足なく一致した。
8 意識のないまま引きずられる私が映っている映像、降ろして欲しいと繰り返し言っていた証言を集め、逮捕状を請求、裁判所がそれを許可した。
9 逮捕の当日、捜査員が成田空港で待ち伏せる中、中村格刑事部長の指示で、逮捕が突然とりやめられた。
これだけの事実があっても、いまの日本の司法は、起訴することさえできない。
中村格氏には、逮捕の当日やめた理由を何度も聞いているが、何の回答も得られていない。
先日おこした民事訴訟の場では、これまでと違い、初めて法廷でお互いに事実関係を述べ合い、第三者による公平な判断がくだされる。
このブラックボックスが、少しでも開かれることを祈っている。
そして、外国特派員協会で話せる今日、この問題を報じるメディアの問題について話したい。
判断が見送られて以来2年間、メディアに協力してきたが、この問題を正面から報じてくれるメディアはいなかった。
逮捕見送りの問題点を報じてくれたのは、週刊新潮だけだった。
今回の経験から、仮に、国や司法で間違った判断が行われた場合、メディアがどう検証するのか。
本当に正しい判断が出されたのか、という視点を持ってくれることを願う。
それだけで、沢山の人が救われる可能性がある。
最後に、私がこの本で一番述べたかったのは、捜査や司法のシステムの改正に加えて、社会の意識を変えていくこと。
そして、レイプ被害に遭った人々への、救済システムへの整備が必要だということ。
これについては、他国の取り組みを取材した内容も記載したので、是非、本書を読んで欲しい。
7月から改正刑法が施行され、強姦罪は強制性交等罪と言われるようになった。
まだ不十分な所はあるが、変化したという事実は、多くの人に希望を与えた。
今回、強姦罪に大幅な改正を加えるには、110年という長い時間がかかったが、性被害にあった方が声を上げた結果、変えることができた。
私たちが広く問題意識を持つことで、このように長い間待たなくても、きっと変化が起こせることになると思った。
今回の改正法では、暴行や脅迫要件の緩和が為されなかった。
被害者が抵抗できないほどの暴力、脅迫がなければ、罪に問われないという現状はかわっていない。
しかし、ある調査結果では、レイプ被害者の7割が、フリーズ(膠着)状態に陥るという結果が出ている。
この点については、3年後の見直しの機会に、さらなる見直しの議論が行われると言われている。
この本がその助けになればいいと思う。
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質疑応答
イタリア人記者:
日本の女性からの連帯など、言葉などはないのかあるのか。
詩織さん:
日本の中では、女性の弁護士からは連絡ある。
団体からはない。
イギリスからはあった。
日本の動きについて話をした。
イタリア人記者:
週刊新潮に出ていた、中村格・刑事部長の引用、
「女も、就職の世話が欲しいという思惑があったから飲みに行ったのであって、所詮男女のもめ事。彼女は、2軒目にも同行しているんだしさ」とあるが、どういう意図があると思うのか。
詩織さん:
中村氏の言葉の意味はわからないが、NHKの「あさイチ」のリポートで、二人きりで食事をしたら、性行為の同意があっても仕方がないと思うもの、という調査で11%もいる。
中村氏もそういう風に思うのか。
(告発後に)女性からのバッシングも受けた、ネガティブなコメントもうけた。
(日本社会の女性達は)この社会で生きるためには、忍耐しかないと思っているのではないか。
スウェーデンの職場での男女平等が進み、高いポジションの人も3割を占めている。
女性の地位、権力、高いものを占めている。
自分とは違う意見の人とも、もっと話をできたらと思っている。
ブラックボックスが沢山ある。
検察にもある。
警察にもある。
中村氏から答えを貰っていない。
国会で議論していってもらえればと思う。
スウェーデンには、30%女性の警察官がいる。
日本ではわずか8%のみだ。
ジェームズ・ディフェンス・ウィーク記者:
日本では、アクセスジャーナリズム 権力にすりよって出世していくジャーナリズムはある。
それは、権力や権威に強い人が上がっていく。
けれど、社会の苦しみや葛藤から、下から救い上げていくような、ジャーナリズムが少ないのではないか。
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その典型的な人物かつ強姦魔が、こそこそとこんなことを、極右仲間に支えられながら、ネットで発言していました。
いやもう、どこまでも姑息で、なおかつ自分は守られているという妙な自信を持っている男です。
その自信の元はこれ。
そして極右仲間の支援。
望月記者は、内閣広報室で必死に食い下がっていますが、
とにかく、山口氏(氏をつけるに値しないと思いつつ)が詩織さんに行った行為は、許されていいものではありません。
どんなに大きな勢力が後ろについていようと、です。
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