ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

神社という言葉を隠れ蓑にして、戦前回帰を目論む集団に、わたしたちは立ち向かわなければならない!

2016年05月04日 | 日本とわたし
大日本病の病原体が活発に、表立って活動し始めました。

わたしはつい最近まで、自分がどれほど『神社』という言葉に騙されてきたか、全く気づいていませんでした。
神社というと、ひっそりとした境内があり、御神木などの古い木が静かに立っていて、お願い事をしたり、お祈りしたり、お札を買ったり、新年を迎えたり、
そこには政治のせの字も存在しない、八百万の神さまが集う神聖な場所であると、なんとなくそういうイメージが強く定着していました。
そういうイメージを持っているのは、わたし一人では無いと思います。
だから、ここ数年、神道政治連盟とか神社本庁とかいう名前が目に入っても、なにかこうピンとこないまま、読み流してしまっていました。
神道や神社という言葉を隠れ蓑にして、大いに政治を操れるまでに増幅した、『大日本病』の病原体だとも知らずに。

この『大日本病』を命名したのは、『戦前回帰』(大日本病の再発)を書いた、山崎雅弘さんです。
この本のカバーと本体には、神社の鳥居がうっすらと描かれていて、本を読んでいる途中から、その鳥居から病原菌がにじみ出てきているような気がして、夜などは恐ろしくなったほどです。
戦前戦中の日本に蔓延していた、病としか言いようのない「人命無視」の思想が、どのようにして形作られていったか、とてもよく理解できる内容で、一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。

少し、抜粋させていただきます。
↓以下、抜粋はじめ

明治時代の大日本帝国は、『帝国』という特質を備えつつも、自国と他国を相対的な関係として把握する能力を、おおむね正しく持ち合わせていました。
けれども、昭和初期の1930年代から1945年の敗戦までの、国家神道体制が完全に支配した日本では、
「日本という国は、唯一絶対の特別な国であり、世界の中の一国ではない」という考えが、疑問の余地なく正しい認識だとされました。

あるものの崇高さを、必要以上に持ち上げて神聖化すれば、それを守るために「犠牲にしてよいもの」のレベルも高まります。
人命軽視や人命無視の考えは、一般的には、人間の「悪い心」や「冷酷非情な心」が生むものだと思われています。
けれども、戦前・戦中の日本人が当然視した人命軽視と人命無視の思想は、むしろ「良い心」や「道徳的に正しくあろうとする心」の発露という形式で広まったため、
誰もそれに疑問を抱いたり、批判したりすることができなくなりました。

恐ろしいのは、こうした「良い心」や「道徳的に正しくあろうとする心」の暴走は、
政府や特定のリーダーが命令を下してそれをさせる場合よりも、一人一人の人間が、完全に自発的に、それをやり始める場合が多いという現実です。
最初のきっかけは、学校や組織内での「国体」教育であったとしても、途中からは、各自が自分の判断でそれを行うようになり、
それに従わない人間を見つけると、自分の判断でその相手を攻撃したり、圧力をかけたりするようになります。


憲法改正に向けて足並みを揃える自民党と神社本庁(神道政治連盟の上部組織)、そして日本会議

神道政治連盟の公式ホームページより
「現行の日本国憲法は、残念ながら日本人として自信と誇りを持てない恥ずかしい憲法です。
特に甚だしいのが、全文と第1章の天皇条項でしょう。(中略)
他国人が起草した非現実的な日本国憲法を維持していることを、日本人は何よりもまず「恥ずべきこと」と考えなければならないでしょう」

これは、戦後に、 GHQが発した『神道指令』と、その恒久化を意図した(と神社本庁が解釈する)日本国憲法に対する、根強い『恨みの感情』を読み取ることができる。


↑以上、抜粋おわり


さて、上記の神社本庁と日本会議が、どのようなことをやっているかというと、

改憲署名
賛成派700万筆集める 氏子を動員

【毎日新聞】2016.5.4
http://mainichi.jp/articles/20160504/k00/00m/040/133000c


宮司から渡された署名用紙のコピーを指さす氏子総代の男性=福島県二本松市内で2016年3月1日午後2時19分、川崎桂吾撮影(一部画像加工しています)

憲法記念日の3日、改憲を訴える団体や、護憲を掲げる団体が、全国各地でイベントや集会を開いた。
夏の参院選の結果次第では、憲法改正が政治日程に上る可能性もあり、公布70年の節目で、憲法を巡る論議が、熱を帯びている。

憲法改正を目指す団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、東京都内でイベントを開き、
全国で同日までに、700万2501筆の改憲賛同署名を集めた、と発表した。
署名活動の現場を取材すると、地域に根づく神社と氏子組織が、活発に動いていた。

地元で「弁天さん」と呼ばれ親しまれている、福島県二本松市の隠津島(おきつしま)神社は、毎年正月、各地区の氏子総代を集めてお札を配る。
だが、2015年正月は、様子が違った
神事の後、安部匡俊(まさとし)宮司(62)が、おもむろに憲法の話題を持ち出した。
「占領軍に押しつけられた憲法を変えなくてはいけない」
宮司は、総代約30人に、国民の会の署名用紙を配り、「各戸を回って集めてほしい」と、頭を下げた
という。

総代の一人としてこの場にいた男性は、「違和感があった」と振り返る。
それでも、地区約30戸を1軒ずつ回って、「よく分からない人は署名しないで」と前置きして説明。
5人が署名した。
「前置きがなければ10人はいったと思う」と話す。

安部宮司は、今年3月、取材に、
「福島県神社庁からのお願いで、県下の神社が、それぞれ署名を集めている。
総代が熱心に回ってくれた集落は、集まりが良かった。
反対や批判はない」と話した。

隠津島神社の氏子は約550戸2000人で、世帯主を中心に、350筆を集めたという。

氏子たちの反応はさまざまだ。
「現憲法では国防が不十分なので、応じた」(40代男性)という一方で、
「憲法はこのままでいいと思うので、署名をしなかった」(70代男性)。

ネット上にも、全国各地から、「神社から署名が回ってきた」などの声がアップされ、
今年正月には、東京都内の神社が、境内に署名用紙を置いて、話題になった。
全国で、氏子組織が動いているのかなどについて、全国の神社を統括する宗教法人「神社本庁」(東京都)は、取材に、
「国民の会に協力しているが、詳細は分からない」と説明。
国民の会は、
「各団体、各地域で、一番やりやすい方法で、集めてもらっている」としている。

福島・隠津島神社の、別の氏子総代は言う。
「地元の人が選挙に出ると、地縁血縁で、後援会に入らざるを得なくなる。
署名集めも、それと似ている。
ましてや、神様からお願いされているようで、断りづらい面があったと思う」



国民投票時の名簿に利用
 
署名活動で、神社関係者の動きが目立つが、「国民の会」を主導するのは、保守系の任意団体「日本会議」だ。
宗教団体などが集う「日本を守る会」と、政財界や文化人の「日本を守る国民会議」が、1997年に合流し設立。
会員約3万8000人で、政界とのつながりが深く、同会の国会議員懇談会には、党派を超え300人が所属する

「これは請願署名ではない。国民投票という大空中戦で、投票を呼びかける名簿になる

長野市内で、昨年9月に開かれた、日本会議の支部総会。
東京から来た事務局員は、1000万人を目標とする、改憲賛同署名の狙いを説明した。
会場には、長野県内の神社関係者が目立った。

憲法改正は、衆参両院、3分の2以上の賛成で発議され、国民投票で決まる。
国民の会は、国民投票の有効投票数を、6000万人と想定
署名した1000万人に、2人ずつ声かけをさせれば、改正に必要な過半数の、3000万票に届くと計算する

賛同署名は、改憲の具体的な内容を、これまで明確にしてこなかった。
だが、3日の国民の会のイベントでは、大災害や有事で、人権保障や三権分立などの憲法秩序を一時停止できる、緊急事態条項の新設を、主要テーマとすることを決めた。
安倍晋三首相も、自民党総裁として、ビデオメッセージで、「憲法改正に向けてともにがんばろう」と呼びかけた。【川崎桂吾】












戦前回帰
『大日本病』の再発
山崎雅弘著

http://www.amazon.co.jp/戦前回帰-「大日本病」の再発-山崎雅弘-ebook/dp/B0154KGCJS

『安倍政治が、一政治家の資質に還元できる一過性のものではなく、
明治以来、日本を深く冒してきた「種族の病」の、劇症的な再帰であることを、本書はみごとに解明した。

「病」は想像以上に深く、致死的だ』

(内田樹氏による帯文より)

日本はなぜ、歴史を繰り返すのか?

70年前、この国を滅亡の淵に追い込んだ、歴史の“OS(オペレーティング・システム)"の正体とは?

「国家神道」「国体明徴」「八紘一宇」……、
かつて、熱病のようにこの国を覆いつくし、そして、敗戦と同時に、歴史の表舞台から消えたと思われたこれらの思想や概念が、
21世紀のいま、姿を変えて、復活しようとしている。
それはなぜなのか?

戦前・戦中の日本を、「戦史」の面から再検証、“日本の現在"を解明する。
注目の論客による緊急書き下ろし!

【目次内容】

第1章 戦争のハードウエアとソフトウエア
第2章 国家神道体制と「国体明徴」運動
第3章 戦後日本が怠った「OSの再インストール」
第4章 安倍政権下で再発した「大日本病」





特集ワイド
続報真相

いびつな『大日本病』

【毎日新聞・東京夕刊】2015.11.6
http://mainichi.jp/articles/20151106/dde/012/040/002000c


旧文部省が、日中戦争直前の1937年5月に発行した、国体思想の教育本「国体の本義」を手にする山崎さん。
古書店で入手した貴重な一冊だ=三重県名張市で

人はホメられて成長する--というが、国家の場合はどうなのだろう。
ここ最近、テレビは、外国人に日本をホメさせて、「日本は世界から尊敬されている!」と自賛する番組だらけだし、
書店には、日本礼賛本と並んで、中国・韓国をけなす本が相変わらず並ぶ。
一定の需要があるのは、「日本は他国よりすごい」という大国意識、優越感に浸りたい、という願望なのか。
そんな社会の行き着く先はどこか。
識者とともに考えた。


戦前の価値観への回帰
 
伊勢神宮の西、三重県名張市に、最近の社会・政治状況を、「大日本病」と名付けて憂えている人がいる。
戦史研究家の山崎雅弘さん(48)。
専門誌に、近現代の戦史研究を寄稿し、著書も数多い。
9月に出版した新刊「戦前回帰 『大日本病』の再発」(学研マーケティング)が、波紋を広げていると聞き、会いに行った。

山崎さんが、書斎から引っ張り出してきたのが、戦前に出版された思想教育本。
▽「教育勅語と我等の行道」(教育勅語普及会、1935年)
▽「国体の本義」(旧文部省、37年)
▽「万邦に冠絶せる我が国体」(陸軍教育総監部、38年)
▽「臣民の道」(旧文部省、41年)……。

「自国を賛美する現在の社会状況や、『戦後レジーム脱却』がとなえられる政治状況は、これらの本が出版された時代の風潮と似ています」と、眉間(みけん)にしわを寄せるのだ。

山崎さんが手にした数冊の本が訴えるのは、総じて、
「天皇を頂点とする日本の国家体制は、『世界に類を見ない神聖で崇高な国のあり方』(万邦無比(ばんぽうむひ))とし、
体制存続のみに価値を置き、献身と犠牲をいとわないのが国民の務めで、人権や個人主義の考えは欧米的だ」
という考えである。

「これが国家神道の考えですが、伊勢神宮などが培ってきた伝統的な神道とは、まるで別物です」と山崎さん。

国家神道は、教育勅語の、「危急のことがあれば、国民は公に奉仕し、永遠に続く皇室を助け支えよ」という教えも取り込み、
国民や兵士の命を軽視した戦争を、続ける原因になった。


自国を、独善的・排外的に、偉大な国として存在価値を膨らませ、他国・他者に不寛容になり、個人主義や人権を軽視する状況が、山崎さんが論じる「大日本病」である。

過去の話に見えるが、今も同じにおいがしないだろうか。
自民党の憲法改正草案が、
「現憲法は個人の権利が強調され過ぎている」と、義務規定を10項目も増やし、
さらに、欧米的な「個人」との言葉を嫌ったのか、
「国民は個人として尊重される」という条文を、「人として~」に改めている。

付け加えれば、昨年6月には、教育勅語を肯定的にとらえている、下村博文前文部科学相が会長を務める「人格教養教育推進議員連盟」が発足したし、
安倍晋三首相ら閣僚の多くが、「神道精神をもって、日本国国政の基礎を確立する」と綱領にうたう政治団体「神道政治連盟」や、
「美しい日本の再建と誇りある国づくり」を訴える運動団体「日本会議」の、国会議員懇談会に名を連ねている
ことも見逃せない。

一連の動きから見えてくるのは、国家神道的な価値観をよしとする、体制への回帰です。
安倍首相は、戦後レジームは否定しますが、『戦前・戦中レジーム』には、特に否定的な言及はしません。
安倍首相を支持する人の中に、戦前・戦中を肯定することが『愛国』、と考える人が多いのも気になります。
歴史上、この国を唯一、滅亡の寸前まで追いやったのが、その戦前・戦中レジームなのですが
……」


極度に排他的な「愛国者」
 
「コリアンタウン」とも呼ばれる、東京・新大久保。
在日韓国・朝鮮人や他民族など、少数者を差別・迫害するヘイトスピーチ団体の、取材を続けてきたジャーナリストの安田浩一さん(51)を訪ねた。
かつてこの街でも、ヘイトスピーチの嵐が吹き荒れたが、今は平穏に見える。
安田さんは、韓国料理店で、豚肉のキムチ炒めをつまみながら、
「警察がここのデモを許可しないだけで、彼らは銀座あたりに移って、デモをするようになったのです」と苦い顔をした。

安田さんは、字義通りの「戦前回帰」とは、少し違う見方だ。
『日本が大好き!』と、声高に叫ぶ人が増えていますが、彼らは中国・韓国など他国、他民族をけなし、排他的な言説をセットにしているんです。
他者をおとしめることでしか、自国への愛を確認できない
かつての日本は、上辺だけでも、『大東亜共栄圏』などと、アジアとの連帯をうたっていたが、今の自称『愛国者』は違う。
21世紀型というか、『日本以外みんな敵』ぐらい排他的なんです


日本が他国・他民族に優越する、という考え方は、自国の国益を得るために、他国に、政治・軍事的な影響力を行使してもよい、という大国主義の下地にもなる
「その意味では、彼らの優越感は大国主義に近いのですが、一方では内向き。
まだ受け入れてもいないシリア難民を、敵視・蔑視する言説が、インターネットなどで広がっているし……」

差別の対象は、在日や外国人だけではない。
最近では、福島原発事故で仮設住宅で暮らす被災者に対し、
「国に依存するな、と罵声を浴びせたり、水俣病の患者団体の関係者には、『いつまで国に甘えているんだ』という電話を掛けたりしている」と安田さんは語る。

他人を罵倒する人々に共通するのは、「奪われている」という感覚だ。
国の領土が他国に奪われている、国の社会保障や生活保護が奪われている……。
山崎さんは、「日本ブランド」をまとって自分の存在価値を高めたい、という人が、日本が批判されたり、国のお金が他者に使われると、
「自分が批判され、損をした気になるのではないか」と分析した。

安田さんは辛辣(しんらつ)である。
『領土が奪われている』と言いながら、現に、米軍基地として土地を奪われている沖縄県民が、基地反対運動をすれば、『売国奴』という言葉を投げつける
彼らにすれば、沖縄すら、排他の対象なんです。
自分だけが正しい、美しい、尊敬されたい、という感情しかない。
他国・他者より優れた存在でありたいが、ひたすら排他的
それが21世紀日本の、大国主義の実相かもしれない。
ゲンナリする社会です
」とため息をついた。

排他大国、排外大国という、不思議な言葉が思い浮かんだ。


キーワードは「不安」
 
大日本病や大国志向、自称「愛国」がなぜ今、求められているのか。
山崎さんは、「キーワードは不安です」と読み解いた。

国家神道の考えが強調されだしたのは、満州事変後の国際連盟脱退表明(33年)のころからで、国際的な孤立で国民の不安が高まった時だ。
人口減や景気停滞、原発事故や中国や韓国の経済成長……不安が高まる今の日本が重なる。
国と自分を重ね、「万邦無比」といった「大きな物語」に、自分が連なるという幻想を抱けば、自分の価値を再確認でき、不安の気持ちも軽くなる、というわけだ。

政治学が専門の、一橋大名誉教授の渡辺治さん(68)は、最近の大国志向は、政治・経済的な必要性から生じた、とドライに分析してみせた。

かつて日本は、経済力を背景に、アジアに一定の影響力を持っていた。
しかし、中国の成長で、日本の影響力が相対的に下がると、インドネシアでの大型公共事業の受注を、中国企業に奪われるような事態が増えた。
国益を確保するためには、経済力だけではなく、アジアに対する政治・軍事的な影響力を強めなければ、という考えが、安倍政権や財界にあるのだ、という。

「でも日本は、中国と張り合うような軍事大国にはなれないから、集団的自衛権の行使という形で、米国の戦争に協力し、米国の威を借りる形で、大国化を図ろうとしている

だが、安全保障関連法について、国民の多くが反対しているのは、世論調査の結果から明らかだ。
渡辺さんは、
国民の多数は、安倍流大国化に反対している。この点は重要ですが、安保法が発動されると、状況が一変する恐れもある」と楽観はしていない。

例えば、自衛隊が、海外で武力行使するようになればどうなるか。
まず自衛隊が変わる。
海外で殺し殺され、という状況になれば、自衛隊の政治的発言力は、確実に大きくなる。
軍事が日本の中で大きな地位を占め、必ず、国家意思の決定に関与するようになる。
そういう意味で、今の日本は、岐路に立っていると言えます


山崎さんが締めくくる。
自分の価値観を内面に持ち、一人一人が独立した思考を持つ『個人』でいられるかどうか。
これが、いびつな『愛国』や『大日本病』を、克服できるかどうかのカギです


耳に心地よい礼賛や、繰り返される「愛」に気をつけたい。【吉井理記】




↓以下は、憲法第9条について、3年前のちょうど今頃に書いたブログ記事です。

憲法第九条『戦争放棄』は、世界史の扉を開くすばらしき狂人、幣原首相によって生まれたもの!
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/d7687e6f43b62b9370cba44a9b11bcd1?fm=entry_awp



そしてこれは、先日の憲法記念日に、報道ステーションが特集を組んで放送したものです。

憲法9条は日本側の幣原喜重郎首相の提案だった。
http://www.dailymotion.com/video/x48iuy5
【報道ステーション】2016.5.3放送

1946年1月24日、幣原は、マッカーサーのもとを訪ねる。
3時間にわたって会談した。
この日はめずらしく、幣原から話を切り出した。

幣原:
自分は、生きている間に、どうしても天皇制を維持したいと考えますが、協力してくれますか?

マッカーサー:
占領するにあたり、一発の銃声もなく、一滴の血を流さず進駐できたのは、天皇の力によるところと深く感じているので、
私は、天皇制を維持させることに協力し、努力したいと考えています。

幣原:
戦争を、世界中がしなくなるようになるには、戦争を放棄するということ以外にない、と考えます。

マッカーサー:
その通りです。

幣原:
世界から信用をなくしてしまった日本にとって、戦争を放棄するというようなことを、はっきりと世界に声明すること。
それだけが、日本を信用してもらえる、唯一の誇りとなることではないか。

マッカーサーは立ち上がり、涙をいっぱいためていた。


衆院議員平野聞き取り 幣原首相の証言

「僕には、天皇制を維持するという、重大な使命があった。
この二つ(戦争放棄と天皇制)は、密接に絡み合っていた。

オーストラリアやニュージーランドなどは、日本を極度に恐れていた。
日本人は、天皇のためなら、平気で死んでいく。
おそるべきは皇軍である。

天皇の人間化と、戦争放棄を、同時に提案することを考えた。

国体に触れることだから、仮にも、日本側から口にすることはできなかった。
僕は、マッカーサーに進言し、命令として出してもらうよう決心した」



幣原・マッカーサー会談から10日後、マッカーサーは部下に、GHQの憲法草案を創るよう指示します。
そこに、”戦争放棄”の言葉があります。
そしてその10日後、GHQ草案には、象徴天皇と戦争放棄が条文化され、それが日本国憲法の元となりました。

マッカーサーは、憲法草案を示した後、連合国にこう説明していました。
「日本が提案した、世界中の人々のことを考えた「戦争放棄」を、私は尊重する」

更に、アメリカに帰任してから、議会で、幣原との会談の詳細を表現しています。

「幣原総理が、私のところにやってきて、こう言いました。
『私が長い間考え 信じてきたことですが、問題を解決する道はただ一つ、戦争をなくすことだ」と。

私は、彼を激励しました。
そして日本は、あの条文を書き込んだのです。


幣原の孫 幣原隆太郎さん(78):
4、5才の頃、いっしょに暮らしていたことがある。
天皇陛下絶対、という感じの人でした。
天皇制をとにかく守っていくというのは、考えていただろうと思います。
その方法として、憲法9条的なことを考えていたかはわからない。

幣原にとって、戦争放棄の理念は、実はすでに熟知していたものでした。
外務次官の頃、第一次世界大戦に突入。
その後、各国は、パリ不戦条約を締結します。
そこに、「戦争放棄」がうたわれていました

幣原は、外務大臣になると、この精神を守ると表明し、「協調外交」を展開
特に、軍部が覇権を強めていた中国に対しては、平等で友好な関係を築く政策を進め、戦争回避を進言し続けました


武力の使用又は脅威は、百害あって一利なし

幣原隆太郎さん:
とにかく、軍部に対し、頭を下げることはしなかったみたいですね。
憲兵がうちにきて、祖父に会って「けしからん」と言うと、懇々と諭した。
諭された憲兵は、「よくわかった」と言って帰ったらしいですけれどね。
平和を何とかしなくちゃいけないという考えには、ひとしおのものがあったと思う。


幣原自身は、著書の中で、戦争放棄は「決して強いられたんじゃない」と語っています。
自分を突き動かしたのは、結局戦争に突入し、多大な犠牲を生み出した、その情景にあったのだと

「終戦の直後、都営電車の中で、乗客の一人が涙を浮かべながら、
「自分等は、日本が何故、戦争に突入しなければならなかったのか、納得できない。
抜き差しならない羽目に追い込まれて、敗戦の苦しみを受けなければならぬ」

と言い、官僚と軍部を呪っていた。

その悲壮なる叫び声は、私の胸に応えた
文明が戦争を撲滅しなければ、戦争の方が文明を撲滅するでありましょう
世界の正義感を味方として行動するほうが、はるかに安全な堅実な政策だと信じる。
この信念を持って、我々は徹頭徹尾、憲法第9条の規定を、誠実に実行する決心であります」


木村草太教授:
幣原さんもマッカーサーさんも、公式の発表の場で、「幣原が発案者である」ことを認めていて、この事実は、憲法を解釈する上で、重く受け止められている

公式発表で言ったということは 幣原さんは、「発案者としての責任を引き受ける」、という態度の表明でもある。

第二次世界大戦の直後、世界の人々が平和への気持ちを高め、どうやったら軍の暴走というものがなくなるのか、世界中で考えていたこと

「戦争を放棄」しようと言う気持ちは、幣原さんやマッカーサーさんだけなく、多くの人にあった

憲法9条は、何を目指していたのかを考える、重要な出発点になる。
9条は、世界を意識した条文
日本が、二度と侵略の道を歩まないというのは、大前提
侵略をしないことを宣言するだけでなく、日本が非武装を選択できるような、そういう国際社会を実現したいんだと。
あるいは、相互の信頼によって、国家がみんなで協力をして、世界の平和に向け、努力する国際社会を創り上げて行こう
そういう理念を、究極の理想として表現した。

この理想を受け、日本政府は、この憲法9条を国家の基本理念としつつ、
万が一、侵略された場合には、国民の生命、幸福追求の権利を守る最低限の義務があるから、その範囲で実力を行使する。
但し、それ以上の実力は、行使しない。
国民を保護する必要最小限度の範囲でしか、実力行使をしない。
これが、日本政府の態度だった。

憲法9条は、国内最高法規としての意味と同時に、外交宣言としての意味がある。

9条の、「究極的には非武装」という理念は、非現実的と見えるかもしれない
時代をさかのぼってみると、国内での非武装が、非現実的に見えた時代があった。
中世の時代、地方の領主が、宗教団体が、武装解除するのは非現実的に見えた。

現代米国は、各人が銃を持っているのは当たり前だが、銃を全てなくしてしまうのは、あまりにも非現実的と見えるかもしれないが、日本ではそういう社会を実現している。

改憲論議は意味はありますが、たいした議論もしないで、非現実的ということであきらめて、止めてしまおうというのは、あまりにも9条に関してはもったいない

幣原さん、マッカーサーさんが、あの時代何を考えていたのか。
あの時代に戻って、理想は何だったのかを、考えてもらいたい
あきらめるには、まだまだ早過ぎると思います。

「武力行使は違法」というのは、国際社会の出発点。
グローバルスタンダードになってきた。

今出来ないからと言って、9条の精神=非武装を捨ててしまうのは、あまりにももったいない





さて、下↓の写真は、友人の幸雄さんが、またまた買ってくれた上にここまで送ってくれるという、嬉しいやら申し訳ないやらの本の写真なのですが、
なにやら「騒ぎになっている本」なんだそうです。
幸雄さんが知らせてくださった文章と一緒に紹介します。


↓↓↓
例の「騒ぎになっている本」を注文した数日後の到着予定日、下のようなメールが着信。

***********

●●●をご利用いただき、ありがとうございます。
誠に申し訳ございませんが、以下のご注文商品の入荷が遅れており、当初の予定通りに商品をお届けできないことがわかりました。

注文番号:●●●●●● 注文日:●●●●●●
菅野 完 "日本会議の研究 (扶桑社新書)"

ご注文商品のお届けが遅れ、お客様へご迷惑をおかけしてしまうことをお詫びいたします。

現在、ご注文商品のお届け予定日が確定していないため、調整を続けております。
お届け予定日が確定しだい、Eメールでお知らせいたします。
万が一、入荷の見込みがないことが判明した場合は、大変申し訳ございませんが、やむを得ずご注文をキャンセルさせていただくこともございます。
なお、●●●マーケットプレイスの出品者が商品を販売している場合は、そちらからもご購入いただけます。
***********

と――まぁ、いつもの「入荷が遅れている」「キャンセルして貰うかもしれない」「他所で買って貰っても良い」と言う…
~買わせておいて、都合が悪くなると梯子を外す~型通りの文面です。
 
多々ある事なのですが、そういう場合、大体が発送が外国だったり、コアな商品の場合が殆どです。
発売開始の新版に、これが起こると言う事は、余程発注が多かったか、それ以外のトラブルがあったかと――
これまでの顛末を知るだけに、とても嫌ぁ~な感じを抱きましたが、今朝、無事に到着!!
 

で、これまでの顛末というのが、これです。

政権に近い保守団体が出版停止を要求 話題の本「日本会議の研究」
【BuzzFeed Japan】 5月4日(水)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160504-00010002-bfj-soci

日本会議とは

4月28日、出版社「扶桑社」に、FAXで申入書が届いた。
差出人は、「日本会議事務総長 椛島有三」。
扶桑社から出たばかりの、菅野完さん著『日本会議の研究』の、出版停止を求めるものだった。

本は、菅野さんによる、ウェブ上の連載をまとめたもの。
日本会議のルーツや歴史、彼らが展開してきた保守系の市民運動について、取材、検証している。
連載時にはなかった抗議が、なぜか出版直後に送られた。

日本会議による申入書の趣旨はこうだ。

この本では、日本会議について、裏付けの取れない証言を並べ、活動を貶める目的で編集されており、団体・個人の名誉を傷つける。
「日本会議が、宗教的背景を持つ特定の人物」に束ねられているという結論部分に対し、特に強く反応しており、「全く事実に反している」と主張。
直ちに出版停止するよう、求めている。

1冊の研究本に対し、即座に出版停止を求めた「日本会議」は、民間の保守派団体だ。
彼らのホームページによると、
「全国に草の根ネットワークをもつ国民運動団体」であり、
「日本会議は、美しい日本を守り伝えるため、『誇りある国づくりを』を合言葉に、提言し行動します」とある。

すみやかな憲法改正、日本会議の女性組織による、夫婦別姓反対の集い…。
活動方針や、彼らが進める国民運動は、ホームページに公開されている。

日本会議が注目を集めるのは、政権と近い関係にある点だ。
朝日新聞によると、「超党派による『日本会議国会議員懇談会』」のメンバーに、2015年9月時点で、安倍晋三首相を筆頭に、閣僚、自民党役員らが名を連ねている


日本会議「出版停止を求めたのは事実」

抗議は、申入書だけにとどまらない。

申入書とは別に、『日本会議の研究』に登場する人物から、代理人を通じて、出版差し止めを求める法的文書が、扶桑社に送られているという。
BuzzFeed Newsの取材に対し、複数の関係者が認めた。

なぜ、日本会議は、ここまで抗議をするのか。

「出版停止を求めているのは事実だが、これ以上詳しいことはコメントはできない。見解は後日、明らかにする」
日本会議の担当者は、BuzzFeed Newsに、こう話した。


BuzzFeed Newsは、出版側にも話を聞いた。
扶桑社は、
「係争関係にあり、コメントできない」
菅野さんは、
「1年間かけて、取材と資料を読み込んだ結果を、世に問うたまでだ」とコメントした。
【BuzzFeed News / 石戸諭】




長崎で原爆に被曝して、多くの被爆者の救護にあたった、永井隆医師の遺言を、記事の最後に紹介させていただきます。


私たち日本国民は、憲法において、戦争をしないことに決めた。
わが子よ!
憲法で決めるだけなら、どんなことでも決められる。
憲法は、その条文どおり実行しなければならぬから、日本人として、なかなか難しいところがあるのだ。
どんなに難しくても、これは善い憲法だから、実行せねばならぬ。
自分が実行するだけでなく、これを破ろうとする力を防がねばならぬ。
これこそ、戦争の惨禍に目覚めた、ほんとうの日本人の声なのだよ。

しかし、理屈はなんとでもつき、世論はどちらへでもなびくものである。
日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から憲法を改めて、戦争放棄の条項を削れ、と叫ぶ声が出ないとも限らない。
そして、その叫びがいかにも、もっともらしい理屈をつけて、世論を日本再武装に引きつけるかもしれない。

もしも日本が、再武装するような事態になったら、そのときこそ…誠一(まこと)よ、カヤノよ、
たとい最後の二人となっても、どんな罵りや暴力を受けても、きっぱりと〝戦争絶対反対〟を叫び続け、叫び通しておくれ!
たとい卑怯者とさげすまされ、裏切り者とたたかれても、〝戦争絶対反対〟の叫びを守っておくれ!

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2 コメント

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国家神道は似非神道 (ミキコ)
2016-05-07 13:58:26
古神道と国家神道は似て非なるもの。明治に神社合祀令により潰した神社は4万社にも上ります。南方熊楠の合祀令廃止運動が柳田国男を共感させて3年で合祀令が廃止されたものの、その3年で4万社が潰された訳です。最近では、上関原発の予定地、あれ元は八幡さまの鎮守の森です。何でそうなったかといえば神社庁が宮司を更迭してまで、電力会社に売却したからです。「上関原発 神社 リテラ」で検索すると出てくると思います。
ミキコさんへ (まうみ)
2016-05-08 11:43:58
言葉が持つ印象というものは恐ろしい、そうつくづく思わされました。
神社庁というからには、神社を総括している、神社のことを支えているものだと勘違いしていたわたしは、正体が分かってからは、なんとかしてこのことを伝えなければと思い続けていたのですが、ミキコさんが教えてくださった件については知らずにおりました。

またまとめて記事に書かせてもらいますね。ありがとうございました。

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