ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

現行憲法が、自民党改憲草案によってどのように破壊されていくか、よぉーく読んでみてください!(その3)

2016年07月13日 | 日本とわたし
わたしは、
矢部宏治さんが書かれた、『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』と『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を、
中学と高校の、現代歴史の教科書として使って欲しいと、心の底から願っています。
そしてもちろん、もうとっくに学生ではなくなった人たちは、書店で求めて読んでください。


https://www.amazon.co.jp/日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか-矢部-宏治/dp/4797673281

矢部宏治著『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』より

2015年9月17日、日本の国会の機能が完全に破壊されたこの日の出来事を、私たちはいったいどのように位置づければよいのでしょうか。
私は、それはこれまで、
「基地の問題=沖縄」
「原発と被曝の問題=福島」
というかたりで矮小化されてきた、日本という国のもつ根本的な歪みが、ついに、
「戦争の問題」
というかたちをとって、日本人全員の前に姿をあらわした瞬間だったと思っています。

「日本はなぜ、基地を止められないのか」
「日本はなぜ、原発と被曝を止められないのか」
「日本はなぜ、戦争を止められないのか」


これらの問題は、すべてひとつの大きな構造の中にあり、同じ原因によって生み出されたものです。
そしてその大きな構造の根幹に横たわっているのが、
まだ占領下にあった時代の、アメリカへの戦争協力体制が、66年後のいまも、法的に継続しつづけているという、
「戦後日本」の歪んだ国のかたちなのです。

『基地権密約』と『指揮権密約』
これは、「米軍が基地を自由につかうための密約」「米軍が日本の軍隊を自由につかうための密約」です。
そして、『統一指揮権密約』
これは、「戦争になったら、日本軍は米軍の指揮下に入る」という密約です。

1952年7月と1954年2月に、当時の吉田首相が口頭でむすんだこの密約が、
その後の自衛隊の創設から今回の安保関連法の成立までにつながる、日米の軍事的一体化の法的根拠となっている
のです。

けれども、これまでそれは、あくまで日本とその周辺だけの話だった。
ところが、今後はそこから地域的なしばりをはずして、戦争が必要と米軍司令部が判断したら、
自衛隊は世界中どこでも、米軍の指揮下に入って戦えるようにする。


「戦争の脅威が生じたと米軍司令部が判断したときは、すべての日本の軍隊は、
アメリカ政府によって任命された、最高司令官の指揮のもとに置かれる」


そのために必要な「国内法の整備」が、昨年ついにおこなわれてしまった。
それがあの安保関連法の本質だったということです。

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政府はもちろんのこと、日本会議界隈の連中が、「美しい日本」などという言葉を連呼していますが、
その裏では、国防軍と化した自衛隊の隊員の命を、アメリカ軍の指揮下に入って戦わせ、人を殺し、または殺されるという状況に追い込む。
国防軍ではなく米従軍。
しかも、世界のどこに行けと命令されるかもわからない。
本当にいいんですか?

自民党改憲草案は、そのために考え出されたものといっても過言ではないと、この3日間、ひとつひとつの文言を打ち直して確信しました。

とんでもない代物です。
絶対に許してはなりません。

わたしたちが保障されてきた基本的人権を、わたしたちが手放してしまってはなりません。

この憲法が、日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、
これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在、及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として、信託されたものである。


国民の基本的人権など、要らぬものだとはっきり断言する人々によって、この改憲草案は作られました。
そして、全ての国民は、そのような憲法を尊重しなければならないと言うのです。

戦争放棄を削除し、基本的人権を破棄し、国民の個人から個を消し去り、国防軍を持つ。

法政大学名誉教授・江橋崇氏:
「憲法の条文の削除は、歴史そのものの削除である。
現行憲法の本文はそのまま残したうえで、修正条項を追加していく。
この追加条項方式こそは、多様な価値観が存在する実際の政治状況において、民主的にことをはこぼうとするなら、この形しかないという、
アメリカやイギリスの立憲主義の苦心の産物であったことに気づかされた」


この混沌は、わたしに憲法をしっかり学ぶチャンスと意欲をもたらしてくれました。
みなさんも、どうか、ご自分に合う学び方を探して、憲法としっかり向き合ってください。
読めば読むほど心が熱くなる、とても素晴らしい憲法です。
わたしは日本人であることを嬉しく思います。
けれども今後、現代の社会情勢や環境に沿った、修正条項というものを追加する必要もあるでしょう。
その際には、国民の自主的な勉強会や議論の場を、全国各地でにぎやかに開催したいものです。

そして、矢部氏がおっしゃるように、
知ることが恐ろしいような事実に、もっともっと近づいていき、自分の目で見、頭で考え、知ったことを語り継ぎ、怒り、きちんとした政権をつくって、
「占領下で始まった戦争協力体制だけは、さすがにもうやめさせてほしい」と、アメリカに対して主張する。

そういう社会が実現するよう、これからも粘り強く、頑張っていきましょう!

では、最後のその3の打ち直しです。

緊急事態条項が書き加えられ、「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである基本的人権」について書かれた最高法規第九十七条が、削除されています。

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第九章 緊急事態

第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、
特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に、国会の承認を得なければならない。

3 内閣総理大臣は、前項の場合において、不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、
又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、
法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。

4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、
内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる

2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、
当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる、国その他公の機関の指示に従わなければならない
この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、
その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる



章 改正

九十六
この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、議院のそれぞれの総議員の三分の二以上過半数の賛成で、国会が、これを発議議決し、国民に提案してその承認をなければならない。
この承認には、特別の法律の定めるところにより行われる国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その有効投票の過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちに憲法改正を公布する


第十一章 最高法規

第九十七条
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

九十八百一
この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

九十九百二条
全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。

2 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。


第十一章 補則

第百条
この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。

2 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

第百一条
この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

第百二条
この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

第百三条
この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。


附則

1 この憲法改正は、平成○年○月○日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

(施行に必要な準備行為)

2 この憲法改正を施行するために必要な法律の制定及び改廃その他この憲法改正を施行するために必要な準備行為は、この憲法改正の施行の日よりも前に行うことができる。

(適用区分等)

3 改正後の日本国憲法第七十九条第五項後段(改正後の第八十条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、改正前の日本国憲法の規定により任命された最高裁判所の裁判官及び下級裁判の所裁判官の報酬についても適用する。

4 この憲法改正の施行の際現に在職する下級裁判所の裁判官については、その任期は改正前の日本国憲法第八十条第一項の規定による任期の残任期間とし、改正後の日本国憲法第八十条第一項の規定により再任されることができる。

5 改正後の日本国憲法第八十六条第一項、第二項及び第四項の規定はこの憲法改正の施行後に提出される予算案及び予算から、同条第三項の規定はこの憲法改正の施行後に提出される同条第一項の予算案に係る会計年度における暫定期間に係る予算案から、それぞれ適用し、この憲法改正の施行前に提出された予算及び当該予算に係る会計年度における暫定期間に係る予算については、なお従前の例による。

6 改正後の日本国憲法第九十条第一項及び第三項の規定は、この憲法改正の施行後に提出される決算から適用し、この憲法改正の施行前に提出された決算については、なお従前の例による。

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