ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

秋の模様替えと庭のお客さまと別れと

2016年10月28日 | ひとりごと
今から7年も前にこの家を買った時から、書斎とドア続きになっている二階の小部屋を、治療室にすると言っていた夫。
でも、この家の特徴とも言える、壁塗りの杜撰さ(誰が見てもこりゃ酷い!と感心する)がネックになって、ずっと手付かずに今に至ってしまっていた。

がっ!

どうした風の吹き回しか、突如それは始まった。


しかも、壁の色はイエロォ〜!!


ということで、空き時間を使い、昔取った杵柄でもって、きままに、けれどもコツコツと、作業は進んでいった。


ふ〜ん…黄色も悪くないかも。


あとは、ドアや縁や窓枠などの細かい部分を、もうちょっときれいに整えていくのだそうな。
夫はアイビーリーグ出身なのに、卒業してから数年間、就活もせずにプー太郎をしていた。
まあ、だから日本にふら〜っと来た時に出会い、今こうして人生を一緒に生きているのだけれども…。
そのプー太郎時代に、アルバイトとはいえ、かなり気を入れてペンキ塗りの手伝いをしていたので、
他のこととは違い、あれこれと手伝いや助手を頼んできたり、ブツブツと文句を言ったりしない。
作業の進み具合はカタツムリ級だけど、とりあえず最後まできちっとやる。

来月の中頃から2週間強の日程で、日本に旅行するので、その間の猫たちの世話のために、歩美ちゃんと夫の姉が、この家で寝泊まりしてくれることになっているのだが、
以前、半年ばかりうちの部屋を間借りしていた夫の姉が、「この部屋だと不思議にとてもよく眠れる」と言っていたので、
診療室ではなく、まずは彼女たちの寝室として、デビューすることになりそう。


今日もやって来た、若者たち。


残り少なくなった雑草を、ムシャムシャと喰んでいるかと思ったら、いきなりピョンピョンクルクル、ダンスをしたりしている。
中に一匹、首が白い仔がいて、きれいだなあと思っていたら、ほらぁ〜、と伸びをして見せてくれた。


まつ毛がとっても長いね。


せっかくきれいに咲いたばかりの花や、ようやく食べごろになった野菜や、すくすく育っている葉っぱを食べさえしなければ、追い払ったりしないんだけどなぁ…。



秋が来て、わたしの周りの、とても親しい人たちの中に、これまで一緒に暮らしてきた人と別れることになった人が複数いる。
それは恋人だったり夫婦だったりするのだけれど、その相手の人たちは、わたしにとっても大切な存在だったので、わたしもかなりショックを受けた。
突然、別れて欲しいとパートナーから告げられたその人たちの驚きは、言葉では言い表わせないほどのもので、
混乱し、悲しみ、憤り、後悔し、呆れ、時には平静を装い、悪い夢でも見ているのだろうかとつぶやいたりする。
その、目眩がするほどの感情の洪水に溺れないように、できるだけ時間を割いて、彼らの話を聞き、一緒に泣いたり怒ったりしながら、
彼らが少しでも、孤独ではなく、これが世界の終わりでもなく、多分、今よりすてきな毎日がやってくるかもしれないと思える日が来るまで、寄り添っていこうと思う。

そういうわたしは、13年近く一緒に暮らした夫に、突然、別れたいと告げて傷つけた人間だ。
夫だけではなく、夫の両親、親族の人たち、わたしの家族や親族、そして双方の友人たちも含め、たくさんの人を悲しませ、傷つけた。
その時の、人を傷つけたことで負った自分の心の傷の深さは、想像などまるで及ばない、下手をすると心全部を失ってしまうほどのものだった。
自業自得だと思い、でも、一緒に連れてきた幼い幼い息子たちだけは守らないとと、必死で立ち直った。
立場が違うし、それぞれに傷の深さや悲しみの重さも違うけど、痛みを受けた者同士として、もし可能なら、気持ちを分かち合いながら、会話を続けていこうと思う。
時代は変わり、インターネットという道具を手にしたわたしたちは、同時に、全く別個の方法で、複数の人たちと、それぞれの会話ができるようになった。
だから、ついつい調子に乗って、話が弾んで、気がつくと夜中も夜中、大夜中になってしまっていて、寝不足が続いてしまっているのだけれど…。

これからもずっと続くはずだと思っていた。
けれどもどこか心の片隅で、ぼんやりとした別れの予感もあった。
どんな理由であれ、一緒に暮らしてきた人と別れることは、とても悲しいし辛い。
でもきっと、月並みな言葉だけれど、ああ、あの時あんなことあったよなーって、苦笑いしながら思い出せる日が来るからね。
そしてそんなあなたのそばには、お茶でも啜りながら、どこか遠くの、記憶の中の、小さくなって困っているあなたを温かく包むように、想いを馳せてくれる人がいる。
そんなことを想像しながら、ぼちぼちと、心の傷を癒してってください。
わたしはいつだって、あなたたちのそばにいるからね。

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2 コメント

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Unknown (山椒魚)
2016-10-29 12:09:14
私は30年連れ添った妻が10年前突然家を出て,その後離婚訴訟になってわかれた。

私は妻に対して誠心誠意努めてきたつもりだけれど,世渡りが下手な私に妻は愛想を尽かして出て行ったしまいました。

愛する人に裏切られた悲しみは10年立っても癒えることはありません。
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山椒魚さんへ (まうみ)
2016-11-01 03:07:54
辛い思い出を話してくださり、ありがとうございました。
喪失に対する怒りや驚き、悲しみや悔いが、自分の中である程度、ずっと付き合っていける友人のようになるまでは、本当に長い時間がかかります。

山椒魚さんの心に、そんな友人が宿ることを、心から祈っています。
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